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新規抗悪性腫瘍剤 ET-743 - 悪性軟部腫瘍患者を対象とした第II相臨床試験結果をASCO(R)で発表

2014年6月4日

大鵬薬品工業株式会社

新規抗悪性腫瘍剤 ET-743(トラベクテジン) - 悪性軟部腫瘍患者を対象とした第II相臨床試験結果を米国臨床腫瘍学会(ASCO(R))で発表

大鵬薬品工業株式会社(本社:東京、代表取締役社長:小林 将之)は、5月30日〜6月3日に米国シカゴで開催された第50回米国臨床腫瘍学会(ASCO(R))において、現在当社が悪性軟部腫瘍の治療薬として国内で開発を進めている抗悪性腫瘍剤ET-743(一般名:トラベクテジン、欧州販売名:Yondelis(R))の第II相臨床試験の結果が発表されたことをお知らせします(抄録番号10524)。悪性軟部腫瘍は、アンメット・メディカル・ニーズの一つであり、新規薬剤が望まれている疾患です。

本試験は、染色体転座が報告されている組織型*1の悪性軟部腫瘍患者を対象に国内で実施した第II相臨床試験です。試験ではET-743投与群と、支持療法(BSC: best supportive care)群を、無増悪生存期間(PFS: progression-free survival)を主要評価項目として比較しました。国内12の医療機関が参加し、2012年7月11日〜2014年1月20日の間で76例が登録されました。

解析の結果、ET-743投与群は、BSC群に対してPFSを有意に延長しました。ET-743投与群では、無増悪生存期間の中央値が5.6カ月(90%信頼区間(CI):4.2-7.5)であったのに対して、BSC群では0.9カ月(90%CI:0.9-1.0)でした(ハザード比(HR):0.07(90%CI:0.03-0.14)、 p値:<0.0001)。また、全生存期間中央値に関しては、ET-743投与群では未到達(95%CI:12.8-NR)、BSC群では8.0カ月(95%CI:7.0-NR))でした(ハザード比(HR):0.38(95%CI:0.16-0.91)、p値:0.025)。

ET-743投与群において報告されたグレード3またはグレード4の主な副作用は、好中球数減少(66.7%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加(61.1%)、白血球数減少(55.6%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(41.7%)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加(25.0%)、リンパ球数減少(22.2%)、貧血(19.4%)、血小板数減少(16.7%)、発熱性好中球減少症(13.9%)でした。

この結果より、ET-743は、染色体転座が報告されている組織型の悪性軟部腫瘍患者において、臨床的に重要な無増悪生存期間を延長し、報告された副作用について海外の試験結果と大きな相違が認められなかったことから、有用な治療選択肢となり得ることが示唆されました。

大鵬薬品は、アンメット・メディカル・ニーズである悪性軟部腫瘍に対し、ET-743を新たな治療選択肢として国内の患者さん・医療関係者に提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。

(悪性軟部腫瘍について)
身体の軟部組織(筋肉、結合組織、脂肪、血管リンパ管等)に発症する難治性悪性腫瘍です。日本における年間の罹患率は10万人あたり2〜3人で、推定患者数3,000人*2程度の希少疾病です。

(ET-743について)
ET-743は、ファーママー社が開発した新規抗悪性腫瘍剤です。元々はカリブ海産のホヤの一種Ecteinascidia turbinataから単離された天然物で、現在は合成方法を確立しています。ET-743はDNAに結合し、細胞分裂、遺伝子転写、DNA修復機構を妨げ、その抗腫瘍効果は腫瘍微小環境にも作用します。欧州ではYondelis(R)の製品名で、進行性の悪性軟部腫瘍治療薬として2007年9月に欧州医薬品庁(EMA) より承認を取得し、2009年10月には再発プラチナ感受性卵巣がん患者に対するドキソルビシン内包 PEG リポソーム製剤との併用で適応追加の承認を取得しました。現在では、欧州各国、ロシア、韓国、カナダ等80カ国で承認・販売されています。

(ファーママー社について)
ゼルチアグループ(スペイン証券取引所:ZEL)の子会社であり、新規海洋産物由来医薬品の発見と開発を通じ、がん治療に貢献しているバイオ医薬品の世界的企業です。ゼルチアグループは、1963年からスペイン株式市場に上場しており、スペインのマドリッドを本拠地としています。

*1:悪性軟部腫瘍の一部において、腫瘍特異的な染色体転座とそれに由来する融合遺伝子が存在することがわかっています。染色体転座とは、異なる染色体上に存在する2つの遺伝子が切断され、他の染色体と融合したものです。この染色体転座により新たに発生した融合遺伝子は、腫瘍を発生させる原因となっている可能性が高いとされています。

*2:厚生労働省患者調査(平成20年)における「中皮及び軟部組織の悪性新生物」の患者数5,000人から、「中皮腫」の患者数2,000人を引いて算出
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