オープンソースと指向性制御アンテナアレイを用いたミリ波帯ローカル5Gソフトウェア無線システムを開発
[24/07/22]
提供元:共同通信PRワイヤー
提供元:共同通信PRワイヤー
2024年7月22日
京都大学 原田博司研究室
国立大学法人 京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授の研究グループ(以下 京都大学)は、5G NRを実現する各種無線パラメータをソフトウェアで設定・変更可能なオープンソースソフトウェアとアンテナビームの方向をソフトウェアで変更可能なミリ波帯(28GHz帯)アンテナアレイを用い、アンテナの指向性を制御しつつ、5G NRのシステムを実現するソフトウェア無線技術を用いたミリ波帯ローカル5Gシステムを開発しました。
現在、携帯電話の事業者のみならず、地域の企業や自治体等のさまざまな主体が限定されたエリアにおいて、5Gを自営系無線通信システムとして利用するローカル5Gが普及しつつあります。中でも28GHz帯を用いたローカル5Gシステムは、ミリ波帯ローカル5Gシステムと呼ばれ、広い周波数帯域幅を利用することができるため、5Gシステムがもつ超高速大容量、低遅延、多数同時接続といった特徴を有する新しいアプリケーションの創出が期待されています。
しかし、ミリ波帯ローカル5Gシステムは、Sub 6 と呼ばれる6GHz帯の周波数を用いるローカル5Gと比べ、波長が短いため伝送距離が短いという課題があり、その課題を回避するためにアンテナアレイを用いてアンテナビームを構成し、その指向性を変化させて、アンテナ利得を用いて伝送距離を伸ばす方法が利用されています。しかし、Wi-Fiに代表される無線LANと比較して、無線局免許に基づいているため通信速度等が安定的な利用が可能である一方、無線機の価格が非常に高価であること、アンテナビームの制御が十分ではなく通信エリアの安定した確保ができない等の課題があるため、未だ爆発的な普及には至っていません。
このミリ波帯ローカル5Gの普及促進を行うためには、Wi-Fiのアクセスポイントのような小型無線基地局、コアネットワークの開発が必要になります。さらに、送受信のアンテナ指向性がユーザーにより自由に変えることができる5Gシステムと連携可能なミリ波ローカル5Gシステムの開発が必要になります。
今回、主に以下の4点について研究開発しました。
(1) 5G を実現するオープンソースソフトウェア(以下5Gソフトウェアとする。)を利用し、汎用PC内にそれぞれ5G NRの基地局のベースバンド処理機能(CU、DU機能)、コアネットワークの機能、端末のベースバンド処理機能(UE機能)を具備するとともに、このPCを28GHz帯の信号に変換し、アンテナビームの方向を変更可能なミリ波帯アンテナアレイを接続して、5Gソフトウェア無線システムを開発
(2) 5Gソフトウェアに対して5Gシステムの時間フレームごとに決定される送信、受信のタイミングに合わせてアンテナビームの指向性を制御可能なソフトウェアを新規に追加
(3) この基地局の信号処理を行う5Gソフトウェアに帯域外漏洩電力を大幅に抑圧し、周波数を高密度に利用することが可能なUTW−OFDM方式を実現する機能を追加
(4) コアネットワーク、基地局、端末を用いて、ミリ波帯ローカル5Gシステムを運用し、ビーム方向を送受信独立で自由に変えてデータ伝送に成功
なお5G NRの無線機の開発には京都大学が国内の大学として最初かつ唯一加入しているOAI(OpenAirInterface) software Allianceが供給するオープンソースを利用しました。また、指向性制御のアンテナアレイとして水平方向、垂直方向共に±45度制御可能である4x4の16素子からなるTMYTEK社のBBoxを利用しました。
今回の成果により、オフィス、工場等の屋内から車とあらゆるものを接続するV2X(Vehicle-to-everything)等の屋外環境においてローカル5Gを実現するためのアンテナ制御、伝送に掛かるパラメータを容易に取得することができ、ミリ波帯ローカル5Gシステムの普及が加速することになります。
詳しくは
https://www.dco.cce.i.kyoto-u.ac.jp/ja/PL/PL_2024_08.html
をご覧下さい。
京都大学 原田博司研究室
国立大学法人 京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授の研究グループ(以下 京都大学)は、5G NRを実現する各種無線パラメータをソフトウェアで設定・変更可能なオープンソースソフトウェアとアンテナビームの方向をソフトウェアで変更可能なミリ波帯(28GHz帯)アンテナアレイを用い、アンテナの指向性を制御しつつ、5G NRのシステムを実現するソフトウェア無線技術を用いたミリ波帯ローカル5Gシステムを開発しました。
現在、携帯電話の事業者のみならず、地域の企業や自治体等のさまざまな主体が限定されたエリアにおいて、5Gを自営系無線通信システムとして利用するローカル5Gが普及しつつあります。中でも28GHz帯を用いたローカル5Gシステムは、ミリ波帯ローカル5Gシステムと呼ばれ、広い周波数帯域幅を利用することができるため、5Gシステムがもつ超高速大容量、低遅延、多数同時接続といった特徴を有する新しいアプリケーションの創出が期待されています。
しかし、ミリ波帯ローカル5Gシステムは、Sub 6 と呼ばれる6GHz帯の周波数を用いるローカル5Gと比べ、波長が短いため伝送距離が短いという課題があり、その課題を回避するためにアンテナアレイを用いてアンテナビームを構成し、その指向性を変化させて、アンテナ利得を用いて伝送距離を伸ばす方法が利用されています。しかし、Wi-Fiに代表される無線LANと比較して、無線局免許に基づいているため通信速度等が安定的な利用が可能である一方、無線機の価格が非常に高価であること、アンテナビームの制御が十分ではなく通信エリアの安定した確保ができない等の課題があるため、未だ爆発的な普及には至っていません。
このミリ波帯ローカル5Gの普及促進を行うためには、Wi-Fiのアクセスポイントのような小型無線基地局、コアネットワークの開発が必要になります。さらに、送受信のアンテナ指向性がユーザーにより自由に変えることができる5Gシステムと連携可能なミリ波ローカル5Gシステムの開発が必要になります。
今回、主に以下の4点について研究開発しました。
(1) 5G を実現するオープンソースソフトウェア(以下5Gソフトウェアとする。)を利用し、汎用PC内にそれぞれ5G NRの基地局のベースバンド処理機能(CU、DU機能)、コアネットワークの機能、端末のベースバンド処理機能(UE機能)を具備するとともに、このPCを28GHz帯の信号に変換し、アンテナビームの方向を変更可能なミリ波帯アンテナアレイを接続して、5Gソフトウェア無線システムを開発
(2) 5Gソフトウェアに対して5Gシステムの時間フレームごとに決定される送信、受信のタイミングに合わせてアンテナビームの指向性を制御可能なソフトウェアを新規に追加
(3) この基地局の信号処理を行う5Gソフトウェアに帯域外漏洩電力を大幅に抑圧し、周波数を高密度に利用することが可能なUTW−OFDM方式を実現する機能を追加
(4) コアネットワーク、基地局、端末を用いて、ミリ波帯ローカル5Gシステムを運用し、ビーム方向を送受信独立で自由に変えてデータ伝送に成功
なお5G NRの無線機の開発には京都大学が国内の大学として最初かつ唯一加入しているOAI(OpenAirInterface) software Allianceが供給するオープンソースを利用しました。また、指向性制御のアンテナアレイとして水平方向、垂直方向共に±45度制御可能である4x4の16素子からなるTMYTEK社のBBoxを利用しました。
今回の成果により、オフィス、工場等の屋内から車とあらゆるものを接続するV2X(Vehicle-to-everything)等の屋外環境においてローカル5Gを実現するためのアンテナ制御、伝送に掛かるパラメータを容易に取得することができ、ミリ波帯ローカル5Gシステムの普及が加速することになります。
詳しくは
https://www.dco.cce.i.kyoto-u.ac.jp/ja/PL/PL_2024_08.html
をご覧下さい。