Bitcoin.com CEOロジャー・バー氏インタビューvol.4 仮想通貨への出資法【フィスコ 株・企業報】
[18/10/25]
提供元:株式会社フィスコ
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ビットコインニュース
◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 −10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の巻頭特集「エンジェル投資家 Bitcoin.com CEO ロジャー・バー氏インタビュー」の一部である。全5回に分けて配信する。
黎明期といえる2011年頃からビットコインの所有を始め、仮想通貨関連スタートアップのエンジェル投資家として業界をサポートしてきた、ロジャー・バー氏にお話を伺った。ロジャー・バー氏は仮想通貨ニュースサイトおよび仮想通貨のウォレット事業やクラウドマイニングサービスなどを多角的に手掛けるBitcoin.comのCEOであり、これまでに海外送金に特化した決済システムを提供するRipple社、仮想通貨のオンラインウォレットであるBlockchain.infoとBitpay、仮想通貨取引所Krakenなどに100万ドル以上の投資を行っている。またバー氏は現在、ビットコインの取引処理能力を巡る課題解決策をめぐって2018年8月にビットコインから分岐することで新たに誕生したビットコイン・キャッシュ(BCH)という仮想通貨の普及活動に取り組んでいる。
■今後10年間というスパンを一つの目安として見たとき、個人投資家はどのように仮想通貨に出資すべきだと考えていらっしゃいますか?
もしも投資家の視点に立つならば、もっとも便利で多数の人から支持されている仮想通貨を所有しておくべきだと思います。ただし、著名な人々が言うことを簡単に鵜呑みにしないことも大切です。LINEやTelegramなどで著名人が誇大宣伝することで一気に注目を集めているような仮想通貨をすぐに信じてしまわずに、ただ自分自身の考えに専念することが非常に重要だと思います。
自分が、この仮想通貨は便利だと思うのであれば使う。評価が高くて流行ワードになっていたとしても、まったく便利でない仮想通貨ならば使う意味はありません。「今は価格が安いが、次のビットコインになるかもしれない」という仮想通貨を見分けるとすれば、利便性の高さを確認するのが良いかもしれません。利便性が高ければさらなる普及が期待できますし、普及すればネットワーク効果で価値が高まります。
たとえば今、これも特に欧米圏のメディアではライトニング・ネットワークという仮想通貨の取引処理能力を大きく向上させると期待されている新技術が非常に注目されています。メインネット上でライトニング・ネットワークを利用してBTC決済ができるミニeコマースサイトが今年1月に立ち上がってはいますが、まだ実際にライトニング・ネットワークを利用して決済を行っている人や、決済に利用できる場所というのはほとんどない状態といって良いでしょう。
実際の利用が普及する前に高く評価され過ぎているという気がします。たとえば、私の運営するBitcoin.comのビットコインキャッシュ・ウォレットの1日当たりの新規利用数は、これまでのライトニング・ネットワーク利用数の総数よりも多いのです。
ライトニング・ネットワークは、ビットコインの仕組みを非常に巧みに成立させていたマイナー(仮想通貨の新規発行や取引承認に必要となる計算作業を行う人)の経済的なインセンティブを崩す可能性があるとも思っています。
ビットコインは、マイナーがネットワークを維持する計算作業を行うことで、報酬としてビットコインを受け取るというインセンティブがあったために成立していました。
一度、元Krakenのエンジニアで現Bitcoin.comのアドバイザーを務めるアンドレアス・ブレッケン氏が試験的にライトニング・ネットワークの半分を1ヶ月間コントロールして、数千万円分のBTCをチャネルに入れたのに、取引手数料としては0.00004289BTC (0.31ドル)だけが生じたことがありました。これではビジネスが成り立たず、マイナーのインセンティブがないため、ビットコインの仕組みを壊しているといえるのではないでしょうか。マイナーがほぼ報酬なしでシステムを維持するのは難しいということです。
ライトニング・ネットワークやサイドチェーンなどの新技術へと移行していくにあたって、システムをどのように維持するか、マイナーのインセンティブをどう確保していくかという複雑な命題は避けて通れません。これまでのビットコインとはまったく別の経済システムになっていくでしょう。ビットコインの処理能力改善の文脈で大きな期待を寄せて語られることが多いライトニング・ネットワークですが、まだ不透明な課題が残っている状態です。
もっとシンプルに言うならば、まだビットコインのシステムは崩壊しているわけではないのにビットコイン・コアの開発者達は簡単で迅速にできるブロックサイズ拡大による取引処理能力の拡大をせず、より複雑で時間のかかる改善を加えようとしている状態ですが、まだ綻びが出ていないのならば修繕する必要はないのではないかというのが私の意見です。
これは私自身がビットコインの所有者として、当事者の立場で真摯に考えることでもあります。ライトニング・ネットワークを提唱する業界の著名人たち、グレゴリー・マックスウェル氏やルーク・ジュニア氏、アダム・バック氏など、ビットコイン界隈の関係者の多くが、ビットコインをまったく所有せずに彼らの理想や見解だけを述べており、そのことを公言しています。しかし、ビットコインは実際に多くの所有者が存在する大きな問題なのです。
(つづく〜「Bitcoin.com CEO ロジャー・バー氏インタビューvol.5 仮想通貨技術の将来性【フィスコ 株・企業報】」〜)
【ロジャー・バー Profile】
1979年1月27日生まれ。アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。仮想通貨ニュースサイトおよび仮想通貨ウォレット事業やクラウドマイニング事業などを多角的に展開するBitcoin.comのCEO。仮想通貨関連スタートアップのエンジェル投資家。仮想通貨の黎明期である2012年頃から、海外送金に特化した仮想通貨プロジェクトとして注目されるリップルや、仮想通貨オンライン・ウォレット・プロバイダー、仮想通貨取引所への投資を行っており、仮想通貨界隈で大きな発言力を持つ人物の一人。
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黎明期といえる2011年頃からビットコインの所有を始め、仮想通貨関連スタートアップのエンジェル投資家として業界をサポートしてきた、ロジャー・バー氏にお話を伺った。ロジャー・バー氏は仮想通貨ニュースサイトおよび仮想通貨のウォレット事業やクラウドマイニングサービスなどを多角的に手掛けるBitcoin.comのCEOであり、これまでに海外送金に特化した決済システムを提供するRipple社、仮想通貨のオンラインウォレットであるBlockchain.infoとBitpay、仮想通貨取引所Krakenなどに100万ドル以上の投資を行っている。またバー氏は現在、ビットコインの取引処理能力を巡る課題解決策をめぐって2018年8月にビットコインから分岐することで新たに誕生したビットコイン・キャッシュ(BCH)という仮想通貨の普及活動に取り組んでいる。
■今後10年間というスパンを一つの目安として見たとき、個人投資家はどのように仮想通貨に出資すべきだと考えていらっしゃいますか?
もしも投資家の視点に立つならば、もっとも便利で多数の人から支持されている仮想通貨を所有しておくべきだと思います。ただし、著名な人々が言うことを簡単に鵜呑みにしないことも大切です。LINEやTelegramなどで著名人が誇大宣伝することで一気に注目を集めているような仮想通貨をすぐに信じてしまわずに、ただ自分自身の考えに専念することが非常に重要だと思います。
自分が、この仮想通貨は便利だと思うのであれば使う。評価が高くて流行ワードになっていたとしても、まったく便利でない仮想通貨ならば使う意味はありません。「今は価格が安いが、次のビットコインになるかもしれない」という仮想通貨を見分けるとすれば、利便性の高さを確認するのが良いかもしれません。利便性が高ければさらなる普及が期待できますし、普及すればネットワーク効果で価値が高まります。
たとえば今、これも特に欧米圏のメディアではライトニング・ネットワークという仮想通貨の取引処理能力を大きく向上させると期待されている新技術が非常に注目されています。メインネット上でライトニング・ネットワークを利用してBTC決済ができるミニeコマースサイトが今年1月に立ち上がってはいますが、まだ実際にライトニング・ネットワークを利用して決済を行っている人や、決済に利用できる場所というのはほとんどない状態といって良いでしょう。
実際の利用が普及する前に高く評価され過ぎているという気がします。たとえば、私の運営するBitcoin.comのビットコインキャッシュ・ウォレットの1日当たりの新規利用数は、これまでのライトニング・ネットワーク利用数の総数よりも多いのです。
ライトニング・ネットワークは、ビットコインの仕組みを非常に巧みに成立させていたマイナー(仮想通貨の新規発行や取引承認に必要となる計算作業を行う人)の経済的なインセンティブを崩す可能性があるとも思っています。
ビットコインは、マイナーがネットワークを維持する計算作業を行うことで、報酬としてビットコインを受け取るというインセンティブがあったために成立していました。
一度、元Krakenのエンジニアで現Bitcoin.comのアドバイザーを務めるアンドレアス・ブレッケン氏が試験的にライトニング・ネットワークの半分を1ヶ月間コントロールして、数千万円分のBTCをチャネルに入れたのに、取引手数料としては0.00004289BTC (0.31ドル)だけが生じたことがありました。これではビジネスが成り立たず、マイナーのインセンティブがないため、ビットコインの仕組みを壊しているといえるのではないでしょうか。マイナーがほぼ報酬なしでシステムを維持するのは難しいということです。
ライトニング・ネットワークやサイドチェーンなどの新技術へと移行していくにあたって、システムをどのように維持するか、マイナーのインセンティブをどう確保していくかという複雑な命題は避けて通れません。これまでのビットコインとはまったく別の経済システムになっていくでしょう。ビットコインの処理能力改善の文脈で大きな期待を寄せて語られることが多いライトニング・ネットワークですが、まだ不透明な課題が残っている状態です。
もっとシンプルに言うならば、まだビットコインのシステムは崩壊しているわけではないのにビットコイン・コアの開発者達は簡単で迅速にできるブロックサイズ拡大による取引処理能力の拡大をせず、より複雑で時間のかかる改善を加えようとしている状態ですが、まだ綻びが出ていないのならば修繕する必要はないのではないかというのが私の意見です。
これは私自身がビットコインの所有者として、当事者の立場で真摯に考えることでもあります。ライトニング・ネットワークを提唱する業界の著名人たち、グレゴリー・マックスウェル氏やルーク・ジュニア氏、アダム・バック氏など、ビットコイン界隈の関係者の多くが、ビットコインをまったく所有せずに彼らの理想や見解だけを述べており、そのことを公言しています。しかし、ビットコインは実際に多くの所有者が存在する大きな問題なのです。
(つづく〜「Bitcoin.com CEO ロジャー・バー氏インタビューvol.5 仮想通貨技術の将来性【フィスコ 株・企業報】」〜)
【ロジャー・バー Profile】
1979年1月27日生まれ。アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。仮想通貨ニュースサイトおよび仮想通貨ウォレット事業やクラウドマイニング事業などを多角的に展開するBitcoin.comのCEO。仮想通貨関連スタートアップのエンジェル投資家。仮想通貨の黎明期である2012年頃から、海外送金に特化した仮想通貨プロジェクトとして注目されるリップルや、仮想通貨オンライン・ウォレット・プロバイダー、仮想通貨取引所への投資を行っており、仮想通貨界隈で大きな発言力を持つ人物の一人。
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