有機から無機にまたがる結晶構造データの登録・アクセスが単一ポータルで可能に
[17/04/12]
提供元:PRTIMES
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構造化学分野で定評のある結晶構造データベースプロバイダー CCDCとFIZ Karlsruhe が協力
化学情報協会は、英ケンブリッジ結晶学データセンター (The Cambridge Crystallographic Data Centre, CCDC) および独FIZ Karlsruheが発表したプレスリリースを受けて、国内向けに次のとおり、お知らせいたします。英CCDCおよび独FIZ Karlsruheの発表情報は下記をご覧ください。
https://www.ccdc.cam.ac.uk/News/List/2017-03-27-alliance-reshapes-crystallography-data-access/
https://www.fiz-karlsruhe.de/en/news/details.html?tx_news_pi1%5bnews%5d=136&tx_news_pi1%5bcontroller%5d=News&tx_news_pi1%5baction%5d=detail&cHash=c95e64d4c016661c4eebd0528330c741
(英ケンブリッジおよび独カールスルーエ発、2017年3月27日)― ケンブリッジ結晶学データセンター (The Cambridge Crystallographic Data Centre, CCDC) とFIZ Karlsruhe – Leibniz Institute for Information Infrastructure (FIZ Karlsruhe) は、有機・無機・有機金属にまたがる結晶構造データを単一の共用ポータルで登録およびアクセスすることが可能な、初めてのサービスを提供する共同開発プロジェクトを開始したことを発表しました。これによりCCDCのケンブリッジ結晶構造データベース (Cambridge Structural Database, CSD) およびFIZ Karlsruheの無機結晶構造データベース (Inorganic Crystal Structure Database, ICSD) に含まれる100万件以上の結晶構造の検索、およびその基礎となるCIF形式でのデータ登録が1つの窓口で行えるようになり、化学各分野の研究・教育に利益をもたらします。CCDCとFIZ Karlsruheは化学分野で最も歴史が古く、広く信頼を集めているデータ収集機関であり、両者の協力によって、これまでに公表されているすべての結晶構造への標準化された網羅的なアクセスが可能になり、また雑誌のリンクや第三者機関の情報サービスからも利用できることになります。このことは特に、有機・無機・有機金属の各分野にまたがる研究者にとって好都合です。両データベースの境界線を意識する必要がなく、したがって検索すべきデータベースの選択に迷うこともないからです。
いずれも非営利団体であるCCDCとFIZ Karlsruheは、過去数十年にわたり非公式の協力関係にありました。CSDは有機化合物・有機金属化合物の結晶データに関する世界的なリポジトリであり、公開された構造情報を875,000件以上保有しています。ICSDは無機化学の分野で同じ役割を果たしており、保有する構造データは185,000件以上です。両機関は互いの専門領域を尊重する姿勢を取っているため、両データベースの内容の重複は僅かです。しかしいくつかの分野、たとえば電池、ガス貯蔵システム、ゼオライト、触媒、磁石、燃料添加剤などでの最近の進歩によって、この両分野にまたがる研究が注目を浴びるようになりました。そのような分野の研究者は、2つの独立なデータベースを利用しなければなりませんでした。今回CCDCとFIZ Karlsruheが発足させた開発プロジェクトによって、単一の共用ポータルから両データベースの結晶構造情報を同時に検索すること、また結晶学研究者が1つのポータルからデータを登録することが可能になります。
従来行われてきた専門家によるキュレーションを含む公開の手順はそのまま維持されるので、データの品質と解析能力の高い水準が保たれ、信頼性を損なうことがありません。新しい登録および検索用共同ポータルは、CCDCが最近開発したデータ登録・処理・検索・共有のためのインフラストラクチャーを基礎としてケンブリッジに開設される予定で、無機化学分野のニーズに合わせて拡張されます。
バース大学で無機化学研究部門を率いCCDCの評議会議長を務めるPaul Raithby教授は、次のように語りました。「これらの境界領域で研究と教育に携わる者として、今回の共同開発の成果を楽しみにしています。研究においても教育においても、分野によっては気づかれずに終わりかねないような洞察がこれによって得られると期待しています。データ登録とアクセスのための新しいインフラストラクチャーにCCDCが多額の投資をした結果、このプロジェクトの技術的課題が大きく低減され、構造化学の研究者が以前から強く希望してきた提携が実現可能になったわけで、これを達成するためにFIZ Karlsruheとの共同作業ができることを大変誇りに思っています」
またFIZ KarlsruheのSabine Brünger-Weilandt会長兼CEOは「FIZ KarlsruheとCCDCの提携は科学界にとって大きな利益となるはずです。有機化合物も無機化合物も結晶構造を両者が共同で運用する1つのポータルを通じて蓄積・提供されるので、研究に必要な価値ある情報が一層容易に得られるようになります」と述べました。
この共同開発のニュースは、構造化学データを登録あるいは検索する人々から歓迎されています。
たとえばIUCr JournalsのPeter Strickland編集長は「国際結晶学連合は、この共同開発によって結晶構造の登録が簡易化されることを歓迎します。私たちはCSDとICSDという結晶学データベース間の協力関係を望んでいますし、この協力によって登録や検索能力が一層増大するのは喜ばしいことです」と述べています。
またオランダのナイメーヘン・ラドバウド大学のRene de Gelder教授は「ICSD、CSD両データベースのユーザーとして、FIZ KarlsruheとCCDCの共同開発は重要な前進だと思います。有機化学と無機化学の境界線は人為的なものなので、登録も検索も1ヶ所でできるようになれば大いに助かります」と語りました。
共同プロジェクトの計画・開発の作業はすでに始まっており、最初の結果は2017年中に公開される予定で、www.ccdc.cam.ac.ukからもwww.fiz-karlsruhe.deからもアクセス可能になります。CSDとICSDの両データベースは引き続き独立して開発強化が行われ、それぞれCCDCおよびFIZ Karlsruheからサービスが提供されます。
【CCDCについて】
[画像1: https://prtimes.jp/i/4886/31/resize/d4886-31-795254-0.jpg ]
ケンブリッジ結晶学データセンター (The Cambridge Crystallographic Data Centre) は、公益のために化学および結晶学の進歩を図ることを使命とし、共同研究およびCSDの開発を通じて全世界的に向けて構造化学研究を支援しています。CSDは分子性結晶構造に関する完全に管理された最新データを網羅的に提供する世界唯一の知識ベースです。
CSDは50年前に世界最初の数値データベースの一つとして発足し、現在では875,000件以上のレコードを収録しています。最新の構造解析用ソフトの提供、受容体モデリング、リガンドデザイン、ドッキング、リード最適化、製剤研究、材料研究などの専門家による研究サービスがCCDCの価値を一層高めています。CSDおよび関連ソフトは世界1,400ヶ所の研究機関に利用されています。その中には80ヶ国の大学研究機関および世界最上位の製薬・化学企業すべてが含まれています。
CCDCの起源はケンブリッジ大学の化学科にありますが、現在では英国リサーチ・カウンシルに属する独立研究機関かつケンブリッジ大学の協力研究所であり、法的には登録チャリティとなっています。50年の歴史を持つ科学研究機関としてのCCDCの顕著な実績は、750本以上の査読付き雑誌論文に示されています。
▽詳しくは http://www.ccdc.cam.ac.uk をご覧ください。
【FIZ Karlsruhe – Leibniz Institute for Information Infrastructureについて】
[画像2: https://prtimes.jp/i/4886/31/resize/d4886-31-284823-1.jpg ]
FIZ Karlsruhe – Leibniz Institute for Information Infrastructureは非営利組織で、ドイツ最大の科学技術情報機関の一つです。その使命は科学技術関係者に対して学術情報を提供すること、およびそのための製品とサービスを開発することです。この目的を達成するため、多様な情報源からの膨大なデータの編集と索引づけ、革新的な情報サービスの開発と運用を行うほか、独自の研究プロジェクトも推進しています。FIZ Karlsruheが加盟するライプニッツ協会は学術情報基盤の研究・開発に関係する91の研究機関を擁しています。
無機結晶構造データベース (ICSD) は完全に同定された無機化合物結晶に関する世界最大のデータベースで、公表された結晶性無機化合物の結晶学的データ(原子座標を含む)を収録し、最古のレコードは1913年にまで遡ります。このデータベースはFIZ Karlsruheが作成しており、現在の収録件数は約185,000件で、学術雑誌その他の情報に基づいて年2回(春と秋)更新されています。
▽詳しくは http://www.fiz-karlsruhe.de をご覧ください。
【化学情報協会(略称:JAICI)について】
[画像3: https://prtimes.jp/i/4886/31/resize/d4886-31-711449-2.jpg ]
化学情報協会は、化学技術情報の流通を図るため 1971 年に設立されました。米国をはじめ世界各国の情報機関などと協力関係を築き、日本の研究者をサポートする情報センターとして、大学・企業などの情報取得・分析から研究・開発までを支援しています。
1981年からCCDCの国内代理店として、会社等営利機関向けにCCDCのサービスを提供しています。また、1988年からFIZ Karlsruhe の国内代理店として、国内向けにICSDのサービスを提供しています。
▽詳しくは http://www.jaici.or.jp をご覧ください。
化学情報協会は、英ケンブリッジ結晶学データセンター (The Cambridge Crystallographic Data Centre, CCDC) および独FIZ Karlsruheが発表したプレスリリースを受けて、国内向けに次のとおり、お知らせいたします。英CCDCおよび独FIZ Karlsruheの発表情報は下記をご覧ください。
https://www.ccdc.cam.ac.uk/News/List/2017-03-27-alliance-reshapes-crystallography-data-access/
https://www.fiz-karlsruhe.de/en/news/details.html?tx_news_pi1%5bnews%5d=136&tx_news_pi1%5bcontroller%5d=News&tx_news_pi1%5baction%5d=detail&cHash=c95e64d4c016661c4eebd0528330c741
(英ケンブリッジおよび独カールスルーエ発、2017年3月27日)― ケンブリッジ結晶学データセンター (The Cambridge Crystallographic Data Centre, CCDC) とFIZ Karlsruhe – Leibniz Institute for Information Infrastructure (FIZ Karlsruhe) は、有機・無機・有機金属にまたがる結晶構造データを単一の共用ポータルで登録およびアクセスすることが可能な、初めてのサービスを提供する共同開発プロジェクトを開始したことを発表しました。これによりCCDCのケンブリッジ結晶構造データベース (Cambridge Structural Database, CSD) およびFIZ Karlsruheの無機結晶構造データベース (Inorganic Crystal Structure Database, ICSD) に含まれる100万件以上の結晶構造の検索、およびその基礎となるCIF形式でのデータ登録が1つの窓口で行えるようになり、化学各分野の研究・教育に利益をもたらします。CCDCとFIZ Karlsruheは化学分野で最も歴史が古く、広く信頼を集めているデータ収集機関であり、両者の協力によって、これまでに公表されているすべての結晶構造への標準化された網羅的なアクセスが可能になり、また雑誌のリンクや第三者機関の情報サービスからも利用できることになります。このことは特に、有機・無機・有機金属の各分野にまたがる研究者にとって好都合です。両データベースの境界線を意識する必要がなく、したがって検索すべきデータベースの選択に迷うこともないからです。
いずれも非営利団体であるCCDCとFIZ Karlsruheは、過去数十年にわたり非公式の協力関係にありました。CSDは有機化合物・有機金属化合物の結晶データに関する世界的なリポジトリであり、公開された構造情報を875,000件以上保有しています。ICSDは無機化学の分野で同じ役割を果たしており、保有する構造データは185,000件以上です。両機関は互いの専門領域を尊重する姿勢を取っているため、両データベースの内容の重複は僅かです。しかしいくつかの分野、たとえば電池、ガス貯蔵システム、ゼオライト、触媒、磁石、燃料添加剤などでの最近の進歩によって、この両分野にまたがる研究が注目を浴びるようになりました。そのような分野の研究者は、2つの独立なデータベースを利用しなければなりませんでした。今回CCDCとFIZ Karlsruheが発足させた開発プロジェクトによって、単一の共用ポータルから両データベースの結晶構造情報を同時に検索すること、また結晶学研究者が1つのポータルからデータを登録することが可能になります。
従来行われてきた専門家によるキュレーションを含む公開の手順はそのまま維持されるので、データの品質と解析能力の高い水準が保たれ、信頼性を損なうことがありません。新しい登録および検索用共同ポータルは、CCDCが最近開発したデータ登録・処理・検索・共有のためのインフラストラクチャーを基礎としてケンブリッジに開設される予定で、無機化学分野のニーズに合わせて拡張されます。
バース大学で無機化学研究部門を率いCCDCの評議会議長を務めるPaul Raithby教授は、次のように語りました。「これらの境界領域で研究と教育に携わる者として、今回の共同開発の成果を楽しみにしています。研究においても教育においても、分野によっては気づかれずに終わりかねないような洞察がこれによって得られると期待しています。データ登録とアクセスのための新しいインフラストラクチャーにCCDCが多額の投資をした結果、このプロジェクトの技術的課題が大きく低減され、構造化学の研究者が以前から強く希望してきた提携が実現可能になったわけで、これを達成するためにFIZ Karlsruheとの共同作業ができることを大変誇りに思っています」
またFIZ KarlsruheのSabine Brünger-Weilandt会長兼CEOは「FIZ KarlsruheとCCDCの提携は科学界にとって大きな利益となるはずです。有機化合物も無機化合物も結晶構造を両者が共同で運用する1つのポータルを通じて蓄積・提供されるので、研究に必要な価値ある情報が一層容易に得られるようになります」と述べました。
この共同開発のニュースは、構造化学データを登録あるいは検索する人々から歓迎されています。
たとえばIUCr JournalsのPeter Strickland編集長は「国際結晶学連合は、この共同開発によって結晶構造の登録が簡易化されることを歓迎します。私たちはCSDとICSDという結晶学データベース間の協力関係を望んでいますし、この協力によって登録や検索能力が一層増大するのは喜ばしいことです」と述べています。
またオランダのナイメーヘン・ラドバウド大学のRene de Gelder教授は「ICSD、CSD両データベースのユーザーとして、FIZ KarlsruheとCCDCの共同開発は重要な前進だと思います。有機化学と無機化学の境界線は人為的なものなので、登録も検索も1ヶ所でできるようになれば大いに助かります」と語りました。
共同プロジェクトの計画・開発の作業はすでに始まっており、最初の結果は2017年中に公開される予定で、www.ccdc.cam.ac.ukからもwww.fiz-karlsruhe.deからもアクセス可能になります。CSDとICSDの両データベースは引き続き独立して開発強化が行われ、それぞれCCDCおよびFIZ Karlsruheからサービスが提供されます。
【CCDCについて】
[画像1: https://prtimes.jp/i/4886/31/resize/d4886-31-795254-0.jpg ]
ケンブリッジ結晶学データセンター (The Cambridge Crystallographic Data Centre) は、公益のために化学および結晶学の進歩を図ることを使命とし、共同研究およびCSDの開発を通じて全世界的に向けて構造化学研究を支援しています。CSDは分子性結晶構造に関する完全に管理された最新データを網羅的に提供する世界唯一の知識ベースです。
CSDは50年前に世界最初の数値データベースの一つとして発足し、現在では875,000件以上のレコードを収録しています。最新の構造解析用ソフトの提供、受容体モデリング、リガンドデザイン、ドッキング、リード最適化、製剤研究、材料研究などの専門家による研究サービスがCCDCの価値を一層高めています。CSDおよび関連ソフトは世界1,400ヶ所の研究機関に利用されています。その中には80ヶ国の大学研究機関および世界最上位の製薬・化学企業すべてが含まれています。
CCDCの起源はケンブリッジ大学の化学科にありますが、現在では英国リサーチ・カウンシルに属する独立研究機関かつケンブリッジ大学の協力研究所であり、法的には登録チャリティとなっています。50年の歴史を持つ科学研究機関としてのCCDCの顕著な実績は、750本以上の査読付き雑誌論文に示されています。
▽詳しくは http://www.ccdc.cam.ac.uk をご覧ください。
【FIZ Karlsruhe – Leibniz Institute for Information Infrastructureについて】
[画像2: https://prtimes.jp/i/4886/31/resize/d4886-31-284823-1.jpg ]
FIZ Karlsruhe – Leibniz Institute for Information Infrastructureは非営利組織で、ドイツ最大の科学技術情報機関の一つです。その使命は科学技術関係者に対して学術情報を提供すること、およびそのための製品とサービスを開発することです。この目的を達成するため、多様な情報源からの膨大なデータの編集と索引づけ、革新的な情報サービスの開発と運用を行うほか、独自の研究プロジェクトも推進しています。FIZ Karlsruheが加盟するライプニッツ協会は学術情報基盤の研究・開発に関係する91の研究機関を擁しています。
無機結晶構造データベース (ICSD) は完全に同定された無機化合物結晶に関する世界最大のデータベースで、公表された結晶性無機化合物の結晶学的データ(原子座標を含む)を収録し、最古のレコードは1913年にまで遡ります。このデータベースはFIZ Karlsruheが作成しており、現在の収録件数は約185,000件で、学術雑誌その他の情報に基づいて年2回(春と秋)更新されています。
▽詳しくは http://www.fiz-karlsruhe.de をご覧ください。
【化学情報協会(略称:JAICI)について】
[画像3: https://prtimes.jp/i/4886/31/resize/d4886-31-711449-2.jpg ]
化学情報協会は、化学技術情報の流通を図るため 1971 年に設立されました。米国をはじめ世界各国の情報機関などと協力関係を築き、日本の研究者をサポートする情報センターとして、大学・企業などの情報取得・分析から研究・開発までを支援しています。
1981年からCCDCの国内代理店として、会社等営利機関向けにCCDCのサービスを提供しています。また、1988年からFIZ Karlsruhe の国内代理店として、国内向けにICSDのサービスを提供しています。
▽詳しくは http://www.jaici.or.jp をご覧ください。