【SolidWorks】設計3次元化で、押出金型開発の「バーチャルラボ」体制を構築流動解析と構造解析の連成解析を駆使して、押出金型の大幅な軽量化と高精度化に成功
[11/06/27]
提供元:PRTIMES
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押出機/押出設備の専業メーカーである、株式会社プラスチック工学研究所におけるSolidWorks、SolidWorks Simulation Professionalの活用事例のご紹介です。
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樹脂加工機械メーカーである株式会社プラスチック工学研究所は、ここ5年間ほどで、押出金型の設計3次元化、流動解析の3次元化、構造解析を加えた連成解析ができる体制を急ピッチで整備した。目標は、「バーチャル試作」を充実させることにより、高度化する市
場ニーズへ迅速かつ低コストで対応することだ。特にSolidWorks Simulation Professionalの導入で連成解析ができるようになった結果、押出金型の最適設計に成功している。
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http://www.solidworks.co.jp/newsarticle/casestudy/PLABOR
押出金型の精度は、押出製品の精度に直結する。
プラスチック工学研究所は、1990年代から押出金型の流動解析に取り組み、2001年には、解析ソフト開発会社と共同で流動解析システムを開発した。
この樹脂流動解析システムは、同社ニーズを細部まで反映し、3次元解析の機能まで網羅しているが、ソルバだけであり、モデラーは別ソフトを使用していた。そこで、3次元解析の機能を活用して押出金型の精度をさらに追求するため、設計そのものを3次元へと移行することを決断。2005年に3次元設計ツールとしてSolidWorksを導入した。これはCAD・CAM・CAEの一貫した流れを構築する目的であった。
フイルムやシートを作るTダイは、内部の樹脂流路が複雑な3次元形状になるため、3次元での解析が不可欠だった。設計を3次元化して押出金型形状を正確にあらわせるようになったころで、樹脂流路もより正確に解析でき、押出金型の品質向上を効率よく行えるようになった。
流動解析は、同社が目指すバーチャルラボの基本でもある。
「樹脂も電気もコストも使わずに『バーチャル試作』をすることで、開発スピードを上げ、他社差別化ができる体制を整える為、日々技術力強化に努めている」と取締役 技術開発部長の辰巳昌典氏は力強く語る。
設計の3次元化も大きな成果をあげている。
まず、設計品質が大きく向上した。3次元設計では、組立図面と部品図面が異なるという現象は起こり得ないため、図面ミスも激減した。「穴の位置がずれていて組み付けができない」など、組みつけ段階になって初めてわかる不具合は撲滅されつつある。
干渉チェックの効果も大きい。設計段階で干渉チェックがほぼ完全に行えるため、現場での事前チェックの時間が大きく短縮されたのだ。
さらに、金型加工業者と協力してCAD/CAM自動連携を実現した結果、紙の2次元図面を全く使わずに複雑な樹脂流路の加工が出来るようになった。図面レスに成功して、設計者の意図をきっちり反映させた3次元データで押出金型づくりを一貫させ、より高精度な加工が実現できたのである。
「設計そのものの工数が1〜2割削減されたうえに、手戻りがなくなり、設計変更へ迅速に対応できるなど、ものづくり全体への波及効果はきわめて大きい」と鬼防氏は語る。
2007年、さらなる挑戦が始まった。SolidWorksの利用を構造解析の領域へと拡大することにしたのである。
「構造解析を加えて、バーチャルラボのレベルを高くすることで、これまで以上に多くの問題を解決したい」。
2007年、SolidWorks Simulation Professionalを1ライセンス追加導入して、構造解析、および流動解析と組み合わせての連成解析への取り組みが始まった。
初めての連成解析には「どの要素とどの要素を連成させればよいか」などの学習/研究が必要だったが、SolidWorks Simulation Professionalを導入してまだ日が浅いとき、納入先の押出金型に問題が発生した。さっそく構造解析を駆使して原因を見つけ出し、短時間で部品を作り直して問題を解決。これが客先にも高く評価されたのをきっかけに、構造解析の利用頻度が一気に高まったのである。
たとえば同社金型のフラッグシップ製品である自動Tダイの連成解析は、成形加工学会での発表でも注目を集めた。
「Tダイの樹脂出口はリップと呼ばれますが、スリット状になっており、内部圧力で変形する危険があります。そこでまず流動解析を行って、流速分布などの流動特性を把握。さらに、得られた内圧分布をSolidWorks Simulation Professionalへ入力して、リップの口開き量を予測しました。Tダイの強度が足りないと、リップが開いてシートの厚みが均一になりませんが、過剰に厚くすると重量が重くなり、設置先から歓迎されません。連成解析をすることで、使用する樹脂特性に合わせてTダイの厚みや形状を最適化した『限界設計』ができるのです」と、技術開発部の鬼防崇氏は説明する。
「3次元で構造解析すると、意外なところにも圧力がかかっていることがわかったり、締付トルクの位置を変えるだけで流速分布が変わったりすることを可視化できるようになりました。流動解析と組み合わせることで『真実に近づいた』といってもいいでしょう」と辰巳氏は評価する。
現在、プラスチック工学研究所では、SolidWorksを8ライセンス、SolidWorks Simulation Professionalを1ライセンス利用している。
「SolidWorksを推薦してくれたのは、解析ソフト開発会社ですが、確かにSolidWorksは使いやすい。ハイエンド3次元CADを使ったことのある設計者も『これは使いやすい』と評価しました。低価格なのに機能も充実しています」と辰巳氏。
金型設計グループでは、流動/構造を合わせて設計・解析事例が150件を超えた。限界設計によって、10トンの金型を7トンへと大幅に軽量化した成功事例もある。
「お客さまにも一目瞭然で理解していただけるのが、3次元の良いところ。3次元モデル、構造解析データ、流動解析データを駆使して、製品機能を説明するようになりました。お客さまも必ず解析システムを持っておられますから、共通の土俵で意見交換し、信頼関係を作ることができます」と辰巳氏はいう。
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次の課題は、押出機の装置全体の設計を3次元化することである。2010年に押出設計グループでのSolidWorks利用がスタートして、いま設計3次元化のトライアルを行っているところだ。また将来は、全社ものづくりを3次元で一貫させたいと考えており、押出機設計で用いている2次元CADは、すでにバージョンアップをストップした。
樹脂製品は、新機能や新しいコンパウンドが次々に開発されている。そして、大量生産が海外へシフトするなか、むずかしい加工や新規の取り組みほど、日本国内での迅速な対応が求められている。
3次元設計、3次元流動解析、3次元構造解析を短期間で次々に導入したプラスチック工学研究所は、より精度が高く、より多品種少量生産に対応できる樹脂加工機械づくりに向けて、さらなる飛躍を遂げようとしている。
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