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EY調査、海外人事体制の強化、人員不足の解消が課題

「第6回EYモビリティサーベイ」を発表

・海外現地法人業務のための海外出張関連費用は、「海外現地法人が全額負担」と「日本法人が全額負担」で回答が割れる結果に。また海外出張費用負担のルール・ポリシーを策定しているとの回答が67%に上る。

・海外人事体制について、「人員は足りている」は30%にとどまり、59%が人員不足を感じていると回答。赴任者数が増加すると人員不足感が強まる傾向にある。

・国をまたいだリモートワーク・バーチャルアサインメントについては、制度化している企業は5%以下にとどまるものの、「個別判断で認める場合がある」との回答が約20%と、実務ベースで対応事例が発生しつつあることが明らかになった。

 

EY税理士法人およびEY行政書士法人は、日本企業の海外出張・海外人事体制・国をまたいだリモートワークの実態を調査した「第6回EYモビリティサーベイ」を発表したことをお知らせします。今回は「海外出張、海外人事体制、国をまたいだリモートワーク・バーチャルアサインメント」について調査を実施しました。

 

本調査は、海外赴任者および海外出張者の手当・処遇・税務の実態を明らかにすることを目的とし、2024年4〜5月にかけて実施しました。主に企業の人事・経理・経営企画系を中心とした管理系部門に属する225名(204社)の回答をもとに調査・分析を行いました。

 

<第6回EYモビリティサーベイの調査結果>

海外出張:

1.出張先地域別飛行機クラス

日本からのフライト時間の長い地域(アフリカ・中南米)はビジネスクラス利用を認める割合が高い傾向にあるものの、多くの企業がエコノミークラスを標準クラスとしています。

2.出張日当

「全拠点一律で上限額を定めている」が最も多く52%、次いで「拠点または地域別で上限額を定めている」が36%という結果となりました。

3.出張費用の管理・費用負担のポリシー

出張日数・費用の管理は「出張者の所属部門が行う」とする割合が56%で、「管理部門」の36%を上回りました。また出張費用負担方法のルールやポリシーの策定状況については、67%が「ルール・ポリシーがある」とするものの、「ない」との回答も20%に上り、税務調査に備えた対策が必要と考えられます。

4.課題

昨今の為替の急変動・世界的な物価高による宿泊費、日当の見直し基準の設定、出張費用の負担先、有事の体制構築等が課題として挙げられます。

 

海外人事体制:

1.戦略/オペレーション

海外人事の戦略とオペレーションを「同じチームで担当」が46%、「別のチームが担当」が32%と回答が割れる結果となりました。また赴任者数が多い企業ほど、シェアードサービスや外部委託を活用する傾向が明らかになりました。

2.今後力を入れて取り組みたい分野204社中116社が「手当・福利厚生制度をはじめとした海外勤務者規程の策定・見直し」と回答し、制度改定を検討する企業の多さが浮き彫りとなりました。

 

国をまたいだリモートワーク・バーチャルアサインメント:

1.検討時に気を付けているポイント

204社中156社が「税金の取扱い」と回答、次いで「労務管理」(108社)、「ビザの取扱い」(105社)という結果となりました。

2.今後について・課題

50%が「ケース・バイ・ケースで検討」と回答し、検討段階の企業の多さが明らかとなりました。

また他社での導入事例を聞いてみたいという声が多く、ニーズはあるものの事例の少なさから制度化に至っていない企業も多いことが推測できます。

 

EY税理士法人 パートナー 藤井 恵(ふじい めぐみ)のコメント:

「今回は『海外出張者の処遇』『海外人事体制』『海外リモートワーク』の3点に絞って調査を実施しました。海外出張については、日当、宿泊費、航空機座席クラス、海外現地法人のための出張時の費用負担について調査しています。航空機座席クラスについては、一般社員はエコノミークラスが主流ですが、長距離移動の場合はビジネスクラスやプレミアムエコノミークラスの利用を認める企業も2割程度存在することが明らかになりました。

また、宿泊費について役員クラスは2.5万円〜3万円、課長クラスは2万円〜2.3万円、一般社員については2万円〜2.2万円が中央値でしたが、「上限設定せず実費支給」の企業も4割近く存在する点からも、昨今の円安や海外物価高に応じて柔軟に対応していることが明らかです。日当についても役職ごとの差はそれほど大きくなく、役員クラスが7,600円〜8,000円、課長クラスが7,000円〜7,500円、一般社員が6,600円〜7,000円、という結果でした。また、海外現地法人のための出張であっても、日本法人が費用を全額または一部負担している企業が4割以上存在するため、今後の税務調査で指摘を受ける可能性があることから注意が必要です(詳細結果は回答企業様に配布済み)。

 

海外人事体制については、赴任者数が多い企業ほど、シェアードサービスや外注を利用するなど、分業体制が進んでいることがわかりました。一社当たりの海外人事担当者は5名程度(中央値)という結果でした。しかしその多くは専任ではなく、他業務との兼務で担当されている傾向にあります。そのため、業務負荷が多い割に割ける時間が少なく、知見が十分でない、そもそも担当者数が不足しているという意見も多く、海外人事業務担当者の苦労が垣間見えます。

今後優先的に取り組みたいこととしては「海外勤務者規程の策定・見直し」が最も多くなっていました。海外赴任者の多様化や外部環境の変化に伴い既存規程では対応が難しいことに対し、対応策を検討されていることが明らかです。

 

また、国をまたいだリモートワーク・バーチャルアサインメントについては、税務面について特にリスクを感じておられ、規程や内規等で制度化している企業は5%程度ですが、個別判断や今後検討していきたいという企業が3割ほど存在します。一方、「認めていない」とする企業も半数近くあり、国内でも出社回帰の傾向も見られることから、海外リモートワークは必要に応じて限定的に認める、という体制が継続する見込みです」

 

調査結果の概要:

主な調査結果は、以下のEY Japanのウェブサイトからご覧ください。ダウンロード可能です。

EY調査、海外人事体制の強化、人員不足の解消が課題 −「第6回EYモビリティサーベイ」を発表:国内外200社以上の海外出張・海外人事体制・国をまたいだリモートワークの実態調査 | EY Japan

 

<第6回EYモビリティサーベイ概要>

本調査は、海外赴任者・出張者・海外からの出向者の実態を明らかにすることを目的として定期的に実施しております。

 

目的:海外赴任者・出張者に対する処遇・税務等の実態調査・分析

テーマ:海外出張、海外人事体制、国をまたいだリモートワーク・バーチャルアサインメント

実施期間:2024年4月8日(月)〜24年5月31日(金)

回答者数:225名(有効回答数* :204社)

*同一企業から複数名ご回答いただいた場合は、以下の基準により代表回答を選定

1. 本社と現地子会社−本社のご回答を優先

2. 人事系部署とそれ以外の部署からのご回答−人事系部署からのご回答を優先

3. 同一部署内で複数名のご回答−設問に対する有効回答数が多い方を優先

 

これまでの調査結果:

・第1回EYモビリティサーベイ

コロナ禍の一時帰国者処遇、利用できないベネフィット・残留赴任者の取り扱い、費用負担、赴任者総コスト、任地個人所得税

第1回:2021年10月22日(金)〜21年11月26日(金)
EY調査、新型コロナウイルスの海外赴任への影響や赴任者コストに関する実態が明らかに

 

・第2回EYモビリティサーベイ

ビザ・水際対策・海外出張・外国籍社員の受け入れ

第2回:2021年12月8日(水)〜22年1月17日(月):EY調査、新型コロナウイルスの水際対策による企業活動への影響の大きさが鮮明に

 

・第3回EYモビリティサーベイ

海外赴任者の手当・給与・福利厚生・海外赴任者規程・海外出張時の二重課税

第3回:2022年2月14日(月)〜22年3月31日(木):EY調査、海外赴任者に関する処遇制度の見直し・再検討が急務に | EY Japan

 

・第4回EYモビリティサーベイ

帯同する子の教育・帯同家族の就労・赴任前支度金

第4回:2022年9月8日(木)〜22年10月14日(金):EY調査、海外赴任時の帯同家族の就労状況、帯同する子の費用負担が課題 | EY Japan

 

・第5回EYモビリティサーベイ

海外赴任中の医療費・出産・子育てへのサポート体制・物価・為替変動への対応

第5回:2023年9月12日(火)〜23年10月13日(金):EY調査、海外赴任者の多様化進む、サポート体制の強化が急務に −「第5回EYモビリティサーベイ」を発表:国内外240社以上の海外赴任者の手当・処遇・税務の実態調査 | EY Japan

 

 

補足資料:

第6回全調査項目は以下の通りです(太字箇所は調査結果の概要にて記載)。

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101776/202408305687/_prw_PT1fl_5ImASgNu.png

 

<EYについて>

EY | Building a better working world

EYは、「Building a better working world 〜より良い社会の構築を目指して」をパーパス(存在意義)としています。クライアント、人々、そして社会のために長期的価値を創出し、資本市場における信頼の構築に貢献します。

150カ国以上に展開するEYのチームは、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長、変革および事業を支援します。

アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務およびトランザクションの全サービスを通して、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導きます。

EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。

 

〈EY税理士法人について〉

EY税理士法人は、EYメンバーファームです。税務コンプライアンス、クロスボーダー取引、M&A、組織再編や移転価格などにおける豊富な実績を持つ税務の専門家集団です。グローバルネットワークを駆使して、各国税務機関や規則改正の最新動向を把握し、変化する企業のビジネスニーズに合わせて税務の最適化と税務リスクの低減を支援することで、より良い社会の構築に貢献します。詳しくは、ey.com/ja_jp/people/ey-taxをご覧ください。

 

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