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2011年度事業および決算報告について

2012年8月29日

全労済

2011年度事業および決算報告について

 全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会 理事長:田原憲次郎)は、2012年8月29日(水)、全労済ホール/スペース・ゼロ(東京都 渋谷区代々木2-12-10)におきまして、『第112回通常総会』を開催いたしました。
『第112回通常総会』では、「2011年度〜2012年度計画」2011年度経過報告(決算報告書含む)、「2011年度〜2012年度計画(補強)」2012年度活動計画、等の諸議案を採択し決定いたしましたので、事業活動および決算の概要について以下のとおりご報告いたします。

?.事業および決算の概況                                         

1.保有契約
 保有契約は、契約高691.4兆円(前年度比14.7兆円増)、契約件数3,503万件(同48.2万件増)、契約口数40.4億口(同2.0億口増)となりました。
 「住まいと暮らしの防災・保障点検運動」の全国展開の成果等により、自然災害共済が大きく増加したほか、職域生協との事業統合に伴い、今年度より開始した受再契約による増加分が大きく寄与しています。

2.損益の概況
(1)経常収益 
  経常収益は、7,186億円となりました。このうち受入共済掛金は5,907億円(前年度比142億円増)となりました。

(2)経常費用
  経常費用は、6,817億円となりました。このうち支払共済金は、東日本大震災の影響もあり3,879億円(前年度比293億円増)となりました。 共済契約準備金繰入額については、将来生じうる共済金の支払いに備えた異常危険準備金等の責任準備金の繰り入れを実施したことから291億円の増加となりました。

(3)資産運用
  資産運用純益は456億円で、運用利回りは1.62%(前年度比0.07ポイント増)となりました。

(4)経常剰余
  経常剰余は369億円(前年度比18億円減)となりました。
  特別利益・特別損失では、特別損失として地震等災害見舞金28億円や価格変動準備金繰入20億円を計上しました。また、税制改正の影響から法人税等・法人税等調整額の費用が大幅に増加したことから、こうした状況に備えて積み立ててきた任意積立金の一部を取り崩して対応しました。この結果、当期未処分剰余金は27億円となりました。

3.財務の概況
  総資産は前年度比695億円(2.3%)増加し、3兆1,164億円となりました。このうち運用資産は、701億円(同2.5%)増加し、2兆8,388億円で、運用資産比率(運用資産÷総資産)は91.1%となりました。
 負債は、前年度比734億円(2.6%)増加し、2兆8,943億円となりました。このうち、共済契約準備金は、異常危険準備金等の責任準備金の積み立てを進めたことから887億円(3.3%)増加しました。また、価格変動準備金は20億円積み増しました。純資産は、任意積立金を取り崩したこと等により、39億円(1.7%)減少し、2,221億円となりました。

4.共済金の支払いについて
 共済金の支払いは、2011年度においても引き続き東日本大震災で被災された組合員へのお支払いをさせていただいたほか、「北日本域における平成24年雪害」「台風12号・15号」2012年4月に発生した「低気圧にともなう暴風雨災害」など、日本各地で発生した大規模な災害に対して、迅速にお支払いができるように対応をはかってまいりました。この結果、共済金支払いの合計は前年度比293億円(8.2%)増加し、3,879億円となりました。

5.主な経営指標について
(1)修正自己資本
  支払保証資力は、職域生協からの増資がありましたが、任意積立金の取り崩しを実施したことから、修正自己資本は90億円増加し5,062 億円、修正自己資本比率は16.2%となりました。

(2)基礎利益
  東日本大震災の発生により共済金のお支払いが増加した前年度より危険差益が268億円回復し、1,210億円となりました。この結果、基礎利益は前年度比273億円増加して1,177億円となりました。

(3)支払余力比率
  責任準備金や価格変動準備金の積み増しを継続的に実施していることから、支払余力総額が増加しました。この結果、支払余力比率は 前年度比86.7ポイント増加し、1,196.4%となりました。

(4)実質総資産額
  実質純資産額は8,611億円となりました。追加責任準備金など(資本性を有する負債)の積み増しにより、実質純資産は前年度比1,402億 円増加し、資産超過で良好な状態にあります。


?.2011年度の重点取組課題の経過と特徴                             

1.「2009年度〜2013年度 中期経営政策」におけるフェーズ?期間の取り組み
 中期経営政策の「フェーズ?(2011年度〜2012年度)」の初年度にあたる2011年度は、東日本大震災の被災者対応を最優先課題として取り組みをすすめるとともに、「フェーズ?(2009年度〜2010年度)」における取り組み成果の定着化と発揮に向けて、さまざまな改革課題の方針・計画などに取り組みました。

2.「組合員の全労済」をめざした業務品質のさらなる向上に向けた取り組み
 これまで東京に集中していた共済金の支払い業務等を2拠点に再編し新たに「共済金センター(大阪)」を開設し、2012年4月より業務を開始しました。さらに、火災などの住宅災害時における迅速・正確な共済金の支払いを実現するために、2012年6月からは既に実施している電話による自動車の事故受付に加えて、24時間365日の住宅災害の被災受付業務を開始しました。

3.新たな事業推進態勢への改革と活動の強化
 東日本大震災で被災された地域・組合員の生活再建・復興に向けた取り組みを最優先課題としながら、協力団体等からの理解と協力による対面・対話を重視した事業推進態勢の再構築等を着実にすすめました。また、今後想定されるさまざまな災害から組合員の生命と暮らしを守るため、2011年9月より「住まいと暮らしの防災・保障点検運動」を全国的にスタートしました。

4.組合員のニーズにきめ細かに応えられる共済商品の開発・改定の取り組み
 「こくみん共済の改定」(2012年5月実施)では、新たに開発した最高1億円保障の個人賠償責任共済と、部位・症状別に共済金をお支払いするしくみを導入した傷害共済とを組み合わせた、「傷害安心タイプ」・「シニア傷害安心タイプ」をラインアップに加え、自転車事故や賠償事例への対応をはかりました。また、シニア層向けに「シニア医療タイプ」、「終身介護サポート」を加え、保障の充実をはかりました。

5.「国際協同組合年(2012年)」の取り組み
 『協同組合がよりよい社会を築きます』というスローガンのもと、協同組織全体での取り組みと連携をはかりながら、共済生活協同組合として、組合員、協力団体、さらに広く社会に向けて、2012国際協同組合年や協同組合の社会的役割の認知度を高める独自の取り組みをすすめました。


?.東日本大震災に向けた対応について                             

 全労済では、東日本大震災における対応の総括を踏まえ、課題の改善に向けた検討を行うとともに、引き続き被災受付のご案内を広く呼びかけ、「最後のお一人まで」、共済金・見舞金をお支払いする取り組みをすすめています。

1.東日本大震災 共済金等の支払状況(2012年5月31日現在累計額)
 
   件 数      共済金額
  322,503件  119,873,402,553円
   ※東日本大震災、静岡県東部地震、東日本大震災4月7日余震の合算値

2.社会貢献活動
(1)「緑の募金」使途限定募金〜東日本大震災復興事業への支援
  ・社会貢献付エコ住宅専用火災共済の実績にもとづき、公益社団法人国土緑化推進機構へ1,100万円を寄付しました。
  ・全労済プレゼンツ『東日本大震災復興支援チャリティーコンサート』〜10000の瞳プロジェクト〜を開催しました。
  ・役職員等による全国的な募金活動を行いました。

(2)「子どもの健全育成活動」の観点から、東京都江東区で長期にわたり避難生活を送る子どもたちとそのご家族を「2012年国立ボリショイサーカス東京公演」へご招待しました。

(3)「2012年全労済地域貢献助成事業」では、新たに東日本大震災復興支援特別枠を設け、防災・減災等の活動を行っている15団体に総額1,000万円を助成しました。


?.2012年度の重点取組課題                                 

 2012年度は、中期経営政策フェーズ?(2009年度〜2010年度)期間に行った取り組み成果の定着化と発揮をめざすための次の2年間(フェーズ?)の計画の後半年度の計画として、当初計画に必要な補強を行いながら、2013年度末までに実現する全労済の姿の達成に向けて取り組みをすすめ、その成果を次期計画(フェーズ?)につなげていきます。

1.東日本大震災総括を踏まえた取り組み
 東日本大震災における被災地の早期復興に向けて、被災者への迅速な共済金支払対応に引き続き全力をあげて取り組むとともに、想定される超大規模災害の発生に備え、共済生活協同組合としての全労済の役割を果たすべく、態勢の強化をはかります。

2.すべての業務の革新による業務品質のさらなる向上
 組合員から信頼・支持され続ける協同組合組織をめざし、すべての業務の革新をすすめ、常に期待水準を上回る業務品質を実現します。


3.協力団体と組合員一人ひとりの期待に応える事業推進活動への改革
 戦略的な政策・推進の実現が可能となる新たなしくみの構築を行うとともに、「中期経営政策期間中の事業推進戦略」の着実な実行によって、事業推進活動の抜本的な改革を実現します。

4.協同組合価値の向上に向けた事業・組織運営の再構築・ガバナンスの強化
 新生協法を踏まえた全国的な機関と構成の見直しによって、事業・組織運営の再構築とガバナンスの強化をはかり、迅速な意思決定と効率的な経営を実現します。
 また、組合員の意思反映と組合員運営参加の検討をすすめ、協同組合価値の向上をめざした積極的な事業を展開します。

5.全労済全体(協力職員および関連事業会社等含む)の人材の育成強化
革新的な組織・職場風土の構築をめざすとともに、全労済の理念・信条の具現化に向けた取り組みを実践できる人材を育成します。

6.激変する環境変化への迅速な対応を可能とする経営構造への転換
 将来にわたる組合員への保障と安心の確実な提供と利差損(逆ざや)を早期に解消するため、事業費の削減をはじめとした財務基盤強化基本計画を確実に実行することにより、財務基盤の抜本的強化をはかります。
また、会計基準や監督規制への対応に向けてリスク管理の高度化をすすめ、より健全で競争力のある事業体への転換を実現します。

7.社会的責任のさらなる発揮と21世紀構想の実現
 さらなる社会的責任の発揮をめざし、新たな社会的取り組みに向けた構想案を策定するとともに、全労済グループおよび関連事業団体との連携をはかり協同組合間協同の拡充をすすめます。
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