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電通総研『話題・注目商品2015』レポート

2015年11月26日

株式会社 電 通

電通総研『話題・注目商品2015』レポート

「生活者が選ぶ話題・注目商品2015ランキング」
1位は「爆買い / インバウンド」
「生活者が選ぶ有望商品2016ランキング」
1位は「水素自動車」

2015年は生活者が消費に抱いてきた固定観念や常識を自ら打ち破る
「枠超え消費」の年

 毎年、電通総研ではその年の話題・注目商品の調査を通じて、時代の気分や消費の深層トレンドを分析しています。本レポートでは、「生活者が選ぶ話題・注目商品2015ランキング」および「生活者が選ぶ有望商品2016ランキング」をご紹介するとともに、ランキングをもとに分析した2015年の消費トレンドを分析していきます。

1.「生活者が選ぶ話題・注目商品2015ランキング」

 「話題・注目商品2015ランキング」は、事前調査などで抽出した120の商品・サービスについて、全国の15〜69歳の男女を対象にインターネットによるアンケート調査を行い、「今年流行った・流行っている」をベースに作成したものです。

【生活者が選ぶ話題・注目商品2015ランキング ベスト30】
1位 爆買い / インバウンド
2位 錦織圭
2位 ラグビーワールドカップ2015 日本代表
4位 マツコ・デラックス
5位 火花(又吉直樹)
6位 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
7位 北陸新幹線
8位 自治体プレミアム商品券
9位 ふるさと納税
10位 Instagram
11位 ドローン
12位 日本人のノーベル賞受賞
13位 自撮り棒
13位 フードフェス
15位 ハロウィン
16位 ふとんクリーナー
17位 松岡修造
18位 iPhone 6s
19位 ガウチョパンツ
20位 モンスターストライク
21位 スーパーフード
22位 おにぎらず
22位 スター・ウォーズ
24位 ラブライブ!
25位 進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
26位 ランチパスポート
26位 近藤麻理恵(こんまり)
28位 3Dプリンター
29位 グラノーラ
29位 SIMフリー携帯

 2015年は、年初から続く株価上昇などデフレ脱却に向けた明るい話題も出た一方、物価の上昇や今後の見通しの不透明感などもあり、生活者を取り巻く消費環境は好調とはいえないまでも、変化の兆しも見えた年となりました。
 年初から始まった中国など外国人観光客による「爆買い」に代表されるインバウンド消費は、日本の消費にも少なからぬ影響を与えました。   
 今回の「話題・注目商品2015」のランキングからもその結果が見て取れます。今年のランキングの1位となった「爆買い/インバウンド」は、2月の春節を機に注目を集めました。その後も国慶節など折々に話題となり、日本製品を買い求める外国人観光客の様子がマスメディアを通じて頻繁に紹介されたことで、生活者に大きなインパクトを与えました。
 生活者の「爆買い/インバウンド」へのまなざしは、日本の新しい魅力の発見にもつながり、7位の「北陸新幹線」の延伸開業や、9位の「ふるさと納税」を通じて、地方のさまざまな産品に注目が集まり、生活者は日本の持つ魅力を再発見することになりました。
 また2位の「錦織圭」や「ラグビーワールドカップ 2015日本代表」のように、今まで世界との大きな壁を感じさせたスポーツでの世界的な活躍は、生活者の驚きと称賛を勝ち取りました。その活躍のたびに、日本という枠にとらわれないで戦う姿に勇気をもらった生活者は多かったことでしょう。


2.2015年の5つの新しい消費のムーブメント

 本年のランキングを通してみると、5つの新しい消費の動きが見えてきます。

1)「私たちの知らない日本」が始まった
 来日した外国人観光客による「爆買い/インバウンド」を通じて、生活者は今まで気付かなかった日本の強みを知りました。また、「ラグビーワールドカップ2015 日本代表」での外国出身選手の活躍など、日本が「外」からの力を借りて、より強くなっている様を感じています。これらを通じて、生活者は今まで「知らなかった日本の魅力」の存在に改めて気付き始めました。それらの気持ちは、日本のことをより深く知りたいという思いとなり、「北陸新幹線」での北陸観光や、地元を活性化させる「自治体プレミアム商品券」、地方のさまざまな産品に触れることのできる「ふるさと納税」のヒットにもつながりました。

2)「みんなで一緒に」から「攻めの自分」へ踏み出す
 近年の消費の傾向であった「みんなで一緒」に楽しむことから、一歩踏み出したい気持ちが生活者の中に沸き起こりました。周りに合わせるのではなく、「自分」を出していきたい気持ちは、SNSでも自己表現に重きを置いた「Instagram」の流行や、自分をもっときれいに写真に残す「自撮り棒」のヒットへとつながりました。また、個性的な仮装を通じて、いつもと違う自分を表したいという思いが日本の「ハロウィン」市場を大きなものにしました。そして、これらの「自分を出したい」という思いは、自分に正直なスタンスを貫く人への支持にも通じ、「マツコ・デラックス」や「松岡修造」が注目を集めることになりました。

3)「ゆるく・ハイパフォーマンス」を狙いたい
 今年の夏は楽に着られて快適かつ、見た目がおしゃれな「ガウチョパンツ」が若い女性の間でヒットしました。また、「おにぎらず」は、簡単に作ることができる上に、見た目も味も非常に満足度が高いと話題を集め、主婦層を中心にヒットしました。こうした、快適・頑張らないでよい・ストレスがないという点で“ゆるい”けれど、そこから高いメリットやパフォーマンスが得られて、満足できるモノ・コトに生活者は注目しました。布団の表面にかけるだけでほこりやダニをきれいにできる「ふとんクリーナー」も “ゆるさ”と“ハイパフォーマンス”の両立が、生活者の心にヒットしたものです。

4)「コスパを超えたコスパ」に驚く
 経済環境が持ち直しつつあるとはいえ、生活者の節約意識は依然として高い状況が続いています。そんな中で「この金額でここまで!?」という驚きを与えるようなサービスが次々と登場しています。街中のさまざまなレストランでワンコインのランチが食べられる「ランチパスポート」や、月々1,000円程度の金額を払えば音楽や動画が使い放題になる「定額配信サービス」は、単に安くいろいろなものが使えるというだけでなく、今まで行ったことのないお店や聴いたことのない音楽、見たことのない映像に接する機会を広げ、生活者の消費意欲も広げています。

5)「温かいテクノロジー」が日々の生活に入ってきた
 2015年は、未来を感じさせる商品やサービスが、 機能だけを見せる“冷たい技術”ではなく、使いやすく・分かりやすく・楽しい姿を持った“温かみのあるテクノロジー”として生活に入り始めました。高度な技術を簡単な操作で扱える「ドローン」や「iPhone 6s」、最新のテクノロジーをエンターテインメントの形で体験させる「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」、生活者は意識せずとも最新のテクノロジーに向き合い、自らの可能性を拡張しています。


3.2015年は「枠超え消費」の年

 「日本人が考える日本らしさとは異なる日本の魅力」「周りと合わせるのではなく、より自己を打ち出そうとする意欲」「ゆるくても高いパフォーマンス」「驚きを感じさせるコストパフォーマンス」「温かな新テクノロジー」、2015年に起こったこれらの「消費のムーブメント」は、長年、日本の生活者が培ってきた日本の消費の常識や固定観念を自ら打ち破ろうとする新しい動きです。電通総研は、この潮流を「枠超え消費」と名付けました。この新たな消費ムーブメントを通じて、生活者はデフレ環境がもたらしていた鬱屈した気持ちから抜け出そうとしています。2015年は新しい消費の時代に向けて「枠超え消費」が加速した年です。


4.「生活者が選ぶ有望商品2016ランキング」

 また、本調査では、「話題・注目商品ランキング」とともに、「これから流行ると思う」に焦点を絞って集計した「有望商品2016ランキング」も作成しています。

【生活者が選ぶ有望商品2016ランキング ベスト10】
1位 水素自動車
2位 3Dプリンター 
3位 SIMフリー携帯
4位 コミュニケーションロボット
5位 テレビの見逃し配信サービス
6位 4Dシアター
7位 遺伝子キット
8位 シェアリングサービス
9位 マイナンバー
10位 スター・ウォーズ
11位 防災グッズ
12位 ウェアラブルカメラ 
13位 コンビニやスーパーのイートイン
14位 ドローン
15位 渋谷区の同性婚条例(LGBT)
16位 音楽定額配信サービス
16位 ガラホ
18位 動画定額配信サービス
19位 お手軽キャンプ/バーベキュー
20位 機能性表示食品

 2016年の有望商品ランキングでは「水素自動車」(1位)、「3Dプリンター」(2位)、「コミュニケーションロボット」(4位)など、未来的なテクノロジーが多くランクインしています。また音楽や動画の「定額配信サービス」や「シェアリングサービス」といった超高度なコストパフォーマンスを提供するサービスへの期待感も見られます。
2016年はより一層、常識や固定観念の枠を打ち破る動きが加速します。生活者が期待するさまざまなテクノロジーが生活の中に入り込んでいくことで、私たちの生活は変わり始めそうです。テクノロジーがもたらす生活の変化に不安を感じることがありつつも、変化によって得られる恩恵を享受し、生活の景色の変化に期待する年になることでしょう。

以 上

【話題・注目商品2015 調査の概要】
・調査対象 : 全国、15〜69歳男女個人、2,000名
・調査時期 : 2015年10月31日(土)〜11月2日(月)
・調査手法 : インターネット調査
・調査会社 : 株式会社ビデオリサーチ
・調査内容 : 120の商品・サービスのそれぞれに対して、「今年流行った・流行っている」「これから流行る」「流行っていないし、今後も流行らない」「知らない」で質問

【本レポートに関する問い合わせ先】
 株式会社電通 電通総研 斉藤、松本、古平 TEL:03-6216-8458
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