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多発性骨髄腫患者対象のベネトクラクス第III相試験、米国食品医薬品局による部分的な実施保留命令の解除

2019年7月4日

アッヴィ合同会社

t(11;14)染色体異常陽性の多発性骨髄腫患者さんを対象とするベネトクラクス第III相試験に対する、米国食品医薬品局による部分的な実施保留命令の解除を発表

●米国食品医薬品局(FDA)は、CANOVA試験の治験実施計画書の改訂に関する合意に基づいて、部分的な実施保留命令を解除し、新たなリスク低減措置、治験実施計画書で規定されるガイドライン、最新の無益性基準などを含めた治験実施計画改訂を実施
●t(11;14)遺伝子バイオマーカーは、多発性骨髄腫患者さんの染色体異常を調べる最も一般的な指標で、日常的に行われる検査

イリノイ州ノースシカゴ、2019年6月24日(米国時間)−グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は、再発/難治性の多発性骨髄腫の治験薬としてベネトクラクスを評価する第III相試験、CANOVA試験(M13-494)に対する部分的な実施保留命令をFDAが解除したこと発表しました。CANOVA 試験では、(11;14)転座陽性の再発/難治性多発性骨髄腫患者さんを対象に、ベネトクラクスとデキサメタゾンの併用投与と、ポマリドミドとデキサメタゾンの併用投与を比較評価しています。t(11;14)遺伝子バイオマーカーは、多発性骨髄腫患者さんの染色体異常を調べる最も一般的な指標で、日常的に行われる検査です1。

FDAは新たなリスク低減措置、治験実施計画書で規定されるガイドライン、最新の無益性基準など、CANOVA試験の治験実施計画書の改訂に関する合意に基づいて、部分的な実施保留命令を解除しました。承認された治験実施計画書に基づいて、各治験参加施設の判断によりCANOVA試験の登録を再開することができます。

多発性骨髄腫の患者さんを対象にベネトクラクスを評価している他のすべての臨床試験については、FDAによる次のステップの評価が継続している間は、部分的な実施保留を続けることになります。慢性リンパ性白血病(CLL)や急性骨髄性白血病(AML)などを含め、既に承認されているベネトクラクスの適応症には、この部分的な実施保留による影響は生じません。既に承認を得ている適応症に対するベネトクラクスのベネフィット/リスクのプロファイルについては、これまでと同様に信頼できるものであると、アッヴィは考えています。

アッヴィの血液学分野の開発グローバル責任者であるモハメド・ザキ医師 (M.D./Ph.D.)は、次のように述べています。「CANOVA試験が前進することになったことを嬉しく思っています。承認が得られれば、t(11;14)バイオマーカー検査が治療に良好な反応を示すと予想される患者さんの特定に役立ち、治療を選択する際には、より明確な指針を医師に提供できるようになります。私たちは世界中の規制当局と密接に協力し、多発性骨髄腫の患者さんに対するベネトクラクスの可能性を解明する努力を続けるとともに、t(11;14)染色体異常を有する患者さんを対象に研究を進展させていきます」

欧州血液学会(EHA)が開催した第24回年次総会での最新演題口演セッション(6月16日、日曜日)において、再発/難治性多発性骨髄腫の患者さんを対象に評価する第III相BELLINI試験の結果が発表されました。今後開催される学会または医学雑誌で追加データが発表される予定です2。

アッヴィは、多発性骨髄腫の治験薬としてベネトクラクスを評価するすべての試験に対し、FDAが部分的な実施保留命令を指示したことを2019年3月に発表しました。この実施保留命令は、再発/難治性多発性骨髄腫の患者さんを対象にベネトクラクスとボルテゾミブおよびデキサメタゾンの併用投与(Ven+Vd)とプラセボ投与(プラセボ+Vd)を比較する第III相BELLINI 試験のデータを評価した後に下されました。このBELLINI 試験のデータでは、ベネトクラクス群の死亡率[194例中41例(21%)]が、試験の対照群[97例中11例(11%)]よりも高いことが示され、全生存のハザード比(HR)は2.027[95%信頼区間(CI):1.042〜3.945]でした。最も多かった死因は病勢進行(45%)でした。重篤な有害事象(48% vs. 50%)および重篤な感染(28% vs. 27%)の発現率は、両群間で同程度でした2。

ベネトクラクスは多発性骨髄腫の治療薬として、いずれの国においても規制当局の承認を得ていません。

多発性骨髄腫については治療の選択肢があるにもかかわらず、最適な治療継続法が見いだされていません3。ほぼ全ての多発性骨髄腫患者さんが、最終的に再発に至っています。これは不良な転帰と関連し、再発した際の寛解期間は通常、前回よりも短くなります4。多発性骨髄腫患者さんの平均余命は診断後、約5〜6年です5。 多発性骨髄腫は血液がんとして2番目に多く発現する疾患で、本年は全世界でほぼ140,000例の患者さんが多発性骨髄腫と診断されることが予想されています6,7。

ベネトクラクスはアッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループ内の企業であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。

CANOVA試験について
CANOVA試験は、t(11;14)陽性の再発/難治性多発性骨髄腫の患者さんを対象に、ベネトクラクスまたはポマリドミドに加えデキサメタゾンを併用投与する第III相多施設共同無作為化非盲検試験です8。

BELLINI試験について
BELLINI試験は、1〜3のレジメン治療歴があり、プロテアソーム阻害剤による効果がある、もしくは投与歴がない、再発/難治性多発性骨髄腫の患者さんを対象に、ベネトクラクスまたはプラセボに加えボルテゾミブおよびデキサメタゾンを併用投与する多施設共同無作為化二重盲検試験です。BELLINI試験には291例の患者さんが登録され、ベネトクラクス群は194例、プラセボ群は97例でした9。

BELLINI試験では、主要評価項目である無増悪生存(PFS)の改善が達成され[22.4カ月  vs. 11.5カ月(ハザード比0.63、p=0.01)]、追跡期間中央値は18.7カ月でした。ベネトクラクス群では対照群と比較して、全奏効率(ORR)(82% vs. 68%、p<0.01)および非常によい部分奏効(very good partial)以上の奏効率(59% vs. 36%、p<0.01)で統計学的に有意な改善が確認されました。全生存期間は中央値に到達しませんでした[HR 2.027、95%CI:1.042〜3.945]2。

ベネトクラクス群で発生した死亡例の大多数は、感染および病勢進行と関連していることが安全性解析で示されました。試験集団のうち52例が死亡し、その内訳はベネトクラクス群で41例(21%)、プラセボ群では11例(12%)で、最も多かった死因は病勢進行でした(45%)。重篤な有害事象の発現率(48% vs. 50%)および重篤な感染の発現率(28% vs. 27%)は、両群間で同程度でした2。

ベネトクラクスについて
ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質に選択的に結合して阻害するファーストインクラスの薬剤です。いくつかの血液がんでは、BCL-2がアポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2 タンパク質を標的とし、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用があります10。

ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループ内の企業であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これらの数社が共同でBCL-2研究に取り組んでおり、ベネトクラクスは種々の血液がんおよびその他のがんを対象に複数の臨床試験で現在評価されています。

ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。多発性骨髄腫の治療薬としてはいずれの国においても規制当局の承認を得ていません。アッヴィは現在、ロシュ社と共同で、治療を必要とする、さらに多くの適格な患者さんにベネトクラクスを提供するため世界中の規制当局と協力しています。

ベネトクラクスの米国における使用および重要な安全性情報10

使用
ベネトクラクスは処方薬です。本剤の適応は以下のとおりです。
? 染色体17p欠損の有無を問わず1つ以上のレジメンの治療歴がある成人の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さんの治療
? 以下に該当する初発の急性骨髄性白血病(AML)成人患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンとの併用療法
o 75歳以上、または
o AML以外に、標準的な化学療法を妨げる医学的状態にある

ベネトクラクスの小児に対する安全性および有効性は確立されていません。

重要な安全性情報

ベネトクラクスについて認識しておくべき最も重要な情報はどのようなものでしょうか?

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こす可能性があります。以下に例を示します。

腫瘍崩壊症候群(TLS) :TLSはがん細胞が短時間に崩壊することにより起こります。TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要になる可能性がある他、死に至ることもあります。担当の医療従事者は、ベネトクラクスの投与開始前に検査を行い、TLSを引き起こすリスクがあるかを調べます。TLS発現のリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与開始前および投与中に別の薬剤の投与を受けていただきます。補液の静脈内投与が必要になることもあります。また、ベネトクラクスの投与開始時および投与中に、TLSについて調べるため、血液検査を行います。

予定通りに血液検査を受けることが重要です。ベネトクラクス投与中に、発熱、悪寒、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ、痙攣発作、不整脈、暗色尿、異常な疲労、筋肉痛、関節痛など、TLSの症状があらわれた場合には、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

TLSが発現するリスクを低減させるため、ベネトクラクスを服用するときは水分を多くとること。
ベネトクラクス初回投与の2日前から毎日コップ6〜8杯(合計で約56オンス)の水を飲み始め、初回投与当日や用量が増量されたときも毎回水を飲んでください。

副作用がみられた場合、担当の医療従事者はベネトクラクスの投与を延期したり、用量を減らしたり、投与を中止したりすることがあります。

ベネトクラクスを服用すべきでないのは、どのような患者さんですか。

ベネトクラクスの服用を開始し、徐々に増量している間はTLS発現が増大するリスクがあるため、特定の薬剤を服用しないでください。
? 処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤を全て担当の医療従事者に伝えてください。ベネトクラクスと他剤が互いに影響し合い、重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。
? 担当の医療従事者に相談せず、ベネトクラクス投与中に新たな薬剤の服用を開始しないでください。

ベネトクラクスを服用する前に、あなたの医学的情報をすべて担当の医療従事者に伝えてください。例えば、次のような場合です。
? 腎障害がある。
? 塩分または電解質(カリウム、リン、カルシウムなど)に問題がある。
? 血中の尿酸値が高い、または痛風の既往歴がある。
? ワクチン接種を予定している。ベネトクラクスの投与前、投与中または投与後は担当の医療従事者が接種を認めるまで「生ワクチン」は接種しないでください。予防接種またはワクチンの種類について不確かな場合は、担当の医療従事者にお尋ねください。ベネトクラクス投与中は、このようなワクチンを安全に接種できない、または接種しても効果が得られないことがあります。
? 妊娠している、または妊娠を計画している場合、ベネトクラクスは胎児に害を及ぼすおそれがあります。妊娠可能な患者さんの場合、担当の医療従事者はベネトクラクス投与開始前に妊娠検査を行います。ベネトクラクス投与期間中と最終投与後30日間は効果的な避妊を行ってください。妊娠した、または妊娠したと思われる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
? 授乳中または授乳を計画している場合、ベネトクラクスが母乳に移行するかどうかは不明です。ベネトクラクス投与期間中は授乳しないでください。

ベネトクラクス服用中は、どのようなことを避けるべきですか。

ベネトクラクスを服用している間は、グレープフルーツジュースを飲まないこと。また、グレープフルーツ、セビリヤオレンジ(マーマレードに使用されることが多い)またはスターフルーツを食べないこと。これらの製品や果物は血中のベネトクラクスの量を増加させる可能性があります。

ベネトクラクスの副作用は、どのようなものですか。

ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。例えば、次のような副作用です。
? 白血球数低値(好中球減少症):白血球数低値は、ベネトクラクス投与ではよくみられる所見ですが、重度に至ることもあります。担当の医療従事者は、血球数を調べるためベネトクラクス投与期間中に血液検査を行います。
? 感染:ベネトクラクスの投与期間中に、死亡や肺炎、血液の感染(敗血症)などの重篤な感染が発生しています。ベネトクラクス投与期間中に発熱や感染の徴候がみられる場合は、すぐに担当の医療従事者が慎重なモニタリングと治療を行います。

ベネトクラクス投与期間中に発熱や感染の徴候がみられる場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。

CLL患者さんまたはSLL患者さんにベネトクラクスをオビヌツズマブまたはリツキシマブ(遺伝子組換え)と併用したとき、またはベネトクラクスを単剤で投与したときに生じる主な副作用は、白血球数低値、血小板数低値、赤血球数低値、下痢、悪心、上気道感染、咳嗽、筋肉痛、関節痛、疲労、ならびに腕、脚、手および足の腫脹などです。

AML患者さんにベネトクラクスをアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンのいずれかと併用したときに生じる主な副作用は、白血球数低値、悪心、下痢、血小板数低値、便秘、白血球数低値を伴う発熱、赤血球数低値、血液の感染、発疹、浮動性めまい、低血圧、発熱のほか、腕、脚、手および足の腫脹、嘔吐、疲労、息切れ、出血、肺の感染、胃痛(腹痛)、筋肉痛、背部痛、咳嗽、咽喉痛などです。

ベネトクラクスにより、男性の受精能に問題が生じることがあります。子どもをもうける能力に影響を及ぼす可能性があります。受精能について心配な場合は、担当の医療従事者にご相談ください。

これらは必ずしもベネトクラクスの副作用とは限りません。詳細については、担当の医療従事者または薬剤師にお尋ねください。

処方薬の副作用をFDAに報告することが推奨されています。ウェブサイトhttp://www.fda.gov/medwatchまたは電話番号1-800-FDA-1088から報告してください。

薬剤の購入が経済的に難しい場合は、www.pparx.org に問い合わせて支援を受けてください。

米国でのベネトクラクスの処方情報(投薬ガイドを含む)の全文は以下を参照してください。世界各国で処方情報は異なります。完全な情報については各国の添付文書を参照してください。

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