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アクセル Research Memo(3):遊技機器向けLSI事業で成長、事業領域の拡大を図るべくAI事業を育成中(2)

注目トピックス 日本株
*12:43JST アクセル Research Memo(3):遊技機器向けLSI事業で成長、事業領域の拡大を図るべくAI事業を育成中(2)
■事業概要

2. 事業セグメント
アクセル<6730>は2026年3月期より事業セグメント名を従来の「LSI開発販売関連」及び「新規事業関連」から「LSI事業」及び「AI事業」に変更した。当該変更は名称変更のみであり、セグメントの内容は従来どおりである。

(1) LSI事業
LSI事業では、遊技機器向けG-LSIのほかメモリモジュールやLEDドライバ等周辺デバイスの開発販売を行っており、2026年3月期の売上高構成比は94.1%を占める。同社の遊技機器向けG-LSIの特長は、比較的廉価なCPUとの組み合わせでも高精細な描画表示ができる点にある。また、画像ロムに格納された圧縮画像データを瞬時に伸長して高速表示するほか、多彩な演出を可能とする各種エフェクト機能も搭載している。遊技機器向けG-LSIについては、このような特定用途に特化した技術が必要となるだけでなく、設計プロセスの微細化、回路規模の大型化により研究開発費が増大する傾向にあるため、参入障壁が高い。競合企業としてはヤマハ<7951>、ディジタルメディアプロフェッショナル<3652>等が挙げられる。ちなみに、メモリモジュールに関しては、市場シェアで約80%と圧倒している。

なお、遊技機器向けのG-LSIやメモリモジュールは、リユース(再使用)品が一定規模で使われているため、機器の出荷台数とこれら半導体の需要が必ずしも連動しない点に留意する必要がある。これは遊技機器に搭載される部材が複数回の繰り返し利用にも耐えられる品質となっていることに加えて、遊技機器メーカーがコスト削減や環境問題対応のためにリユース品を使う動きが広まったことが背景にある。遊技機器メーカーは、リサイクル業者を介してパチンコホールから部材を回収し再利用している。リユース率は遊技機器メーカーのコスト削減施策の動向やG-LSIの世代交代、メモリ市況等により変動するが、G-LSI・メモリモジュールともに年間需要の1〜4割がリユース品になっていると推定される。

同社はファブレスメーカーのため、半導体の製造に関してはすべて外部に委託している。G-LSIについては製品仕入れの一部を外貨建ての決済としている。このため、為替変動の影響を受けることになるが、一部で為替の予約をしているほか価格改定も適宜実施しており、収益に与える影響は小さい。主要顧客は緑屋電気(株)や加賀電子<8154>などのエレクトロニクス商社で、そこから遊技機器メーカーに納品している。

同社は研究開発型のファブレスメーカーであるため、売上高に占める研究開発費率が高いという特徴が2019年3月期まであったが、2020年3月期以降は研究開発費も年間15億円前後の水準で落ち着き、売上比率は10%前後の水準となっている。主因は「AG6」の開発費がピークとなった2019年3月期以降、「AG5」から「AG6」への移行スピードが従来よりも緩やかなペースとなり、次世代G-LSIの開発が始まっていないためだ。移行がスムーズに進まなかったのは、「AG5」に対して「AG6」の消費電力や販売価格が高く、遊技機器メーカー側で採用メリットを見出せなかったことが要因と見られる。このため、同社は「AG6」の回路設計を見直し、低消費電力化とシステムコストの低価格化を実現した改良版「AG6R」を開発、2026年3月期から販売を開始した。同製品の投入によって「AG6」シリーズへの移行も進み始めている。現在は「AG6R」よりもさらに高速処理、高精細化を実現するバージョンアップ版の開発を進めている状況で、当面の研究開発費は15億円前後の水準が続く見通しだ。

(2) AI事業
AI事業では、AI領域を主軸とした事業を展開しており、特に同社が長年培ってきたハードウェア開発の知見を最大限に生かせる「AIコンピューティング領域」に注力している。同セグメントの管理区分には、AI領域やミドルウェア領域のほか、医療機器や産業機器等に搭載される組み込み機器向けG-LSIやブロックチェーン技術(Web3.0)領域等も含まれている。同社がLSI事業で培ってきたアルゴリズムやハードウェア・ソフトウェア開発といった様々なレイヤーの技術・ノウハウを差別化要素として、顧客の多様なニーズに対応し、顧客基盤の着実な拡大を進める戦略である。

a) AI領域
AI領域では、独自開発したエッジ(端末)AI推論フレームワーク「アイリア SDK」を中核に展開している。「アイリア SDK」の特長は、1) 最新モデルを含めて400種類以上の学習モデルをすぐに利用でき、物体検出や姿勢推定、超解像、音声認識、LLMなど幅広いカテゴリーをカバーできる点、2) GPUの積極活用により世界最高水準の推論処理スピードをエッジで実現可能な点、3) 顧客が望む実行環境に柔軟に対応可能なクロスプラットフォームに対応している点の3つが挙げられる。特に、クロスプラットフォームに対応していることは、開発者にとって使い勝手の良いフレームワークとして評価が高い。

AIシステムの構築には、「学習(ディープラーニング)」と「推論」の両プロセスが必要となるが、国内では推論領域のコア技術を持つAI事業者が少なく、Google LLCやMicrosoftなど海外大手プラットフォーマーの推論フレームワークを利用して、自社の独自モデル(学習領域)と組み合わせて開発しているケースが多い。同社の「アイリア SDK」は、海外大手と同水準の高速処理性能を持っており、ほかのAI開発事業者との差別化要因となる。また、自社で推論フレームワークを持つことで、顧客の要望に応じて柔軟かつ迅速に設計変更を行える点も強みだ。

事業ドメインとしては、「アイリア SDK」の提供や「アイリア SDK」をベースとしたAI実装支援サービスなどのAIコンピューティング事業と、AIアプリケーション事業の2つを展開し、いずれもを拡大する戦略であったが、自動車業界を中心にAI実装支援サービスの引き合いが多いことから、2027年3月期以降はAIコンピューティング事業にリソースを集中する方向に軌道修正した。1案件当たりの売上規模は小さくなるものの、AI実装したハードウェア製品が実用化段階に入り、普及が進めばロイヤリティ収入が積み上がる。

b) 組込み機器向けG-LSI
医療機器や産業機器など、組込み機器市場をターゲットにしたG-LSIの開発販売を行っている。限られた経営資源を最適化するため、本領域の展開については現状の規模を据え置く方針だ。

c) ミドルウェア製品「AXIP」
主にゲームやアニメ制作市場向けに画像及び音声圧縮技術を中心としたミドルウェア製品「AXIP」シリーズの開発販売を行っている。業界最高水準のミドルウェア製品を多機能パッケージとして販売することで付加価値を高めている。企業・アプリごとに固定または売上連動型のロイヤリティ収入を得るビジネスモデルであるが、売上規模は小さい。

d) ブロックチェーン技術(Web3.0)領域
同社はブロックチェーン構築に関するコア技術や取引基盤を支えるハードウェア技術、セキュリティ技術(アルゴリズムによる暗号化技術)を持つ。ブロックチェーン技術を基盤とした各種ソリューションを提供するビジネスモデルであるが、市場の成熟や動向を注視する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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