みんなのコードと宮城教育大附属小、コンピュータサイエンス教育に関する実証研究最終年度の報告書を発表
[23/04/27]
提供元:PRTIMES
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〜「あまり好きではなかった」「意味がないと思っていた」児童の変化〜
このたび、特定非営利活動法人みんなのコード(東京都港区、代表理事:利根川 裕太、以下みんなのコード)は、国立大学法人宮城教育大学附属小学校(宮城県仙台市、校長:滝野澤 清史、以下宮城教育大附属小)と共同で実施している、「コンピュータサイエンス(CS)教育」の授業の実践・研究・カリキュラム開発を行う実証研究プロジェクト(以下実証研究)について、2022年度の報告書を発表しました。本実証研究は、2020年度に開始し、3年間に渡って取り組んできたものです。本報告書は、これまでの実証研究の総まとめとなっています。
本実証研究の実施にあたっては、子ども・若者の未来を支援する日本財団(東京都港区、会長:笹川 陽平)に、「公教育におけるプログラミング教育必修化の定着と発展を通した地域格差の是正」プロジェクトとして、助成いただいています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-67143d0ab965d50fc23e-0.jpg ]
報告書は、以下よりご確認いただけます。
■報告書
https://speakerdeck.com/codeforeveryone/2022nian-du-konpiyutasaiensujiao-yu-no-karikiyuramukai-fa-nixiang-ketenoshi-zheng-yan-jiu
コンピュータサイエンス教育の重要性
情報技術は私たちの想像を上回るスピードで進化し、昨今ではChatGPTの利用者がリリース開始から2ヶ月で1億人を突破するなど、生成AIツールに対する注目が高まっています。学校現場においてもどのように扱っていくか、文部科学省がガイドラインの作成を予告しました。それに合わせてみんなのコードでも4月20日に「生成AIの初等中等教育でのガイドライン策定に向けた提言」(*1)を発表しました。
これからのAI時代を生きる子供たちは、コンピュータそのものに関して学ぶこともとても重要で
みんなのコードでは、AI時代を生きる子供たちの人生において、より良いテクノロジーとの関わりに資するものとするため、宮城教育大学附属小学校と連携し、3年間におよぶコンピュータサイエンス科での共同研究を続けてまいりました。
(*1):2023年4月20日発表「生成AIの初等中等教育でのガイドライン策定に向けた提言」
(https://code.or.jp/news/11333/)
なぜ、宮城教育大附属小が日本で初めて「コンピュータサイエンス科」を立ち上げたのか
宮城教育大附属小は、2017年度からICT教育の取り組みを開始し、2018年度にはICT教育とプログラミング教育が各教科の中で実施されていましたが、児童の学びが断片的になってしまうことに限界を感じていました。児童がコンピュータの特徴や良さを捉えられておらず、コンピュータの仕組みを意識せず、直感に頼った操作を行ってしまっていたのです。
このような背景から、2020年度より教科として独立した「コンピュータサイエンス科」が立ち上がりました。コンピュータの仕組みや情報の科学的理解を系統的に学び、デジタル社会の歩き方を児童自身が見出していくことで、操作習熟やコンピュータとの適切な関わり方を含む確かな情報活用能力を育成することを目標に掲げ、3年間の実証研究が始まりました。3年間のコンピュータサイエンスの授業を通して、児童にとって原体験となるような体験的・探究的な活動を設定した授業を実施してきました。
実証研究3年間の沿革
●2020年度
ー教科コンピュータサイエンス科の設立
ー各学年でコンピュータサイエンス科の時間をとして各学年で10時間実施
●2021年度
ー各学年でコンピュータサイエンス科の時間をとして各学年で20時間実施
ーオリジナル教材を使った授業実践
●2022年度
ーコンピュータサイエンス科に特化した公開研究会の開催
ーコンピュータサイエンス科オリジナル授業パッケージの作成
実証研究について
3年間の実証研究の中で、低学年では体験的な学習を進めました。中学年では体験的に学んだことを生かして情報の活用手段の幅を広げていき、高学年ではこれまで培ってきたコンピュータとの適切な関わり方を生かしながら、身の回りの課題を解決するためのプログラムを作成しました。
実証研究では、このような系統性を意識して各段階の学習を進めていきました。学年が上がるにつれて、プログラムの制作にとどまらず、児童同士でフィードバックを行い、新たなアイデアが生まれ、自分の作品のブラッシュアップを行うことができるようになりました。
コンピュータサイエンスの授業を通して、授業で与えられたプログラムにチャレンジするのではなく、自ら作りたいものを考え、創造的に取り組むことができるようになりました。また、児童が課題解決やプログラム制作を自分ごと化して取り組んでいる印象を受けました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-df9ea058308920fd4354-1.jpg ]
「CSをやっても意味がないと思っていた」「あまり好きではなかった」(児童の声)
2022年度の6年生(現中学1年生)へインタビューを行いました。彼女彼らは、3年生の時からコンピュータサイエンスの授業を受けた学年です。「CSの大きな学びとして、開発者側の大変さを知れたこと」、「プログラミングを通して、たくさんの人とも関わることができ、コミュニケーション能力がついた」といったように、CSの意義や他教科との結びつきを授業を通して自ら発見する様子が印象的でした。
[画像3: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-b39885701f919217222e-2.jpg ]
「コンピュータについての勉強は、大人になったとき、役に立つと思いますか?」(児童アンケート結果)
児童アンケートでは、「コンピュータについての勉強は、大人になったとき、役に立つと思いますか?」という質問に対して、実証研究を開始した2020年度より、肯定回答の割合が増加していました。特に2022年度の6年生は、2021年度5年生だった頃と比べて、「とてもそう思う」74%から90%に増えました。
今年は、卒業制作を行ったため、自分が設定した課題を解決することと、今までCSで学んできたことが掛け合わされた結果だと考えられます。
[画像4: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-611f3f3246c8251569e4-4.png ]
同じ児童・3年の変化
1年生→3年生:81%→93% (+12増)
2年生→4年生:94%→95% (+1増)
3年生→5年生:91%→98% (+7増)
4年生→6年生:93%→95% (+2増)
また、「パソコンやタブレットなどのコンピュータのことを勉強することは大切だと思いますか?」という質問に対しては、1年目から6年生までどの学年も約8割が肯定回答となりました。3年間のCS授業を経ても、減ることなく、むしろ増加している学年もありました。
[画像5: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-51b1725c99c52443ec60-5.png ]
同じ児童・3年目への変化
1年生→3年生:84%→84% (±0)
2年生→4年生:79%→88% (+9)
3年生→5年生:74%→85% (+11)
4年生→6年生:85%→89% (+4)
3年間の実証研究から見えた課題
意識していきたいこれからの課題は以下の3点です。
1.系統表に項目として示されている要素について、その内容をより正確に理解する。また、年間35時間の実施を目指して具体的な学習活動をさらに開発していく必要がある。
2.小学校におけるCS科の学びと中学校における技術・家庭科(技術分野)の学びがスムーズに接続することを目指して研究を進めてきた。さらに高等学校における情報Iへの接続も見据えて、今後カリキュラム構成を検討することが求められる。
3.低学年では、CSの7つの要素に年密に紐付けた学習活動よりも、体験を中心とした活動の方が、より児童の気付きを大切にした展開ができるのではないかという観点がある。そのため、幼稚園からの接続の点からも、低学年での扱い方について検討の余地がある。
今後、宮城教育大学附属小は、令和5年度研究開発学校新規指定校として、抽出された各教科等の主要な概念を踏まえながら、各教科等の特質に応じてICT機器や情報手段を適切に活用する活動の充実を図ることで学習の基盤となる資質・能力を育成していく新教科(「小学校情報科(仮称)」)(*2)の目標や内容の構成・系統等を構築していく研究開発を進めていきます。
(*2):令和5年度研究開発学校の指定について URL:https://curriculumdb.mext.go.jp/bc/kk/kk02/02
本実証研究のプロジェクトメンバーからのコメント
●宮城教育大学附属小学校 校長 滝野澤 清史
本校では、これまでの3年間、みんなのコードと共同でCS教育のカリキュラム開発の実証研究に取り組み、本報告書はその成果をまとめたものです。3年目である今年度は各学年20時間のCS科の時間を設定し実践を進めるとともに、11月には京都精華大学教授鹿野利春先生からご講演をいただき、たくさんの示唆を賜りました。
今後はこれまでの成果と課題を踏まえ、附属学校の特性を生かし、幼小中12年間を見通した小学校段階における情報活用能力の育成に向けた取り組みを進めてまいります。これからも忌憚のないご意見・ご感想をお寄せいただければ幸いです。
●前 国立大学法人宮城教育大学 教授 安藤 明伸
最初は手探りでスタートしたCSの授業も、先生たちがその重要性に気付き、児童に何を身に付けさせればよいのかが見えてきてからは、一気に加速したように思います。できるだけボトムアップで、先生たちの問題意識から授業を構成してきたからこそ、どの授業も押しつけのない学びの多いものになっています。この成果と課題は、今後の小学校での情報教育の参考になるのではないでしょうか。
●NPO法人みんなのコード 未来の学び探究部 プロジェクトリーダー 釜野 由里佳
先生方と一緒に、なぜ児童がCSを学ぶのか、授業のありたい姿は何かをひたすら考え続けた3年間でした。1年目は、先生方がCSについて理解することから始まりました。2年目以降は、学年の段階や児童たちの変化の様子に意識を向けながら、学校全体や学年同士での議論が活発になりました。さらに、はじめはCSを学ぶ意味が曖昧だった児童たちから「未来で役立つ教科なので学ばなきゃいけないものだと感じた」「CSが他の教科の勉強とつながった」などの声を聞き、3年間の共同研究の意義及び情報教育の重要性を深く実感しました。
引き続き、プログラミング教育が必修化された次の教育を形作るべく取り組んでまいります。
本実証研究の概要については、以下のプレスリリースもあわせてご覧ください。
●2020年9月30日発表 「みんなのコードと宮城教育大学附属小学校、国内初「コンピュータサイエンス教育」のカリキュラム開発に向けて実証研究をスタート」(https://code.or.jp/news/4344/)
●2021年4月1日発表 「みんなのコードと宮城教育大附属小のコンピュータサイエンス教育の実証研究報告書を発表」(https://code.or.jp/news/9946/)
●2022年4月14日発表 「みんなのコードと宮城教育大附属小、コンピュータサイエンス教育の実証研究2021年度報告書を発表」(https://code.or.jp/news/10704/)
このたび、特定非営利活動法人みんなのコード(東京都港区、代表理事:利根川 裕太、以下みんなのコード)は、国立大学法人宮城教育大学附属小学校(宮城県仙台市、校長:滝野澤 清史、以下宮城教育大附属小)と共同で実施している、「コンピュータサイエンス(CS)教育」の授業の実践・研究・カリキュラム開発を行う実証研究プロジェクト(以下実証研究)について、2022年度の報告書を発表しました。本実証研究は、2020年度に開始し、3年間に渡って取り組んできたものです。本報告書は、これまでの実証研究の総まとめとなっています。
本実証研究の実施にあたっては、子ども・若者の未来を支援する日本財団(東京都港区、会長:笹川 陽平)に、「公教育におけるプログラミング教育必修化の定着と発展を通した地域格差の是正」プロジェクトとして、助成いただいています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-67143d0ab965d50fc23e-0.jpg ]
報告書は、以下よりご確認いただけます。
■報告書
https://speakerdeck.com/codeforeveryone/2022nian-du-konpiyutasaiensujiao-yu-no-karikiyuramukai-fa-nixiang-ketenoshi-zheng-yan-jiu
コンピュータサイエンス教育の重要性
情報技術は私たちの想像を上回るスピードで進化し、昨今ではChatGPTの利用者がリリース開始から2ヶ月で1億人を突破するなど、生成AIツールに対する注目が高まっています。学校現場においてもどのように扱っていくか、文部科学省がガイドラインの作成を予告しました。それに合わせてみんなのコードでも4月20日に「生成AIの初等中等教育でのガイドライン策定に向けた提言」(*1)を発表しました。
これからのAI時代を生きる子供たちは、コンピュータそのものに関して学ぶこともとても重要で
みんなのコードでは、AI時代を生きる子供たちの人生において、より良いテクノロジーとの関わりに資するものとするため、宮城教育大学附属小学校と連携し、3年間におよぶコンピュータサイエンス科での共同研究を続けてまいりました。
(*1):2023年4月20日発表「生成AIの初等中等教育でのガイドライン策定に向けた提言」
(https://code.or.jp/news/11333/)
なぜ、宮城教育大附属小が日本で初めて「コンピュータサイエンス科」を立ち上げたのか
宮城教育大附属小は、2017年度からICT教育の取り組みを開始し、2018年度にはICT教育とプログラミング教育が各教科の中で実施されていましたが、児童の学びが断片的になってしまうことに限界を感じていました。児童がコンピュータの特徴や良さを捉えられておらず、コンピュータの仕組みを意識せず、直感に頼った操作を行ってしまっていたのです。
このような背景から、2020年度より教科として独立した「コンピュータサイエンス科」が立ち上がりました。コンピュータの仕組みや情報の科学的理解を系統的に学び、デジタル社会の歩き方を児童自身が見出していくことで、操作習熟やコンピュータとの適切な関わり方を含む確かな情報活用能力を育成することを目標に掲げ、3年間の実証研究が始まりました。3年間のコンピュータサイエンスの授業を通して、児童にとって原体験となるような体験的・探究的な活動を設定した授業を実施してきました。
実証研究3年間の沿革
●2020年度
ー教科コンピュータサイエンス科の設立
ー各学年でコンピュータサイエンス科の時間をとして各学年で10時間実施
●2021年度
ー各学年でコンピュータサイエンス科の時間をとして各学年で20時間実施
ーオリジナル教材を使った授業実践
●2022年度
ーコンピュータサイエンス科に特化した公開研究会の開催
ーコンピュータサイエンス科オリジナル授業パッケージの作成
実証研究について
3年間の実証研究の中で、低学年では体験的な学習を進めました。中学年では体験的に学んだことを生かして情報の活用手段の幅を広げていき、高学年ではこれまで培ってきたコンピュータとの適切な関わり方を生かしながら、身の回りの課題を解決するためのプログラムを作成しました。
実証研究では、このような系統性を意識して各段階の学習を進めていきました。学年が上がるにつれて、プログラムの制作にとどまらず、児童同士でフィードバックを行い、新たなアイデアが生まれ、自分の作品のブラッシュアップを行うことができるようになりました。
コンピュータサイエンスの授業を通して、授業で与えられたプログラムにチャレンジするのではなく、自ら作りたいものを考え、創造的に取り組むことができるようになりました。また、児童が課題解決やプログラム制作を自分ごと化して取り組んでいる印象を受けました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-df9ea058308920fd4354-1.jpg ]
「CSをやっても意味がないと思っていた」「あまり好きではなかった」(児童の声)
2022年度の6年生(現中学1年生)へインタビューを行いました。彼女彼らは、3年生の時からコンピュータサイエンスの授業を受けた学年です。「CSの大きな学びとして、開発者側の大変さを知れたこと」、「プログラミングを通して、たくさんの人とも関わることができ、コミュニケーション能力がついた」といったように、CSの意義や他教科との結びつきを授業を通して自ら発見する様子が印象的でした。
[画像3: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-b39885701f919217222e-2.jpg ]
「コンピュータについての勉強は、大人になったとき、役に立つと思いますか?」(児童アンケート結果)
児童アンケートでは、「コンピュータについての勉強は、大人になったとき、役に立つと思いますか?」という質問に対して、実証研究を開始した2020年度より、肯定回答の割合が増加していました。特に2022年度の6年生は、2021年度5年生だった頃と比べて、「とてもそう思う」74%から90%に増えました。
今年は、卒業制作を行ったため、自分が設定した課題を解決することと、今までCSで学んできたことが掛け合わされた結果だと考えられます。
[画像4: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-611f3f3246c8251569e4-4.png ]
同じ児童・3年の変化
1年生→3年生:81%→93% (+12増)
2年生→4年生:94%→95% (+1増)
3年生→5年生:91%→98% (+7増)
4年生→6年生:93%→95% (+2増)
また、「パソコンやタブレットなどのコンピュータのことを勉強することは大切だと思いますか?」という質問に対しては、1年目から6年生までどの学年も約8割が肯定回答となりました。3年間のCS授業を経ても、減ることなく、むしろ増加している学年もありました。
[画像5: https://prtimes.jp/i/15742/82/resize/d15742-82-51b1725c99c52443ec60-5.png ]
同じ児童・3年目への変化
1年生→3年生:84%→84% (±0)
2年生→4年生:79%→88% (+9)
3年生→5年生:74%→85% (+11)
4年生→6年生:85%→89% (+4)
3年間の実証研究から見えた課題
意識していきたいこれからの課題は以下の3点です。
1.系統表に項目として示されている要素について、その内容をより正確に理解する。また、年間35時間の実施を目指して具体的な学習活動をさらに開発していく必要がある。
2.小学校におけるCS科の学びと中学校における技術・家庭科(技術分野)の学びがスムーズに接続することを目指して研究を進めてきた。さらに高等学校における情報Iへの接続も見据えて、今後カリキュラム構成を検討することが求められる。
3.低学年では、CSの7つの要素に年密に紐付けた学習活動よりも、体験を中心とした活動の方が、より児童の気付きを大切にした展開ができるのではないかという観点がある。そのため、幼稚園からの接続の点からも、低学年での扱い方について検討の余地がある。
今後、宮城教育大学附属小は、令和5年度研究開発学校新規指定校として、抽出された各教科等の主要な概念を踏まえながら、各教科等の特質に応じてICT機器や情報手段を適切に活用する活動の充実を図ることで学習の基盤となる資質・能力を育成していく新教科(「小学校情報科(仮称)」)(*2)の目標や内容の構成・系統等を構築していく研究開発を進めていきます。
(*2):令和5年度研究開発学校の指定について URL:https://curriculumdb.mext.go.jp/bc/kk/kk02/02
本実証研究のプロジェクトメンバーからのコメント
●宮城教育大学附属小学校 校長 滝野澤 清史
本校では、これまでの3年間、みんなのコードと共同でCS教育のカリキュラム開発の実証研究に取り組み、本報告書はその成果をまとめたものです。3年目である今年度は各学年20時間のCS科の時間を設定し実践を進めるとともに、11月には京都精華大学教授鹿野利春先生からご講演をいただき、たくさんの示唆を賜りました。
今後はこれまでの成果と課題を踏まえ、附属学校の特性を生かし、幼小中12年間を見通した小学校段階における情報活用能力の育成に向けた取り組みを進めてまいります。これからも忌憚のないご意見・ご感想をお寄せいただければ幸いです。
●前 国立大学法人宮城教育大学 教授 安藤 明伸
最初は手探りでスタートしたCSの授業も、先生たちがその重要性に気付き、児童に何を身に付けさせればよいのかが見えてきてからは、一気に加速したように思います。できるだけボトムアップで、先生たちの問題意識から授業を構成してきたからこそ、どの授業も押しつけのない学びの多いものになっています。この成果と課題は、今後の小学校での情報教育の参考になるのではないでしょうか。
●NPO法人みんなのコード 未来の学び探究部 プロジェクトリーダー 釜野 由里佳
先生方と一緒に、なぜ児童がCSを学ぶのか、授業のありたい姿は何かをひたすら考え続けた3年間でした。1年目は、先生方がCSについて理解することから始まりました。2年目以降は、学年の段階や児童たちの変化の様子に意識を向けながら、学校全体や学年同士での議論が活発になりました。さらに、はじめはCSを学ぶ意味が曖昧だった児童たちから「未来で役立つ教科なので学ばなきゃいけないものだと感じた」「CSが他の教科の勉強とつながった」などの声を聞き、3年間の共同研究の意義及び情報教育の重要性を深く実感しました。
引き続き、プログラミング教育が必修化された次の教育を形作るべく取り組んでまいります。
本実証研究の概要については、以下のプレスリリースもあわせてご覧ください。
●2020年9月30日発表 「みんなのコードと宮城教育大学附属小学校、国内初「コンピュータサイエンス教育」のカリキュラム開発に向けて実証研究をスタート」(https://code.or.jp/news/4344/)
●2021年4月1日発表 「みんなのコードと宮城教育大附属小のコンピュータサイエンス教育の実証研究報告書を発表」(https://code.or.jp/news/9946/)
●2022年4月14日発表 「みんなのコードと宮城教育大附属小、コンピュータサイエンス教育の実証研究2021年度報告書を発表」(https://code.or.jp/news/10704/)