LONGHASH Japan代表 クリス・ダイ氏インタビューvol.1 ブロックチェーンの可能性【フィスコ 株・企業報】
[18/11/01]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
ビットコインニュース
◇以下は、FISCO監修の投資情報誌『FISCO 株・企業報 2018年冬号 −10年後の日本未来予想図』(10月5日発売)の巻頭特集「LONGHASH Japan代表取締役 クリス・ダイ氏インタビュー」の一部である。全8回に分けて配信する。
今年2月に設立されたLONGHASH Japanは、分散型ビジネスモデルを可能にするブロックチェーン活用事業の支援を主軸として設立された注目の企業である。今回はLONGHASH Japan代表取締役社長、クリス・ダイ氏に、ブロックチェーンに代表される分散型ビジネスの将来性やその普及に至るまでの課題なども含めて、お話を伺った。
■クリスさんは2013年頃からビットコインに投資をなさっていたそうですが、当時からブロックチェーンに可能性を感じていたのでしょうか。
そうですね。友人のボビー・リーが中国の元大手仮想通貨取引所BTCチャイナの代表で、彼は当時からビットコインを自分たちでマイニング(仮想通貨の新規発行と取引認証の際に行われる計算作業)をしていましたし、さらに、ボビーの弟は仮想通貨「ライトコイン」の開発者のチャーリー・リーです。そういう仲間うちで「ビットコイン、面白いよ」という話をしていたのが、個人的に投資を始めたきっかけです。
私は当時、スタンフォード大学の上海同窓会の会長を務めていまして、その主催でビットコインをテーマにしたセミナーを開きましたら、聴衆から大きな反響があったのです。ひょっとすると、ブロックチェーンによって今までビジネスにできなかったことを実現できるかもしれないと感じました。ただ、当時はICO(仮想通貨技術を利用した資金調達手段)もなかったですし、ブロックチェーンをマネタイズする方法もありませんでしたので、ビットコインへ個人的に投資していたわけです。
■ブロックチェーンによって、管理者が不在で、データの改ざんもなされず、権限がユーザー全体に分散された公平なネットワークが構築できると期待されています。ブロックチェーンは、社会のどのような問題を、どのように解決する可能性があるのでしょうか。
現代の資本主義社会の問題点は、大資本に人や情報、技術などのリソースが集中してしまうことです。個人は企業に、企業はもっと大きな企業にリソースを吸い取られ、究極的にはGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)のような世界的なプラットフォーム企業へあらゆるリソースが集約されてしまう、そのような偏った現状があります。これでは、他の企業がまったく歯が立たないのです。
富が集中するだけなら、まだいいのかもしれません。ひょっとすると、政治までも歪められる恐れがあります。そこで、こうした頑強な一極集中の現状に対しては、分散型ビジネスモデルによって風穴を開け、牽制できるのではないかと考えているのです。
分散型ビジネスモデルとは、中央で組織をコントロールする管理者が不要で、ブロックチェーンによって自律的に運用されるWebサービスのビジネスモデル一般を指します。ブロックチェーンというシステムの改ざん不可能性さえ信頼できればユーザーとして参加できるメリットがあります。従来のように、そのビジネスを立ち上げた管理者(企業やその経営者)の人格や能力、誠実さなどを吟味して信頼する必要がありません。よって、民間企業のリソースがGAFAに集中し、全体のパワーバランスが崩れている点など、現在の資本主義社会が置かれた課題も、分散型ビジネスモデルが相当程度、改善させることができるでしょう。
経営コンサルティングで企業に対してよく言われるのは、「持続可能な競争力を身につけなさい」という助言です。他社が入れないような参入障壁を設けることで、少ないコストで効率的に収益を確保し続けることができます。経営コンサルタントの立場では、この助言の内容そのものに間違いはありません。
ただ、このような助言を徹底した末に行き着いた究極の姿こそ、GAFAなのです。このグローバルかつ不可侵な体制さえ確保できれば、GAFAは大したイノベーションを起こさなくても持続可能な競争力を維持し続けられるからです。しかし、障壁の外側にいる大多数の企業の立場からすれば不公平に映るでしょうし、この現状を放置するのは将来の人類のためになりません。
今までは巨大プラットフォーマーの「ひとり勝ち」状態が固定化されていた障壁に対し、分散型ビジネスモデルが風穴を開けられれば、個人が企業にチャレンジし、中小企業が大企業にチャレンジし、大企業がプラットフォーマーにチャレンジできるようになります。そういった経済生態系のダイナミズムが確保されれば、プラットフォーマーが独占してきたリソースも社会で流動化され、グローバル経済全体が活性化されていくでしょう。
(つづく〜「LONGHASH Japan代表 クリス・ダイ氏インタビューvol.2 分散型ビジネスの実現【フィスコ 株・企業報】」〜)
【クリス・ダイProfile】
中国上海出身。LONGHASH Japan代表取締役社長。中国と日本のクロスボーダー投資ファンドLeland Capitalの共同創設者兼CEO。中国と日本での活動を中心に、幅広いビジネスマネジメントと投資を行い、COO/CIO Yixing SCM(ロジスティクス・プロバイダー)、Accentureのコンサルタント、複数のベンチャー企業の共同設立者。中国のビットコインとイーサリアムの早期の投資家の一人で、2013年から仮想通貨投資に携わる。経済産業研究所ブロックチェーン研究会委員。2004年にスタンフォード大学でマネジメントと科学と工業工学卒業。
<HH>
今年2月に設立されたLONGHASH Japanは、分散型ビジネスモデルを可能にするブロックチェーン活用事業の支援を主軸として設立された注目の企業である。今回はLONGHASH Japan代表取締役社長、クリス・ダイ氏に、ブロックチェーンに代表される分散型ビジネスの将来性やその普及に至るまでの課題なども含めて、お話を伺った。
■クリスさんは2013年頃からビットコインに投資をなさっていたそうですが、当時からブロックチェーンに可能性を感じていたのでしょうか。
そうですね。友人のボビー・リーが中国の元大手仮想通貨取引所BTCチャイナの代表で、彼は当時からビットコインを自分たちでマイニング(仮想通貨の新規発行と取引認証の際に行われる計算作業)をしていましたし、さらに、ボビーの弟は仮想通貨「ライトコイン」の開発者のチャーリー・リーです。そういう仲間うちで「ビットコイン、面白いよ」という話をしていたのが、個人的に投資を始めたきっかけです。
私は当時、スタンフォード大学の上海同窓会の会長を務めていまして、その主催でビットコインをテーマにしたセミナーを開きましたら、聴衆から大きな反響があったのです。ひょっとすると、ブロックチェーンによって今までビジネスにできなかったことを実現できるかもしれないと感じました。ただ、当時はICO(仮想通貨技術を利用した資金調達手段)もなかったですし、ブロックチェーンをマネタイズする方法もありませんでしたので、ビットコインへ個人的に投資していたわけです。
■ブロックチェーンによって、管理者が不在で、データの改ざんもなされず、権限がユーザー全体に分散された公平なネットワークが構築できると期待されています。ブロックチェーンは、社会のどのような問題を、どのように解決する可能性があるのでしょうか。
現代の資本主義社会の問題点は、大資本に人や情報、技術などのリソースが集中してしまうことです。個人は企業に、企業はもっと大きな企業にリソースを吸い取られ、究極的にはGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)のような世界的なプラットフォーム企業へあらゆるリソースが集約されてしまう、そのような偏った現状があります。これでは、他の企業がまったく歯が立たないのです。
富が集中するだけなら、まだいいのかもしれません。ひょっとすると、政治までも歪められる恐れがあります。そこで、こうした頑強な一極集中の現状に対しては、分散型ビジネスモデルによって風穴を開け、牽制できるのではないかと考えているのです。
分散型ビジネスモデルとは、中央で組織をコントロールする管理者が不要で、ブロックチェーンによって自律的に運用されるWebサービスのビジネスモデル一般を指します。ブロックチェーンというシステムの改ざん不可能性さえ信頼できればユーザーとして参加できるメリットがあります。従来のように、そのビジネスを立ち上げた管理者(企業やその経営者)の人格や能力、誠実さなどを吟味して信頼する必要がありません。よって、民間企業のリソースがGAFAに集中し、全体のパワーバランスが崩れている点など、現在の資本主義社会が置かれた課題も、分散型ビジネスモデルが相当程度、改善させることができるでしょう。
経営コンサルティングで企業に対してよく言われるのは、「持続可能な競争力を身につけなさい」という助言です。他社が入れないような参入障壁を設けることで、少ないコストで効率的に収益を確保し続けることができます。経営コンサルタントの立場では、この助言の内容そのものに間違いはありません。
ただ、このような助言を徹底した末に行き着いた究極の姿こそ、GAFAなのです。このグローバルかつ不可侵な体制さえ確保できれば、GAFAは大したイノベーションを起こさなくても持続可能な競争力を維持し続けられるからです。しかし、障壁の外側にいる大多数の企業の立場からすれば不公平に映るでしょうし、この現状を放置するのは将来の人類のためになりません。
今までは巨大プラットフォーマーの「ひとり勝ち」状態が固定化されていた障壁に対し、分散型ビジネスモデルが風穴を開けられれば、個人が企業にチャレンジし、中小企業が大企業にチャレンジし、大企業がプラットフォーマーにチャレンジできるようになります。そういった経済生態系のダイナミズムが確保されれば、プラットフォーマーが独占してきたリソースも社会で流動化され、グローバル経済全体が活性化されていくでしょう。
(つづく〜「LONGHASH Japan代表 クリス・ダイ氏インタビューvol.2 分散型ビジネスの実現【フィスコ 株・企業報】」〜)
【クリス・ダイProfile】
中国上海出身。LONGHASH Japan代表取締役社長。中国と日本のクロスボーダー投資ファンドLeland Capitalの共同創設者兼CEO。中国と日本での活動を中心に、幅広いビジネスマネジメントと投資を行い、COO/CIO Yixing SCM(ロジスティクス・プロバイダー)、Accentureのコンサルタント、複数のベンチャー企業の共同設立者。中国のビットコインとイーサリアムの早期の投資家の一人で、2013年から仮想通貨投資に携わる。経済産業研究所ブロックチェーン研究会委員。2004年にスタンフォード大学でマネジメントと科学と工業工学卒業。
<HH>