第27回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」〜世界36カ国同時調査〜を発表
[16/01/27]
提供元:共同通信PRワイヤー
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2015年1月27日
太陽グラントソントン
・日本の景況感が改善の兆し。前期比17ポイント増のDI -11。
・世界36カ国の平均の景況感はDI 36とわずかに低下。
・米国の景況感が調査対象36カ国中で最も大幅に下落。
・英国、中国の景況感が改善に転じる。
太陽グラントソントンは、2015年11月に実施した非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した(従業員数100人〜750人)。この調査は、グラントソントン加盟主要36カ国が実施する世界同時調査の一環である。
■日本の景況感に回復の兆し
世界36カ国の中堅企業経営者に対して行った、自国経済の今後一年の見通しに関する2015年第4四半期(調査実施期間2015年11月、以下今回)の調査において、日本の景況感DI*1が改善していることが明らかになった。日本の景況感は、前回(2015年第3四半期)大幅に悪化してDI -28となっていたが、今回はDI -11となり、依然としてマイナスの値ではあるものの、前期比17ポイント増、前年同期比でも1ポイント増となるなど、景況感に回復の兆しが見られた。
■英国、中国の景況感が改善に転じる。米国は一転して悪化へ。
世界36カ国の平均の景況感DIは、前期比2ポイント減のDI 36となった。
主要国の景況感を見ると、中国は前期比10ポイント増となるDI 36、英国は前期比6ポイント増となるDI 73と改善が見られたが、米国は前期比24ポイント減と36カ国中で最も大きく低下してDI 50となり、景況感が悪化に転じた。
※1 DI: バランス統計手法Diffusion Index の略。景気判断DI「良い」との回答比率から「悪い」との回答比率を引いた景況感を示す指数。
■景況感DIがマイナスの国は前期より減少。
ー米国とドイツの景況感が悪化。
ーギリシャは前期に続き最低位ながらも、景況感は改善の兆し。
今回の調査で、調査対象国36カ国(左表)のうち景況感DIが高い国はインド89、アイルランド88、フィリピン84などとなった。
一方、景況感DIがマイナスを示した国は、ラトビア -6、エストニア -10、日本 -11、ブラジル -12、マレーシア -14、シンガポール -16、南アフリカ -24、ギリシャ -50となった。
主要先進国では、米国がDI 50と対前期比で-24ポイント減、ドイツがDI 35と同比-11ポイント減と悪化した点が目立つが、全体としてはDI値がマイナスを記録した国は8カ国と、前回の13カ国より減少しており、世界36カ国の平均では同2ポイント減にとどまり、大きな変化にはいたらなかった。
また、経済危機の影響が残るギリシャは、前回と同様に最低位となったが、DI値は-50となり対前期比で10ポイントの改善となった。
その他DIが対前期比で大きく改善した国は、アルゼンチン(前期比70ポイント増)、ボツワナ(同46ポイント増)などとなった。
また、DIが前期比で大きく悪化した国を見ると、リトアニアがDI0(ゼロ)で同比14ポイント減となったが、対象国36カ国中で最も大きく悪化したのは前述の米国であった。
その他、EU加盟国平均はDI 38と前回から変わらず、アジア太平洋地域平均はDI 31と同比11ポイント増、BRICs平均はDI 32と同比8ポイント増となった。
<調査実施期間>(インターナショナル)
2015年第4四半期:2015年11月(36カ国)
2015年第3四半期:2015年 8月(36カ国)
2014年第4四半期:2014年 11月(35カ国)
■今後一年間の自社の見通し:
ー日本は8項目中の5項目でDIが悪化
日本の中堅企業の今後1 年の自社の見通しについては、前回調査では全8項目が悪化となっていたが、今回の調査では「販売価格」と「新築建物」 が上向き、「売上高」が前回と同じDI値を維持したものの、「輸出」「雇用」「収益性」「設備投資」「調査研究」の5項目の見通しでDI値が悪化した。
今回景況感が悪化した米国を見ると、「新築建物」 「設備投資」の見通しが改善したが、他の6項目では悪化した。特に「調査研究」については四半期ごとの調査を開始して以来、最も大きな下落幅となった。
■日本における動向:
今後一年間の日本経済の見通しを「楽観的」と考える理由として前回同様、「現政権の政策」が多くの人から挙げられた。 一方「訪日客のインバウンド消費」 「賃金の上昇」を楽観的と考える理由とする人の割合は減少した。
ー今後一年間の日本経済の見通し
日本の調査対象者に、今後一年間の日本経済の見通しについて尋ねたところ、 「たいへん楽観的だ」は前期と同じ1.3%となり、 「少し楽観的だ」と回答した人は18.7%と前期から5.4ポイント減少した。
一方、「たいへん悲観的だ」は4%と前期から2.7ポイント減少、「少し悲観的だ」は26.7%で前期から8ポイント減少した。
「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」と回答した人に「楽観的だ」と考える理由(複数回答)を尋ねたところ、前回同様「現政権の政策」が66.7%と最も多く、「株価の上昇」「個人消費の回復」「設備投資の回復」がこれに続いた。
前回「現政権の政策」と同率(54.5%)で多かった「訪日客のインバウンド消費」および「賃金上昇」は、共に前期に対しポイントを半分以下に減少し、それぞれ26.7%と20%となった。
同様に「たいへん悲観的だ」「少し悲観的だ」と回答した人に、その理由(複数回答)を尋ねた。「内需縮小」(56.5%)が最も多くの回答者から挙げられ、これに「少子高齢化」 「消費税の増税」(47.8%)が続いた。
また、「販売価格の下落」を選んだ回答者が前回より大幅に増え34.8%となった。
ー経営課題
自社の事業で過去一年間において達成された事項(複数回答)について尋ねたところ、最も多く挙げられたのは「5%以上の増収」(54.7%)であったが、前年同期(2014年11月)比で14.9ポイント減少した。次いで「職員(人員)水準が5%以上増加した」 (32.1%)、「市場における新製品・新サービスの開発」(24.5%) が続いた。
今後一年間の主な経営課題について尋ねたところ、「5%以上の増収」が最も多く60.3%で、前年同期比で2.2ポイント増加した。次いで「市場における新製品・新サービスの開発」(38.4%)、「職員(人員)水準を5%以上増やす」(19.2%)が続いた。
理想の為替相場水準に関する質問では、 「1ドル=115円以上120円未満」との回答が21.3%で最も多く、 これに「1ドル=105円以上110円未満」(17.3%)が続いた。また加重平均では前期比で1.9円の円高方向に推移しており、前年同期の加重平均値からは6.1円の円安方向の推移を示した。
TPP交渉で貿易の自由化が進むことによる収益への影響について尋ねたところ、「収益力が高まる」「どちらかといえば収益力が高まる」の合計25.3%が、「収益力が低下する」「どちらかといえば収益力が低下する」の合計8%を17.3ポイント上回る結果となり、収益力に好影響を及ぼすと考える人の割合の方が依然として多いことが明らかになった。
ただし回答が最も多かったのは、従来と同様「わからない」(66.7%)であった。
また、政府に実施してもらいたい経済活性化の推進施策について質問したところ、前期と同様「法人税の引き下げ」(73%)や「設備投資減税」(44.6%)などが多く挙げられた。
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第27回「中堅企業経営者の意識調査」コメント
太陽グラントソントン広報担当ディレクター 美谷 昇一郎
今回の2015年第4四半期調査(2015年11月)では、対象36カ国の今後一年の景況感見通しが前回(2015年第3四半期)から2ポイント低下しDI36となった。
今回の調査結果で特徴的だったのは、中国が前回比10ポイント改善してDI36、ロシアが同比21ポイントと大幅改善して前回のDIマイナス17からプラス4に転じるなど、新興国の改善が目立った反面、米国がDI50と対前回比で−24ポイント減、ドイツがDI35と同比−11ポイントと先進国の結果が大幅な悪化となった点である。
これは、本調査の実施期間となった昨年11月は、世界的な原油価格の急激な下落に加えて、米連邦準備理事会(FRB)が10月の米雇用統計で失業率が5.0%まで低下したことなどから、7年ぶりに事実上のゼロ金利解除に向けた発言を行い、利上げが現実的になったことなどが大きく影響したものと見られる。
米国は、足元の個人消費は堅調で、企業業績もエネルギー関連を除けば好調であり、失業率の低下により賃金も緩やかに上昇していくと見られているが、今回の利上げ(12月16日に金利引き上げ決定)により、米国経済の先行き懸念が増したことと、人民元切り下げから始まる中国経済の減速など新興国経済への影響に対する懸念から、今回の米国DIの大幅悪化に繋がったものと見られる。
日本は、前回の調査で大幅に悪化してDI−28となっていたが、今回はDI−11となり、依然としてマイナスではあるものの、景況感の底入れ感が見られた。内閣府が発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は2期連続でマイナスとなったが、中でも設備投資は前期比(4〜6月期比)−1.3%減となった。企業は円安効果による過去最高の利益水準になったにも係らず、各企業の設備投資計画の先送りに加え、個人消費の回復も同比0.5%増と力強さに欠けるものとなっている。業績の回復も大手企業が中心で、中堅中小企業にまで浸透していないことを考えると、今回の景況感はやや来年への期待含みではないかと思われる。
比較的企業業績の好調な今こそ、将来の成長ドライバーとして積極的なイノベーション投資や効率化投資を行う好機と考えられるものの、中国経済の減速、中東情勢の不安定化、資源相場のさらなる低迷など懸念材料は少なくなく、当面は慎重な企業経営を余儀なくされるだろう。しかし、こうした世界の経済環境の中でも、中国、インドネシア、タイなどアジア太平洋地域や南米地域などでは、引き続き企業の景況感は堅調を維持しており、今後、日本との温度差の拡大による影響が懸念される。
太陽グラントソントン
・日本の景況感が改善の兆し。前期比17ポイント増のDI -11。
・世界36カ国の平均の景況感はDI 36とわずかに低下。
・米国の景況感が調査対象36カ国中で最も大幅に下落。
・英国、中国の景況感が改善に転じる。
太陽グラントソントンは、2015年11月に実施した非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した(従業員数100人〜750人)。この調査は、グラントソントン加盟主要36カ国が実施する世界同時調査の一環である。
■日本の景況感に回復の兆し
世界36カ国の中堅企業経営者に対して行った、自国経済の今後一年の見通しに関する2015年第4四半期(調査実施期間2015年11月、以下今回)の調査において、日本の景況感DI*1が改善していることが明らかになった。日本の景況感は、前回(2015年第3四半期)大幅に悪化してDI -28となっていたが、今回はDI -11となり、依然としてマイナスの値ではあるものの、前期比17ポイント増、前年同期比でも1ポイント増となるなど、景況感に回復の兆しが見られた。
■英国、中国の景況感が改善に転じる。米国は一転して悪化へ。
世界36カ国の平均の景況感DIは、前期比2ポイント減のDI 36となった。
主要国の景況感を見ると、中国は前期比10ポイント増となるDI 36、英国は前期比6ポイント増となるDI 73と改善が見られたが、米国は前期比24ポイント減と36カ国中で最も大きく低下してDI 50となり、景況感が悪化に転じた。
※1 DI: バランス統計手法Diffusion Index の略。景気判断DI「良い」との回答比率から「悪い」との回答比率を引いた景況感を示す指数。
■景況感DIがマイナスの国は前期より減少。
ー米国とドイツの景況感が悪化。
ーギリシャは前期に続き最低位ながらも、景況感は改善の兆し。
今回の調査で、調査対象国36カ国(左表)のうち景況感DIが高い国はインド89、アイルランド88、フィリピン84などとなった。
一方、景況感DIがマイナスを示した国は、ラトビア -6、エストニア -10、日本 -11、ブラジル -12、マレーシア -14、シンガポール -16、南アフリカ -24、ギリシャ -50となった。
主要先進国では、米国がDI 50と対前期比で-24ポイント減、ドイツがDI 35と同比-11ポイント減と悪化した点が目立つが、全体としてはDI値がマイナスを記録した国は8カ国と、前回の13カ国より減少しており、世界36カ国の平均では同2ポイント減にとどまり、大きな変化にはいたらなかった。
また、経済危機の影響が残るギリシャは、前回と同様に最低位となったが、DI値は-50となり対前期比で10ポイントの改善となった。
その他DIが対前期比で大きく改善した国は、アルゼンチン(前期比70ポイント増)、ボツワナ(同46ポイント増)などとなった。
また、DIが前期比で大きく悪化した国を見ると、リトアニアがDI0(ゼロ)で同比14ポイント減となったが、対象国36カ国中で最も大きく悪化したのは前述の米国であった。
その他、EU加盟国平均はDI 38と前回から変わらず、アジア太平洋地域平均はDI 31と同比11ポイント増、BRICs平均はDI 32と同比8ポイント増となった。
<調査実施期間>(インターナショナル)
2015年第4四半期:2015年11月(36カ国)
2015年第3四半期:2015年 8月(36カ国)
2014年第4四半期:2014年 11月(35カ国)
■今後一年間の自社の見通し:
ー日本は8項目中の5項目でDIが悪化
日本の中堅企業の今後1 年の自社の見通しについては、前回調査では全8項目が悪化となっていたが、今回の調査では「販売価格」と「新築建物」 が上向き、「売上高」が前回と同じDI値を維持したものの、「輸出」「雇用」「収益性」「設備投資」「調査研究」の5項目の見通しでDI値が悪化した。
今回景況感が悪化した米国を見ると、「新築建物」 「設備投資」の見通しが改善したが、他の6項目では悪化した。特に「調査研究」については四半期ごとの調査を開始して以来、最も大きな下落幅となった。
■日本における動向:
今後一年間の日本経済の見通しを「楽観的」と考える理由として前回同様、「現政権の政策」が多くの人から挙げられた。 一方「訪日客のインバウンド消費」 「賃金の上昇」を楽観的と考える理由とする人の割合は減少した。
ー今後一年間の日本経済の見通し
日本の調査対象者に、今後一年間の日本経済の見通しについて尋ねたところ、 「たいへん楽観的だ」は前期と同じ1.3%となり、 「少し楽観的だ」と回答した人は18.7%と前期から5.4ポイント減少した。
一方、「たいへん悲観的だ」は4%と前期から2.7ポイント減少、「少し悲観的だ」は26.7%で前期から8ポイント減少した。
「たいへん楽観的だ」「少し楽観的だ」と回答した人に「楽観的だ」と考える理由(複数回答)を尋ねたところ、前回同様「現政権の政策」が66.7%と最も多く、「株価の上昇」「個人消費の回復」「設備投資の回復」がこれに続いた。
前回「現政権の政策」と同率(54.5%)で多かった「訪日客のインバウンド消費」および「賃金上昇」は、共に前期に対しポイントを半分以下に減少し、それぞれ26.7%と20%となった。
同様に「たいへん悲観的だ」「少し悲観的だ」と回答した人に、その理由(複数回答)を尋ねた。「内需縮小」(56.5%)が最も多くの回答者から挙げられ、これに「少子高齢化」 「消費税の増税」(47.8%)が続いた。
また、「販売価格の下落」を選んだ回答者が前回より大幅に増え34.8%となった。
ー経営課題
自社の事業で過去一年間において達成された事項(複数回答)について尋ねたところ、最も多く挙げられたのは「5%以上の増収」(54.7%)であったが、前年同期(2014年11月)比で14.9ポイント減少した。次いで「職員(人員)水準が5%以上増加した」 (32.1%)、「市場における新製品・新サービスの開発」(24.5%) が続いた。
今後一年間の主な経営課題について尋ねたところ、「5%以上の増収」が最も多く60.3%で、前年同期比で2.2ポイント増加した。次いで「市場における新製品・新サービスの開発」(38.4%)、「職員(人員)水準を5%以上増やす」(19.2%)が続いた。
理想の為替相場水準に関する質問では、 「1ドル=115円以上120円未満」との回答が21.3%で最も多く、 これに「1ドル=105円以上110円未満」(17.3%)が続いた。また加重平均では前期比で1.9円の円高方向に推移しており、前年同期の加重平均値からは6.1円の円安方向の推移を示した。
TPP交渉で貿易の自由化が進むことによる収益への影響について尋ねたところ、「収益力が高まる」「どちらかといえば収益力が高まる」の合計25.3%が、「収益力が低下する」「どちらかといえば収益力が低下する」の合計8%を17.3ポイント上回る結果となり、収益力に好影響を及ぼすと考える人の割合の方が依然として多いことが明らかになった。
ただし回答が最も多かったのは、従来と同様「わからない」(66.7%)であった。
また、政府に実施してもらいたい経済活性化の推進施策について質問したところ、前期と同様「法人税の引き下げ」(73%)や「設備投資減税」(44.6%)などが多く挙げられた。
================================
第27回「中堅企業経営者の意識調査」コメント
太陽グラントソントン広報担当ディレクター 美谷 昇一郎
今回の2015年第4四半期調査(2015年11月)では、対象36カ国の今後一年の景況感見通しが前回(2015年第3四半期)から2ポイント低下しDI36となった。
今回の調査結果で特徴的だったのは、中国が前回比10ポイント改善してDI36、ロシアが同比21ポイントと大幅改善して前回のDIマイナス17からプラス4に転じるなど、新興国の改善が目立った反面、米国がDI50と対前回比で−24ポイント減、ドイツがDI35と同比−11ポイントと先進国の結果が大幅な悪化となった点である。
これは、本調査の実施期間となった昨年11月は、世界的な原油価格の急激な下落に加えて、米連邦準備理事会(FRB)が10月の米雇用統計で失業率が5.0%まで低下したことなどから、7年ぶりに事実上のゼロ金利解除に向けた発言を行い、利上げが現実的になったことなどが大きく影響したものと見られる。
米国は、足元の個人消費は堅調で、企業業績もエネルギー関連を除けば好調であり、失業率の低下により賃金も緩やかに上昇していくと見られているが、今回の利上げ(12月16日に金利引き上げ決定)により、米国経済の先行き懸念が増したことと、人民元切り下げから始まる中国経済の減速など新興国経済への影響に対する懸念から、今回の米国DIの大幅悪化に繋がったものと見られる。
日本は、前回の調査で大幅に悪化してDI−28となっていたが、今回はDI−11となり、依然としてマイナスではあるものの、景況感の底入れ感が見られた。内閣府が発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は2期連続でマイナスとなったが、中でも設備投資は前期比(4〜6月期比)−1.3%減となった。企業は円安効果による過去最高の利益水準になったにも係らず、各企業の設備投資計画の先送りに加え、個人消費の回復も同比0.5%増と力強さに欠けるものとなっている。業績の回復も大手企業が中心で、中堅中小企業にまで浸透していないことを考えると、今回の景況感はやや来年への期待含みではないかと思われる。
比較的企業業績の好調な今こそ、将来の成長ドライバーとして積極的なイノベーション投資や効率化投資を行う好機と考えられるものの、中国経済の減速、中東情勢の不安定化、資源相場のさらなる低迷など懸念材料は少なくなく、当面は慎重な企業経営を余儀なくされるだろう。しかし、こうした世界の経済環境の中でも、中国、インドネシア、タイなどアジア太平洋地域や南米地域などでは、引き続き企業の景況感は堅調を維持しており、今後、日本との温度差の拡大による影響が懸念される。