柯文哲は常に選挙状況を報告するよう要求されている(1)【中国問題グローバル研究所】
[23/11/21]
提供元:株式会社フィスコ
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GRICI
*10:28JST 柯文哲は常に選挙状況を報告するよう要求されている(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。
台湾総統選における野党連携「藍白合作」(藍は国民党、白は台湾民衆党)を発表した翌日の11月16日、台湾の国営通信社である中央通信社(中央社)は、柯文哲候補(台湾民衆党)が「今年2月以来、AIT(米国在台湾協会)から常に選挙に関する現状報告をするように要求されてきた」と語ったと報道している。
その1ヵ月前の10月17日にはシンガポールの「聯合早報」がAITの理事長(バイデン米国大統領の側近)が10月15日から台湾を訪問し3人の総統選立候補者を「面接試験した」と報じた。ここ半年間で3回目の「面接試験」であるという。10月20日のアメリカの国営放送VOAも、今回の台湾訪問は「3回目の面接試験を行うためだ」と説明している。
台湾の選挙はアメリカの管轄下にあり、総統選候補者はアメリカの顔色をうかがいながらでないと行動できない状況にあるようだ。立候補者は先ず訪米し「面接試験」に「合格」しなければならない。
「一つの中国」は国連で議決されたのではなかったのか?
台湾は誰のものか――?
◆柯文哲氏は2月から常に状況を報告せよとAITに要求されている
2023年11月16日、台湾の国営通信社である中央社は、台湾民衆党の次期総統選候補者である柯文哲氏に関して<柯文哲:米国は台湾の重要な同盟国だ AITが藍白合作に関して聞いてくるのは正常なことだ>(※2)という見出しで柯文哲がAITから状況報告を要求されてきたことを報道している(リンク先はその転載)。
それによれば、柯文哲は以下のように述べているという。
・民衆党は今年2月以来、毎週AITと連絡を取っており、AITの立場を考えると、AITが藍白問題を懸念して電話して来るのは当然のことだと思う。なぜならアメリカは台湾の重要な同盟(国)であり、台湾と良好な関係を維持する必要があるからだ。コミュニケーションを図り、誤解を避けなければならない。
・藍白の政党は昨日、馬英九・元総統の立会いのもとで交渉し合意に達したが、外界の一部は藍白合作に関して中国共産党が介入しているのではないかと疑問視している。
・藍白合作を決定したと発表するとすぐ、AITが私に電話してきて、中国が藍白合作に関与したか否かを説明するように要求してきた。
・今年2月から現在に至るまで、われわれ民衆党は毎週AITと連絡を取り、党事務局の局長、副局長、政治チームのレベル全て、ずーっと常にAITに選挙運動に関する報告をしている。私自身もAITのサンドラ・オウドカーク処長に「台米関係においてはノーサプライズを維持する」と保証し、訪米したときにも米政府高官にこの原則を維持し決して突然奇妙な動き(=中国と接近するようなこと)はしないことを誓った。
・私はこれまで、AITに対し、「どんな問題でも疑問があればいつでも電話して質問していい」と保証したことがあるし、「民衆党は何か新しい変化があったら、必ずAITに報告する」と誓ったこともある。したがって昨日、「藍白合作」決定を発表したわけだから、AITが「お前、何をやっているんだ!?」と聞いてくるのは正常なことだと思う。なぜなら私はAITに「何か変化があったら報告する」と誓っていたからだ(=それに違反したことになる)。
◆AIT理事長は総統候補者に面接試験
2023年10月17日、シンガポールの「聯合早報」は<米国在台湾協会(AIT)理事長が藍・緑・白の総統選立候補者に“面接試験”>(※3)という見出しで、台湾総統選立候補者の「面接試験」を報道している(緑は民進党のシンボルカラー)。以下、「聯合早報」の温偉中・台北特派員が書いた記事の冒頭部分だけを和訳して転載する。
――米国在台湾協会(AIT)のローラ・ローゼンバーガー理事長は、5日間の日程で台湾を訪問し、藍・緑・白三大政党の総統選立候補者と面談する。これは台湾の将来の総統候補に対する「面接試験」とみなされている。学者らによると、「アメリカは現場の一次情報を直接得ることによって、選挙情勢を評価分析しようとしている」とのこと。
ローラ・ローゼンバーガーは日曜日(10月15日)に台湾に到着したが、これは彼女が3月20日に就任して以来の3度目の台湾訪問となる。彼女はすでに月曜日(10月16日)に台湾の蔡英文総統と会談しているが、より注目されるのは、藍(国民党)、緑(民進党)、白(民衆党)三党の総統候補者との会談だ。
ローゼンバーガーはブリンケン米国務長官の補佐官を務め、バイデン米大統領の側近ともみなされている。台湾では3ヵ月以内に、すなわち2024年1月13日に総統選挙と立法院委員選挙が行われることになっている。中東でイスラエルとハマスの戦争が激化し、台湾の選挙戦が燃え上がっている時期に彼女が台湾を訪問したことは、アメリカが台湾問題と選挙情勢をいかに重要視しているかの何よりの証拠である。(「聯合早報」からの引用は以上)
「米国在台湾協会は3回も台湾総統候補者を面接試験し、柯文哲は常に選挙状況を報告するよう要求されている(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。
この論考はYahoo(※4)から転載しました。
写真: ロイター/アフロ
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://money.udn.com/money/story/7307/7578194
(※3)https://www.zaobao.com.sg/news/china/story20231017-1443681
(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/a97eb2bf45b9a22c03a2af1ae593cc6c532f2820
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◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)遠藤 誉所長の考察を2回に渡ってお届けする。
台湾総統選における野党連携「藍白合作」(藍は国民党、白は台湾民衆党)を発表した翌日の11月16日、台湾の国営通信社である中央通信社(中央社)は、柯文哲候補(台湾民衆党)が「今年2月以来、AIT(米国在台湾協会)から常に選挙に関する現状報告をするように要求されてきた」と語ったと報道している。
その1ヵ月前の10月17日にはシンガポールの「聯合早報」がAITの理事長(バイデン米国大統領の側近)が10月15日から台湾を訪問し3人の総統選立候補者を「面接試験した」と報じた。ここ半年間で3回目の「面接試験」であるという。10月20日のアメリカの国営放送VOAも、今回の台湾訪問は「3回目の面接試験を行うためだ」と説明している。
台湾の選挙はアメリカの管轄下にあり、総統選候補者はアメリカの顔色をうかがいながらでないと行動できない状況にあるようだ。立候補者は先ず訪米し「面接試験」に「合格」しなければならない。
「一つの中国」は国連で議決されたのではなかったのか?
台湾は誰のものか――?
◆柯文哲氏は2月から常に状況を報告せよとAITに要求されている
2023年11月16日、台湾の国営通信社である中央社は、台湾民衆党の次期総統選候補者である柯文哲氏に関して<柯文哲:米国は台湾の重要な同盟国だ AITが藍白合作に関して聞いてくるのは正常なことだ>(※2)という見出しで柯文哲がAITから状況報告を要求されてきたことを報道している(リンク先はその転載)。
それによれば、柯文哲は以下のように述べているという。
・民衆党は今年2月以来、毎週AITと連絡を取っており、AITの立場を考えると、AITが藍白問題を懸念して電話して来るのは当然のことだと思う。なぜならアメリカは台湾の重要な同盟(国)であり、台湾と良好な関係を維持する必要があるからだ。コミュニケーションを図り、誤解を避けなければならない。
・藍白の政党は昨日、馬英九・元総統の立会いのもとで交渉し合意に達したが、外界の一部は藍白合作に関して中国共産党が介入しているのではないかと疑問視している。
・藍白合作を決定したと発表するとすぐ、AITが私に電話してきて、中国が藍白合作に関与したか否かを説明するように要求してきた。
・今年2月から現在に至るまで、われわれ民衆党は毎週AITと連絡を取り、党事務局の局長、副局長、政治チームのレベル全て、ずーっと常にAITに選挙運動に関する報告をしている。私自身もAITのサンドラ・オウドカーク処長に「台米関係においてはノーサプライズを維持する」と保証し、訪米したときにも米政府高官にこの原則を維持し決して突然奇妙な動き(=中国と接近するようなこと)はしないことを誓った。
・私はこれまで、AITに対し、「どんな問題でも疑問があればいつでも電話して質問していい」と保証したことがあるし、「民衆党は何か新しい変化があったら、必ずAITに報告する」と誓ったこともある。したがって昨日、「藍白合作」決定を発表したわけだから、AITが「お前、何をやっているんだ!?」と聞いてくるのは正常なことだと思う。なぜなら私はAITに「何か変化があったら報告する」と誓っていたからだ(=それに違反したことになる)。
◆AIT理事長は総統候補者に面接試験
2023年10月17日、シンガポールの「聯合早報」は<米国在台湾協会(AIT)理事長が藍・緑・白の総統選立候補者に“面接試験”>(※3)という見出しで、台湾総統選立候補者の「面接試験」を報道している(緑は民進党のシンボルカラー)。以下、「聯合早報」の温偉中・台北特派員が書いた記事の冒頭部分だけを和訳して転載する。
――米国在台湾協会(AIT)のローラ・ローゼンバーガー理事長は、5日間の日程で台湾を訪問し、藍・緑・白三大政党の総統選立候補者と面談する。これは台湾の将来の総統候補に対する「面接試験」とみなされている。学者らによると、「アメリカは現場の一次情報を直接得ることによって、選挙情勢を評価分析しようとしている」とのこと。
ローラ・ローゼンバーガーは日曜日(10月15日)に台湾に到着したが、これは彼女が3月20日に就任して以来の3度目の台湾訪問となる。彼女はすでに月曜日(10月16日)に台湾の蔡英文総統と会談しているが、より注目されるのは、藍(国民党)、緑(民進党)、白(民衆党)三党の総統候補者との会談だ。
ローゼンバーガーはブリンケン米国務長官の補佐官を務め、バイデン米大統領の側近ともみなされている。台湾では3ヵ月以内に、すなわち2024年1月13日に総統選挙と立法院委員選挙が行われることになっている。中東でイスラエルとハマスの戦争が激化し、台湾の選挙戦が燃え上がっている時期に彼女が台湾を訪問したことは、アメリカが台湾問題と選挙情勢をいかに重要視しているかの何よりの証拠である。(「聯合早報」からの引用は以上)
「米国在台湾協会は3回も台湾総統候補者を面接試験し、柯文哲は常に選挙状況を報告するよう要求されている(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。
この論考はYahoo(※4)から転載しました。
写真: ロイター/アフロ
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://money.udn.com/money/story/7307/7578194
(※3)https://www.zaobao.com.sg/news/china/story20231017-1443681
(※4)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/a97eb2bf45b9a22c03a2af1ae593cc6c532f2820
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