東大・九大・関西大・NECなど、ミュオグラフィの陸から海への展開
[21/03/19]
TOKYO, Mar 19, 2021 - (JCN Newswire) - 東京大学国際ミュオグラフィ連携研究機構は、同大学生産技術研究所、大学院新領域創成科学研究科、および九州大学、関西大学、シェフィールド大学、英国科学技術施設会議ボルビー地下実験施設、ウィグナー物理学研究センター、日本電気株式会社と共同で、世界初となる海底ミュオグラフィセンサーアレイの一部を東京湾アクアライン海底トンネル内部の100 mにわたって設置し、東京湾における天文潮位のリアルタイム測定に成功した。
ミュオグラフィは、宇宙に由来する高エネルギー素粒子ミュオン(注3)を用いて巨大物体を透視する技術である。これまで火山、原発、ピラミッドなどの透視に成果を上げているが、すべて陸域での測定に限られてきた。今回これをはじめて海へ展開し、天文潮位のリアルタイム測定に成功した。
この測定の成功は、地震による津波や高潮をそれらが東京に到達する前にイメージングできることを示す。将来的にはセンサーアレイをさらに拡張することにより、より広域で津波や高潮を検知できるようになると考えられる。さらに東京湾海底に眠る天然ガス資源の探査への活用も期待される。
発表内容:
海底ミュオグラフィセンサーアレイについて
東京湾海底ミュオグラフィセンサーアレイ(Tokyo-bay Seafloor Hyper KiloMetric Submarine Deep Detector;以下、TS-HKMSDD)は、幅10cm、長さ2mのミュオグラフィセンサーモジュール(図1)を一定の間隔に配列したミュオグラフィセンサーモジュールの一次元集合体(図2)である。
東京湾の海水を貫通し、海底下の東京湾アクアライン海底トンネルにまで到達した素粒子ミュオンは、センサーモジュールにて検知され、TS-HKMSDDの中央に位置するデータ収集センターにて記録される(図3)。この記録されるミュオン数の時間変化を測定することにより、TS-HKMSDD上部に位置する海水の動きや海底岩盤内部の変化をイメージングすることが可能となる。
センサーアレイによる測定について
ミュオンは貫通力が強いため、東京湾の海水を通り抜けた後、さらに海底の岩盤を貫通し、アクアライン内部に設置してあるセンサーに到達する。このミュオンの到達数を時間毎に計数することにより、海水の厚みすなわち海水準の変動を測定することが可能となる(図4〜6)。海水準の決定精度、時間分解能、空間分解能、測定範囲は、トンネル内にインストールするセンサーモジュールの敷設範囲、敷設密度を上げることによって向上する。天文潮位のリアルタイム測定に成功したことは、今後のセンサーアレイの拡張により、地震による津波や低気圧などによる異常波浪をそれらが東京に到達する前にイメージングできることを示している。
また、この拡張により、より広域で津波や高潮をイメージングできるようになるだけでなく、東京湾海底に眠る天然ガス資源の探査にも活用できるようになると考えられる。これは、南関東ガス田(注4)は我が国の天然ガス可採埋蔵量の90%以上を占める大規模ガス田であるが、東京湾領域が全くの調査空白域となっていることに関係する。
なお、TK-HKMSDDは幅10cmの細長いセンサーモジュールを約10m間隔で配列したものであり、その構造論的性質から引き続きモジュールを足し続けていくことができる。現計画では2021年度中にTK-HKMSDD を長さ1kmに拡張する予定であり、東京湾のより広い領域をカバーできるようになる。
今後の展望
今後はTS-HKMSDDの運用により得られる大量の東京湾透視画像に、既に火山噴火予測で成果が上がっている火山透視画像の機械学習プログラム(注5)を応用することで、将来の高潮の詳細な波高分布の予測につなげることを計画している。
なお同様の海底トンネルは世界各地にあり、ミュオグラフィのユビキタス性(注6)からTS-HKMSDDはそのモデルケースとなって成果を即世界の海へと展開することが可能である。英国、北海海底トンネルにおいては既にHKMSDDを整備する計画が立案されている。
国際ミュオグラフィ研究所について
TS-HKMSDDを今後さらに拡張していくことで、国際研究拠点の研究インフラとして発展させる予定である。特に国際ミュオグラフィ研究所とつなぐことで、地震、気象、海洋、資源など多岐の分野にわたる研究者がつながり、多極的かつ国際的な海洋ミュオグラフィ研究が進むことが期待される。国際ミュオグラフィ研究所は、本学のデジタルアーカイブ技術(注7)を駆使しサイバー空間に2016年に設置した仮想研究所で、2021年現在11カ国34機関が参加する。研究者がサイバーインフラを共有することにより、これまで異セクタ間の共同研究や国際共同研究プロジェクトを数多く駆動してきた。TS-HKMSDDはサイバー空間を通して、東京大学大気海洋研究所をはじめとする関係機関との共同利用に供される。
ミュオグラフィアートチームについて
東京大学と関西大学を核に進めているミュオグラフィアートチームは、革新的な科学技術であるミュオグラフィを情報科学(コンピューターグラフィックスCG、仮想現実VR、拡張現実AR)あるいは絵画などのアートを用いて社会に発信している。今回の海底ミュオグラフィセンサーアレイもその対象として一般社会に発信していく予定である。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://jpn.nec.com/press/202103/20210319_03.html
概要:日本電気株式会社(NEC)
詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。
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ミュオグラフィは、宇宙に由来する高エネルギー素粒子ミュオン(注3)を用いて巨大物体を透視する技術である。これまで火山、原発、ピラミッドなどの透視に成果を上げているが、すべて陸域での測定に限られてきた。今回これをはじめて海へ展開し、天文潮位のリアルタイム測定に成功した。
この測定の成功は、地震による津波や高潮をそれらが東京に到達する前にイメージングできることを示す。将来的にはセンサーアレイをさらに拡張することにより、より広域で津波や高潮を検知できるようになると考えられる。さらに東京湾海底に眠る天然ガス資源の探査への活用も期待される。
発表内容:
海底ミュオグラフィセンサーアレイについて
東京湾海底ミュオグラフィセンサーアレイ(Tokyo-bay Seafloor Hyper KiloMetric Submarine Deep Detector;以下、TS-HKMSDD)は、幅10cm、長さ2mのミュオグラフィセンサーモジュール(図1)を一定の間隔に配列したミュオグラフィセンサーモジュールの一次元集合体(図2)である。
東京湾の海水を貫通し、海底下の東京湾アクアライン海底トンネルにまで到達した素粒子ミュオンは、センサーモジュールにて検知され、TS-HKMSDDの中央に位置するデータ収集センターにて記録される(図3)。この記録されるミュオン数の時間変化を測定することにより、TS-HKMSDD上部に位置する海水の動きや海底岩盤内部の変化をイメージングすることが可能となる。
センサーアレイによる測定について
ミュオンは貫通力が強いため、東京湾の海水を通り抜けた後、さらに海底の岩盤を貫通し、アクアライン内部に設置してあるセンサーに到達する。このミュオンの到達数を時間毎に計数することにより、海水の厚みすなわち海水準の変動を測定することが可能となる(図4〜6)。海水準の決定精度、時間分解能、空間分解能、測定範囲は、トンネル内にインストールするセンサーモジュールの敷設範囲、敷設密度を上げることによって向上する。天文潮位のリアルタイム測定に成功したことは、今後のセンサーアレイの拡張により、地震による津波や低気圧などによる異常波浪をそれらが東京に到達する前にイメージングできることを示している。
また、この拡張により、より広域で津波や高潮をイメージングできるようになるだけでなく、東京湾海底に眠る天然ガス資源の探査にも活用できるようになると考えられる。これは、南関東ガス田(注4)は我が国の天然ガス可採埋蔵量の90%以上を占める大規模ガス田であるが、東京湾領域が全くの調査空白域となっていることに関係する。
なお、TK-HKMSDDは幅10cmの細長いセンサーモジュールを約10m間隔で配列したものであり、その構造論的性質から引き続きモジュールを足し続けていくことができる。現計画では2021年度中にTK-HKMSDD を長さ1kmに拡張する予定であり、東京湾のより広い領域をカバーできるようになる。
今後の展望
今後はTS-HKMSDDの運用により得られる大量の東京湾透視画像に、既に火山噴火予測で成果が上がっている火山透視画像の機械学習プログラム(注5)を応用することで、将来の高潮の詳細な波高分布の予測につなげることを計画している。
なお同様の海底トンネルは世界各地にあり、ミュオグラフィのユビキタス性(注6)からTS-HKMSDDはそのモデルケースとなって成果を即世界の海へと展開することが可能である。英国、北海海底トンネルにおいては既にHKMSDDを整備する計画が立案されている。
国際ミュオグラフィ研究所について
TS-HKMSDDを今後さらに拡張していくことで、国際研究拠点の研究インフラとして発展させる予定である。特に国際ミュオグラフィ研究所とつなぐことで、地震、気象、海洋、資源など多岐の分野にわたる研究者がつながり、多極的かつ国際的な海洋ミュオグラフィ研究が進むことが期待される。国際ミュオグラフィ研究所は、本学のデジタルアーカイブ技術(注7)を駆使しサイバー空間に2016年に設置した仮想研究所で、2021年現在11カ国34機関が参加する。研究者がサイバーインフラを共有することにより、これまで異セクタ間の共同研究や国際共同研究プロジェクトを数多く駆動してきた。TS-HKMSDDはサイバー空間を通して、東京大学大気海洋研究所をはじめとする関係機関との共同利用に供される。
ミュオグラフィアートチームについて
東京大学と関西大学を核に進めているミュオグラフィアートチームは、革新的な科学技術であるミュオグラフィを情報科学(コンピューターグラフィックスCG、仮想現実VR、拡張現実AR)あるいは絵画などのアートを用いて社会に発信している。今回の海底ミュオグラフィセンサーアレイもその対象として一般社会に発信していく予定である。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://jpn.nec.com/press/202103/20210319_03.html
概要:日本電気株式会社(NEC)
詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。
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