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【プレスリリース】スーダン:南部でカラアザールが過去8年で最大の流行

2010年12月20日

国境なき医師団(MSF)日本

スーダン:南部でカラアザールが過去8年で最大の流行
―医療・人道危機がさらに深刻化

スーダン南部で来年1月9日に南部の分離独立を問う住民投票が予定されているなか、カラアザール(内臓リーシュマニア症)が過去8年間最大規模で流行している。国境なき医師団(MSF)は、今回の流行はスーダン南部における医療・人道危機の一面に過ぎないと警告する。スーダン南部では、医療を受ける手段の不足や慢性的な栄養失調、頻発する予防可能な病気、また政情不安による地域住民の避難や生活の破綻などによる医療・人道上の危機が続いている。

カラアザールは寄生虫を媒介するサシチョウバエを介して感染する顧みられない熱帯病の1つであり、スーダン南部の風土病である。感染すると、脾臓、発熱、衰弱、消耗などの症状が現れる。この病気は、貧困地区や遠隔地、医療ケアを受ける手段が極めて限られた政情不安な地域で蔓延する。

MSFの医療コーディネーター、エリン・ジョーンズは語る。「カラアザールに感染した患者の命を救うことは、時間との闘いです。しかし闘いが始まる前に勝負がついていることがあまりに多いのです。スーダン南部では住民の4分の3が基礎的な医療ケアを受けることすらできず、政府の脆弱な医療体制ではこのような緊急事態に対処することはできません。この病気は住民が直面している既に深刻な医療・人道上の危機を更に悪化させるものです」

カラアザールは治療を受けなければ、感染者のほぼ100%が感染後1ヵ月から4ヵ月の間に命を落とす病気である。しかし、適時に治療を受ければ最大95%の確率で治療は成功する。2010年11月末までに、MSFは2,355人のカラアザールの患者を上ナイル州、ユニティ州およびジョングレイ州で治療した。これは前年同期比で8倍を超える数である。

今回の流行は、今年悪化した栄養失調によって人びとの免疫システムが弱っていたため深刻化した。2010年の1月から10月の間、MSFは1万3,800人の重度の栄養失調を診療所で治療している。これは2009年の同期比で20%増であり、2008年全体に比べて50%増である。

さらに、1月の住民投票を控えて南部出身者がスーダン北部やさらに遠方から帰還しており、マラリアやはしか、髄膜炎、結核などの南部の風土病にさらされる恐れがある。これらの人びとの滞在によって、食糧や水、医療などの既に乏しい資源がさらに逼迫するものとみられている。

加えて、絶え間ない情勢不安により、スーダン南部の住民の命が危機にさらされている。2010年には、部族間の暴力や新たな民兵組織、南部でも襲撃を行うウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」によって900人を超える人びとが殺害され、21万5千人が避難を強いられた。

MSFのスーダン南部における活動責任者、ロブ・モルダーは語る。「世界の目は来る住民投票に向けられていますが、次々と緊急事態に直面している住民の姿を見失ってはいけないのです。スーダン南部は今も人道危機にあります。存続可能な医療体制を完全に築き上げるには何年もかかります。それまでは食糧、避難所、医療といった人びとの目下のニーズが満たされなければなりません。政府と国際社会による持続的で着実な対応が緊急になされることが必要です」

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MSFは1979年からスーダンで緊急医療・人道援助活動を行っている。現在MSFは国内の13の州において一次医療および二次医療、病気の流行等が起きた際の緊急対応、栄養治療、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、カラアザール治療、カウンセリング、外科、小児科および産科などの診療を27のプログラムを通じて行っている。
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