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帯域外漏洩電力を大幅に抑圧し、高い周波数資源の利用を実現するオープンソース型ローカル5Gシステムを開発

商用端末も接続可能なシンプルで小型なローカル5Gの社会実装を加速

2024年7月18日
京都大学 原田博司研究室

国立大学法人 京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授、水谷圭一准教授、武田和樹修士課程学生の研究グループ(以下 京都大学)は、帯域外漏洩電力を大幅に抑圧し、周波数を高密度に利用することが可能なUTW−OFDM方式と、基地局のみならず基地局に接続する端末の使用周波数帯域を適応的に制御する端末利用帯域適応制御技術を搭載した、商用端末も接続可能なシンプルで小型なローカル5Gシステムをオープンソースによるソフトウェア無線技術で開発しました。

現在、5Gシステムは携帯電話の事業者のみならず、地域の企業や自治体等の主体が、主に建物内や敷地内での限定されたエリアにおいて、5Gを自営系無線通信システムとして利用されています。このシステムは、ローカル5Gシステムと呼ばれ、Wi-Fiに代表される無線LANと比較して、無線局免許に基づいているため通信速度等が安定的な利用が可能である一方、無線機の価格が高価であること、商用端末の利用ができないこと等の課題があるため、未だ爆発的な普及には至っていません。

このローカル5Gの普及促進を行うためには、商用端末が接続可能なWi-Fiのアクセスポイントのような小型無線基地局、コアネットワークの開発が必要になります。さらに、このような小型ローカル5Gが爆発的に普及した場合、限られた周波数帯域において、多くの周波数チャネルが必要となり、これを実現するためには帯域外漏洩電力を大幅に抑圧し、周波数を高密度に利用することが必要になります。

今回、主に下記の5点について研究開発しました。
(1)     5G NRを実現するオープンソースソフトウェア(以下5Gソフトウェアとする。)を利用し、小型PC2台内にそれぞれ5G NRの基地局のベースバンド処理機能(CU、DU機能)とコアネットワークの機能をソフトウェアで実現
(2)     この基地局のダウンリンク信号処理を行う5Gソフトウェアに帯域外漏洩電力を大幅に抑圧し、周波数を高密度に利用することが可能なUTW−OFDM方式を実現する機能を追加
(3)     この基地局のアップリンク信号処理を行う5Gソフトウェアに基地局に接続する端末の使用周波数帯域を適応的に制御する端末利用帯域適応制御技術であるEdge-cutスケジューリング法を追加
(4)     5G NRの基地局のベースバンド信号処理部が搭載された小型PCとソフトウェア無線機を接続することによりローカル5Gの運用周波数帯(4.9GHz帯)において変調、復調を実現
(5)     このローカル5G基地局と商用端末(iPhone 14 Pro)を接続させ、通信に成功するとともに、基地局から遠隔で商用端末の送信周波数帯域幅を可変させることに成功

なお5G NRの無線機の開発には京都大学が国内の大学として最初かつ唯一加入しているOAI(OpenAirInterface) software Allianceが供給するオープンソースを利用しました。

今回の成果により、オフィス、工場等の限定されたローカルな範囲内において、商用端末と接続可能なシンプルな5Gシステムを提供することができるようになり、ローカル5Gシステムの普及が加速することになります。

詳しくは
https://www.dco.cce.i.kyoto-u.ac.jp/ja/PL/PL_2024_07.html
をご覧ください。

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