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株式市場と貸株市場の相互連関

日銀のETF買入れが貸株供給に寄与し、空売り制約を緩める「レンディング・チャネル」を実証

株式市場と貸株市場の相互連関 ―日銀のETF買入れが貸株供給に寄与し、空売り制約を緩める「レンディング・チャネル」を実証―


【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102172/202510016385/_prw_PT1fl_jj716B41.png

 

日本銀行が近年実施してきた、ETF(Exchange Traded Funds、上場投資信託)(※1)の大規模な買入れ政策が、株式市場において直接的に株価を押し上げるだけではなく、空売り(※2)などを行うために株を貸し借りする市場(貸株市場)にも強い影響を与えていたことが明らかになりました。

従来の研究は株価の押し上げ効果に注目してきましたが、本研究は、ETF発行残高が増加するに従い、貸株市場に株式が供給され、空売りがしやすくなることで、そもそもの株価の押し上げ効果が弱まっていくメカニズムを明らかにしました。これは、近年世界的にみても急速にプレゼンスを高めているETFを通じ、株式市場と貸株市場が相互連関しながら株価に影響を与えていることを示す、国際的にも新しい知見です。

本研究は、早稲田大学商学学術院の片桐 満(かたぎり みつる) 准教授、早稲田大学国際学術院の篠 潤之介(しの じゅんのすけ) 准教授、日本銀行金融研究所の高橋 耕史(たかはし こうじ) 企画役による共同研究(※3)で、2025年9月4日に「The Review of Asset Pricing Studies」に掲載されました。

論文名:To Lend or Not to Lend: The Bank of Japan’s ETF Purchase Program and Securities Lending

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202510016385-O1-eWBhqHd8】 (図)日本銀行

(1)これまでの研究で分かっていたこと 

2008年の世界金融危機以降、各国の中央銀行は「非伝統的金融政策」として、さまざまなタイプの金融資産を大規模に買入れる政策を模索してきました。日本銀行は2010年から、TOPIXや日経225などの株価指数に連動するETF(上場投資信託)を大規模に買い入れる政策を実施し、これまでの学術研究では、その効果として株価の押し上げが確認されてきました。しかし、こうした既存研究では主にETFを買い入れることによる直接的な株価押し上げ効果に焦点を当てており、空売りなどを目的に株式を貸し借りする市場(貸株市場)への影響や、空売り制約・貸株料の変動といった要素は分析対象とはなっていませんでした。

 

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと、そのために新しく開発した手法

片桐准教授、篠准教授、高橋企画役の研究グループは、日本銀行のETF買入れは、「株価の直接的な押し上げ効果」だけではなく、「貸株市場を通じた間接的な効果」も有しているのではないか、という点に着目しました。これまでの研究は主に前者の直接的な株価への押し上げ効果を対象にしていましたが、実際には、ETF買入れ政策は、規模が非常に大きいだけに、投資家が株を借りて売る「空売り」のしやすさや、その際に発生する貸株料といった市場の力学にも少なくない影響を与えているはずであると考え、本研究は、この「見えにくい経路」を明らかにすることを目指しました。

具体的には、日本銀行が2010年以降に開始したETF買入れプログラムを分析対象とし、2011年から2019年までの株式データと貸株データを組み合わせた独自のデータセットを構築しました。データセットには、個別株式銘柄ごと・取引日ごとの日銀によるETF買入れ額、貸株料、貸出可能株式数、株価リターンなどの詳細が含まれています。ある銘柄のある取引日における、「株式市場関連のデータ」と「貸株市場関連のデータ」を包括的に扱うことで、株式市場と貸株市場の市場連動性(相互依存関係)を捉えることが可能となりました。

分析の結果、次の3点が明らかになりました。第1に、日銀によるETF買入れは短期的には株価を押し上げる効果を持ちます。特に貸株市場で株を借りにくい銘柄ではその効果が大きく現れました。第2に、ETF買入れにともなうETF発行残高の増加は、貸株市場に株式を供給する役割を果たすことから、残高の増加とともに株を借りる際に借り手が払う貸株料が徐々に低下し、同時に株を貸し借りする取引量も増加していくことが確認されました。これは、貸株市場において、株を借りて空売りを行うためのコスト(空売り制約)が低下していることを意味します。第3に、当初の貸株料が高く、空売り制約が緩和する余地の大きい銘柄は、空売りが増加することで株価に対する下押し圧力が高まり、第1の点で指摘した短期的な株価押し上げ効果が剥落していくことが明らかになりました。すなわち、ETF買入れは、その残高増によって、貸株市場と株式市場の連関を通じた効果も発揮していることが確認されました。本研究ではこの効果を「レンディング・チャネル」と名付けました。

本研究は、中央銀行の資産買入れ政策が、市場間の連関を通じてどのように作用するかを従来よりも精緻に捉えた初めての実証研究です。特に、「買入れによって資産価格を押し上げる」という単純な理解を超えて、「買入れ対象となっている金融資産を貸借する市場や市場連動性を通じた、多様な波及効果が存在する」という新しい知見を示したことで、今後の金融市場制度設計や政策評価に重要な示唆を与えると考えています。

 

(3)研究の波及効果や社会的影響

本研究は、中央銀行によるETF買入れが金融市場に与える影響を「株価の押し上げ効果」だけでなく、「貸株市場を通じた効果」という新しい視点から明らかにしました。この成果は、学術的には資産価格形成における貸借市場の役割や、現物市場と貸借市場の連動性を実証的に示した点で大きな意義があります。従来は現物市場と貸借市場を別々に捉える研究が多く、両者の相互作用を明確に示した例は相対的に限定的でした。

社会的には、中央銀行の資産買入れ政策が、直接的な経路だけではなく、多様な経路を通じて金融市場や資産価格に波及することを明らかにした点で重要です。これは、将来の資産買入れ政策や金融市場の制度設計の際に、より幅広い視点で影響を評価する必要があることを示しています。とりわけ、日本銀行は現在も数十兆円規模のETFを保有していることから、この保有を将来削減していく過程でどういった影響が生じうるのかを考えるうえでも、重要な視座を提供しています。

さらに、海外の中央銀行や国際機関にとっても、本研究の知見は貴重であり、中央銀行による大規模な株式指数連動型ETFの買入れという、世界でも類をみない日本の経験は今後の政策判断の参考になる可能性があります。また、投資家や市場参加者にとっても、ETFが貸株市場に及ぼす影響を理解することは、資産運用やリスク管理を行う上で有用な情報となります。

このように、本研究は学術的な発展にとどまらず、政策実務や市場参加者の意思決定に資する実践的な示唆を提供するものです。

 

(4)課題、今後の展望

今回の研究では、日本銀行の大規模なETF買入れによるETF発行残高の増加が、貸株市場や空売り制約を通じて株価や貸株取引に影響を及ぼす経路を明らかにしました。本研究は2011年から2019年までのデータを用いましたが、その後の市場環境の変化や買入れ政策の変更がもたらした影響までは十分に捉えられていません。今回識別したメカニズムがその後もどの程度作用しているのか、引き続き追跡していくことが必要です。

 

(5)研究者のコメント

日本銀行のETF買入れ政策は、「中央銀行の資産買入れ政策は、どの程度資産価格に影響を与えることができるのか」という問いを考えるうえで重要であるだけではなく、「株価指数連動型ETFなどのパッシブ・ファンド(※4)のプレゼンスが高まることで、金融市場や市場の相互連関にどのような構造変化がもたらせるか」という点を考察するうえでも非常に貴重な機会を提供しています。私たちはこの政策について、今回の論文以外にも様々な分析を公表してきました。ご興味があれば以下の論文もご覧ください。

 

●Bank of Japan’s ETF purchase program and equity risk premium: A CAPM interpretation (Journal of Financial Markets / March 2025)

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1386418125000011?via%3Dihub 

●The announcement effects of a change in the Bank of Japan’s ETF purchase program: An event study (Finance Research Letters / December 2022)

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1544612322004329?via%3Dihub 

 

(6)用語解説

※1 ETF(上場投資信託)

ETFとは、証券取引所に上場している投資信託。投資信託とは、投資家から集めた資金をプールし、それを運用の専門家(ファンド・マネージャー)が株や債券などに投資・運用する金融商品を指す。このうち、日本銀行の主な買入れ対象となっていたのは、東証株価指数(TOPIX)などの株価指数に連動するETF(株価指数連動型ETF)。

 

※2 空売り

保有していない株式を証券会社や他の投資家などから借りて売却し、その後株価が下がったところで買い戻して、その差額から利益を得ることを目的とする取引。

 

※3 早稲田大学商学学術院の片桐 満 准教授、早稲田大学国際学術院の篠 潤之介 准教授、日本銀行金融研究所の高橋 耕史 企画役による共同研究

2023年に国際決済銀行(BIS)のワーキングペーパーとして公表(*1)された後、Financial Times誌などのメディアにも取り上げられてきました(*2, *3)。

*1 https://www.bis.org/publ/work1113.htm

*2 https://www.ft.com/content/80e76f5a-5e74-4b76-95da-6a0aaa549f0f

*3 https://www.ft.com/content/a7ba7f34-82ef-404b-a346-168084c9693c

 

※4 パッシブ・ファンド

市場全体のリターン(ベンチマーク)と同じ投資成果を目指すファンドのこと。例えば、TOPIXをベンチマークとするパッシブ・ファンドは、TOPIXに連動した投資成果を獲得することを目的とする。これに対し、アクティブ・ファンドは、投資銘柄を厳選し、ベンチマークを上回る投資成果の獲得を目指す。

 

(7)論文情報

雑誌名:The Review of Asset Pricing Studies

論文名:To Lend or Not to Lend: The Bank of Japan’s ETF Purchase Program and Securities Lending

執筆者名(所属機関名):Mitsuru Katagiri, Junnosuke Shino*, Koji Takahashi

掲載日:2025年9月4日

掲載URL:

https://academic.oup.com/raps/advance-article/doi/10.1093/rapstu/raaf008/8248082?login=true

DOI:https://doi.org/10.1093/rapstu/raaf008

 

(8)研究助成(外部資金による助成を受けた研究実施の場合)

KAKENHI, grant nos. 19K01743 and 21H00704

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