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義務撤廃後も総合計画策定は続くが、総合戦略の基本目標やKPIは考慮されず

令和6年度『自治体総合計画に関するアンケート調査』結果

 (公財)日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)の自治体マネジメントセンターは、8月28日、「自治体総合計画に関するアンケート調査」結果を公表しました。本調査は、わが国の地方自治体における総合計画の現状と課題を把握し、総合計画の策定・運用支援等の基礎資料とするため、平成24(2012)年に第1回、平成28(2016)年に第2回の調査を実施してきました。3回目となる今回は、多くの自治体で2025年度末に総合計画の期間が終了することを勘案し、本年6月10日(月)〜28日(金)、全国の1,538市区町を対象に郵送で実施し、760市区町(49.4%)の総合計画担当者から回答を得ました。

 今回の調査から、総合計画(基本構想)の策定義務が撤廃された平成23(2011)年以降も回答団体の9割以上で総合計画の策定が続いている一方で、回答団体の3割以上で総合計画の数値目標とデジタル田園都市国家構想総合戦略(以下「総合戦略」)の基本目標やKPIとの関係性が考慮されていないことが明らかとなりました。主な特徴は以下の通りです。

 

1.総合計画策定状況と根拠:策定義務撤廃後も多くの団体で総合計画を策定(別紙P3〜4)

・回答団体の97.2%が「計画期間中の総合計画がある」と回答(Q1)した他、93.6%が総合計画を「今後も策定する予定」と回答(Q2)した。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408275447-O3-54XkH5dz

 

・平成23(2011)年5月の地方自治法の改正により市町村の基本構想の策定義務付けが撤廃されたが、平成28(2016)年の前回調査では、総合計画を策定する根拠について、「根拠はない」とする団体が22.3%だったのに対し今回は15.2%へと減少した(Q1-1)。

 

2.総合戦略との関連性に課題:31.8%の団体で総合戦略と総合計画が一致せず(別紙P8〜9)

・31.8%の団体では、総合計画の数値目標と総合戦略の基本目標が「ほぼ一致していない」か「関係は特に考えていない」(Q6)。また、33.1%の団体では総合計画の数値目標と総合戦略のKPIが「ほぼ一致していない」か「関係は特に考えていない」(Q6-2)。

・自治体政策の最上位に位置付けられる総合計画の目標との関係性が考慮されていない場合、総合戦略の実効性に課題がある可能性がある。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408275447-O2-sXF6ll60

 

3.SDGsへの貢献が重要な政策課題:81.1%の団体がSDGsを総合計画に関連付け(別紙P14)

・81.1%の団体が総合計画にSDGsを「関係させている」と回答(Q15)。そのうち「基本計画」とSDGsを関係させていると回答した団体が84.7%(Q15-1)で最も多かった。また、SDGsの反映度合いについて基本計画では40.3%の団体がSDGsを「非常に反映させている」と回答(Q15-2)しており、地方自治体においてもSDGsの達成への貢献が重要な政策課題と位置づけられていることが分かる。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408275447-O1-2NbCHN3p

 

4.個別計画の平均は約66本:6割近く(56.3%)の団体では個別計画が把握されず(別紙P15)

・「個別計画の数を把握している」団体は40.4%(Q17)で、それらの団体における個別計画の数の平均値は65.6本(Q17-1)だった。総合計画と個別計画の目標について、「ほぼ一致していない」「関係は特に考えていない」「わからない」と回答した団体は合計で37.7%(Q16)であった。

・個別計画を把握できていない団体数が多いことから、実際の個別計画数はさらに多い可能性もあり、計画行政に関する司令塔機能の不在や縦割り行政の打破が課題となっている可能性がある。

 

【別添資料】別紙:令和6年度「自治体総合計画に関するアンケート調査」結果・調査票

調査結果は、日本生産性本部自治体マネジメントセンターのサイト

https://www.jpc-net.jp/research/list/local-government.html)をご参照ください。

 

【調査概要】

 調査概要は下記の通り。本調査は、慶應義塾大学・玉村雅敏研究室の監修・協力のもと実施した。

調査名:自治体総合計画に関するアンケート調査

調査対象:全国の市区795団体及び町743団体(総合計画担当責任者宛)(令和6(2024)年5月末日現在)

調査方法:郵送にて配布、回収

調査票配布期間:令和6(2024)年6月10日〜6月28日

回収状況:

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106914/202408275447/_prw_PT1fl_5COK2A9h.png

※回収率の分母は令和6(2024)年5月末現在の市区、町の全団体数。なお、村は団体数が少ないため、調査対象から除外した。

 

【総合計画について】

 一般に、基本構想、基本計画、実施計画の3層構造から構成される計画であり、当該団体における最上位計画として位置づけられている。基本構想は地域社会や市町村の将来像を示すもの、基本計画は基本構想をより具体化したもの、実施計画は基本計画をさらに具体化したものである。市町村は地方自治法により基本構想の策定が義務付けられていた。しかし、平成23(2011)年5月の地方自治法の改正により策定義務付けが撤廃された。

 

【総合戦略について】

 国は、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を抜本的に改訂し、令和5(2023) 年度を初年度とする5か年の新たな「デジタル田園都市国家構想総合戦略」(以下、国による総合戦略)を示した。地方においては、まち・ひと・しごと創生法(平成 26 年法律第 136 号)第9条及び第10条に基づき、国による総合戦略を勘案し、都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略及び市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定するよう努めなければならないこととされている。

 

【個別計画について】

 個別計画とは、各分野における取組を推進していくため、それぞれの分野の具体的な取組内容を記載した計画・方針・指針などを定めたもの。一般的に地方自治体の最上位とされる計画である総合計画に記載された内容を踏まえて、対象となる分野の将来像や目標を掲げ、その実現に向けたより具体的・詳細な取組などを示す。

 

【日本生産性本部 自治体マネジメントセンターの取り組み】

当センターでは平成23(2011)年、わが国のベスト・プラクティスとされる団体の参画を得て、「新たな総合計画策定モデルの開発に関する研究会」(座長:玉村雅敏・慶應義塾大学教授)を組織し、その成果を「地方自治体における総合計画ガイドライン〜新たな総合計画の策定と運用〜」として刊行した。平成24(2012)年には「総合計画の新潮流〜自治体経営を支えるトータル・システムの構築」(公人の友社)を刊行し、現在は総合計画のあり方を提示すると共にその策定支援と普及に努めている。

 

 

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