ケンコーマヨ Research Memo(7):2036年3月期に売上1,250億円以上、営業利益率6%以上目指す(2)
[24/12/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:07JST ケンコーマヨ Research Memo(7):2036年3月期に売上1,250億円以上、営業利益率6%以上目指す(2)
■ケンコーマヨネーズ<2915>の今後の見通し
(2) 基本戦略と取り組み状況
中長期経営計画では、基本戦略として「成長戦略」「スマート化」「人材投資」「サステナビリティと社会的責任」の4つをテーマに各種施策に取り組んでいる。
a) 成長戦略
市場環境の変化に適応できる強い事業基盤を構築するため、既存事業の収益基盤強化とブランド構築の実行、事業ポートフォリオの再構築を推進していく。具体的には、マーケットインの発想による商品開発の強化や、基盤商品のブランディング強化により、調味料・加工食品事業におけるNB商品売上比率を2024年3月期の約30%から2028年3月期に50%に引き上げる。また、海外市場を本格的に開拓することで、海外売上高を2028年3月期に17億円に拡大し、2036年3月期には売上構成比で10%以上を目指す。EC事業では、一般消費者や小規模事業者向けをターゲットに、同社の強みを生かしたオリジナリティのある商品(自社商品以外の料理アイテムなども含む)を拡充することで、2028年3月期に2億円を売上目標に設定した。
このうち、海外事業に関してはターゲットとする候補エリアをほぼ絞り込み、現在は事業戦略を立案している段階にある。順調に進めば、2026年3月期には進出方法も含めて具体的なプロジェクトが動き出す見通しだ。効率的に事業展開を進める方法としてM&Aも選択肢の1つとなっている。EC事業に関してはEC専用サイトの構築や物流委託会社の選定、EC向け商品の開発に着手した段階にある。
また、同社は商品力の強化と生産効率の向上を図るべく、NB品、PB品問わず商品数の統廃合に着手している。整理する商品数はサイズや容量の見直しも含めてNB品で200品以上にのぼる。商品数を整理することで、製造時における生産準備作業の削減が可能となり、生産効率の向上につながっていく。同社はPB商品(顧客専用商品含む)についても従来は、顧客ごとの要望に応じて細かな仕様を決め商品開発を行ってきたが、業態別にある程度標準化を進めることで生産効率の向上を図っていく。同社ではこうした商品統廃合の取り組みによって、2026年3月期に6億円のコスト低減効果を見込んでいる。
商品・メニュー開発においては、顧客要望に応える機動力の向上を図るべく、商品化決定基準を見直したほか、分野別戦略と連携した商品開発を進めている。商品化の決定基準として従来は、最低ロット・最低利益の水準を定めて決定していたが、今後は商品カテゴリー別やNB品、PB品ごとに等、政策的な商品化の決定を作成していく。これは中長期経営計画で設定した営業利益率6%以上の達成を意識した取り組みとなる。そのほか、コロナ禍で停滞していた新規顧客開拓における対面での営業・メニュー提案活動を強化していく。コロナ禍においては訪問営業が難しく、オンライン営業が中心であったが、新規顧客の開拓では、対面での営業活動が重要との考えに基づくものだ。同方針に基づき、2025年3月期は新規顧客先の訪問件数を前期比1.5倍に増やしていく。ブランディング戦略としては、引き続きマスメディアや各種展示会を通じて企業ブランド力の向上を目指す。
b) スマート化
DXを通じて企業改革や生産性の向上を図るとともに、成長性・合理化・効率化を目的とした事業拠点の再編などを推進する。2024年9月より本格的に稼働を開始した新基幹システムでは、事業拠点や商品ごとの売上・利益状況を早期に可視化することが可能となり、収益変動に対して迅速な対応が可能になる。現在はデータの収集及び検証・分析を行っている段階で、2026年3月期から導入効果が顕在化する見通しだ。
同社は2036年3月期までに労働生産性を30%アップすることを目標に掲げている(2028年3月期までに10%アップ)。間接部門では生成AIやRPAツールの活用により業務効率の向上を図り、余剰となった人員を新規業務に再配置することで労働生産性を向上していく。また、販売面では新基幹システムの導入によるデータ活用や営業支援ツールの導入によって営業の生産性向上を図り、生産面では協働ロボットの導入や商品の統廃合による生産準備作業の削減などにより生産性を引き上げていく。
なお、現在グループの生産拠点として国内に16拠点を有しているが、老朽化している工場もあり、現在拠点の再編・統合と併せてエネルギーコストを抑えた新拠点の開設や能力増強投資などの具体的な計画を策定している段階だ。事業拠点の再編及び強化に関連した投資額として、2028年3月期までの第1フェーズで86億円を投下する予定となっているが、時期としては後半の2年間で具体化するものと思われる(12年間では合計182億円)。
c) 人材投資
グローバル企業化、働き方改革としてのダイバーシティを推進するほか、2024年4月より新人事制度の運用を開始し、自己実現や成長を実感できる制度やキャリアプランを実現する研修制度の充実、資格取得の支援制度などを導入した。また、多様性に対応した働き方(勤務体系、育児短時間勤務期間の延長、年間総労働時間の見直し)についても各種制度を整備し充実を図っている。採用面では、キャリア採用やグローバル化を見据えた採用活動を強化する方針だ。
d) サステナビリティと社会的責任
環境問題への取り組みと地域社会への貢献活動を推進するほか、グループ従業員の健康と働きがいに注力した健康経営を目指す。環境への取り組みとして、CO2排出量の削減について2019年度比原単位で2027年度は25.4%削減を目指すほか、2050年度にカーボンニュートラルの達成を目指す。また、廃棄物削減に関しても2019年度比原単位で2027年度は14.1%削減に取り組む。また、物流面において環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用を推進していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■ケンコーマヨネーズ<2915>の今後の見通し
(2) 基本戦略と取り組み状況
中長期経営計画では、基本戦略として「成長戦略」「スマート化」「人材投資」「サステナビリティと社会的責任」の4つをテーマに各種施策に取り組んでいる。
a) 成長戦略
市場環境の変化に適応できる強い事業基盤を構築するため、既存事業の収益基盤強化とブランド構築の実行、事業ポートフォリオの再構築を推進していく。具体的には、マーケットインの発想による商品開発の強化や、基盤商品のブランディング強化により、調味料・加工食品事業におけるNB商品売上比率を2024年3月期の約30%から2028年3月期に50%に引き上げる。また、海外市場を本格的に開拓することで、海外売上高を2028年3月期に17億円に拡大し、2036年3月期には売上構成比で10%以上を目指す。EC事業では、一般消費者や小規模事業者向けをターゲットに、同社の強みを生かしたオリジナリティのある商品(自社商品以外の料理アイテムなども含む)を拡充することで、2028年3月期に2億円を売上目標に設定した。
このうち、海外事業に関してはターゲットとする候補エリアをほぼ絞り込み、現在は事業戦略を立案している段階にある。順調に進めば、2026年3月期には進出方法も含めて具体的なプロジェクトが動き出す見通しだ。効率的に事業展開を進める方法としてM&Aも選択肢の1つとなっている。EC事業に関してはEC専用サイトの構築や物流委託会社の選定、EC向け商品の開発に着手した段階にある。
また、同社は商品力の強化と生産効率の向上を図るべく、NB品、PB品問わず商品数の統廃合に着手している。整理する商品数はサイズや容量の見直しも含めてNB品で200品以上にのぼる。商品数を整理することで、製造時における生産準備作業の削減が可能となり、生産効率の向上につながっていく。同社はPB商品(顧客専用商品含む)についても従来は、顧客ごとの要望に応じて細かな仕様を決め商品開発を行ってきたが、業態別にある程度標準化を進めることで生産効率の向上を図っていく。同社ではこうした商品統廃合の取り組みによって、2026年3月期に6億円のコスト低減効果を見込んでいる。
商品・メニュー開発においては、顧客要望に応える機動力の向上を図るべく、商品化決定基準を見直したほか、分野別戦略と連携した商品開発を進めている。商品化の決定基準として従来は、最低ロット・最低利益の水準を定めて決定していたが、今後は商品カテゴリー別やNB品、PB品ごとに等、政策的な商品化の決定を作成していく。これは中長期経営計画で設定した営業利益率6%以上の達成を意識した取り組みとなる。そのほか、コロナ禍で停滞していた新規顧客開拓における対面での営業・メニュー提案活動を強化していく。コロナ禍においては訪問営業が難しく、オンライン営業が中心であったが、新規顧客の開拓では、対面での営業活動が重要との考えに基づくものだ。同方針に基づき、2025年3月期は新規顧客先の訪問件数を前期比1.5倍に増やしていく。ブランディング戦略としては、引き続きマスメディアや各種展示会を通じて企業ブランド力の向上を目指す。
b) スマート化
DXを通じて企業改革や生産性の向上を図るとともに、成長性・合理化・効率化を目的とした事業拠点の再編などを推進する。2024年9月より本格的に稼働を開始した新基幹システムでは、事業拠点や商品ごとの売上・利益状況を早期に可視化することが可能となり、収益変動に対して迅速な対応が可能になる。現在はデータの収集及び検証・分析を行っている段階で、2026年3月期から導入効果が顕在化する見通しだ。
同社は2036年3月期までに労働生産性を30%アップすることを目標に掲げている(2028年3月期までに10%アップ)。間接部門では生成AIやRPAツールの活用により業務効率の向上を図り、余剰となった人員を新規業務に再配置することで労働生産性を向上していく。また、販売面では新基幹システムの導入によるデータ活用や営業支援ツールの導入によって営業の生産性向上を図り、生産面では協働ロボットの導入や商品の統廃合による生産準備作業の削減などにより生産性を引き上げていく。
なお、現在グループの生産拠点として国内に16拠点を有しているが、老朽化している工場もあり、現在拠点の再編・統合と併せてエネルギーコストを抑えた新拠点の開設や能力増強投資などの具体的な計画を策定している段階だ。事業拠点の再編及び強化に関連した投資額として、2028年3月期までの第1フェーズで86億円を投下する予定となっているが、時期としては後半の2年間で具体化するものと思われる(12年間では合計182億円)。
c) 人材投資
グローバル企業化、働き方改革としてのダイバーシティを推進するほか、2024年4月より新人事制度の運用を開始し、自己実現や成長を実感できる制度やキャリアプランを実現する研修制度の充実、資格取得の支援制度などを導入した。また、多様性に対応した働き方(勤務体系、育児短時間勤務期間の延長、年間総労働時間の見直し)についても各種制度を整備し充実を図っている。採用面では、キャリア採用やグローバル化を見据えた採用活動を強化する方針だ。
d) サステナビリティと社会的責任
環境問題への取り組みと地域社会への貢献活動を推進するほか、グループ従業員の健康と働きがいに注力した健康経営を目指す。環境への取り組みとして、CO2排出量の削減について2019年度比原単位で2027年度は25.4%削減を目指すほか、2050年度にカーボンニュートラルの達成を目指す。また、廃棄物削減に関しても2019年度比原単位で2027年度は14.1%削減に取り組む。また、物流面において環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用を推進していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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