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インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関ランキングを発表:クラリベイト・アナリティクス 

2017年4月13日

クラリベイト・アナリティクス

インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関ランキングを発表:クラリベイト・アナリティクス  〜東京大学が総合ランキングで1位。日本全体としては化学、物理学、材料科学などの分野で高い影響力を維持〜

クラリベイト・アナリティクス(本社:米国フィラデルフィア、日本オフィス:東京都港区、以下「クラリベイト」)は、高被引用論文数の分析による日本の研究機関ランキングを発表しました。本分析は、後続の研究に大きな影響を与えている論文(高被引用論文)数をもとに、世界の中で日本が高い影響力を持っている研究分野において、国内で特に存在感のある研究機関を特定する試みです。

クラリベイトでは各研究分野における被引用数が世界の上位1%に入る、卓越した論文を高被引用論文と定義しています。高被引用論文は、影響力の強い研究者である高被引用論文著者の選定をはじめ、論文の卓越性を客観的にはかる指標として広く使用されているものです。

今回の分析で日本の高被引用論文の総数は、世界第12位でした。日本国内で総合分野のトップ20にランクインした研究機関は、昨年から入れ替わりがなく安定していますが、高被引用論文数は全体で増加しており、学術の世界での競争激化が一層進んでいることがうかがえます。なおランクインした研究機関の高被引用論文の割合は昨年とほぼ同じで、卓越性を保ちながら論文数を増やしていることがわかります。

分野別では、植物・動物学における国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構、国立研究開発法人 国際農林水産業研究センターや、分子生物学での公益財団法人 東京都医学総合研究所のように、研究分野に特化した国立研究開発法人がランクインしています。
なお、免疫学、分子生物学、物理学、植物・動物学は、ランクインした研究機関の高被引用論文の割合がいずれも1%を超えており、研究の卓越性と生産性(論文数)のバランスが取れていると考えられます。

■国内研究機関の総合トップ20

【表1】総合/General
国内順位 ー 機関名 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
1 東京大学 1326 1.6%
2 京都大学 764 1.2%
3 国立研究開発法人 理化学研究所 623 2.4%
4 大阪大学 540 1.1%
5 東北大学 497 1.0%
6 名古屋大学 395 1.2%
7 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 327 1.2%
8 九州大学 319 0.9%
9 東京工業大学 304 1.2%
10 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 303 2.1%
11 筑波大学 252 1.2%
12 北海道大学 233 0.7%
13 岡山大学 186 1.2%
13 広島大学 186 1.0%
15 早稲田大学 165 1.4%
16 神戸大学 158 1.0%
17 慶應義塾大学 153 0.9%
18 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構* 148 1.2%
19 国立がん研究センター 133 2.1%
20 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 132 2.1%
*大学共同利用機関法人 自然科学研究機構は構成する 5 研究所の組織名を名寄せした集計値です。

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は戦略的に科学技術イノベーションの創出を推進するファンディングエージェンシーとしての事業内容を鑑みランキングには入れてありませんが、高被引論文数は725報、高被引用論文の割合2.3%でした。

■分野別トップ10
日本の研究機関が著者所属機関に含まれる高被引用論文の総計が、世界順位で上位の分野から、日本の大学・研究機関を抽出しました。

【表2】化学/CHEMISTRY(世界5位)
順位 ー 機関名 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
1 東京大学 166 1.8%
2 京都大学 140 1.3%
3 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 97 2.8%
3 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 97 1.4%
5 大阪大学 92 1.1%
6 東北大学 57 0.8%
7 名古屋大学 49 1.1%
8 東京工業大学 47 0.7%
9 北海道大学 43 0.9%
10 国立研究開発法人 理化学研究所 39 1.2%
10 九州大学 39 0.7%


【表3】物理/PHYSICS(世界6位)
順位 ー 機関名 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
1 東京大学 360 2.1%
2 国立研究開発法人 理化学研究所 192 2.5%
3 京都大学 176 1.8%
4 東北大学 140 1.3%
5 東京工業大学 130 1.9%
6 大阪大学 121 1.2%
7 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 118 2.4%
7 名古屋大学 118 2.1%
9 筑波大学 105 2.2%
10 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 83 1.5%


【表4】材料科学/MATERIALS SCIENCE(世界6位)
順位 ー 機関名 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
1 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 108 2.3%
2 東京大学 57 1.7%
3 東北大学 55 0.9%
4 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 47 1.3%
5 大阪大学 30 0.8%
6 京都大学 28 1.0%
7 九州大学 27 1.1%
8 国立研究開発法人 理化学研究所 20 3.5%
9 東京工業大学 18 0.6%
10 山形大学 15 4.1%


【表5】免疫学/IMMUNOLOGY(世界7位)
順位 ー 機関名 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
1 大阪大学 61 4.9%
2 東京大学 36 2.6%
3 国立研究開発法人 理化学研究所 32 4.2%
4 京都大学 27 3.1%
5 慶應義塾大学 16 3.4%
6 千葉大学 10 2.3%
7 北海道大学 9 1.4%
8 順天堂大学 8 1.6%
9 東京医科歯科大学 7 1.7%
9 九州大学 7 1.4%


【表6】植物・動物学/PLANT & ANIMAL SCIENCE(世界8位)
順位 ー 機関名 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
1 国立研究開発法人 理化学研究所 159 10.6%
2 東京大学 119 2.7%
3 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 70 1.7%
4 名古屋大学 52 3.9%
5 京都大学 49 1.3%
6 国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター 37 11.0%
7 岡山大学 35 3.3%
8 奈良先端科学技術大学院大学 31 7.0%
9 千葉大学 26 3.4%
10 東北大学 25 2.0%


【表7】分子生物学/MOLECULAR BIOLOGY & GENETICS(世界8位)
順位 ー 機関名 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
1 国立研究開発法人 理化学研究所 63 2.0%
2 東京大学 59 1.3%
3 京都大学 51 1.6%
4 大阪大学 49 1.7%
5 東京医科歯科大学 32 3.2%
6 公益財団法人 東京都医学総合研究所 21 6.1%
7 東北大学 20 1.3%
8 慶應義塾大学 19 1.8%
9 名古屋大学 18 1.3%
10 筑波大学 17 1.7%


【表8】生物学・生化学/BIOLOGY & BIOCHEMISTRY(世界8位)
順位 ー 機関名 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
1 東京大学 67 1.0%
2 京都大学 51 1.1%
3 国立研究開発法人 理化学研究所 46 1.4%
4 大阪大学 33 0.8%
5 九州大学 16 0.6%
6 慶應義塾大学 16 1.2%
7 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 14 0.7%
7 東北大学 14 0.6%
9 国立精神・神経医療研究センター 13 6.7%
10 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構* 10 3.0%
10 北海道大学 10 0.4%
*大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構は構成する 5 研究所の組織名を名寄せした集計値です。

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は戦略的に科学技術イノベーションの創出を推進するファンディングエージェンシーとしての事業内容を鑑みランキングには入れてありませんが、各分野における高被引論文数と高被引用論文の割合は以下の通りです。

分野 ー 高被引用論文数 ー 高被引用論文の割合
化学 186 2.1%
物理学 149 1.8%
材料科学 84 4.0%
免疫学 43 6.3%
植物・動物学 51 6.2%
分子生物学・遺伝学 69 2.9%
生物学・生化学 56 1.7%

なお、22分野における日本の順位は以下の通りです。

分野 ー 順位
化学 5
物理学 6
材料科学 6
免疫学 7
植物・動物学 8
分子生物学・遺伝学 8
生物学・生化学 8
地球科学 9
宇宙科学 10
薬理学・毒性学 11
神経科学・行動学 12
臨床医学 13
数学 13
微生物学 14
工学 16
計算機科学 16
社会科学・一般 20
環境/生態学 20
精神医学・心理学 22
農業科学 22
経済学・経営学 25

【本分析に使用したデータベース】
Essential Science Indicators(以下ESI)

【高被引用論文(Highly Cited Papers)の定義】
ESIは、科学全体を大きく22の研究分野に分類しています。そして、それぞれの分野において被引用数が上位1%の論文を高被引用論文(Highly Cited Papers)と定義しています。
引用は分野によって動向が異なること、一般的に論文発表から時間を経るほど多くなることを踏まえ、各年・分野別の高被引用論文を特定し、集計しています。

本分析は、ESIに収録されている世界の研究機関情報から、日本の各研究機関が上記条件でどれだけインパクトの高い論文を出しているかに注目しました。高被引用論文を多く輩出する研究機関は、比例してその分野で関心を集める傾向があります。そのため、これら相対的定量データは、世界的な学問・研究にどれだけ影響力を持っているか、自機関の世界の位置を示唆するひとつの有力な指標となります。

【データ対象期間】
2006年1月1日〜2016年12月31日 (11年間)
ESIの22分野分類の詳細と定義については、こちら (http://archive.sciencewatch.com/about/met/fielddef/)をご覧ください。

【注意】
ESIでは、共著者の所属機関をすべて網羅し包括的に収録しています。そのため、第一著者、責任著者、その他の著者の区別なく、日本の研究機関が著者所属機関に含まれる高被引用論文の総計が順位に反映されます。

【Essential Science Indicatorsとは】
分析に用いたEssential Science Indicatorsは、学術論文の引用動向データを提供する統計データベースです。学術文献・引用索引データベース「Web of Science Core Collection」の収録レコードをもとに、論文の被引用数から、世界のトップ1パーセントにランクされる研究者と研究機関の情報をそれぞれ収録しています。収録データは2か月ごとに更新されます。
▽Essential Science Indicators 製品概要

【InCites とは】
InCites は、Web上で提供され、カスタマイズにも対応した、引用文献に基づく研究評価ツールです。学術機関や政府機関の管理者の皆様は、研究者の生産性を分析し、ベンチマーキングの結果を世界中の研究機関と比較することができます。
▽InCites 製品概要

【Web of Scienceとは】
Web of Science は、Web of Science Core Collectionをはじめとする膨大な量の高品質な文献コンテンツを包括し、自然科学、社会科学、人文科学の情報の迅速な検索、分析、共有を支援する最高水準の調査研究プラットフォームです。
▽Wef of Science 製品概要




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