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CRI・MW Research Memo(7):5〜10年後には100億円企業へ

注目トピックス 日本株
*16:37JST CRI・MW Research Memo(7):5〜10年後には100億円企業へ
■CRI・ミドルウェア<3698>の成長戦略

1. 基本方針
成長戦略における基本方針として、ゲーム事業で得られた技術やノウハウ、知見、資金を、エンタープライズ事業の研究開発や営業強化に投下することで事業領域を拡げ、CRIグループ全体で飛躍的な成長を目指している。そのなかで、ゲーム依存の事業構造を、中長期的にゲーム、モビリティ、TeleXus関連の3本柱(コア事業)とする事業構造へと変革していく計画である。そのうえで、5〜10年後に100億円企業となることを目指す。併せて、現在「CRI TeleXus」の投資フェーズで低下している利益率を、許諾ビジネスの拡大などによって大きく引き上げる方針である。


ゲーム、モビリティ、TeleXus関連が成長の3本柱

2. コア事業の成長戦略
(1) ゲーム事業
国内はアライアンス、海外は進出加速に重点を置く。国内は、既存のミドルウェアビジネスを維持しつつ、新製品投入やヤマハなど他社製品とのアライアンスによって機能強化や製品ラインナップの拡充を推進してシェアを拡大、同社の技術や製品が1つでも多くゲームタイトルに関与している状態を目指す。特に新製品の「CRI Clovis」はリアルな情報とゲーム内をリンクすることができるため、スポーツゲームや推し活、コミュニケーションゲームでの採用が期待される。海外は、中国ビジネスの再拡大と欧米市場への再進出を目指す。中国ではコロナ禍などで停滞していたゲーム市場が回復基調に入ったことから、iOSとAndroidばかりでなく華為技術有限公司(Huawei)の「HarmonyOS NEXT」など中国製OSに対応、「CRIWARE」ブランドによる許諾ビジネスの拡大を目指す。このため営業力を強化し、再度成長軌道へ戻す方針である。欧米ではGDC(Game Developers Conference:ゲーム開発者会議)への出展を機に再進出を図り、子会社設立や販売代理店との提携によって現地での販売機能を強化する計画である。既に「Destiny」や「Hitman」など大規模タイトルへのミドルウェア導入実績があること、現地で「CRI Sofdec」など映像関連ミドルウェアの評価が高いこと、インディーゲームが増えていることなどから、欧米での拡販は意外とスムーズに進む可能性もある。この結果、売上高を17億円から5〜10年後に30億円に拡大する方針である。

(2) モビリティ
前述したように「CRI ADX-AT」と「CRI Glassco」のモビリティへの導入が順調で、成長可能性を強く感じられることから、日系のみならず海外メーカーへの導入も図る。ドライバーに重要な情報を整理して伝える技術はゲームで使われている技術と同じなため、同社は優位性を発揮しやすい状況にあると言える。このため当面は、「CRI ADX-AT」と「CRI Glassco」で車種・メーカーの横展開を進め、採用実績を積み上げていく計画である。同社は成長ドライバーとなる製品を多く抱えているが、なかでも「CRI ADX-AT」は車室内外の様々な音を制御できるうえ、音質・音量も損なわずコストや部品点数、実装面積、電力消費を大幅に削減することができるため非常に好評で、四輪車の世界生産台数の20%弱(1,500万台)への採用を目指すとともに、メーターからETCなど他の機能へ拡げることで車両1台当たりの収入増加を目指す。また、新ソリューションの「CRI SOLIDAS」は調達・在庫リスクの小さい少量の汎用部品で構成されるうえ、最小のシステム構成であらゆる製品に対応できる強みを生かし、モビリティへの採用を目指す。「CRI Glassco」はゲームで培ったUI技術で直観的に操作できるという強みを背景に、二輪車市場で実績を積み四輪車市場へと拡大し、二輪車と四輪車の世界生産台数の10%弱(1,000万台)への採用を目指す。この結果、売上高を3億円から5〜10年後に30億円へと拡大する方針である。

(3) TeleXus関連
「CRI TeleXus」は、大人数同時会話、立体音響・空間演出、AI通訳といった機能に強みを持っている。このため、リアルタイムコミュニケーション技術やコミュニケーション空間での映像と音声の高度な伝達技術などによって、オンラインコミュニケーションプラットフォームを構築することができる。特に開発中の新機能であるAI通訳機能は、実用的な翻訳精度や翻訳速度の速さ、多言語対応という強みにより、外国人と会話する場面で容易に言語の壁を取り払うことができる。こうした強みを背景に、ゲーム市場でタイトルへの採用増加に注力し、非ゲーム市場ではモビリティ、イベント、教育などの新規市場への進出を目指す。具体的にゲーム市場向けで採用実績を積み上げることで、低遅延で低負荷という他のボイスチャットに対する優位性を認知してもらい、ユーザーの利用を増やす作戦だが、既にVR対戦アクションゲーム「ブレイゼンブレイズ」へ採用されている。また、モビリティ分野では、コネクテッドカーの普及によって形成が予測されるMaaS※コミュニティをサポートすることもできる。ほかに、観客の歓声や熱気までも感じられる立体音響によるオンラインイベントを実現することでリアル開催とは別の収入源とすることや、先生やクラスメートの位置関係から教室内の音場を再現することによってオンライン学習で感じる孤独感を緩和することも想定している。TeleXus関連の売上高は現状ほぼゼロだが、これにより5〜10年後に30億円に拡大する方針である。

※ MaaS(Mobility as a Service):旅行者など移動ニーズに個別に対応できる、複数の公共交通や様々な移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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