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東京経済大学ニュ―ス Vol.18

2020 年 7 月 30 日
東京経済大学ニュ―ス Vol.18

東京経済大学ニュ―ス Vol.18の内容を一部抜粋してお送りします。
すべての内容につきましては、添付のリリース全文ファイルをご覧ください。
※東京経済大学Webサイト:http://www.tku.ac.jp/

■特集1 
「コロナ禍であっても、学生の学びを止めない」 −学長として、教員として−
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007292562-O4-pegpvBLQ
東京経済大学 学長 岡本英男(おかもと ひでお)

◇コロナ危機に悲観せず、「挑戦の機会」と捉えてほしい
 私は新入生のみならず全学生に向かって、コロナ危機の現在をただ悲嘆するのではなく、むしろ「挑戦のための絶好の機会」と捉え、読書の習慣を身につけてほしい、自主的に勉学する取り組みを開始してほしい、と繰り返し呼びかけました。また、慣れないオンライン授業や遠隔授業に試行錯誤しながら取り組んでいる教員に対して、そして学生や保護者からの問い合わせや不満・苦情に対して矢面に立っている職員に対して、「この感染症がいつ終息を迎えるかわからないなか、物事を進めていくのは大変不安かもしれないが、このような危機の時期こそ大学の真価が問われるので、全力投球で教育に、そして職務に取り組んでほしい」と、何度も呼びかけました。
 逆境の中にあっても前へ進む。これこそ本学創立者である大倉喜八郎が本学学生に、そして私たち教職員に期待した「進一層」の精神であると、固く信じていたからです。そして、多くの教員が試行錯誤しながらも入念な授業準備を行ってくれ、その結果、対面授業を凌駕するほど充実した授業も数多く生まれました。
 私自身、昨年 5 月から週 1 回のペースで学長ゼミを行っておりますが、 4 月 22 日(水)からは Web 会議ツール『 Zoom 』を使用。祝日などありましたが実施回数は既に 6 回( 6 月 10 日現在)。オンラインという限界を抱えてはいるものの、遠方の自宅からゼミに参加している学生の様子を窺うこともでき、私も学生もそれなりに満足している状況です。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007292562-O6-6ZgN8ol5
オンラインによる学長ゼミの様子

 学長ゼミに参加している一学生の「岡本先生、今までの大学生活のなかで、これほど勉強した時期はありません」という声もみられました。熱心な教員のオンライン授業への取り組みとそれに応える学生の勉学意欲によって、本学の教育活動は平常時よりも熱を帯びたものになっているのです。

 以下は本学が実施しております学生支援策です。コロナ危機下で、本学学生の大学構内への立ち入り制限は当面続くことになるでしょう。しかしこのような状況でも、本学の教育活動と研究を止むことなく続けてまいります。

<東京経済大学が実施しているコロナ危機下の学生支援策>
●修学支援特別奨学金制度
 オンラインで授業を行うにあたり、本学学生には通信環境の用意などさまざまな準備をしていただいています。本学では、そのような学生の負担を少しでも軽減し円滑な修学を支援するために『修学支援特別奨学金制度』を設け、在学生全員に一律5万円を給付型奨学金として7月上旬までに支給しました。

●東京経済大学修学支援特別奨学金寄付制度
 本学では、新型コロナウイルスをはじめとする感染症、自然災害、経済危機等の様々な事象によって生活に困窮する学生の修学を広く支援することを目的とした『東京経済大学修学支援特別奨学寄付金制度』を新設しました。これまでにも学生緊急経済支援制度など、家計急変時のための支援制度や奨学金もありましたが、社会的な危機に備えた奨学金は初となり、多くの方に寄付の呼びかけを行っています。

●東京経済大学生活協同組合と連携した教科書販売及び配送
 大学へ通学することなく授業をスタートすることとなった新入生の円滑な大学生活への移行と不安を払拭するために、新入生の必修科目教材を学生宅へ無償で配送しました。また、在学生を対象に当該学期の履修科目で必要となる教材や参考書も、5月12日(火)より注文サイトを通じて入手することが可能となり配送料を大学が負担しています。発送状況については、東京経済大学生活協同組合の公式twitterにて随時更新され、学生の不安解消の一助となりました。

●東京経済大学生活協同組合による食事支援『学生応援セット』
 緊急事態宣言解除後の6月15日(月)より、学生食堂を短縮営業で再開し、日替わりメニューにお茶とデザートをプラスした『学生応援セット』を設定しました。同メニューの通常価格は700円ですが、400円を大学側が支援し、学生には300円で提供しています。

特集2 
オンライン授業の活用・柔軟でハイブリッドな教育への転換 −新入生履修講義担当の経験から−

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007292562-O16-71Rfi0r2
経営学部教授 米山高生(よねやま たかう)
◇はじめに
 大学の教育現場は、新型コロナウイルス感染対策のために未曽有の影響を受けています。
 本学は、4月下旬から遠隔講義による新学期を開始しました。その後、7月までの第1学期はすべて遠隔講義(オンライン)で行うことが決定されました。私は、少人数の演習を除くと、履修者105名の基礎科目「会社入門」と、250名の「日本経営史a」を担当しています。
 ここでは、「会社入門」の履修生である1年生が、大学の講義をどのようにとらえ、どのように履修しているかということを、私が知りえた範囲内でご紹介し、さらに私なりの知見をまとめたいと考えています。ひとつの授業・「会社入門」における結果なので、簡単に一般化すべきものではないかもしれません。しかし、新入生に関する情報は、学生ファーストを考える大学としては、たとえ断片的であったとしても、それなりに大切なものだと思います。
 
◇新入生105人の講義を担当する責任
 今年ほど、新入生105人のクラスを担当した教員としての責任を感じた年はありませんでした。履修生には入学式もなく、対面式のガイダンスもありません。新しい学生生活に心をふくらませているはずの時期に、キャンパスに足を踏み入れることができなかったのです。幸いにも入構制限は6月中旬から段階的に緩和され、学生食堂も時間を短縮しながら営業再開しました。
 しかし6月下旬、私のクラスの学生に自由筆記のアンケートで入構の予定を質問したところ、ほとんどの学生の回答は、「その予定はない」でした。大学に行く必要性がなければ、入構制限が残っているキャンパスに足が向かないことも理解できます。教員として、このような学年に対して「何をしてやれるのだろうか」ということを考えざるを得ません。

◇2つの目的とその実現
 「会社入門」という講義の目的は、新入生が経営学に興味を持つことと、大学に登校する習慣を身につけてもらうということの2つと考えています。前者については、工夫をすれば遠隔講義でも実現可能だと思います。しかし後者については、そもそも登校できない状態となってしまいましたので、見直す必要があります。そこで授業の時間帯は、必ずネットが繋がれている状態を保つことにより、規則正しく講義を受けることを習慣づけてもらいたいと考えました。
 本学は幸いにも『manaba(マナバ)※』 という授業支援システムがあるので、講義が始まると同時に、授業の進め方の詳細を書いたコースニュースが立ち上がるようにしました。これが立ち上がると学生にメールが送られるので、授業時間を忘れている学生にも周知することができます。
 【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007292562-O19-87bZ65ZN】【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007292562-O18-Z1sNR9ZU
『manaba(マナバ)』使用時の画面
(画像左)講義一覧の画面。
(画像右)コースニュース。講義に関する連絡が通知されます。

 授業は、まず出席カードの提出機能を使うことから始まります。時間の記録が残るので便利です。Web会議ツール『Zoom』のリンクからオンライン用セミナーサービス 『Webinar』 を閲覧してもらいます。この機能を使うことによってグループ活動による課題報告の利便性が高まりました。それが終わると確認テスト(随時)とアンケート(毎回)を実施し、全体で90分の講義を終わります。確認テストもアンケートも『manaba』で提供されており、自動集計など便利な機能も備わっているので活用しています。

 なお、遠隔講義で心配される双方向性の確保については『manaba』の掲示板機能を利用し、「講義の内容について」「通信障害について」という2つのスレッドを講義ごとに立てました。たしかに『Zoom』の使用方法がわからず個別質問をしてくる学生もいましたが、リンクをクリックすればよいと連絡すると、すぐに問題は解決したようです。ともあれ、情報弱者に対する配慮は大切ですし、このコロナ不況の中でPCを購入するなど経済的な負担の問題もありますが、新入生に、情報に関する深刻な問題は少ないように感じています。

『manaba(マナバ)』
※株式会社朝日ネットが提供する授業支援システムです。本学では2016年度から運用を開始。教員は、授業資料や小テスト、レポート、出席管理、教員への質問・回答などの機能を利用することができます。

◇オンラインで履修生の受講状況を把握(自分のミスでネガティブ評価急増を反省)
 履修生が実際にどのような受講態度をとるのか把握するためには、授業ごとに履修データを収集する必要があります。そこでデジタル授業出席カードの提出をはじめとした各種の閲覧記録(ログ)を収集すること、そしてアンケートを毎回行うことを考えました。
 閲覧記録は、事前配布の資料をダウンロードして予習をしているか、また事後配布資料にアクセスして復習の準備をしているかということが個々のレベルで把握できます。遠隔講義の場合、教員は学生の顔が見えず、講義に対する平常の対応について気になりますが、閲覧記録等を残すことによって個々の学生の授業への熱心さがある程度、推測できます。
 さらに、学生の個別の状況や意見を知るためにアンケートを活用しました。アンケートは1回限りで終わるものではなく、連続性を考慮することが大事だと思い、「はい」と「いいえ」の二者択一形式で5つの基本設問と自由筆記3問を基本型としました。

第1回講義のアンケート基本設問 (4月28日実施)
(1)遠隔講義にほぼついていくことができましたか。
 70%以上OKなら「はい」を、それ未満なら「いいえ」を選択してください。
(2)講義中は時間にゆとりをもって対応できましたか。
 70%以上OKなら「はい」を、それ未満なら「いいえ」を選択してください。
(3)教科書は手もとに届いていますか。
 届いていれば「はい」を、届いていなけれな「いいえ」を選択してください。
(4)通信環境などでストレスがたまりませんでしたか。
 ほぼたまらなかったという人は「はい」を、ストレスがたまったという人は「いいえ」を選択してください。
(5)早く対面形式の講義になって欲しい人は「はい」を、なって欲しくない人は「いいえ」を選択してください。

 この設問を見ておわかりのように、「はい」はポジティブ、「いいえ」はネガティブな回答となるので、それぞれを「1」と「0」に置き換え、5桁の二進数のような形式に転換してデータを保存すると、ポジティブとネガティブ、全体でどちらが多いのか一目瞭然となります。私のミスでプレゼン動画ファイルのアクセス権限を誤って設定(※受講する学生が動画にアクセスできなかった等)し、授業を30分ほど混乱させてしまった日のアンケートでは、ネガティブな評価が急増しました。このような経験からアンケート結果は、授業に対する私自身への規律づけとしても機能しています。
 基本設問のうち(1)、(2)、(4)はあまり変えませんでしたが、(3)と(5)は状況に応じて設問を変更しました。自由筆記のアンケートでは「新学期で対面形式が実現したら大学やサークルなどのガイダンスをあらためて実施してほしい」、「遠隔授業で知り合った友達に早く会いたい」という学生からの希望や期待が数多く見られる貴重な意見も寄せられております。反面、少数ですが、「遠隔講義に慣れてしまったので、新型コロナ感染症の心配がなくなるまでこのままで続けてほしい」という意見もありました。通常は夏休みに入ると、学生は大学と離れた活動の比重を高めますが、今年は大学からの継続的な情報発信を行っていく必要性を強く感じました。とりわけ今年の1年生に対しては、「いつでも君たちを見守っている」という大学の眼差しを伝えることが大切だと考えています。

◇履修状況の結果(今年の1年生はかなり期待できるレベル)
 「会社入門」の履修生、全105名の履修状況について言及しておきます。4月28日(火)に行った第1回目の講義の完全欠席者(出席記録・小テストおよびアンケートに回答なし)は9名でした。初めての遠隔講義で通信障害などもあったでしょうから、やむを得ないところですが、1週間後の第2回講義でのそれは1名に減っており、履修生の皆さんが遠隔講義に柔軟に対応してくれたことがわかります。しかしながら、出席カードを提出していても小テストを受験していない、またその逆の人がいたことも事実です。欠席者は回数を重ねるごとに個人が特定されていくため、最終的には2名が脱落、欠席の多い4名がそのボーダーラインにいることがわかりました。
 履修生の皆さんがネットワークを利用した講義にどのくらい柔軟に対応できるか心配でしたが、アンケートの基本設問への回答から、問題を抱えている人が少数であること、講義が進むにつれ極めて少なくなっていることがわかりました。また講義への参加姿勢も真面目で、7月7日(火)に『Webinar』方式で行った講義では、出席カードを提出した100名のうち、30分以上の遅刻者は2名ということがわかりました。これは対面形式の講義としても悪くない数字だと思います。通信障害が発生した場合は、掲示板に書き込んでもらう方法でもフォローしていますが、深刻な状況でお手上げという学生がいなかったのは幸いでした(ただし、ごく少数の学生が情報関連の問題を持っている可能性は捨てきれません)。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202007292562-O20-FaT1EPl4

 今年の1年生に対する私の感触は、「かなり期待ができる学年である」というものです。遠隔授業に柔軟に対応するばかりでなく、15に分けた班ごとに課題を課したところ、すべての班で素晴らしい回答を提出してくれました。学生に聞くと、班長が中心となり大学のメールや LINE を使って意見交換をしているとのことです。このよい感じを、秋の継続授業となる「基礎経営学」に持ち越していきたいと思っています。

◇むすびに 〜経験を踏まえて得られた知見〜
 最後に、私の経験から得た知見について要約し、結びにしたいと思います。いちばんに感じているのは、今回の大学における教育現場の変化は一過性のものではないということです。コロナウイルスの特効薬とワクチンができたら、対面形式至上主義の旧状に戻るのでしょうか。私は戻らないと思います。またある意味では「戻ってはならない」という思いがあります。私たち教員と学生が蓄積したこの経験をアフター・コロナの世界になっても生かしていかなければならないというのが、次に感じていることです。

◇大学教育をハイブリッド型にする必要 
 さらにそのためには、大学教育を「ハイブリッド型」にする必要があります。情報通信キャパシティの面では、1時間目と3時間目が対面形式の講義で、2時間目が非対面形式の講義であった場合、数百人規模での非対面講義を受講できるような設備が学内に完備されねばなりません。同じ講義でも対面と非対面が混在するというレベルの、柔軟でハイブリッド型の講義体制が理想的だと思います。また当然のことですが、従来の「補講」という概念と制度を根本的にあらためる必要があります(私は制度としての「補講」はなくなるものだと思っています)。

◇「学生ファースト」の考え方が最重要
 最後に、柔軟でハイブリッド型の教育体制を構築するにあたってもっとも大事なことは、学生にとって有益であるという「学生ファースト」の考え方だと思います。遠隔講義の準備を重ねている教員の苦労を考えると無責任なことは言えませんが、大学教育のあるべき姿は、学生にとっての有益な改革を目指すことだと考えます。

■東経大インフォメーション
◇Information 1
「ゼミガイド」発行 研究テーマや学び方など、東京経済大学のゼミが詳しくわかる
 受験生や高校の先生方をはじめ、在学生の皆さんを含めた多くの方々に東京経済大学のゼミを知っていただくため、6月19日(金)より、本学のウェブサイト(https://www.tku.ac.jp/)において『TKU Seminar Guide(ゼミガイド)』を公開しています。
 本学教員陣が展開する多彩なテーマに沿ったキーワード検索や、学部ごとにゼミを検索することが可能で、興味関心と専門の双方向でゼミについて調べることができます。
『考え抜く力を鍛える149の選択』
https://www.tku.ac.jp/department/seminar/guidebook.html

◇Information 2
「WEBオープンキャンパス(スペシャルデイ)」  
授業風景をバーチャルで体験できるWEB配信のオープンキャンパス
 新型コロナウイルス感染症対策の一環で、残念ながら本学キャンパスにおける「夏季オープンキャンパス」は中止となってしまいましたが、8月21日(金)と22日(土)の2日間、WEB配信で体験できる特別授業を実施することが決定しました。
 この「WEBオープンキャンパス(スペシャルデイ)」は、経済学部、経営学部、コミュニケーション学部、現代法学部の教員が実際に行われる授業の雰囲気を感じていただけるように講義を実施します。各授業は、事前に収録した映像の配信を基本としていますが、一部LIVE配信も予定しています。
※事前申し込み制。東京経済大学Webサイト(https://www.tku.ac.jp/)からお申込みいただけます。

◇Information 3
受験生向けの来場型イベントを限定開催!
完全予約制の「キャンパスツアーデイ」を国分寺キャンパスで実施
 本学キャンパスへの入構は現在、制限させていただいておりますが、実際に国分寺キャンパスの雰囲気を感じることができる来場型イベント「キャンパスツアーデイ」を完全予約制で実施することが決定しました。
※事前申し込み制。東京経済大学Webサイト(https://www.tku.ac.jp/)からお申込みいただけます。
※なお、本イベントは今後の新型コロナウイルス感染症拡大の状況により中止となる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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