〜消費増税、軽減税率、給付付き税額控除、…“消費者意識”を徹底調査〜 増税容認37% 「世帯年収」との相関とは!? 支持率7割の「軽減税率」、キーワードは“生活必需品”と“エコ”
[12/06/22]
提供元:PRTIMES
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生活者の意識・実態に関するトレンドを調査するトレンド総研 (東京都渋谷区)は、今後の消費者動向に大きな影響を与え得る、「消費税の税率引き上げ問題」に対する消費者の意識・実態を明らかにするために、20代〜50代の男女1,117名を対象に「消費増税に関する調査」を実施いたしました。
[調査概要]
調査期間:2012年6月13日(水)〜6月17日(日)
調査方法:インターネット調査
調査対象:20代〜50代の男女 1,117名 (※調査対象の属性等については、後述の付記を参照)
現在、与野党の垣根を越えて議論が重ねられている、「消費税の税率引き上げ問題」。今国会の会期末に向け、その動向が注目されていますが、消費者は、この問題をどのような目で見ているのでしょうか。その実態を明らかにするために、トレンド総研では、全国の20代〜50代の男女を対象に調査を行いました。
[主な調査結果]
1. 消費増税の賛否 ‐消費者属性による、「増税」への理解の違いとは?‐
2. 「軽減税率」・「給付付き税額控除」 ‐低所得者層の認知・理解の実態‐
3. 「軽減税率」・「給付付き税額控除」 ‐導入に対する賛否の違い‐
4. 「軽減税率」の対象とする商品カテゴリー ‐高い支持率を得た商品は?‐
■ 1. 消費増税の賛否 ‐消費者属性による、「増税」への理解の違いとは?‐
はじめに、「消費増税に対する賛否」について聞きました。これには、「賛成である」と答えた人は、わずか4.0%。「全くの賛成ではないが、致し方ないと思う」という人も32.9%はいたものの、両者を合わせた“容認派”は36.9%にとどまりました。一方、「全くの反対ではないが、今はそのタイミングではない」(32.0%)、「反対である」(28.7%)という、“否定派”は60.7%と過半数を占め、やはり増税に対して消費者の理解を得るというのは、簡単ではないようです。
次に、今回の調査対象を細分化し、各属性における“容認派”、“否定派”の割合について、調べました。
最も特徴的だったのは、「世帯年収」による違いです。世帯年収が「150万円未満」という低所得者層では、“否定派”が61.3%で、“容認派”(30.7%)に倍以上の差をつけました。一方、「1,000万円以上」の高所得者層では、“容認派”が53.4%と過半数に達し、全体の傾向とは逆転する結果に。また、「世帯年収」については、その増加に伴う「“容認派”の増加」、「“否定派”の減少」という傾向も確認されました。低所得者に対する相対的な負担率の大きさ、いわゆる「逆進性」を指摘される「消費税」においては、低所得者層の理解を促すことが特に重要であると言えそうです。
また、「職業」においても、「消費増税に対する賛否」の差も顕著で、高所得者層と同様に、「公務員」でも、“容認派”が55.7%で過半数。他方、増税コストを価格に転嫁しにくいと言われる「自営業者」では、“否定派”(66.2%)が7割近くを占め、“容認派”(29.6%)を大きく上回りました。
「信頼できる情報ソース」別にも、同様に“容認派”、“否定派”の割合を調べました。その結果、「Twitter、FacebookなどのSNS」を選んだ人たちの“否定派”の割合は、本調査で調べた消費者属性の中では最多に。これらのメディアでは、反対論なども活発に交わされていることが要因として考えられますが、“否定派”は79.6%と、およそ8割を占めました。
■ 2. 「軽減税率」・「給付付き税額控除」 ‐低所得者層の認知・理解の実態‐
「消費税」については、低所得者に対する負担が相対的に重くなる、「逆進性」が懸念されています。その改善策として、現在、検討されているのが、「軽減税率」と「給付付き税額控除」という2つの制度。その概要は、以下の通りです。
「軽減税率」:生活必需品など、特定の商品カテゴリーに対する消費税率を低く設定する制度
「給付付き税額控除」:一定の対象者に対し、現金を支給する(所得税を控除する)制度
「消費増税」と併せて議論されている、これらの制度については、消費者の認知、理解はどの程度進んでいるのでしょうか。各制度の概要を理解している人の割合(“理解率”)、および、各制度の存在について知っている人の割合(“認知率”)について調べました。
まず、「軽減税率」について、「その名前を聞いたことはありますか?」、「その内容を理解していますか?」と質問し、その“認知率”、“理解率”を調べました。その結果、「軽減税率」の“認知率”は82.1%、“理解率”は42.4%であることが分かりました。同様に、「給付付き税額控除」については、その“認知率”は73.6%、“理解率”は34.6%という結果に。制度の複雑さ等によるためか、いずれの制度についても一定の認知は獲得しているものの、制度の理解にまで結びついていない現状が明らかになりました。
また、「消費増税に対する賛否」と同様に、両制度の認知、および、理解について、属性ごとの違いを探りました。
ここでも、「世帯年収」による差は大きく、世帯年収が「150万円未満」の人における「軽減税率」の“認知率”、“理解率”は、それぞれ75.8%、40.3%。一方、「1,000万円以上」の人では、それぞれ88.7%、58.6%で、「軽減税率」の“認知率”、“理解率”いずれにおいても、高所得者層が低所得者層を上回りました。
「給付付き税額控除」においては、その違いがより顕著で、世帯年収が「150万円未満」、「1,000万円以上」で比較すると、“認知率”はそれぞれ66.1%と、84.2%。さらに、“理解率”については24.2%と49.6%で、低所得者層での「給付付き税額控除」の“理解率”は、高所得者層の半分未満という結果に。
低所得者層の救済措置という役割を担うこれらの制度。「消費税」の逆進性を軽減し、低所得者の負担を軽減することが期待されています。消費者の十分な理解が得られていない「消費増税」ですが、「消費税」を補完するこれらの制度に対する低所得者層の認知、理解を拡大することが、消費者の理解を得るための第一歩となるかもしれません。
■ 3. 「軽減税率」・「給付付き税額控除」 ‐導入に対する賛否の違い‐
次に、「軽減税率」、および、「給付付き税額控除」の導入の賛否について聞きました。
まず、「軽減税率」について、その概要を示した上で、「『軽減税率』を導入してほしいと思いますか?」と聞くと、「導入してほしい」と答えた人が最多で、64.8%。「導入してほしくない」、「分からない」という回答はそれぞれ15.5%、19.7%で、導入賛成派が過半数を占め、「軽減税率」に対する支持率の高さが明らかになりました。なお、この「軽減税率」については、属性による大きな回答の違いが見られなかったことも特徴的で、いずれの属性においても、導入に賛成する人が過半数を占めました。
続いて、「給付付き税額控除」についても同様の質問をすると、「導入してほしい」と答えた人が29.1%であるのに対し、「導入してほしくない」がこれを上回る、38.9%。「分からない」という人も、32.1%を占めました。なお、「給付付き税額控除」の対象者ともなり得る、世帯年収が「150万円未満」の人に限定した場合には、「導入してほしい」が38.7%で、「導入してほしくない」(22.6%)を上回ったものの、「分からない」が同率の38.7%。「給付付き税額控除」は、「軽減税率」に比べ、認知、理解が十分進んでいないようです。
■ 4. 「軽減税率」の対象とする商品カテゴリー ‐高い支持率を得た商品は?‐
消費者からの支持率の高さが明らかになった「軽減税率」ですが、最後に、この「軽減税率」について、より詳しく調べました。
前述の通り、「軽減税率」とは、一律の税率を設定する現行の消費税に対し、特定の商品カテゴリーに課す税率を低く設定する制度です。日本よりも高い消費税率(付加価値税率)を設定する欧州諸国などでは、多くの国で「軽減税率」が導入され、生活必需品を中心とした商品の税率は低く設定されています。
そこで、「軽減税率」の制度が導入すると仮定し、いくつかの商品カテゴリーについて、この「軽減税率」の対象にすることへの賛否を聞きました。(※ここでは、「分からない」と回答した人を除外して、支持率を算出しています。)
「軽減税率」の対象とするのに、最も高い支持率を得たのは「食料品」。その支持率は83.5%にのぼりました。次いで、「水道料金」(82.8%)、「ガス料金」(82.7%)、「電気料金」(81.9%)というライフラインに関連する項目が並び、「医薬品」(78.1%)が続きました。これらは誰もが利用し得る生活必需品であり、すでに「軽減税率」を導入している欧州諸国でも、対象とされているケースが多い商品カテゴリーです。
一方で、その次に多かったのは「太陽光パネル」(64.7%)で、生活必需品とは言えないものの、高い支持率を得ました。同様に、「電気自動車」も59.1%と、比較的に高い支持率を獲得。一般的な「自動車」の支持率は52.1%であったことを考えると、エコ関連商品については、生活必需品ではなくとも、比較的に軽減税率の対象としての賛同を得やすい傾向があるようです。
一方で、「音楽や映像のコンテンツ」、「お酒」、「たばこ」といった娯楽品、嗜好品等の商品は、消費者からの支持率があまり高くないことも分かりました。
「消費増税」が消費者に与える影響は小さいとは言えないでしょう。一方で、「軽減税率」の効果は、課税率の引き下げによる実質的な負担軽減のみにとどまらず、“お得感”など、心理的な効果をも期待することができます。今回の調査においては、軽減税率の対象とする商品としては、一般的に軽減税率が設定される生活必需品の他、エコ関連商品が高い支持率を獲得しました。この制度を上手く活用すれば、エコ関連商品の普及を促すなど、新たな可能性が生まれるかもしれません。
「消費増税」が現実的な将来として見えてきた今、今回取りあげた「軽減税率」や「給付付き税額控除」など、関連する制度の行方からも目が離せません。
(付記) 本調査の調査対象について
本調査の調査対象とした1,117名については、下記の属性に関するデータ等もとりまとめています。本リリース内の情報と併せて、これらの情報も提供することが可能です。
◆ 性別
◆ 年代
◆ 居住地域
◆ 職業
◆ 世帯年収
◆ 信頼できると思う情報ソース
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