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ベイン『アジア太平洋地域の小売の未来』レポート発行

アジア太平洋地域が世界小売業界成長の約75%を牽引

2020年8月20日
ベイン・アンド・カンパニー

新型コロナウイルスの影響で、小売業界のデジタル化が世界中で急速に加速しています。ベイン・アンド・カンパニーの新しい調査結果によると、特にアジア太平洋地域がデジタル化の加速により、全世界の小売業界成長の約75%牽引していることが分かりました。高度なデジタル成熟度を誇る当地域では、オンラインでの売上成長率やeコマース取引が大幅に増加しています。他の市場でも同じような傾向がみられ、小売業界には新しい戦略が必要となっています。

2014~2019年にかけて、アジア太平洋地域の小売販売の年平均成長率は、世界の他の地域の4倍以上の伸長を見せ、既に浸透率の高かったeコマース市場もさらに拡大しました(当地域のオンライン普及率は2014~2019年の間に9%から19%へ上昇、他の地域では6%から11%へ上昇)。オンライン決済の売上も約2倍に迫る勢いで増加し、このような高度にデジタル化された市場だからこそ、アジア太平洋地域は世界の小売業界の成長の原動力となっており、他地域の将来を予測する上で重要な市場となっています。

小売業界は、パンデミック前からデジタル変革やeコマースへの転換に着手していましたが、新型コロナウイルスの拡大によって変革が加速しました。
ベインの最新の調査結果から、今後このような危機下でも競争力をつけるために、多くのアジア太平洋地域の小売企業の経営層は、下記の6つのアクションに重点を置いていることが分かりました。

1. 価値提案の再構築:デジタル化の先駆者となったアジアの消費者には、共働きの均衡化や、貧富の差の拡大といったトレンドが見られます。このような状況が、利便性の追求やオンラインショッピングの成長を後押しし、高級小売企業とその他の両極化を加速させています。
2. デジタル化対応:アジアでは、eコマースの70%以上がスマートフォン経由で決済されていると予測されています(米国では40%)。中国では、ライブストリーミングによる短い動画経由で買い物をする消費者数は2020年にかけて約35%増えると予測され、新しいデジタル化された販売経路が急速に出現するにあたり、小売り企業は細分化される購買動線に対応していかなければなりません。
3. 将来を見据えた経営と資産保有:アジア太平洋地域で欧米と同じような広範にわたる実店舗ネットワークを築いているのは、オーストラリアと日本の小売企業のみとなっています。中国では、一人当たりの売場面積(平方メートル)の伸び率はわずか1%である一方で、オンライン購買の普及率は倍増しています。多くのアジア太平洋地域の小売企業は、各自の実店舗展開エリア外ではオンライン販売で成長を遂げているため、物理的ネットワークを広げる必要がありません。一方で、実店舗は役割を変え、来店による充足感を与えたり、ショールームのようなオムニチャネルとして機能させるようにしていく必要があります。
4. ラストワンマイルとサプライチェーンのレジリエンスの強化:自宅へのスピーディな配送に対する消費者の期待は高まっていますが、アジア諸国の都市密度、物流インフラ、不動産コスト、人件費等にはばらつきがあります。地域特性に合致したラストワンマイルのフルフィルメントモデルを適用することが求められます。
5. エコシステム(パートナーシップ)の強化:アジアにおけるエコシステムの拡大は、パンデミックの影響を受けてさらに加速しました。小売企業はデジタル能力の強化や、オンライン化の加速のために、外部企業と新たなパートナーシップを結んでいます。
6. デジタル化のための再編:小売企業は、アドバンスド・アナリティクスや、変化する市況に備え、所有するデータ資産を有効活用できるようにするために投資しています。小売企業の多くは、コロナ禍でも競争力をつけるための投資は積極的に行っています。

ベインのパートナー、ゴヴァース健二は日本の小売市場について、次のように述べています。「日本では小売企業の利益率は比較的低い上に、デジタル化の波がさらに経営を圧迫します。一方で、この状況は根本的に事業を高利益ビジネスに変革させ、サプライチェーンシステムを刷新させるための10年に一度の機会ともなり得るでしょう。」

パンデミック以前であっても小売企業が競争力を保ち、事業を継続していくことは容易ではありませんでした。コロナ禍で変化のスピードは劇的に加速しましたが、多くのアジア太平洋地域の小売企業にとっては有利な状況であると言えます。健全なプロフィットプールがあるこの地域には、業界の新たなデジタル化の未来を牽引する力を持つ企業が多く存在しているのです。

本レポートを希望される方は弊社マーケティング/広報部にご連絡ください。

ベイン・アンド・カンパニーについて
 ベイン・アンド・カンパニーは、未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファームです。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界37か国59拠点のネットワークを展開しています。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、クライアントと共通の目標に向かって「結果」を出せるように支援しています。ベインのクライアントの株価は市場平均に対し約4倍のパフォーマンスを達成しており、私たちは持続可能で優れた結果をより早く提供するために、様々な業界や経営テーマにおける知識を統合し、外部の厳選されたデジタル企業等とも提携しながらクライアントごとにカスタマイズしたコンサルティング活動を行っています。

商号  : ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
代表者 : 奥野 慎太郎(日本における代表)
所在地 : 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー8階
URL   : https://www.bain.co.jp

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