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【ひとり親家庭対象アンケート】週41時間以上働いても、子どもに1日2食しか食べさせられない

フードバンク利用者アンケートの結果、物価高騰に苦しむひとり親家庭の実情が明らかに

認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンは2017年より国内の子どもの貧困対策事業として、ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」を開始し、ひとり親世帯への食品配付を行っています。
相対的貧困率が48.3%にも上る(2019年国民生活基礎調査)ひとり親家庭は、最近の物価高により深刻な経済的影響を受けています。グッドネーバーズ・ジャパンは運営するひとり親家庭対象のフードバンクの利用者へアンケートを行い、食費、1日の食事回数、労働時間を調査しました。




アンケート概要
「ひとり親家庭の食生活と労働時間アンケート」
実施日:2023年1月1日〜10日

対象者:「グッドごはん」の食品受取に申し込んだ首都圏および近畿圏の利用者(首都圏は主に東京・神奈川・埼玉 / 近畿圏は主に大阪・京都・兵庫・奈良) ※利用者は、ひとり親家庭等医療費受給者証保有者に限る(ひとり親家庭等医療費受給者証とは、18歳未満の子どもを養育し、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証)

有効回答数:2087名(首都圏1171名、近畿圏916名)



【食費】 ー 最多は1〜3万円 ー
1か月にかかる食費を調査したところ、6万円未満の家庭がおよそ88%という結果となりました。アンケート回答者の世帯人数の平均は2.89人で、中には4人家族で食費が1万円未満、6人家族で3万円未満の食費というケースも複数ありました。

[画像1: https://prtimes.jp/i/5375/71/resize/d5375-71-7241348012d0443ed316-4.png ]

食費について、アンケートの自由記述欄では以下のような声が上がっています。
【自由記述回答の例】
食品の値上がりが酷く、毎月の決まった食費を賄うのに参っている

物価高の影響で食費が以前よりかかるようになり、買いたくても買えない時がある

物価高騰で給与は上がらず、食費、光熱費がかかり、生活は大変

色々と値上がりして食費も上がってしまうが、食べ盛りの子どもの為に食費を中々削る事ができない

値段の高騰で日用品や食費は我慢、光熱費も節約しているが苦しく、子供も私も体調を崩して休むことが多い


物価上昇を受け、特に食費が家計を圧迫している状況がわかります。
また、節約したい一方で、子どもの健全な食生活も守りたいという保護者の葛藤がうかがえます。

【労働時間】 ー 週の労働時間は様々で、4人に1人は31〜35時間 ー
次に、週にどのくらいの頻度で働いているかという質問に対しては、半数以上が週5日勤務でしたが、残りは「0日」も含め様々で、以下のような割合になりました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/5375/71/resize/d5375-71-c07253023f461f445e29-13.png ]

同様に、1日に何時間程度働いているかという質問に対する回答状況は、法定労働時間の一日8時間近く、またはそれ以上働いている方が半数以上でした。
[画像3: https://prtimes.jp/i/5375/71/resize/d5375-71-d642e6d147cf7cef6d69-13.png ]

以上2つを掛け合わせた週当たりの勤務時間は、以下の通りです。

[画像4: https://prtimes.jp/i/5375/71/resize/d5375-71-cf7a223721e1c381d2ce-13.png ]

全体の半数が子育てをしながら週31時間以上働いています。また、約10人に1人は、週41時間以上を労働に充てています。
【自由記述回答の例】
昼間に7〜8時間働くのに加え、週3回の夜勤があるので、1日16時間勤務

18時から翌朝5時まで11時間勤務。思春期真っ只中の娘とほとんど話す時間がない

日雇い派遣のため、1日4時間の日もあれば10時間の日もあり、労働時間が不規則



一方で、全体の約2割を占める「労働時間が週20時間以下」という比較的勤務時間が短いとみられるケースおよび「就労していない」ケースについては、以下のように様々な事情が挙げられました。
【自由記述回答の例】
求職中

うつ病、ドクターストップ等

病気療養中のため働きたくても働けない

子どもを預けられる保育園が見つからないため、休職中

子どもが精神障害手帳を持っているので 長い時間は働けない

ひとり親家庭自立支援給付金を受けて国家資格取得のため通学中

発達障害で不登校の二人の小学生の各所への付き添いと高齢で要介護の両親の世話などで就労が難しい。



【1日の食事回数】 ー 給食のない休日に3食食べられない子どもが増加 ー
保護者と子それぞれの1日の食事回数を尋ねたところ、以下のような結果になりました。
[画像5: https://prtimes.jp/i/5375/71/resize/d5375-71-838109e66ba3a15f91e8-9.png ]

■ 保護者の食事回数 ー 1日1食のみが全体の8%(153人) ー
全体の半数超の保護者は安定的に1日3食摂ることができていません。その理由として、以下のような回答がありました。
【自由記述回答の例】
基本食べない。食べるなら子供へ回す

空腹時につまみ食い程度に何かを食べたり、子どもの食べ残しを食べたりすることが多い

息子が一緒にいる時は 昼食・夕食を一緒に食べるようにしている。息子が保育所に行っている際は、1日に夕食のみ


保護者は自分の食事を制限し、子どもを優先している様子がうかがえます。

■ 子の食事回数 ー 学校給食のない休日に、子どもの食生活がより困窮 ー
次に、子どもの結果を見ると、平日と休日で顕著な差が確認できます。
休日は、1日2食の子どもが平日の2倍以上にあたる35.7%に上り、さらに、全体の1.2%にあたる22人の子どもは1日1食のみの生活を送っています。

また、およそ1年半前の2020年9月に実施した、同じ調査より「子の休日の食事回数の結果」と比較してみました。
調査実施月:2020年9月

対象者:2020年9月にグッドごはんに申し込んだ利用者(首都圏のみ)

有効回答数:446名


[画像6: https://prtimes.jp/i/5375/71/resize/d5375-71-1cf83c86e9adf2faff7a-10.png ]

この1年半で、1回の割合が0.2→1.2%、2回の割合が29.6→35.7%に増えており、状況は悪化していると言えます。
子どもの食生活について、保護者からは以下のような声が上がっています。
【自由記述回答の例】
給料日前や児童扶養手当の支給月でないときは、親子共に食事回数が減る

食べ物がある時は食べさせている感じ



【食事回数と週当たり労働時間の関係】 ー 長時間働いても、子が1日2食以下の生活(休日) ー
「食事が十分にできないほど困窮しているなら、もっと働けばよい」
このように考える人もいるかもしれません。しかし保護者の週当たり労働時間別に食事回数を見ても、相関関係は見られず、働く時間が長ければ食事の回数がより安定する、という結果にはなりませんでした。
次のグラフは、労働時間が41時間以上の世帯グループにおける、子どもの休日の食事回数です。

[画像7: https://prtimes.jp/i/5375/71/resize/d5375-71-1462989c845443f7b770-13.png ]

保護者が41時間以上働いている世帯の約37%は、子どもが1日2回以下しか食べられておらず、全体の割合とほぼ同じであることがわかります。当団体のフードバンク利用者の過半数は非正規雇用ですが、たとえば時給が1100円の場合、週40時間働いても月収は18万円に満たず、家賃や固定費、子どもの人数、年齢によっては必ずしも十分に食事を確保できない現実が見えてきます。

また、このグループでは長時間働いていたり、生活時間が子どもと異なるために、育児に十分な時間を確保できないという声も目立ちました。
【自由記述回答の例】
働いているので夕飯が夜遅くなり、勉強を見てあげることができず、子供は遊んでばかりいるし、お腹を空かせて待っている

仕事で疲れていても休めば給料が減るので無理でも働かないと余裕が無い。自分の体調が悪いときはご飯が作れず、子どもに何も食べさせてあげられない

仕事が遅くまであり、夕食を作る時間が取れないので、ちゃんとした食事をさせてあげられていない

ずっと働き詰めなので子ども達のこともちゃんと見れておらず、子どもが学校から帰ってきて自分たちで食べられる物を探したり作ったりして食べているので、栄養の偏りは非常に気になる。レトルトやインスタント食品がメインの生活をしているので、子どもたちには申し訳なく思っている



おわりに
日本の母子世帯の就業率は86.3%(令和3 全国ひとり親世帯等調査)と世界的に高いにもかかわらず、ひとり親世帯の貧困率を国際比較すると、日本はOECD加盟国中ワースト2位(35か国中34位、OECD Family database)となっています。ひとり親世帯(とくに母子世帯)が選ばざるを得ない「非正規雇用」や「パート雇用」が、子どものいる家庭の家計を成り立たせるのに十分な収入に及ばない場合が多く、働いても子どもに3食食べさせることすらままならない状況が起こっているのです。逆に、十分な収入を得ようと長時間働くと今度は、育児にかける時間の余裕も心の余裕もなくなり、「育児と仕事どちらをを取るか」という選択を迫られることになるのです。
実際、グッドごはん利用者の就労スタイルも「子どもとの時間を確保するために仕事をセーブし、非課税所得で手当を受給しながら生活するが、手当が終了した後の収入の目途が無い」人と、「働けるだけ働くが、税金を払うと所得はそれほど上がらず一部手当を受給して生活し、子供と過ごす時間はほとんどない」というパターンに当てはまることが多いように思います。
しかし本来は、子どもを育てている家庭が育児と仕事のどちらかを選ばなければならない、という状況は望ましいものではありません。非正規で働く場合においても「同一労働同一賃金」であったり、様々な理由で長時間の就労ができない場合にはそれを補える社会保障により、貧困に陥ることなく子育てをできる仕組みが求められます。

グッドネーバーズ・ジャパンでは、ひとり親世帯へ焦点をあて、「ひとり親家庭等医療費助成制度医療証」を持つ家庭を対象に食品を提供しております。本事業を通し、生活に困難を抱える家庭が安定し自立した生活を送ることができる、その一助となるように支援しています。
毎月のグッドごはん新規登録件数は右肩上がりで、増え続けるニーズに応えるべく2022年11月には板橋に新たな食品保管倉庫を開設しました。
子どもたちが満足に毎日食べられるよう、今後も活動を継続してまいります。

団体について
特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパンは、国際組織グッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、2004 年に開設されました。「子どもの笑顔にあふれ、誰もが人間らしく生きられる社会」を目指し、アジア・アフリカの7カ国および日本国内の子ども支援を行っています。公益性の高い団体である「認定NPO 法人」として東京都から認可を受けています。
https://www.gnjp.org/

ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」とは
「グッドごはん」とは、主に東京とその周辺および大阪在住のひとり親家庭(※)を対象に、食品を無料で配付する事業です。企業や個人の寄付によって集まった、お米や調味料、レトルト食品、お菓子など、約10,000円相当のカゴいっぱいの食料を毎月ひとり親家庭に配付しています。

※1 当事業の対象者は、ひとり親家庭等医療費受給者証をもつ、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭で、通常は東京都とその周辺および大阪市の配付拠点に直接取りに来られる方を対象としています。
https://www.gnjp.org/work/domestic/gohan/
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