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我が国の太陽光発電コスト及びオフサイトPPAの収益性に係る実態調査結果について

2024年6月20日
 EPIコンサルティング合同会社
一般社団法人 太陽光発電協会

 EPIコンサルティング合同会社(以下、EPIと呼びます)は一般社団法人 太陽光発電協会(以下、JPEAと呼びます)と共同で、2020年から2023年に運開した100件の太陽光発電所を調査し、太陽光発電コスト推移、及び太陽光オフサイトPPAの収益性を分析しましたので、以下のとおりお知らせします。

 

〇調査の背景

 オフサイトPPAは、自社の敷地内における再エネ導入に制約のある需要家にとって、需要家が主体的に再エネの導入を進めることができる優れたスキームです。本スキームは、発電事業者にとってはFITに頼ることなく長期固定価格での売電先を確保でき、小売事業者においては再エネを固定価格で長期間調達でき、需要家は電気料金の変動リスクをヘッジできるため、経済合理性の観点からも普及の兆しが見えています。

 そこでJPEA及びEPIは、2020年に実施したJPEA自主事業、及び経済産業省の補助事業である「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」を通じて収集した計100件の太陽光発電所のデータから、我が国の太陽光発電のコスト構造と推移、太陽光オフサイトPPAの収益性等を分析し取り纏めました。

 

〇太陽光発電コストの推移

 太陽光発電コストの推移を図1に示します。 我が国における高圧地上設置型の太陽光発電所の発電コストは、2020年運開の発電所において12.8円/kWhでした。2023年1月運開の発電所は12.6円/kWhと一時的にコストは下がりましたが、2023年10月運開の発電所は円安及びインフレ等の影響により資機材が高騰し、コスト低減が足踏み状態となっています。

 一方、今後は太陽光パネルの国際価格の低下に加え、現状20%程度の変換効率の更なる向上、現時点で20年程度を見込む稼働年数の30年超への延長、工事費の低減、両面受光パネルの普及による発電量の増加等、発電コストは低減していく見込みです。

 JPEAでは、2030年頃に到達すべきコスト低減目標として7円/kWh(割引率0%)を掲げていますが、このレベルに到達するには、相当程度の低減を実現する必要があります。一方、昨今の円安やインフレの影響を考慮すると、火力発電等のコストも上昇傾向にあり、7円/kWhに到達しなくとも、相対的なコスト競争力を有する可能性は十分あり得ます。

 なお、国際的にも太陽光発電コストは下げ止まりもしくは上昇傾向にあります。JPEAでは2020年にドイツにおける太陽光発電コストを調査しており、当時の為替レート123EUR/JPY換算で5.9円/kWhでした。今日では2020年より約40%円安が進んだことを考慮すると、日本とドイツのコスト差は小さくなっているものと考えられます。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406051786-O1-P7FW3S45

 

 

〇オフサイトPPAにおける需要家のコストメリット

 高圧需要家に対する太陽光オフサイトPPAの小売単価と電気料金の比較を図2に示します。2023年1月運開の太陽光オフサイトPPA案件では、補助金を考慮した高圧需要家への小売価格は21.6円/kWhでした。比較対象の電気料金は、ロシアのウクライナ侵攻により天然ガス・石炭の価格が高騰したため25.5円/kWhでした。このため需要家は環境価値を含まずともオフサイトPPAから十分なコストメリットを得ることができていました(図2の左の積み上げグラフ)。

 2023年10月運開の太陽光オフサイトPPA案件では同小売価格は24.1円/kWhでした。比較対象の電気料金は、天然ガス・石炭の価格が下落し、基準価格が変更された結果、19.1円/kWhに低下しました。しかし、それでもなおオフサイトPPAを締結した需要家が存在したのは、将来の価格高騰リスクのヘッジと環境価値等の付加価値を評価したためと考えられます(図2の中央の積み上げグラフ)。

 JPEA及びEPIでは、2030年におけるオフサイトPPAの小売単価を図2の右側の積み上げグラフのとおり試算しました。具体的には、太陽光の発電原価が7円/kWhまで低下し、発電事業と小売事業の効率化を見込む場合、オフサイトPPAの小売単価は20.5円/kWhとなります。比較対象の電気料金は過去10年間で最も電気料金の高い2022年、最も低い2016年を基準とし、環境価値は0円/kWh、3円/kWh、7円/kWhの3パターンを想定しました。この結果、燃料価格が過度に低下しない限り、環境価値が3円/kWh以上であれば、補助金が無くとも、需要家がオフサイトPPAからコストメリットを得られる可能性が示されています。従って、再エネの環境価値次第ですが、オフサイトPPAはいずれ自律的に普及していくものと期待されます。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406051786-O2-pdfDeR0Z

 

 

〇本報告書の詳細について

 本報告書について詳しく知りたい方のために、EPI及びJPEAでは報告書の概要を特設ウェブサイトに取り纏めました。また、報告書全編をご覧になりたい方は、以下のJPEAウェブサイトから、必要事項を入力の上、報告書をダウンロード頂けます。

 

我が国の太陽光発電コスト及びオフサイトPPAの収益性に係る実態調査

サマリー版特設ウェブサイト

www.epi.inc/insights/work/jpea/

 

報告書ダウンロードウェブサイト

www.jpea.gr.jp/feature/jp_pc/report_r4/

 

 EPI及びJPEAは、関係者と連携の上、太陽光オフサイトPPAの普及に向けて支援を進めてまいります。

 

【協会概要】 一般社団法人 太陽光発電協会

 一般社団法人 太陽光発電協会(Japan Photovoltaic Energy Association:略称JPEA)は、太陽光発電システムに関連する利用技術の確立及び普及促進、並びに産業の発展によって、我が国経済の繁栄と、国民生活の向上に寄与し、もって会員の共通の利益を図ることを目的としています。

 

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M108050/202406051786/_prw_OT1fl_j96dX3vW.png

 

【会社概要】 EPIコンサルティング合同会社

 EPIコンサルティングは世界の石油メジャー出身者により2000年に設立されたエネルギー領域に特化した戦略コンサルティングファームです。国内随一の専門性と少数精鋭のファームならではの機動力を強みに、20年以上にわたりお客様のエナジートランジションを支えています。

 

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M108050/202406051786/_prw_OT2fl_dGzA9zjv.png

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