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ジーデップアドバンス Research Memo(1):NVIDIAの国内No.1パートナー

注目トピックス 日本株
*12:01JST ジーデップアドバンス Research Memo(1):NVIDIAの国内No.1パートナー
■要約

ジーデップ・アドバンス<5885>は、「Advance with you 世界を前進させよう」をミッションに掲げ、主にAIを対象としたシステムインキュベーション事業を行う企業である。システムインキュベーション事業とは、主にAIやビジュアライゼーションやビッグデータを取り扱う研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いたサーバー機や同社オリジナルソリューションなどを提供することにより、今までとは違ったアプローチで研究や開発のスピードアップを支援するサービスである。代表取締役社長の飯野匡道(いいのただみち)氏が、2007年に米国ネバダ州で開催されたSupercomputing ConferenceでNVIDIA Corporationの製品を知り、小さなカードがパラレルコンピューティングの概念を大きく変える可能性を体感したことがNVIDIAとの取引の契機となり、その後の快進撃のドライバーとなった。従業員数は21名(2024年5月末時点)と少数精鋭である。2023年6月に東京証券取引所(以下、東証)スタンダード市場に上場した。

1. 事業内容
同社の事業は「システムインキュベーション事業」の単一セグメントだが、「DXサービス」及び「Service & Support」の2つのサービスを提供している。主力の「DXサービス」では、AIソリューションサービスで、AIサービスを開発・運用する顧客を対象として、Deep learningを用いたAIの開発や運用に適した仕様のハードウェア、ソフトウェア、ツールを組み合わせたターンキーシステム(電源を入れたらすぐに使えるシステム)を開発・組立・販売する。またビジュアライズソリューションサービスでは、映像や画像を用いるコンピュータ処理を行う顧客を対象として、CADやCAE、コンピュータグラフィックスの制作やデジタルサイネージで利用するグラフィックワークステーションの組立・販売などを行う。このサービスは売上構成比の91.9%(2024年5月期)を占める。「Service & Support」は、同社が提供するソリューション(ハードウェア、ソフトウェア、構築ノウハウ)に対して、ハードウェアの保守だけではなく継続的な環境のアップデートを通して、常に最新で安定したシステムとして利用するためのオプショナル運用支援サービスを提供する。当サービスの売上構成比は、8.1%(同)である。

同社は、NVIDIAをはじめとするグローバルプロセッサメーカー4社から認定された高い技術力、とグローバルITベンダーとの連携から生まれる企画力・製品調達力が源泉となり、高い競争優位性を築いている。強み・特徴としては、1) 最新テクノロジーと独自のギミックを組み合わせた最適解の提案、2) ソリューション提供形態の多様性、3) Service & Supportによる顧客継続性、4) スモールマス展開を見据えた案件対応、5) 他社との差別化を実現する独自のポジショニング、がある。

2. 業績動向
2024年5月期通期の業績は、売上高が前期比17.0%増の4,421百万円、営業利益が同19.0%増の662百万円と大幅な増収増益を達成した。売上高は、生成AI関連の設備投資需要などが堅調であったことなどから過去最高額を更新した。主要顧客の大学や研究機関の需要が変わらず旺盛であるのに加え、スタートアップや医療業界などとの取引が伸長した。販管費は外形標準課税や東京オフィス移転などの増加要因があったものの、その多くが固定費のため、増収効果により販管費率は減少した。結果として営業利益は前期比19.0%増となり、9期連続の増益となった。

3. 今後の見通し
2025年5月期の業績については、売上高で前期比30.5%増の5,770百万円、営業利益で同1.9%増の675百万円を予想する。進行期は成長市場において積極的な先行投資を行う戦略であり、売上高の成長性は高いが各利益は抑制される計画である。売上高については、前期に引き続き高い需要が予想され、案件規模の大型化も進行していることから前期比30.5%増と高い成長率を見込む。さらなる成長のためにソリューションのポートフォリオを拡充し、より上位レイヤーのソリューションラインナップを準備していくとともに、パートナーエコシステムの増強に力を入れる戦略である。案件規模の大型化の影響などにより売上総利益率は低下する見込みである。これらの要因から、営業利益は微増・横ばいの計画となる(前期比1.9%増)。生成AI関連の需要増や補助金など市場の追い風を背景に受注残を例年になく有しており(期初2,106百万円)、トップラインの高成長は確実性が高いと弊社は考えている。過去に発生した半導体供給難なども解消したため、サプライチェーンのリスクも低減している。将来に向けて社内体制の整備(人材・設備等)にしっかり投資できるかに注目していきたい。

4. 成長戦略・トピックス
成長戦略として、3つの重点施策を推進する。
1) 上位レイヤーソリューションへの移行と環境整備
デスクサイドのAIワークステーションから、大規模なGPU(Graphics Processing Unit)クラウドまで、商品・サービスのポートフォリオを上位レイヤーへ拡充し、大規模AIのユーザーニーズにタイムリーに対応し確実なアップセルを促進する。

2) 大規模AI時代に合わせたエコシステムの増強
国内SIerとの協業及びクラウドベンダーやデータセンターと提携、NVIDIAと関係が深いOEMベンダー、ストレージベンダー、ソフトウェアベンダーとのパートナーネットワーク強化などにより、製品調達力とオリジナリティのある大規模システムの構築を可能にする。

3) AIリソースの総合ベンダーとしてハイブリッド化を促進
オンプレミスからプライベートクラウド、パブリック大規模システムまで、すべての環境をシームレスに移行し、AI開発のスピードアップを支援するAIリソースの総合ベンダーを目指す。

5. 株主還元策
同社は成長に応じた株主への安定的な利益還元を経営上の最重要課題の1つと位置付けており、業績の見通しや必要な設備投資などを総合的に勘案した上で、毎期配当性向は引き上げていく方針としている。過去3年間においては毎年増配するとともに、配当性向20%前後を維持してきた。2024年5月期末の配当金は年67.00円(株式分割後換算16.75円)、配当性向は20.4%だった。2025年5月期は、配当金で年17.50円、配当性向21.1%を予想する。弊社では、継続的な利益成長とともに、将来的には配当性向の上昇により、高い増配ペースが期待できると考えている。また同社は、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を目的に、2024年11月30日を基準日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行う予定である。

■Key Points
・NVIDIAの国内No.1パートナー。AI開発向けに最先端テクノロジーを組み合わせたソリューションを提供
・国内AI市場は年30%成長見込み。NVIDIAをはじめとするグローバルプロセッサメーカーが認める技術力と、グローバルITベンダーとの連携による企画力・製品調達力が強みの源泉
・直近業績:生成AI関連の設備投資需要、案件規模の大型化などにより大幅増収。各利益では9期連続の増益を達成
・中期経営計画最終年度(2027年5月期)に営業利益10億円を目指す。大規模AI・クラウド化の時代に対応する成長戦略を策定
・利益成長と配当性向の上昇により、高い増配ペースが期待できる。2025年5月期の配当金は17.50円、配当性向21.1%予想。また、株式分割を実施予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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