【プレスリリース】HIV/エイズ:MSFが報告書を発表―国連総会を前に、米英が資金拠出に足踏み―
[11/05/11]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2011年5月11日
国境なき医師団(MSF)日本
HIV/エイズ:国境なき医師団(MSF)が報告書を発表
―国連総会を前に、米英が資金拠出に足踏み―
2011年5月11日、国境なき医師団(MSF)は、HIV/エイズに関する新規調査報告書を発表した。
報告書「HIV/エイズ:最善の治療をめざして」リンク:http://www.msf.or.jp/info/pressreport/pdf/Getting_Ahead_of_the_Wave_May_2011.pdf
この報告書の中でMSFは、近年の治療の進展により、HIV/エイズのまん延で打撃を受けている国々でも患者の死亡率が低下し、病態悪化の改善が見られるようになったことを挙げている。その一方で、エイズ対策のための国際的な資金援助の後退は、HIV/エイズ治療への前向きな取り組みを阻害していると警告している。
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この報告書では、HIV/エイズの最新動向や、世界全体の罹患率の52%を占める16ヵ国における治療対策を紹介している。この16ヵ国のうち、12ヵ国が早期治療対策を導入し、14ヵ国が最新の治療薬を採用するよう指針を変更している。これら2つの対策は、世界保健機関 (WHO)の最新勧告に従ったものである。しかし、マラウイやジンバブエを含む国々では、資金援助を得られず、計画の実施には至っていない。結果、これらの国々で暮らすHIV/エイズ患者は、病気の進行により免疫が低下した状態で、より効果の低い治療薬に頼らざるを得ない。
HIV/エイズへの意欲的な取り組みを継続するためには、継続的な資金援助が必要である。しかし、主要な資金援助国である米国や英国は、6月にニューヨークで開催される国連総会(ハイレベル会合)*で検討される予定の、より効果的なHIV/エイズ治療対策を導入する案に反対している。
近年の科学的裏づけによれば、早期に治療を開始することで、HIV陽性患者の血中にあるHIVウイルス量を検出不可域まで下げることができ、その結果、他の人びとへの感染リスクは92%も低下することが判明している**。
MSFの必須医薬品キャンペーンのディレクター、ティド・フォン・シェーン・アンゲラー 医師は語る。
「現在、1000万人の人びとが、緊急に治療を必要としています。MSFは過去の治療経験から、迅速により多くの人びとを治療する方法を知っています。正しい治療対策を導入すれば、3倍の費用をかけることなく、3倍の患者を治療することも可能です。資金援助を行う各国政府が、治療目標への協力を拒否することは、HIV/エイズへの対策を放置することと同じです」
国連総会では、HIV/エイズ対策に資金援助を行っている各国政府が集い、これからの世界的な対策を検討する予定である。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、1500万人ともいわれるHIV/エイズ患者のうち、1300万人を2015年までに治療できるよう、協力を呼びかけている。米国や、英国などヨーロッパの国々の政府内では、支援金助成に反対する声があがっているが、目標達成のためには、すべての政府機関の協力が必須である。
スワジランドで活動する、マルセラ・トマシ医師は語る。
「HIV治療は患者の命を救うだけではなく、他の病気に二重感染する確率や、HIV/エイズの新規感染者を減らすこともできます。今、これまでに増して各国政府が意欲をもち、より多くの患者を治療できるよう取り組みを行うべきです」
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MSFは2000年に抗レトロウイルス薬(ARV)治療の提供を開始した。
現在、アフリカとアジアの19ヵ国で、17万人以上の患者を治療している。
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*国連総会(ハイレベル会合)HP:
http://www.un.org/en/ga/president/65/issues/hivaids.shtml
**The Lancet. "Heterosexual HIV-1 transmission after initiation of antiretroviral therapy":
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)60705-2/abstract
「2010年 医薬品をめぐる10の重大な進展と危機―HIV/エイズ:支援金の後退で阻まれるエイズ治療の拡大」:
http://www.msf.or.jp/news/2011/01/5078.php#8
国境なき医師団(MSF)日本
HIV/エイズ:国境なき医師団(MSF)が報告書を発表
―国連総会を前に、米英が資金拠出に足踏み―
2011年5月11日、国境なき医師団(MSF)は、HIV/エイズに関する新規調査報告書を発表した。
報告書「HIV/エイズ:最善の治療をめざして」リンク:http://www.msf.or.jp/info/pressreport/pdf/Getting_Ahead_of_the_Wave_May_2011.pdf
この報告書の中でMSFは、近年の治療の進展により、HIV/エイズのまん延で打撃を受けている国々でも患者の死亡率が低下し、病態悪化の改善が見られるようになったことを挙げている。その一方で、エイズ対策のための国際的な資金援助の後退は、HIV/エイズ治療への前向きな取り組みを阻害していると警告している。
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この報告書では、HIV/エイズの最新動向や、世界全体の罹患率の52%を占める16ヵ国における治療対策を紹介している。この16ヵ国のうち、12ヵ国が早期治療対策を導入し、14ヵ国が最新の治療薬を採用するよう指針を変更している。これら2つの対策は、世界保健機関 (WHO)の最新勧告に従ったものである。しかし、マラウイやジンバブエを含む国々では、資金援助を得られず、計画の実施には至っていない。結果、これらの国々で暮らすHIV/エイズ患者は、病気の進行により免疫が低下した状態で、より効果の低い治療薬に頼らざるを得ない。
HIV/エイズへの意欲的な取り組みを継続するためには、継続的な資金援助が必要である。しかし、主要な資金援助国である米国や英国は、6月にニューヨークで開催される国連総会(ハイレベル会合)*で検討される予定の、より効果的なHIV/エイズ治療対策を導入する案に反対している。
近年の科学的裏づけによれば、早期に治療を開始することで、HIV陽性患者の血中にあるHIVウイルス量を検出不可域まで下げることができ、その結果、他の人びとへの感染リスクは92%も低下することが判明している**。
MSFの必須医薬品キャンペーンのディレクター、ティド・フォン・シェーン・アンゲラー 医師は語る。
「現在、1000万人の人びとが、緊急に治療を必要としています。MSFは過去の治療経験から、迅速により多くの人びとを治療する方法を知っています。正しい治療対策を導入すれば、3倍の費用をかけることなく、3倍の患者を治療することも可能です。資金援助を行う各国政府が、治療目標への協力を拒否することは、HIV/エイズへの対策を放置することと同じです」
国連総会では、HIV/エイズ対策に資金援助を行っている各国政府が集い、これからの世界的な対策を検討する予定である。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、1500万人ともいわれるHIV/エイズ患者のうち、1300万人を2015年までに治療できるよう、協力を呼びかけている。米国や、英国などヨーロッパの国々の政府内では、支援金助成に反対する声があがっているが、目標達成のためには、すべての政府機関の協力が必須である。
スワジランドで活動する、マルセラ・トマシ医師は語る。
「HIV治療は患者の命を救うだけではなく、他の病気に二重感染する確率や、HIV/エイズの新規感染者を減らすこともできます。今、これまでに増して各国政府が意欲をもち、より多くの患者を治療できるよう取り組みを行うべきです」
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MSFは2000年に抗レトロウイルス薬(ARV)治療の提供を開始した。
現在、アフリカとアジアの19ヵ国で、17万人以上の患者を治療している。
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*国連総会(ハイレベル会合)HP:
http://www.un.org/en/ga/president/65/issues/hivaids.shtml
**The Lancet. "Heterosexual HIV-1 transmission after initiation of antiretroviral therapy":
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)60705-2/abstract
「2010年 医薬品をめぐる10の重大な進展と危機―HIV/エイズ:支援金の後退で阻まれるエイズ治療の拡大」:
http://www.msf.or.jp/news/2011/01/5078.php#8