株式会社Xiborg(サイボーグ)、スポーツ義足で走るランナーの普及・育成・強化プロジェクト、Blade for (ブレード・フォー)の海外展開を開始
[24/02/14]
提供元:PRTIMES
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インドのアナンダン・グナセカラン選手
株式会社Xiborg(読み:サイボーグ)(本社:東京都港区 代表取締役:遠藤謙)は、すべての人に走る喜びを届けるために、これまで国内で展開してきた「Blade for」 (ブレード・フォー) プロジェクトの海外への展開を本格的に始めます。本プロジェクトは、Xiborgが持つスポーツ義足(ブレード)技術・義肢制作技術・コーチングスキルを活かした、オリンピックの100mチャンピオンよりも速く走ることができる義足アスリートの誕生を目指す「Blade for the One」(ブレード・フォー・ザ・ワン)と、足がなくてもスポーツを手軽に楽しむことができる社会のためにスポーツ義足の民主化を目指す「Blade for All」(ブレード・フォー・オール)の2つから成り立ちます。今後、海外、特に途上国の競技団体や支援団体と協力し、これまでに蓄積してきた技術・スキル・ノウハウを活かし、世界大会に出場するトップパラアスリートの育成・強化やスポーツ用義足で気軽に楽しく走ることができる社会の実現を目指します。
背景
近年の義足アスリートの活躍は目覚ましく、特にカーボン製の「ブレード」と呼ばれるスポーツ用義足をつけたランナーたちは健常者の記録に迫る勢いで進化してきました。2021年東京パラリンピックに向けて、株式会社Xiborgは世界最速のスポーツ用義足開発を目指し、研究を続けてきました。しかし、一般の義足使用者がブレードで日常的にスポーツを楽しむことの敷居は依然として高いままです。特に経済的に貧しい国では、障害者がスポーツを楽しむことすら困難です。その理由はブレードが高価であること、義肢装具士の技術不足、コーチング技術不足などがあります。2016年リオデジャネイロ、2021年東京パラリンピックにおいて、OECDでの最貧国から出場した義足アスリートは0人です。国の経済状態が、パラアスリートの活躍の阻害要因となっているのです。
そして、ブレードはパラリンピックで競い合うトップアスリートだけのものではありません。途上国の限られた環境で世界を目指すアスリート、自分が走れると思っていなかった途上国の青年、マラソン完走を目指す市民ランナー、運動会でクラスメートと走る小学生、初めて走り出した未就学児、部活で競い合う中高生、公園で走る子供たち。速さ、年齢、障害、環境は関係ありません。走ることは誰もが持っている権利で、誰にも奪うことはできません。Xiborgは障害があってもなくても当たり前のように走ることができる社会、「走りへの解放」をコンセプトに、Blade for(ブレイド・フォー)プロジェクトを国内外で進めてきました。そして、今年から本プロジェクトを本格的に海外へ展開していきます。
Blade for (ブレード・フォー) プロジェクト
Blade forプロジェクトは、Xiborgが持つスポーツ用義足技術・義足制作技術・コーチングのアセットを活かした「Blade for the One」(ブレード・フォー・ザ・ワン)とBlade for All」(ブレード・フォー・オール)のプロジェクトで成り立っています。
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Blade for the Oneでは、オリンピックの100mチャンピオンよりも速く走ることができる世界最速の義足アスリートの誕生を目指し、これまでに最先端技術を駆使したブレード開発や選手のコーチングをチームで行ってきました。Blade for Allでは、ブレードの民主化によって義足ユーザが気軽に楽しく走れる社会を目指し、ランニングクリニックを通じて、多くの義足ユーザに走る機会を提供してきました。
国によって、経済状態・文化・義肢装具制作のプロセス、材料、走る環境などが異なり、義足ユーザが走るまでの課題も異なります。特に途上国では、高価なブレードの購入はおろか、障害者がスポーツをする文化そのものが希薄であるケースが少なくありません。そのため、その国の状況を理解し、現地のステークホルダーと協力しながら、プロジェクトを遂行していかなければなりません。今後、Xiborgはさまざまな競技団体や支援団体と協力し、これまでに蓄積してきた技術・知識・ノウハウを活かし、世界大会に出場するトップパラアスリートの育成・強化だけでなくスポーツ用義足で気軽に楽しく走ることができる社会の実現を目指します。
テクノロジー
アスリートの走りはブレードに大きな影響を受けるため開発には高い技術力が必要です。Xiborgは開発の初期段階からアスリートを巻き込み、疾走中のデータを活用してブレードの研究開発を行ってきました。2018年に発表したXiborgνは世界的トップアスリートも使用しており、東京パラリンピックでも複数のメダルを獲得しました。一方で、一般義足使用者にとってブレードは高価なものであり、そのコストが大きな障壁になっています。そこで、Xiborgはこれまでのカーボン成型や制作プロセスのノウハウを活かし、エントリー向けの安価なブレード、Xiborg Joy(ジョイ)とJoy Jr(ジョイ・ジュニア)の開発を行い、今年4月からテスト販売を開始予定です。これらのブレード開発のための基礎研究やデータ解析は株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所、カーボン素材や成形技術は東レグループの技術協力により実現しました。
Xiborgはブレードだけでなく走るためのさまざま技術開発も進めています。例えば、これまで未就学児や長断端のような地面と断端の間のスペースが小さい場合、走ることを諦めなければならないということが当たり前でした。これに対し、Xiborgはカスタムコネクタを開発し、個々の症状に応じた走るためのソリューションの提供も行っています。また、途上国ではカーボン製よりも強度の劣るプラスチックのソケットを使用している場合が多く、ブレードを取り付けることが困難です。そこで、独自のコネクタを開発し、ソケットに埋め込む技術を途上国の義肢装具士に提供しています。このように走るためには柔軟に対応する技術力が求められており、Xiborgは義足ユーザが走るため技術開発をさまざまな形で行っております。
テクノロジーの写真(ニュー、ジョイ、カスタムコネクタ、プラスチックコネクタ)
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Xiborg ν[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/99180/1/99180-1-111511b8fc8eb6bd775008ef3b9cc2cb-3900x2600.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
Xiborg Joy[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/99180/1/99180-1-5e9e96ab2798b574809bbc09b7a4e612-2310x1564.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
カスタムコネクタ[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/99180/1/99180-1-492c0349ba2043b7ecf1b917cc083ec6-3900x2600.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
プラスチックのソケットを用いたスポーツ義足
これまでの海外での活動事例
ラオス(2019~)
当時ラオスはパラ陸上のチームはありましたが、ブレードで走る選手は1人も国内におらず、義肢装具士もスポーツ義足を作ったことがない状態でした。NPO法人ADDPとラオスパラリンピック委員会と連携し、現地の義肢装具クリニックCOPEにて、現地で使用されている材料や加工機を使用したスポーツ用義足の製作技術に関するレクチャーを現地の義肢装具士へ行い、ラオス史上初のブレードランナーが誕生しました。製作所では、スポーツ用義足を製作技術が根付いており、現在2人目のランナーも誕生し、1月タイで開催された競技会に出場しました。
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ラオス初のブレードランナーと並走する羽根コーチ
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Loza Hauangsakda選手と池田樹生選手[画像9: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/99180/1/99180-1-bda563cf5f600863be0a926a51f3deb2-2048x1536.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ラオス選手団と池田樹生選手
ブラジル (2023)
パラスポーツで活躍する選手を多く輩出するブラジルは、パラリンピック委員会主導で選手の育成を精力的に行っていますが、ブレードのような高価な用具が必要なスポーツの普及はまだまだ課題がありました。我々はサンパウロにあるジャパン・ハウスとブラジルパラリンピック委員会と連携し、現地の4名の子どもにXiborg社のエントリー用のブレードを提供し、ランニングクリニックを現地のアスリートと行いました。
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ブラジルパラリンピック委員会内のトレーニングセンターで行われたランニングクリニック
ブータン (2023)
ラオス同様、ブレードを使うランナーが1人もいないので、義肢装具制作の施設は充実しているものの、義肢装具士がスポーツ用義足を作ったことがない状態でした。我々はブータンパラリンピック委員会とギダゴム病院の義肢装具士へスポーツ義足制作のレクチャーを行い、ブータン史上初のブレードランナーが2名誕生しました。
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ブータン初のブレードランナー
インド (2019~)
インドはすでに世界的な大会活躍するトップアスリートは何名かいる状態でしたが、一般義足ユーザが気軽に走る敷居は高いままです。我々は、5月にトップアスリート、アナンダン・グナセカラン選手を日本に招待し、スポーツ用義足を製作、コーチングを行いました。同年8月にはハイデラバードで10名の義足ユーザを招待し、グナセカラン選手のコーチングの元、ランニングクリニックを行いました。
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インドのランニングクリニックで参加者を指導するアナンダン・グナセカラン選手
フィリピン (2023)
フィリピンはドラゴンボートや障害者レースのような競技で活躍するパラアスリートはいるものの、ブレードのような高価な用具を必要とするパラスポーツの敷居は高く、ブレードを使用するアスリートは1人もいません。我々はNPO法人PADS、NPO法人SportsPhillの協力のもと、9名の義足使用者を招待し、現地の義肢装具士と協力しながら、ランニングクリニックを行いました。
[画像13: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/99180/1/99180-1-a8eced4b6fa2edb6e7353b251447dff2-1280x960.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
フィリピンセブで開催されたランニングクリニックの様子
これらの活動実績のように、国によって状況や課題が異なり、それぞれに対して異なるアプローチが必要となります。Xiborgは今後、各国のステークホルダーと連携し、誰もが走れる社会に向けて、Blade forプロジェクトを展開していきます。
今後の予定
2月末から3月初旬にかけて、タイパラリンピック委員会から2名のパラアスリートが来日予定です。2選手にXiborgがスポーツ用義足を作成し、3月にXiborgに所属する日本人アスリートたちと公開練習を予定しております。公開練習見学や取材は広報担当楽(info@xiborg.jp)までお問い合わせください。
来日予定選手
Denpoom Kotcharang選手 T64(片足下腿義足)
実績
2023年 アジアパラ 100m 5位、200m 5位
Phalathip Khamta選手 T63(片足大腿義足)
実績
2022年 アジアパラ 100m 3位
問い合わせ窓口
Xiborg広報 楽聖雅
info@xiborg.jp
会社名:株式会社Xiborg
設立日:2014年5月1日
代表取締役社長:遠藤謙
URL: https://xiborg.jp
代表取締役 遠藤謙
2012年マサチューセッツ工科大学博士課程終了。現在ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。ロボット・身体拡張・義肢装具技術の研究に従事。また2014年、為末大と株式会社Xiborg設立、代表取締役に就任。スポーツ用義足の研究開発だけでなく、選手のコーチングやパラスポーツの普及活動にも活動を広げている。