ビットコイン納税──オハイオを「仮想通貨バレー」に【フィスコ・仮想通貨コラム】
[18/12/26]
提供元:株式会社フィスコ
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仮想通貨コラム
仮想通貨に関する最近のニュースは、ビットコインの暴落が中心だ。しかし、下げ相場でも、仮想通貨は「主流」になりつつある。オハイオ州は11月末からアメリカの州として初めて、ビットコインで納税できるようになった。オハイオがビットコインを合法的な支払い手段と見なしているという、明確なメッセージだ。
この新たな取り組みは、表面上は、税金を納めやすくするためだ。ブロックチェーンによって手数料が安くなり、モバイル決済が可能になって、支払いをリアルタイムで追跡できるようになる。
ただし、利便性だけの話ではない。オハイオ州は、アメリカ中部に「クリプト・バレー(仮想通貨バレー)」を築こうとしているのだ。
仮想通貨納税を提唱したジョシュ・マンデル州財務長官(41)はLongHashの取材に対し、「とびきり優秀な開発者や起業家を、シリコンバレーやニューヨークからオハイオに引き付けたい」と語る。
オハイオは「アメリカのブロックチェーンの都」を目指すと、マンデルは続ける。ビットコインによる納税は、全米に向けて、オハイオがブロックチェーンを支持するだけでなく、ブロックチェーン関連の事業を始めたいソフトウエア開発者や起業家を歓迎することを、知らしめるひとつの手段でもある。
シンガポールや東京、マルタでも、自治体などが仮想通貨を推進する施策を導入して、ブロックチェーンのハブになろうとしている。とはいえ、納税にまで踏み込んだのは、アメリカではオハイオ州が初めてだ。ウォールストリート・ジャーナル紙によると、アリゾナ、ジョージア、イリノイの各州もビットコインによる納税を検討してきたが、関連法案は州議会を通過できずにいる。
「政治家や官僚は、自ら決断を下すことを恐れる。実際に決断して行動を起こすのではなく、延々と検討を続けるだけだ」と、マンデルは言う。「私は(ビットコインによる納税は)オハイオの納税者にとって良いことだと思い、決断した」
ビットコイン納税を希望する企業は、「OhioCrupto.com(オハイオクリプト・ドットコム)」というサイトにオンラインで登録し、納税額と期限を入力する。そして、仮想通貨のウォレットから、アトランタを拠点とする決済処理業者ビットペイに税額分を送金。ビットペイは支払われたビットコインをドルに換金して、オハイオ州の口座に収めるという流れになる。
マンデルによると、今のところ納税者からの反応は上々だ。マンデルは2014年に、州政府の透明性を確保するために「OhioCheckBook.com(オハイオチェックブック・ドットコム)」というサイトを立ち上げ、州の支出の情報をネット上で開示している。その後、仮想通貨に興味を持ち、さまざまな技術革新について学んできた。
この取り組みが成功できるくらい多くの人が、仮想通貨に関心を示すだろうか。仮想通貨についてマンデルに助言しているアリ・ルイスによると、オハイオでのビットコインの利用に関する統計はないが、証拠となる事例はある。
「(オハイオで)仮想通貨やブロックチェーンのソリューションを開発している企業は多数あり、彼らはビットコインや仮想通貨による決済をビジネスに組み込んでいる」。例えば、シンシナティを拠点とする10XTS社は、さまざまな金融資産取引を扱うブロックチェーンのシステムを開発している。
マンデルは、「オハイオ・クリプト・バレー」を築けるくらい多くの企業が集まるだろうと自信を見せる。「技術者が東海岸や西海岸を脱出して、ハートランド(中部地域)でビジネスを始めようという動きが始まっている」
ビットペイのスティーブン・ペアCEOは、従来の中心地ではない場所でスタートアップを立ち上げる利点を語る。「シリコンバレーにはソフトウエア業界に参入したい人があふれていて、人材の争奪戦も激しく、本当に機能する優秀なチームを結成して維持するのは大変だ」
さらに、シリコンバレーの優秀な開発者をグーグルやフェイスブックなどから引き抜くことは難しいし、あるいは彼らも自分で起業しようとする。アトランタとオハイオにはすでに優秀な開発者がいて、彼らはさまざまな理由でシリコンバレーに行くつもりがない。ペイはそのように説明する。
マンデルによると、オハイオには大学などの資産もあり、それ以上に重要なのは、「控えめで勤勉な中西部の人々」がいることだ。「長時間のきつい仕事を受け入れる、気骨のある人々」であり、事業を立ち上げる際に、ぜひ雇いたいと思うような人々だ。
もっとも、マンデルはオハイオ州よりさらに大きな青写真を描いている。「究極の目標は、オハイオ州に刺激されて、全米の州が後に続くことだ。州は民主主義の実験室なのだ。このような取り組みの先駆者となり、州レベルで成功させることによって、将来的には連邦政府を動かし、納税者が連邦税も仮想通貨で払えるようになってほしい」。
(記事提供:LONGHASH)
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この新たな取り組みは、表面上は、税金を納めやすくするためだ。ブロックチェーンによって手数料が安くなり、モバイル決済が可能になって、支払いをリアルタイムで追跡できるようになる。
ただし、利便性だけの話ではない。オハイオ州は、アメリカ中部に「クリプト・バレー(仮想通貨バレー)」を築こうとしているのだ。
仮想通貨納税を提唱したジョシュ・マンデル州財務長官(41)はLongHashの取材に対し、「とびきり優秀な開発者や起業家を、シリコンバレーやニューヨークからオハイオに引き付けたい」と語る。
オハイオは「アメリカのブロックチェーンの都」を目指すと、マンデルは続ける。ビットコインによる納税は、全米に向けて、オハイオがブロックチェーンを支持するだけでなく、ブロックチェーン関連の事業を始めたいソフトウエア開発者や起業家を歓迎することを、知らしめるひとつの手段でもある。
シンガポールや東京、マルタでも、自治体などが仮想通貨を推進する施策を導入して、ブロックチェーンのハブになろうとしている。とはいえ、納税にまで踏み込んだのは、アメリカではオハイオ州が初めてだ。ウォールストリート・ジャーナル紙によると、アリゾナ、ジョージア、イリノイの各州もビットコインによる納税を検討してきたが、関連法案は州議会を通過できずにいる。
「政治家や官僚は、自ら決断を下すことを恐れる。実際に決断して行動を起こすのではなく、延々と検討を続けるだけだ」と、マンデルは言う。「私は(ビットコインによる納税は)オハイオの納税者にとって良いことだと思い、決断した」
ビットコイン納税を希望する企業は、「OhioCrupto.com(オハイオクリプト・ドットコム)」というサイトにオンラインで登録し、納税額と期限を入力する。そして、仮想通貨のウォレットから、アトランタを拠点とする決済処理業者ビットペイに税額分を送金。ビットペイは支払われたビットコインをドルに換金して、オハイオ州の口座に収めるという流れになる。
マンデルによると、今のところ納税者からの反応は上々だ。マンデルは2014年に、州政府の透明性を確保するために「OhioCheckBook.com(オハイオチェックブック・ドットコム)」というサイトを立ち上げ、州の支出の情報をネット上で開示している。その後、仮想通貨に興味を持ち、さまざまな技術革新について学んできた。
この取り組みが成功できるくらい多くの人が、仮想通貨に関心を示すだろうか。仮想通貨についてマンデルに助言しているアリ・ルイスによると、オハイオでのビットコインの利用に関する統計はないが、証拠となる事例はある。
「(オハイオで)仮想通貨やブロックチェーンのソリューションを開発している企業は多数あり、彼らはビットコインや仮想通貨による決済をビジネスに組み込んでいる」。例えば、シンシナティを拠点とする10XTS社は、さまざまな金融資産取引を扱うブロックチェーンのシステムを開発している。
マンデルは、「オハイオ・クリプト・バレー」を築けるくらい多くの企業が集まるだろうと自信を見せる。「技術者が東海岸や西海岸を脱出して、ハートランド(中部地域)でビジネスを始めようという動きが始まっている」
ビットペイのスティーブン・ペアCEOは、従来の中心地ではない場所でスタートアップを立ち上げる利点を語る。「シリコンバレーにはソフトウエア業界に参入したい人があふれていて、人材の争奪戦も激しく、本当に機能する優秀なチームを結成して維持するのは大変だ」
さらに、シリコンバレーの優秀な開発者をグーグルやフェイスブックなどから引き抜くことは難しいし、あるいは彼らも自分で起業しようとする。アトランタとオハイオにはすでに優秀な開発者がいて、彼らはさまざまな理由でシリコンバレーに行くつもりがない。ペイはそのように説明する。
マンデルによると、オハイオには大学などの資産もあり、それ以上に重要なのは、「控えめで勤勉な中西部の人々」がいることだ。「長時間のきつい仕事を受け入れる、気骨のある人々」であり、事業を立ち上げる際に、ぜひ雇いたいと思うような人々だ。
もっとも、マンデルはオハイオ州よりさらに大きな青写真を描いている。「究極の目標は、オハイオ州に刺激されて、全米の州が後に続くことだ。州は民主主義の実験室なのだ。このような取り組みの先駆者となり、州レベルで成功させることによって、将来的には連邦政府を動かし、納税者が連邦税も仮想通貨で払えるようになってほしい」。
(記事提供:LONGHASH)
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