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生研支援センター 令和3年度「イノベーション創出強化研究推進事業」に採択

ドローンやAIエンジンを活用し、森林の情報を「見える化」する林業アプリ開発へ
生研支援センター 令和3年度「イノベーション創出強化研究推進事業」に採択。
金沢工業大学、石川県農林総合研究センター、石川県森林組合連合会、(株)エイブルコンピュータ

金沢工業大学が、生物系特定産業技術研究支援センター(生研支援センター)の令和3年度「イノベーション創出強化研究推進事業」に採択されました。

採択された研究は「森林画像情報にAIを活用し林業DXを現場実装するためのWebアプリの実用化」で、石川県農林総合研究センター、石川県森林組合連合会、(株)エイブルコンピュータとの産官学共同で進めているものです。森林の資源量等の調査・分析のため、小型無人機(UAV、ドローン)や全天球カメラで撮影した森林画像をAIエンジンで解析し、森林境界の明確化支援や資源情報の把握ができるWebアプリの社会実装(製品化)を行ないます。

金沢工業大学は、平成30年度の「イノベーション創出強化研究推進事業」に採択された3年計画のプロジェクトにおいて共同研究機関として研究を実施してきましたが、この研究を全国展開していくため、今年度から研究代表機関となりました。これまでのプロジェクトは、同事業「応用研究ステージ」での実施でしたが、優れた成果や将来性が見込まれる成果として、「開発研究ステージ(実用化研究型)」への移行が認められました。金沢工業大学からは、研究代表者(統括)として産学連携局 松井康浩URA(専門:プロジェクトデザイン、技術移転)、研究分担者として情報技術AI研究所 長田茂美教授(専門:人工知能、深層学習)が参画します。
採択を受け、小型無人機やAIエンジンを活用した林業の「見える化」を実現し、社会実装に向けた「林業イノベーション」を進めていきます。

「森林画像情報にAIを活用し林業DXを現場実装するためのWebアプリの実用化」概要
日本国内の林業では人手不足が深刻化しており、森林資源活用のための調査についても、さらなる省力化が求められている状況にあります。この調査・分析業務の飛躍的な効率化を目的として、小型無人機により撮影・合成した画像(UAVオルソ画像)や林内全天球画像を活用し、森林境界明確化の支援や資源情報を把握するための画像認識AIエンジン等を組み込んだ、森林組合職員等が使いやすいWebアプリを現場実装していきます。これまでの研究で開発したプロトタイプアプリの実証運用と、機能付加・精度向上を実現するための学習データセット整備とAIエンジンのグレードアップ、そしてAIエンジンの出力を最大限に活用するための実装技術の研究を推進します。

平成30年度〜令和2年度の研究では、小型無人機等により取得した森林画像から森林境界の抽出等を行うためのAIエンジンおよびプロトタイプアプリの開発、そして小型無人機による調査結果を活用しつつ、衛星画像を用いて人工林資源量を推定するためのAIエンジンの開発などを行い、成果を得てきました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202107288216-O1-4Z4Bt0Sb

開発研究ステージとなる令和3〜5年度には、様々な条件での精度検証と学習データセット整備を実施し、AIエンジンの性能向上と、現場実装に必要不可欠な関連技術開発を行います。製品版アプリの機能向上を実現すべく、下記の1〜4に取り組みます。

1. 森林画像認識のための実戦仕様AIエンジンの開発
これまでに開発してきた深層学習技術を用いた林業現場の画像認識AIエンジンの再評価・改良を進め、実戦的なAIエンジンの構築を目指します。森林の樹種判別、針葉樹人工林の丸太原木の品質推定(品質別の材積比率)、有用な広葉樹の資源量を効率的に推定する技術などを開発します。

2. AIエンジンの性能向上に必要不可欠な学習データセット整備と効率的整備手法の確立
開発したAIエンジンをより広範な林相や撮影条件に応用できるようAIエンジンの精度と汎用性を高めるための学習データセットを整備し、その効率的な整備手法を開発します。

3. AIエンジンの出力を林業DXにて最大限活用するための実装研究
AIエンジンの出力結果を、林業の現場で確実に活用できるようにするために、森林の画像情報を効果的に取得するための空撮技術の開発と、AIエンジンの出力を最大限に活用するための実装技術の開発を実施します。

4. 林業DX推進に確実に貢献するWebアプリの開発
前ステージにおいて開発したプロトタイプアプリをベースにした製品版アプリの開発を行います。森林境界明確化を支援する機能や、材積・原木品質の推定機能、有用な広葉樹の資源量推定機能などを実装予定です。

令和3年度中に石川県内森林組合等における実証運用を開始し、本格的な社会実装(製品化)に向けた課題の洗い出しと調整作業を実施します。また、令和4年度に製品版をリリース、令和5年度に第2版をリリース予定です。社会実装(製品化)を実現するために、AIエンジンの性能向上等を行い、より広範な林相や撮影条件に対応するための研究・実証を進めていきます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202107288216-O2-S7744gQ4

取り組みの背景
国内の人工林資源が成熟し本格的な利用期を迎えるなか、林業事業体における人手不足が深刻化しており、調査業務の効率化が喫緊の課題となっています。このような状況の中、ICTを活用したスマート林業等の新技術を活用した「林業イノベーション」の推進が求められています。本研究の技術開発成果となる製品によって、全国の林業事業体が多大な時間・人員・コストをかけて実施している森林調査業務の省力化・効率化が図られるようになります。さらに集約化面積の拡大が十分に期待できることから、運用コストを適切に設定することにより、全国の林業事業体に普及する見込みは非常に高いものと考えられます。

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202107288216-O3-LENWAtYF

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