政府はプライバシー通貨とどのように向き合うべきか −仮想通貨Beamインタビュー【フィスコ・暗号資産コラム】
[20/04/15]
提供元:株式会社フィスコ
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暗号資産コラム
以下は、フィスコ・マーケットレポーターのタマラ・ソイキナ(ツイッター@ crypto_russia)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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※2020年4月15日に執筆
最近日本の仮想通貨(暗号資産)取引所で新しく海外のブロックチェーンプロジェクトが上場する事例が増えてきました。日本ではあまり知られていなくても、世界的に大きなコミュニティを持ち、将来性のある野心的なプロジェクトは多くあります。
今回は、2019年にリクルート<6098>から出資を受け、日本国内でも注目を浴びたブロックチェーンプロジェクト、Beamというイスラエルのプロジェクトにお話を聞く機会をいただきました。ビジネスリーダーのアレクサンダー・ザイデルソン氏がお話をしてくれました。
タ「こんにちは。さっそくですがあらためてBeamというプロジェクトについてあらためて簡単に紹介していただけますか?」
ア「BeamはMimblewimble(以下、MW)プロトコルをベースにした機密性の高い暗号通貨として立ち上げられました。2016年に匿名の開発者によって発明されたMWプロトコルは、初めて機密性とスケーラビリティを兼ね備えたブロックチェーンプロトコルです。特に取引のプライバシーを重視していて(ブロックチェーン上で送信者、受信者、金額が見られません)、取引履歴はブロックチェーン上に保存されず、現在の状態のみが保存されます。」
タ「Beamが立ち上げられたのは2018年かと思いますが、2016年にMWが登場した後、Beamはどのようにして誕生したのでしょうか?」
ア「Beamのコアチームは、過去10年間に様々なプロジェクトで一緒に働いていたメンバーなんです。例えばボードメンバーのガイ・コレムは2009年頃にはCTOのアレックス・ロマノフとBoxee(メディア・ストリーミングのサービス)で一緒に働いていました。チームは早い段階でMWの存在を知り、その技術と将来性に非常にわくわくしていました。しかししばらくしてGrinの開発があまりにも遅いことが分かり、別のガバナンスモデルを使って別の実装を開発することを決めました。」
タ「日本では昨年いくつかのプライバシー通貨が上場廃止になりました。今後、各国の政府当局はプライバシー通貨とどのように向き合うべきでしょうか?」
ア「日本での話はなかなか興味深いですね。一般的に政府は、現金を嫌うのと同じようにプライバシー通貨を快く思っていません。私の考えでは、政府には2つの選択肢があります−プライバシー通貨を禁止するか、協力して規制するかです。政府は、中央集権的な取引所からプライバシー通貨を禁止することはできても、DEXを禁止することは実際には不可能ですし、ましてや人々がプライバシー通貨を持っていることや使っていることを阻止することは間違いなく不可能です。それであれば、政府はエコシステムの一部として、プライバシー通貨を含むすべての暗号通貨を受け入れる方法を見つけるべきです。これが現在の主流のアプローチだと思います。Beamは完全な機密性を持ちながらオプトインにも対応しており、ユーザーが選択した場合にのみ第三者の監査人に取引を報告できるようにすることができます。」
タ「そうした高いプライバシー性だけでなく、スケーラビリティが非常に高いという特徴もあると思います。どのようなユースケースが最適でしょうか?」
ア「Beamは価値の保存と交換手段両方の面で優れています。迅速な決済、使いやすいウォレット、優れたスケーラビリティ、完全な機密性など、Beamはこうしたユースケースに最適です。
「預金額を他人に知られたくない」など、価値あるものには守秘義務が非常に重要です。この情報は特に危機的状況下では、危険な結果を招く可能性があります。また決済手段としても、優れた機密性とオプトインコンプライアンスにより、企業が顧客からの支払いを受け入れる(つまり顧客がサービスの対価を支払う)場合に理想的です。
現時点では、暗号通貨の本格的な普及はまだ進んでいませんが、BeamはVPNやホスティングなどのプライバシーを重視したサービスの支払いに多く利用されています。実際、VPNを購入したことを他人に知られたくないと思っている人も多いでしょうね。ウェブではBeam決済に対応している事業者の一覧を見ることができます(※)。
タ「2019年にリクルートから出資を受けたことは日本でも報道されました。この投資はどのようにして実現したのでしょうか?業務提携の計画はありますか?」
ア「リクルートがクリプト(暗号資産)領域への投資に注力する中、2018年後半にBeamを見つけてくれました。私たちはリクルートを投資家として迎えられたことを本当に嬉しく思っています。現時点では特定の業務提携計画については明かせませんが、今後も期待していてください。」
タ「2020年に何か重要なアップデートの計画はありますか?」
ア「2020年にはいくつか大きなアップデートが計画されていますが、特に重要なのは本格的なDeFiエコシステムの構築です。Ethereumをはじめとする他のブロックチェーンと連携することでBeamにとっては新しいユースケースが開かれ、また他のコミュニティから新たなユーザーを呼び込むことにもなります。DeFiの人気が高まるにつれ、DeFiにおける機密性の必要性も高まっていますので、Beamがきっとその答えとなるでしょう。」
タ「本日はBeamについて普段なかなか聞けないお話を聞くことができました。ありがとうございました。」
インタビュー先:Alexander Zaidelson, Business Lead at the Beam
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執筆者名:タマラ・ソイキナ
「ロシアンOLちゃん」の名前で、SNSやメディア、イベントを通じた海外のブロックチェーン、仮想通貨情報の発信を行っている。
写真:著者提供
※:https://beam.mw/beam-accepted-here
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※2020年4月15日に執筆
最近日本の仮想通貨(暗号資産)取引所で新しく海外のブロックチェーンプロジェクトが上場する事例が増えてきました。日本ではあまり知られていなくても、世界的に大きなコミュニティを持ち、将来性のある野心的なプロジェクトは多くあります。
今回は、2019年にリクルート<6098>から出資を受け、日本国内でも注目を浴びたブロックチェーンプロジェクト、Beamというイスラエルのプロジェクトにお話を聞く機会をいただきました。ビジネスリーダーのアレクサンダー・ザイデルソン氏がお話をしてくれました。
タ「こんにちは。さっそくですがあらためてBeamというプロジェクトについてあらためて簡単に紹介していただけますか?」
ア「BeamはMimblewimble(以下、MW)プロトコルをベースにした機密性の高い暗号通貨として立ち上げられました。2016年に匿名の開発者によって発明されたMWプロトコルは、初めて機密性とスケーラビリティを兼ね備えたブロックチェーンプロトコルです。特に取引のプライバシーを重視していて(ブロックチェーン上で送信者、受信者、金額が見られません)、取引履歴はブロックチェーン上に保存されず、現在の状態のみが保存されます。」
タ「Beamが立ち上げられたのは2018年かと思いますが、2016年にMWが登場した後、Beamはどのようにして誕生したのでしょうか?」
ア「Beamのコアチームは、過去10年間に様々なプロジェクトで一緒に働いていたメンバーなんです。例えばボードメンバーのガイ・コレムは2009年頃にはCTOのアレックス・ロマノフとBoxee(メディア・ストリーミングのサービス)で一緒に働いていました。チームは早い段階でMWの存在を知り、その技術と将来性に非常にわくわくしていました。しかししばらくしてGrinの開発があまりにも遅いことが分かり、別のガバナンスモデルを使って別の実装を開発することを決めました。」
タ「日本では昨年いくつかのプライバシー通貨が上場廃止になりました。今後、各国の政府当局はプライバシー通貨とどのように向き合うべきでしょうか?」
ア「日本での話はなかなか興味深いですね。一般的に政府は、現金を嫌うのと同じようにプライバシー通貨を快く思っていません。私の考えでは、政府には2つの選択肢があります−プライバシー通貨を禁止するか、協力して規制するかです。政府は、中央集権的な取引所からプライバシー通貨を禁止することはできても、DEXを禁止することは実際には不可能ですし、ましてや人々がプライバシー通貨を持っていることや使っていることを阻止することは間違いなく不可能です。それであれば、政府はエコシステムの一部として、プライバシー通貨を含むすべての暗号通貨を受け入れる方法を見つけるべきです。これが現在の主流のアプローチだと思います。Beamは完全な機密性を持ちながらオプトインにも対応しており、ユーザーが選択した場合にのみ第三者の監査人に取引を報告できるようにすることができます。」
タ「そうした高いプライバシー性だけでなく、スケーラビリティが非常に高いという特徴もあると思います。どのようなユースケースが最適でしょうか?」
ア「Beamは価値の保存と交換手段両方の面で優れています。迅速な決済、使いやすいウォレット、優れたスケーラビリティ、完全な機密性など、Beamはこうしたユースケースに最適です。
「預金額を他人に知られたくない」など、価値あるものには守秘義務が非常に重要です。この情報は特に危機的状況下では、危険な結果を招く可能性があります。また決済手段としても、優れた機密性とオプトインコンプライアンスにより、企業が顧客からの支払いを受け入れる(つまり顧客がサービスの対価を支払う)場合に理想的です。
現時点では、暗号通貨の本格的な普及はまだ進んでいませんが、BeamはVPNやホスティングなどのプライバシーを重視したサービスの支払いに多く利用されています。実際、VPNを購入したことを他人に知られたくないと思っている人も多いでしょうね。ウェブではBeam決済に対応している事業者の一覧を見ることができます(※)。
タ「2019年にリクルートから出資を受けたことは日本でも報道されました。この投資はどのようにして実現したのでしょうか?業務提携の計画はありますか?」
ア「リクルートがクリプト(暗号資産)領域への投資に注力する中、2018年後半にBeamを見つけてくれました。私たちはリクルートを投資家として迎えられたことを本当に嬉しく思っています。現時点では特定の業務提携計画については明かせませんが、今後も期待していてください。」
タ「2020年に何か重要なアップデートの計画はありますか?」
ア「2020年にはいくつか大きなアップデートが計画されていますが、特に重要なのは本格的なDeFiエコシステムの構築です。Ethereumをはじめとする他のブロックチェーンと連携することでBeamにとっては新しいユースケースが開かれ、また他のコミュニティから新たなユーザーを呼び込むことにもなります。DeFiの人気が高まるにつれ、DeFiにおける機密性の必要性も高まっていますので、Beamがきっとその答えとなるでしょう。」
タ「本日はBeamについて普段なかなか聞けないお話を聞くことができました。ありがとうございました。」
インタビュー先:Alexander Zaidelson, Business Lead at the Beam
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執筆者名:タマラ・ソイキナ
「ロシアンOLちゃん」の名前で、SNSやメディア、イベントを通じた海外のブロックチェーン、仮想通貨情報の発信を行っている。
写真:著者提供
※:https://beam.mw/beam-accepted-here
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