攻撃行動に加担する心と脳の背景 〜社会的不安と扁桃体-側頭・頭頂接合部の結合が影響〜
[18/12/26]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2018年12月26日
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
国立研究開発法人科学技術振興機構
攻撃行動に加担する心と脳の背景
〜社会的不安と扁桃体-側頭・頭頂接合部の結合が影響〜
【ポイント】
■ 攻撃行動への加担を調べる手段としてキャッチボール課題を考案
■ 被験者が攻撃行動に加担する程度はその人の社会的不安傾向と相関
■ 扁桃体と側頭・頭頂接合部の結合強度が攻撃行動に加担する程度と相関
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)脳情報通信融合研究センター(CiNet)の高見享佑協力研究員(大阪府立西寝屋川高校教諭)、春野雅彦研究マネージャーの研究グループは、攻撃行動への加担を調べる手段としてキャッチボール課題を考案し、人が攻撃に加担する程度とその人の社会的不安傾向が相関することを見いだしました。キャッチボール課題では、被験者4名にコンピュータ上でキャッチボールをしてもらい、2名が1名を攻撃する状況で、残りの1名がどう行動するかを分析します。さらに、脳の領域間結合を調べる安静時fMRIで、攻撃に同調する程度と、不安に関係するとされる扁桃体と社会行動に関わる側頭・頭頂接合部の結合強度が相関しました。今回の結果から、不安を減らすことで、攻撃行動を減らせる可能性が示唆されます。本成果は、2018年12月21日(金)に、英国科学雑誌「Social Cognitive and Affective Neuroscience」にオンライン掲載されました。
【背景】
近年、SNSにおける炎上や学校におけるいじめなど、攻撃行動が大きな社会的問題となっています。しかし、人間の攻撃行動を引き起こす心と脳の働きの研究は、ほとんど進んでいません。攻撃行動では、攻撃を主導する人に加え、周りの人が加担することで攻撃が重大化します。今回、新たにキャッチボール課題を考案し、脳の領域間結合を調べる安静時fMRIを用いることで、攻撃に加担する心と脳の働きの一端を明らかにしました。
【今回の成果】
人が他者の攻撃行動に加担する程度とその人の社会的不安傾向の相関を見いだし、その神経基盤として側頭・頭頂接合部の結合強度を同定しました。
NICTは、攻撃行動への加担を調べる方法としてキャッチボール課題を新たに考案し、実験した結果、攻撃に加担する要因として、恒常的な攻撃欲求、仕返し、他者への同調、脅しへの服従、慣れの5要因のうち、他者への同調だけが有意な効果を持ちました。
また、対人反応性指標を用いて、被験者に質問し、攻撃への同調の程度は、その人の社会的不安傾向に相関し(図1A上参照)、他者の感情を感じる度合いである共感性とは相関しないことを見いだしました(図1A 下参照)。
さらに、安静時fMRIの解析から、扁桃体と側頭・頭頂接合部の結合強度が、攻撃に同調する程度と相関することを示しました(図1B 上下参照)。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201812251785-O1-ibiax0uI 】
図1 社会的不安傾向と扁桃体結合の攻撃への同調に対する寄与
今回考案したキャッチボール課題では、被験者4名にコンピュータ上でキャッチボールをしてもらい、2名が1名に強いボールを投げ続ける(Strong ball 攻撃行動)状況で、残りの1名が普通のボール(Normal ball)を投げるか、Strong ballを投げるかを分析します。
(キャッチボール課題のビデオ: http://www2.nict.go.jp/bnc/haruno/website/data/bullying_aggression.mp4)
【今後の展望】
今後、加担を超えた攻撃行動に関する心と脳のメカニズムの解明も一層進み、いじめなどの攻撃行動を減らすための情報処理技術の開発や脳計測によるその効果の検証などへの発展が期待されます。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
国立研究開発法人科学技術振興機構
攻撃行動に加担する心と脳の背景
〜社会的不安と扁桃体-側頭・頭頂接合部の結合が影響〜
【ポイント】
■ 攻撃行動への加担を調べる手段としてキャッチボール課題を考案
■ 被験者が攻撃行動に加担する程度はその人の社会的不安傾向と相関
■ 扁桃体と側頭・頭頂接合部の結合強度が攻撃行動に加担する程度と相関
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)脳情報通信融合研究センター(CiNet)の高見享佑協力研究員(大阪府立西寝屋川高校教諭)、春野雅彦研究マネージャーの研究グループは、攻撃行動への加担を調べる手段としてキャッチボール課題を考案し、人が攻撃に加担する程度とその人の社会的不安傾向が相関することを見いだしました。キャッチボール課題では、被験者4名にコンピュータ上でキャッチボールをしてもらい、2名が1名を攻撃する状況で、残りの1名がどう行動するかを分析します。さらに、脳の領域間結合を調べる安静時fMRIで、攻撃に同調する程度と、不安に関係するとされる扁桃体と社会行動に関わる側頭・頭頂接合部の結合強度が相関しました。今回の結果から、不安を減らすことで、攻撃行動を減らせる可能性が示唆されます。本成果は、2018年12月21日(金)に、英国科学雑誌「Social Cognitive and Affective Neuroscience」にオンライン掲載されました。
【背景】
近年、SNSにおける炎上や学校におけるいじめなど、攻撃行動が大きな社会的問題となっています。しかし、人間の攻撃行動を引き起こす心と脳の働きの研究は、ほとんど進んでいません。攻撃行動では、攻撃を主導する人に加え、周りの人が加担することで攻撃が重大化します。今回、新たにキャッチボール課題を考案し、脳の領域間結合を調べる安静時fMRIを用いることで、攻撃に加担する心と脳の働きの一端を明らかにしました。
【今回の成果】
人が他者の攻撃行動に加担する程度とその人の社会的不安傾向の相関を見いだし、その神経基盤として側頭・頭頂接合部の結合強度を同定しました。
NICTは、攻撃行動への加担を調べる方法としてキャッチボール課題を新たに考案し、実験した結果、攻撃に加担する要因として、恒常的な攻撃欲求、仕返し、他者への同調、脅しへの服従、慣れの5要因のうち、他者への同調だけが有意な効果を持ちました。
また、対人反応性指標を用いて、被験者に質問し、攻撃への同調の程度は、その人の社会的不安傾向に相関し(図1A上参照)、他者の感情を感じる度合いである共感性とは相関しないことを見いだしました(図1A 下参照)。
さらに、安静時fMRIの解析から、扁桃体と側頭・頭頂接合部の結合強度が、攻撃に同調する程度と相関することを示しました(図1B 上下参照)。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201812251785-O1-ibiax0uI 】
図1 社会的不安傾向と扁桃体結合の攻撃への同調に対する寄与
今回考案したキャッチボール課題では、被験者4名にコンピュータ上でキャッチボールをしてもらい、2名が1名に強いボールを投げ続ける(Strong ball 攻撃行動)状況で、残りの1名が普通のボール(Normal ball)を投げるか、Strong ballを投げるかを分析します。
(キャッチボール課題のビデオ: http://www2.nict.go.jp/bnc/haruno/website/data/bullying_aggression.mp4)
【今後の展望】
今後、加担を超えた攻撃行動に関する心と脳のメカニズムの解明も一層進み、いじめなどの攻撃行動を減らすための情報処理技術の開発や脳計測によるその効果の検証などへの発展が期待されます。