「キャッチコピー」と「キーワード」と、ときどき「装丁」【book】
[19/01/29]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
実日ブックレビュー
私は、意外とロマンチストだから「唯一無二の存在」だとか「もうひとりの自分」だとか特別な存在のように感じて、勝手に羨んでしまう。
(大体こういうとき本人たちは何とも思っていないことが多いのだが・・・)
そうでなくとも、私は兄が欲しかった。
生まれた時から今まで、ずっと一人っ子で、ひとり遊びばかりしてきた私にとって兄妹という関係そのものが未知の世界であり、興味の対象であったから。
“兄”に限定しているのも、兄妹がいないゆえの憧れ(という名の妄想、周りの人には「あんたはお兄ちゃんという存在に幻想を見すぎ。現実はそうはいかない」とよく言われたものだ)で、「もしイケメンな”おにいちゃん”(架空)がいたら・・・」と考えずにはいられないのだ。
隣の芝生は青いってネ。
と、私のようにありえない妄想を膨らませているとまではいかずとも、
双子は不思議な存在????という認識は世界中で浸透しているように思う。
それは、よくバラエティ番組で「双子がジャンケンするといつまでもあいこになる?!」やら「双子同士だと以心伝心で相手の考えていることがわかる!」というような特集が定期的に放送されていることからも明らかだ。
まだはっきりとは解明されていないけど、誰よりも近くて、誰にも邪魔されない「ふたりだけの世界」という魅力が良いのだと思う。
だからアニメや漫画、ゲームの世界においても双子は重宝される。
こうした魅力的な「キーワード」を前面に出したストーリーは、人気に火がうまい具合につくと、それはもう爆発的な力を発揮することがよくある。
今回紹介させていただく『フーガはユーガ』も、この魅力的な「キーワード」を徹底的に押し出し、読者の間で話題となった一作。
実際に私も発売前に、ゲラを読ませてもらったが、不思議とページをめくる手が止まらない、止まらない。(久々に単行本を夜の間に読み切ってしまった・・・!)
本書、言わずもがな双子の話ではあるのだが、いかんせんすこしでもネタバレしてしまうと「ああ・・・!もったいない!!」となってしまうので、下手に教えられないのが残念。
でも読んでみると分かる。
キャッチコピーにある「不思議で、切ない」まさにそのままで、思わずなるほど・・・とため息をついてしまうだろう。
そう、キーワードに加えて、このキャッチコピーというのも本を構成するイメージ=顔においてとても重要なのだ。
耳触りが良かったり、何度か見ただけで、何気なく覚えてしまって、頭の中で繰り返されたり、口に出してしまったり。
音楽においての、歌詞ともいえるだろうか。
そして、思わず手にしたくなる装丁。
本書は本のデザインからカバー、ひいては花布(本を上から見たときのページの根元の部分。説明しにくい!)までこだわり抜かれている。
こちらは例えるとすると、CDジャケットのような。
この三拍子がそろえば、もう三重奏。黄金方程式のできあがりだ。
それと、これは私的注目ポイントであるが、本書の中に”くまちゃん”などのアソビゴゴロがいろいろと散りばめられており、(私のように)こういう細かいところに気が付いてニヤニヤする人にはとてもおすすめだったりする。
「双子」というウケるキーワード×考えつくされた言葉遊び(タイトル)に繰り広げられる伊坂ワールド。
もう一度読み返したくなる場面が盛りだくさんな『フーガはユーガ』
読了後に訪れる鳥肌の立つじわじわ感動と双子の魅力、ぜひ読んで確かめてほしい。
ちなみに本書、来年もしくは再来年あたりに映画化されるのでは???とひそかに思っていたりする。(というか私が観たいだけ)
(実業之日本社 販売マーケティング本部 王 佳那)
『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎 著 1400円+税 実業之日本社
<HH>
(大体こういうとき本人たちは何とも思っていないことが多いのだが・・・)
そうでなくとも、私は兄が欲しかった。
生まれた時から今まで、ずっと一人っ子で、ひとり遊びばかりしてきた私にとって兄妹という関係そのものが未知の世界であり、興味の対象であったから。
“兄”に限定しているのも、兄妹がいないゆえの憧れ(という名の妄想、周りの人には「あんたはお兄ちゃんという存在に幻想を見すぎ。現実はそうはいかない」とよく言われたものだ)で、「もしイケメンな”おにいちゃん”(架空)がいたら・・・」と考えずにはいられないのだ。
隣の芝生は青いってネ。
と、私のようにありえない妄想を膨らませているとまではいかずとも、
双子は不思議な存在????という認識は世界中で浸透しているように思う。
それは、よくバラエティ番組で「双子がジャンケンするといつまでもあいこになる?!」やら「双子同士だと以心伝心で相手の考えていることがわかる!」というような特集が定期的に放送されていることからも明らかだ。
まだはっきりとは解明されていないけど、誰よりも近くて、誰にも邪魔されない「ふたりだけの世界」という魅力が良いのだと思う。
だからアニメや漫画、ゲームの世界においても双子は重宝される。
こうした魅力的な「キーワード」を前面に出したストーリーは、人気に火がうまい具合につくと、それはもう爆発的な力を発揮することがよくある。
今回紹介させていただく『フーガはユーガ』も、この魅力的な「キーワード」を徹底的に押し出し、読者の間で話題となった一作。
実際に私も発売前に、ゲラを読ませてもらったが、不思議とページをめくる手が止まらない、止まらない。(久々に単行本を夜の間に読み切ってしまった・・・!)
本書、言わずもがな双子の話ではあるのだが、いかんせんすこしでもネタバレしてしまうと「ああ・・・!もったいない!!」となってしまうので、下手に教えられないのが残念。
でも読んでみると分かる。
キャッチコピーにある「不思議で、切ない」まさにそのままで、思わずなるほど・・・とため息をついてしまうだろう。
そう、キーワードに加えて、このキャッチコピーというのも本を構成するイメージ=顔においてとても重要なのだ。
耳触りが良かったり、何度か見ただけで、何気なく覚えてしまって、頭の中で繰り返されたり、口に出してしまったり。
音楽においての、歌詞ともいえるだろうか。
そして、思わず手にしたくなる装丁。
本書は本のデザインからカバー、ひいては花布(本を上から見たときのページの根元の部分。説明しにくい!)までこだわり抜かれている。
こちらは例えるとすると、CDジャケットのような。
この三拍子がそろえば、もう三重奏。黄金方程式のできあがりだ。
それと、これは私的注目ポイントであるが、本書の中に”くまちゃん”などのアソビゴゴロがいろいろと散りばめられており、(私のように)こういう細かいところに気が付いてニヤニヤする人にはとてもおすすめだったりする。
「双子」というウケるキーワード×考えつくされた言葉遊び(タイトル)に繰り広げられる伊坂ワールド。
もう一度読み返したくなる場面が盛りだくさんな『フーガはユーガ』
読了後に訪れる鳥肌の立つじわじわ感動と双子の魅力、ぜひ読んで確かめてほしい。
ちなみに本書、来年もしくは再来年あたりに映画化されるのでは???とひそかに思っていたりする。(というか私が観たいだけ)
(実業之日本社 販売マーケティング本部 王 佳那)
『フーガはユーガ』 伊坂幸太郎 著 1400円+税 実業之日本社
<HH>