軽度認知障害(MCI)に関連する腸内細菌叢の異常を解明、腸内細菌叢の組成データを用いたMCIの診断(リスクの推定)方法を開発
[23/06/28]
提供元:PRTIMES
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-認知症を予防する新たなアプローチの実現も視野に-
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社(以下、当社)は、軽度認知障害(mild cognitive impairment, MCI)と腸内細菌叢の関連について調査し、MCI罹患者群の腸内細菌叢の特徴からMCIに関連する腸内細菌叢の異常(dysbiosis)を解明しました。また、MCI罹患者の腸内細菌叢の特徴に基づき、腸内細菌叢の組成データを用いた新たなMCIの診断(リスクの推定)方法を開発しました。
本研究はお茶の水健康長寿クリニック及びあしかりクリニックとの共同研究により行われました。
本研究成果は、国際学術誌『Biomedicines』(2023年6月22日付)に掲載されました。
【背景】
MCIでは認知機能の低下はありますが、正常な認知と認知症の中間状態であり、まだ認知症ではありません。しかし、MCI罹患者は認知症に進行するリスクが高いことが知られています。認知症は、一度発症すると治療が困難ですが、MCIでは正常な認知機能に戻る場合があります。MCI罹患者への適切な介入を行うことができれば、認知機能の改善、または認知症への進行を抑制できる可能性があります。そのためには、早期にMCI罹患者やMCIリスクが高い人を発見することが重要です。また、効果的な治療や予防のためにはMCIの発症・進行のメカニズムの理解が不可欠です。
【研究成果の概要】
当社の畑山らの研究チームは、認知機能が腸内細菌叢の影響を受ける可能性を検証するため、MCIと腸内細菌叢の関連性について研究を行いました。より具体的には、70代日本人のMCI群と、疾病に罹患していない対照群との腸内細菌叢を調べ、MCIと腸内細菌叢との関連性について調査しました。調査にあたっては、性別を考慮し、男女別に比較を行いました。その結果、男女に共通して、MCI群に多い腸内細菌の分類群としてClostridium_XVIII、Eggerthella、Erysipelatoclostridium、Flavonifractor、およびRuminococcus 2が、MCI群に少ない分類群としてMegasphaera、Oscillibacter、Prevotella、Roseburia、およびVictivallisが観察されました。
これらの腸内細菌についての既知の特徴から、MCI群の腸内細菌叢の構成は、
・腸内細菌叢の調節異常
・腸管バリアの透過性増大
・血液脳関門の透過性増大
・慢性神経炎症の亢進
を引き起こし、その異常が長期間持続することによって最終的に認知機能低下につながるというメカニズムが導き出されました(図1)。
さらに、本研究では、上記のようなMCI群の腸内細菌叢の特徴に基づき、腸内細菌叢データを用いたMCIの診断(リスクの推定)方法を新たに開発しました。これによってMCI罹患者とMCIではない健康者を高い精度で判別できることを示しました。
[画像: https://prtimes.jp/i/117848/4/resize/d117848-4-658b829d880584db2f68-0.png ]
【今後の展望】
本研究によって、MCIに関連するdysbiosisの全体像が明らかとなったことから、MCIの発症・進行のメカニズムの理解、治療や予防方法の研究・開発が大きく進展することが期待されます。また、新たに開発したMCIの診断(リスクの推定)方法を用いることによって、MCI罹患者やMCIリスクが高い人を簡便かつ効率的にスクリーニングすることが可能となります。本研究の成果はMCIから認知症への進行を抑制または防止することによって認知症を予防するという新たなアプローチの実現につながるものです。
【原論文情報】
Kouta Hatayama, Aya Ebara, Kana Okuma, Hidetaka Tokuno, Kazumi Hasuko, Hiroaki Masuyama, Iyoko Ashikari, Takuji Shirasawa. Characteristics of Intestinal Microbiota in Japanese Patients with Mild Cognitive Impairment and a Risk-Estimating Method for the Disorder. Biomedicines 2023, 11(7), 1789.
https://doi.org/10.3390/biomedicines11071789
【研究内容に関する問合せ先】
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社 研究開発本部 畑山 耕太
research(at)symbiosis-solutions.co.jp
※ (at) は@に置き換えてご連絡ください。
【取材に関する問合せ先】
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社 広報担当
info(at)symbiosis-solutions.co.jp
※ (at) は@に置き換えてご連絡ください。
【企業概要】
当社は、腸内細菌叢から疾病リスク等を分析・評価する腸内細菌叢の検査・分析サービス(『SYMGRAM』、『健腸ナビ』他)の開発・運営および医薬・食品メーカー等と連携して腸内細菌叢の制御による疾病の予防・改善のための機能性食品の研究・開発などを行うヘルステック・バイオベンチャーです。
・会社名:シンバイオシス・ソリューションズ株式会社
・本社:東京都千代田区神田猿楽町2-8-11 VORT水道橋III 3F
・研究所:埼玉県和光市南2-3-13和光理研インキュベーションプラザ内
・設立:2018年4月※一般社団法人日本農業フロンティア開発機構と国立研究開発法人理化学研究所(旧辨野特別研究室)による研究成果を事業化する目的で設立
・資本金:17億5,797万円(資本準備金を含む:2023年6月現在)
・URL:(コーポレートサイト)https://www.symbiosis-solutions.co.jp/
(SYMGRAMサイト)https://symgram.symbiosis-solutions.co.jp/
(健腸ナビサイト)https://kenchonavi.com/
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社(以下、当社)は、軽度認知障害(mild cognitive impairment, MCI)と腸内細菌叢の関連について調査し、MCI罹患者群の腸内細菌叢の特徴からMCIに関連する腸内細菌叢の異常(dysbiosis)を解明しました。また、MCI罹患者の腸内細菌叢の特徴に基づき、腸内細菌叢の組成データを用いた新たなMCIの診断(リスクの推定)方法を開発しました。
本研究はお茶の水健康長寿クリニック及びあしかりクリニックとの共同研究により行われました。
本研究成果は、国際学術誌『Biomedicines』(2023年6月22日付)に掲載されました。
【背景】
MCIでは認知機能の低下はありますが、正常な認知と認知症の中間状態であり、まだ認知症ではありません。しかし、MCI罹患者は認知症に進行するリスクが高いことが知られています。認知症は、一度発症すると治療が困難ですが、MCIでは正常な認知機能に戻る場合があります。MCI罹患者への適切な介入を行うことができれば、認知機能の改善、または認知症への進行を抑制できる可能性があります。そのためには、早期にMCI罹患者やMCIリスクが高い人を発見することが重要です。また、効果的な治療や予防のためにはMCIの発症・進行のメカニズムの理解が不可欠です。
【研究成果の概要】
当社の畑山らの研究チームは、認知機能が腸内細菌叢の影響を受ける可能性を検証するため、MCIと腸内細菌叢の関連性について研究を行いました。より具体的には、70代日本人のMCI群と、疾病に罹患していない対照群との腸内細菌叢を調べ、MCIと腸内細菌叢との関連性について調査しました。調査にあたっては、性別を考慮し、男女別に比較を行いました。その結果、男女に共通して、MCI群に多い腸内細菌の分類群としてClostridium_XVIII、Eggerthella、Erysipelatoclostridium、Flavonifractor、およびRuminococcus 2が、MCI群に少ない分類群としてMegasphaera、Oscillibacter、Prevotella、Roseburia、およびVictivallisが観察されました。
これらの腸内細菌についての既知の特徴から、MCI群の腸内細菌叢の構成は、
・腸内細菌叢の調節異常
・腸管バリアの透過性増大
・血液脳関門の透過性増大
・慢性神経炎症の亢進
を引き起こし、その異常が長期間持続することによって最終的に認知機能低下につながるというメカニズムが導き出されました(図1)。
さらに、本研究では、上記のようなMCI群の腸内細菌叢の特徴に基づき、腸内細菌叢データを用いたMCIの診断(リスクの推定)方法を新たに開発しました。これによってMCI罹患者とMCIではない健康者を高い精度で判別できることを示しました。
[画像: https://prtimes.jp/i/117848/4/resize/d117848-4-658b829d880584db2f68-0.png ]
【今後の展望】
本研究によって、MCIに関連するdysbiosisの全体像が明らかとなったことから、MCIの発症・進行のメカニズムの理解、治療や予防方法の研究・開発が大きく進展することが期待されます。また、新たに開発したMCIの診断(リスクの推定)方法を用いることによって、MCI罹患者やMCIリスクが高い人を簡便かつ効率的にスクリーニングすることが可能となります。本研究の成果はMCIから認知症への進行を抑制または防止することによって認知症を予防するという新たなアプローチの実現につながるものです。
【原論文情報】
Kouta Hatayama, Aya Ebara, Kana Okuma, Hidetaka Tokuno, Kazumi Hasuko, Hiroaki Masuyama, Iyoko Ashikari, Takuji Shirasawa. Characteristics of Intestinal Microbiota in Japanese Patients with Mild Cognitive Impairment and a Risk-Estimating Method for the Disorder. Biomedicines 2023, 11(7), 1789.
https://doi.org/10.3390/biomedicines11071789
【研究内容に関する問合せ先】
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社 研究開発本部 畑山 耕太
research(at)symbiosis-solutions.co.jp
※ (at) は@に置き換えてご連絡ください。
【取材に関する問合せ先】
シンバイオシス・ソリューションズ株式会社 広報担当
info(at)symbiosis-solutions.co.jp
※ (at) は@に置き換えてご連絡ください。
【企業概要】
当社は、腸内細菌叢から疾病リスク等を分析・評価する腸内細菌叢の検査・分析サービス(『SYMGRAM』、『健腸ナビ』他)の開発・運営および医薬・食品メーカー等と連携して腸内細菌叢の制御による疾病の予防・改善のための機能性食品の研究・開発などを行うヘルステック・バイオベンチャーです。
・会社名:シンバイオシス・ソリューションズ株式会社
・本社:東京都千代田区神田猿楽町2-8-11 VORT水道橋III 3F
・研究所:埼玉県和光市南2-3-13和光理研インキュベーションプラザ内
・設立:2018年4月※一般社団法人日本農業フロンティア開発機構と国立研究開発法人理化学研究所(旧辨野特別研究室)による研究成果を事業化する目的で設立
・資本金:17億5,797万円(資本準備金を含む:2023年6月現在)
・URL:(コーポレートサイト)https://www.symbiosis-solutions.co.jp/
(SYMGRAMサイト)https://symgram.symbiosis-solutions.co.jp/
(健腸ナビサイト)https://kenchonavi.com/