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電子版お薬手帳を基盤としたPHR活用による「薬剤安全の世界」の実現 京都大学医学部附属病院、シミック、harmo連携協定を締結

〜周術期薬剤管理における医療DXの実証へ〜

このたび京都大学医学部附属病院、(京都府京都市左京区、院長 高折 晃史、以下:京大病院)と、シミックホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役会長CEO 中村 和男)、harmo株式会社(本社:東京都港区、代表取締役Co-CEO 石島 知、山東 崇紀、内上 昌裕、以下:harmo)は、2024年2月20日に連携協定を締結しました。
この協定は、患者さんが自身のPHR(パーソナルヘルスレコード:個人の健康情報)を管理し、医療機関を利用した際に患者さんが主体的にPHRを医療従事者に共有することで、薬剤安全の向上を図ることを目的としています。この協定では、薬剤安全の観点から入院時における医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の実証事業を2024年3月から開始し、患者さんが、より安心・安全な医療を受けられる環境の整備を目指します。
3月からの実証実験としては、まず、手術・入院する患者さんのPHRの電子カルテ連携について実施します。その結果については、2024年内に結果を発表する予定です。




[画像1: https://prtimes.jp/i/51375/40/resize/d51375-40-b46fc3f2b18d21f029a1-0.png ]

[画像2: https://prtimes.jp/i/51375/40/resize/d51375-40-11f082c4cee5f53cda05-3.jpg ]

<調印式/連携協定を締結>

1.今回の連携協定の背景〜PHRの医療機関との共有の課題〜
(1)テクノロジーや仕組みを導入し、患者さんが自身の薬を安全に使用できるようにする
 世界保健機関(World Health Organization、以下:WHO)は、2030年までの達成を目指して世界患者安全行動計画を発表し、加盟国に対して政策上の優先課題として認識するよう促しています。「医療において誰一人として害を被ることがなく、すべての患者さんが、いつでも、どこでも、安全で敬意にあふれたケアを受けられる世界」は、WHO加盟国が目指すビジョンです(※1,2)。

このビジョンのもと、患者さんの正しい服薬歴を医師と薬剤師と患者さんで共有できるシステムを構築し、活用することで、医師が処方をする段階で、正しい服薬歴に基づいて正しい判断がなされ、より安全な投薬につながり、薬剤による回避可能な害をなくしていきたいと考えています。

(2)医療機関における服薬情報収集の現状
現在の医療機関では紙や電子のお薬手帳を用いて患者さんの服薬情報を収集しています。紙のお薬手帳の場合は、薬局への持参忘れやシールの貼り忘れなど、調剤された薬の情報の記録に抜け漏れが発生するリスクがあります。医療機関では、紙のお薬手帳を確認しながら電子カルテに手入力せざるを得ない状況です。

電子版お薬手帳の場合は、医療機関で閲覧できる環境が整っておらず、患者さんのスマートフォンのアプリ画面を薬剤師が写真撮影し、その画像から必要な情報を転記している状況があります。2022年3月厚生労働省「電子版お薬手帳適切な推進に向けた調査検討会 報告書」によると、医療機関での電子版お薬手帳サービスの導入数は約160件と報告されており、薬剤情報を基盤とするPHRが医療機関で使用できる割合は極めて低い状態にとどまっています(※3)。

高い専門性が求められる医療現場において、服薬情報の確認、入力、書類管理などの作業が増え、確認漏れや転記間違いなどのリスクが発生しやすくなります。これらは、医療現場における過重労働の原因の一つであり、エラーを誘発する要因にもなります。

(3)薬剤安全につながる新しいテクノロジーとは
政府は2024年の診療報酬改定において、「医療DX推進体制整備加算」を新設しました。これは、医師、歯科医師、保険薬剤師がオンライン資格確認を用いて、患者さんのマイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)から得られる薬剤情報などを診療などでも活用できる体制を加速させ、質の高い医療を提供することを目標にしています(※4)。

患者さん側も、これらの医療DX基盤の一つであるマイナポータルを通じて、自身の薬剤情報などを過去3年分閲覧ができるようになります(※5,6)。また、マイナポータルと民間PHRサービスであるharmoを連携させることにより(2024年春連携予定。2023年3月31日電子版お薬手帳ガイドライン(※5)にて必須要件化)、患者さんが自身の薬剤情報をharmoに保存できるとともに、マイナポータルにはないOTCやサプリメントなどの情報に加え、副作用、アレルギー歴などの服薬状況もPHRサービスに記入することができるようになります。

政府の医療DX基盤と民間PHRサービスの連携による相互補完により、医療従事者はより包括的に患者さんの状況を把握でき、適切な診断や治療、投薬などを行う上で役立つとともに、患者さんの利便性向上にも繋がります。

医療機関を受診した際にも、患者さんが自身のPHRを効率的に医療機関に共有できる仕組みを構築することで、医療機関は最新のPHRを確認でき、安全性向上に寄与します。

2.本件実証実験の概要
〜患者さんのPHRの電子カルテへの安全で効率的な転記を目指す〜
[画像3: https://prtimes.jp/i/51375/40/resize/d51375-40-6b8a9b43ad4fffc0fad8-4.jpg ]

本実証事業では、患者さんが自身のアレルギー歴などの基本情報、調剤情報、服薬状況などをPHRとして管理し、医療機関に電子的に提供することができる社会を目指しています。

特に、入退院時や転院時におけるPHRの情報連携は薬剤の安全性を保つ上で重要です。本実証事業では、京大病院の周術期における医療DXに焦点を当てて検証を開始します。具体的な検証内容は次の通りです。

手術前に、患者さんは、外来で薬剤師と面談するが、その際、電子版お薬手帳を基盤としたPHRサービス「harmoおくすり手帳」を導入し、患者さんの調剤情報等(PHR)を電子的に電子カルテに転記するフローを確認します。

[画像4: https://prtimes.jp/i/51375/40/resize/d51375-40-a97ef0f97a7ba91246f8-2.jpg ]

1. 京大病院にharmo医療機関向けシステム(*1)を導入する。
(*1…harmo医療機関向けシステムとは、患者さんが「harmoおくすり手帳」に入力した服薬情報などのPHRを医療機関で閲覧できるシステムのこと。)
2. 京大病院にharmo専用の二次元コード(*2)を設置する。
(*2…harmo専用の二次元コードとは、「harmoおくすり手帳」の情報を、harmo医療機関向けシステムに転送するためのもの。)
3. 患者さんを模したダミー情報を入力した「harmoおくすり手帳」を用意する。
4. harmoおくすり手帳で二次元コードを読み込み、ダミー情報をharmo医療機関向けシステムへ転送する。
5. harmo医療機関向けシステム内に転送されたダミー情報を電子カルテに転記する。
6. 上記プロセスにおける医療従事者の業務工数の変化の検証と心理的負担軽減についてヒアリングを実施する。

3.今後の展望
本実証事業を通じて、京大病院、シミックホールディングス、harmoは、患者さんのPHR主体とした医療DXの利活用を推進し、すべての患者さんが安心・安全な医療を持続的に受けられる社会の実現を目指し、医療・ヘルスケアの新時代を築いていきます。

■参考ソース
※1…WHO, Global Patient Safety Action Plan
https://www.who.int/publications/i/item/9789240032705
※2…WHO, 世界患者安全行動計画 2021-2030(日本語版)
https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/343477/9789240032705-jpn.pdf
※3…厚生労働省, 電子版お薬手帳適切な推進に向けた調査検討 調査検討会 報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/001199639.pdf
※4…厚生労働省, 令和6年度診療報酬改定の概要【医療DXの推進】令和6年3月5日版
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001219984.pdf
※5…厚生労働省, 電子版お薬手帳ガイドラインについて
https://www.mhlw.go.jp/content/001199653.pdf
※6…マイナポータル
https://faq.myna.go.jp/faq/show/4902?category_id=18&site_domain=default

■京都大学医学部附属病院について
京大病院は、大学病院の使命である「診療・研究・教育」に関する3つの基本理念「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」「新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する」「専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する」をベースに、「安心・安全な医療の提供」に努めています。
https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/index.html

■harmoについて
harmo(ハルモ)は、個々人の医療・健康情報を個人やご家族が活用可能なサービスを開発・提供しています。「harmoおくすり手帳」はスマートフォンアプリケーションおよび専用ICカードを合わせ約44万人の利用者を擁し(2024年1月現在)、全国2万軒以上の薬局で利用実績があります。また、川崎市・神戸市・豊中市・滋賀県などの地域においては、薬剤師会と協業し、地域住民の健康増進に資する活動を展開してまいりました。
https://www.harmo.biz/

■シミックグループについて
シミック(CMIC)は、1992年に日本で初めてCRO(医薬品開発支援)事業を開始し、今では開発から製造、営業・マーケティングまでの医薬品に関する総合的な支援業務を提供しています。製薬・バイオテクノロジー・医療機器などの海外企業の日本市場参入や、アジアでの臨床試験実施、米国と日本における医薬品開発および製造のサポートなども展開しています。また、シミックは個人や自治体を支援する新しいヘルスケアソリューションを提供しており、製薬企業のバリューチェーンを全面的に支援する豊富な経験と実績を基盤として、“個々人の健康価値を最大化”する事業モデルPHVC("Personal Health Value Creator”)の展開を目指しています。シミックグループは、世界中に7,500人を超える従業員とグループ会社28社を擁しています。詳しくはウェブサイトをご覧ください。 https://www.cmicgroup.com/
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