習近平緊急会議の背後に「武漢赤十字会の金銭癒着」(1)【中国問題グローバル研究所】
[20/02/12]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
GRICI
【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。
???
武漢赤十字会が、新型肺炎患者が最も多い武漢の指定病院・協和医院に全国から集まった物資や献金を渡していなかったことが判明。背後に金銭癒着がありネットが炎上。習近平を緊急会議開催へと追い込んだ。
日本の「習近平指導部、対応の誤り認める 新型肺炎で初動に遅れ」(※2)という報道は不正確。
◆武漢赤十字会(紅十字会)で何が起きたのか
武漢赤十字会(中国語では紅十字会)には各地からマスクなどの医療物資や献金が集まっているが、医師や看護婦などを含めて8000人もの従業員がいる協和医院には3000枚しか配布されておらず、肺炎患者治療に関して指定されていない小さな特定の二つの私立病院に3万6000枚のマスクが配られていた。このことを知った中国のネットユーザーは激しく炎上。
まず何が起きたのかを見てみよう。1月23日に武漢が封鎖されると、武漢市のいくつかの医院が新型コロナウイルス肺炎患者を治療するための医院に指定された。その中で最大の医院が協和医院(正式名:華中科技大学同済医学院付属協和医院)である。700ベッドあり、医者や看護婦を含めて8000人ほどの従業員が患者の緊急治療に当たっている。
ところが23日から29日にかけて協和医院が医院や医者個人の名義で、朋友圈、Wechat、Douban、学習強国など様々なところにマスクや医療用防護服などの物資不足を訴えたり、寄付を求めたりする声を発信してきた。
実はこの日までに中国国内外から多くの支援があり、海外の華人華僑からだけでも5622.8万個のマスク、73.8万着の医療用防護服が届いており、そのほとんどは湖北省、特に武漢に集中的に送られている。
それなのになぜ医療物資が不足しているのか不思議だと、中国共産党機関紙「人民日報」のウェイボーも1月30日17:28に武漢協和医院の訴え(※3)を転載している。転載された元の訴えはここにある(※4)。これは1月30日12:29に武漢協和医院神経科の医師「Do先生」が発信したものだが、それが削除されたので、ダウンロードしてあった訴えを再掲載したものである。大至急、「防護服3000着、医療用95型マスク5000個、外科用マスク8000個…」などが必要で、協和医院にはもう防護服もマスクもなく、一刻の猶予もないので緊急に助けて欲しいと書いてある。
事態の展開に慌てた湖北省赤十字会(紅十字会)は1月30日、新型肺炎発症後第1回の支援物資や支援金に関する使用状況を発表した。
それによれば、なんと、指定病院の協和医院は新型肺炎発症以来、3000個のマスクの配給と1万2千元(1元 = 15.46円)の献金しか受けておらず、武漢市の仁愛医院と天佑医院にのみ、それぞれN95型マスク1.6万個と36万元を寄付したとのこと(後に1.6万個ではなく1.8万個であったと訂正。したがって合計3万6千個のマスク)。仁愛医院の従業員は協和医院の従業員の10分の1にも満たず、また美容整形とか婦人科、不妊治療あるいは性病関係などを扱うことで名が知れた病院であって、新型肺炎治療とは何の関係もない民間病院でしかない。
しかも協和医院に送られたマスクと献金は、武漢赤十字会からではなく、陝西省の韓という女性からの寄付であった。
1月31日になると武漢赤十字会が新型肺炎発症以来、第1回の援助物資に関する明細を発表した。武漢市には合計61の病院が指定医院になっているのだが、1月30日までに支援物資を配布した病院数は13であるとのこと。
中国政府の通信社である新華社通信によれば、30日までに武漢赤十字会はすでに「6.0808億元、9,316箱のマスク、74,522着の防護服、80,456個の医療用ゴーグルおよびその他の薬品や医療器械」などを受け取っているという。その金と物資はどこに行ったのか?
協和医院の関係者によれば、武漢赤十字会の援助物資や献金などの配布先一覧表の中に、そもそも協和医院の名前がないという。
以上の情報の主たる内容は比較的リベラルな(習近平政権以前は非常にリベラルだった)「南方人物週刊」(※5)に書いてある。
『習近平緊急会議の背後に「武漢赤十字会の金銭癒着」(2)【中国問題グローバル研究所】』へ続く
(本論はYahooニュース個人からの転載)
写真:新華社/アフロ
※1:https://grici.or.jp/
※2:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200203-00000180-kyodonews-soci
※3:https://www.weibo.com/2803301701/IrTAewq1O
※4:https://mp.weixin.qq.com/s/jmml8d0JFra99DhzrYXCew
※5:http://infzm.com/contents/175688
<SI>
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。
???
武漢赤十字会が、新型肺炎患者が最も多い武漢の指定病院・協和医院に全国から集まった物資や献金を渡していなかったことが判明。背後に金銭癒着がありネットが炎上。習近平を緊急会議開催へと追い込んだ。
日本の「習近平指導部、対応の誤り認める 新型肺炎で初動に遅れ」(※2)という報道は不正確。
◆武漢赤十字会(紅十字会)で何が起きたのか
武漢赤十字会(中国語では紅十字会)には各地からマスクなどの医療物資や献金が集まっているが、医師や看護婦などを含めて8000人もの従業員がいる協和医院には3000枚しか配布されておらず、肺炎患者治療に関して指定されていない小さな特定の二つの私立病院に3万6000枚のマスクが配られていた。このことを知った中国のネットユーザーは激しく炎上。
まず何が起きたのかを見てみよう。1月23日に武漢が封鎖されると、武漢市のいくつかの医院が新型コロナウイルス肺炎患者を治療するための医院に指定された。その中で最大の医院が協和医院(正式名:華中科技大学同済医学院付属協和医院)である。700ベッドあり、医者や看護婦を含めて8000人ほどの従業員が患者の緊急治療に当たっている。
ところが23日から29日にかけて協和医院が医院や医者個人の名義で、朋友圈、Wechat、Douban、学習強国など様々なところにマスクや医療用防護服などの物資不足を訴えたり、寄付を求めたりする声を発信してきた。
実はこの日までに中国国内外から多くの支援があり、海外の華人華僑からだけでも5622.8万個のマスク、73.8万着の医療用防護服が届いており、そのほとんどは湖北省、特に武漢に集中的に送られている。
それなのになぜ医療物資が不足しているのか不思議だと、中国共産党機関紙「人民日報」のウェイボーも1月30日17:28に武漢協和医院の訴え(※3)を転載している。転載された元の訴えはここにある(※4)。これは1月30日12:29に武漢協和医院神経科の医師「Do先生」が発信したものだが、それが削除されたので、ダウンロードしてあった訴えを再掲載したものである。大至急、「防護服3000着、医療用95型マスク5000個、外科用マスク8000個…」などが必要で、協和医院にはもう防護服もマスクもなく、一刻の猶予もないので緊急に助けて欲しいと書いてある。
事態の展開に慌てた湖北省赤十字会(紅十字会)は1月30日、新型肺炎発症後第1回の支援物資や支援金に関する使用状況を発表した。
それによれば、なんと、指定病院の協和医院は新型肺炎発症以来、3000個のマスクの配給と1万2千元(1元 = 15.46円)の献金しか受けておらず、武漢市の仁愛医院と天佑医院にのみ、それぞれN95型マスク1.6万個と36万元を寄付したとのこと(後に1.6万個ではなく1.8万個であったと訂正。したがって合計3万6千個のマスク)。仁愛医院の従業員は協和医院の従業員の10分の1にも満たず、また美容整形とか婦人科、不妊治療あるいは性病関係などを扱うことで名が知れた病院であって、新型肺炎治療とは何の関係もない民間病院でしかない。
しかも協和医院に送られたマスクと献金は、武漢赤十字会からではなく、陝西省の韓という女性からの寄付であった。
1月31日になると武漢赤十字会が新型肺炎発症以来、第1回の援助物資に関する明細を発表した。武漢市には合計61の病院が指定医院になっているのだが、1月30日までに支援物資を配布した病院数は13であるとのこと。
中国政府の通信社である新華社通信によれば、30日までに武漢赤十字会はすでに「6.0808億元、9,316箱のマスク、74,522着の防護服、80,456個の医療用ゴーグルおよびその他の薬品や医療器械」などを受け取っているという。その金と物資はどこに行ったのか?
協和医院の関係者によれば、武漢赤十字会の援助物資や献金などの配布先一覧表の中に、そもそも協和医院の名前がないという。
以上の情報の主たる内容は比較的リベラルな(習近平政権以前は非常にリベラルだった)「南方人物週刊」(※5)に書いてある。
『習近平緊急会議の背後に「武漢赤十字会の金銭癒着」(2)【中国問題グローバル研究所】』へ続く
(本論はYahooニュース個人からの転載)
写真:新華社/アフロ
※1:https://grici.or.jp/
※2:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200203-00000180-kyodonews-soci
※3:https://www.weibo.com/2803301701/IrTAewq1O
※4:https://mp.weixin.qq.com/s/jmml8d0JFra99DhzrYXCew
※5:http://infzm.com/contents/175688
<SI>