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「進路希望調査アンケート集計結果からみる高校生の進路選択傾向、職業観の変化について」の報告

〜高校生が志望する専門学校人気分野ランキングの推移・女子の看護離れ、男子のIT志向が進む〜




高校生に向けた進路情報の提供と進路イベントを手掛ける株式会社さんぽう(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:渡邉王雄)は近年のコロナ禍、産業構造の変化、ジェンダー観の変容といったものが進行しつつある社会情勢の下で、高校3年生の進路選択傾向や職業観がいかに変化しているかを明らかにするため、全国の高校生を対象に行っている独自の進路希望調査の中から専門学校志望者データを分析しました。
学校基本調査等の公的調査では見えない「ゲーム」や「声優」、「動物看護」等の分野も含めた詳細な分野別の傾向について、志望者数に基づいた順位の推移をベースにしてご報告いたします。

調査結果のポイント
★コロナ禍を経て「看護(女子)」、「保育(女子)」、「介護福祉(女子)」は志望者が減少、依然その傾向が継続している。
★「観光・旅行」や「ホテル」はコロナ禍の影響を受け、一時かなり減少したものの回復傾向を示している。
★男子の「情報処理・コンピュータ」はコロナ禍の最中に3位から1位に急上昇、3年連続で1位となっている。
★AI、データサイエンス、IT、DX、情報セキュリティなど人手不足が叫ばれているIT分野に関しては男女とも上昇傾向。
★長年女子の1位は「看護」で不動であったが、2年連続で2位に後退。1位は「美容」となった。
★女子3位であった「保育」は「メイク」にその位置を譲り、2年連続で4位となっている。
★ジェンダー観の変容を反映してか「保育(男子)」、「トリマー(男子)」、「動物看護(男子)」等は増加傾向を示している。

[調査概要]
〇調査目的
高等学校教育現場が近年のコロナ禍とその影響を大きく受けた期間、また産業構造やジェンダー観の変化が進行する社会情勢下において、高等学校卒業予定者の進路選択や職業観がいかに変化しているのかを明らかにする。
高校生の進路の中でもとくに専門学校はほぼ卒業後の職業、進路を定めて進学する教育機関であることから、専門学校志望者の希望分野の変動を検証することで、それらの変化を明確にできると考えた。

〇調査方法
配付回収:専用マークシート式希望調査用紙の配付・回収
調査対象:全国の高校3年生(全日制・定時制・通信制・サポート校など)
調査期間:2019年〜2024年 各年の4月1日〜8月31日
有効回答者数:75,229人
[アンケート概要]
専門学校の分野について計103分野に分け(※末尾の分野表を参照)、「その他」を加えた104の選択肢を設けている。専門学校志望者はそのいずれかから必ず一つを選択し、マークする形式のアンケート。第2志望までマークする形式だが今回のレポートでは第一志望分野のみの集計結果を分析対象とした。
[アンケート調査結果概要]
○高校3年生<男子>のランキングトップ20
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4505/88/4505-88-c811926852b281a2303cadb30a2a3dd9-1328x489.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


○高校3年生<女子>のランキングトップ20
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4505/88/4505-88-ad4c62cae269c9d2c23353507e3851c7-1319x479.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


○ランキング上位3位の変動について
 男子のトップ3は2019、2020年は1.ゲーム、2.自動車整備、3.情報処理・コンピュータの順であったが、2021年から「情報処理・コンピュータ」が1位に上がり、その後3年間その順位を維持している。コロナ禍の中でリモートワーク、オンラインミーティング等の業務形態の認知が一気に広がったこと、AIやデータサイエンス、DX、情報セキュリティ等の新分野の産業の興隆、専門人材の不足が叫ばれるようになったことなどを反映した動きと考えられる。

女子のトップ3をみると、まず当社の調査において長年不動の1位であった「看護」が2023年から2位に順位を下げていることが上げられる。「美容」は同様に長年2位であったが1位に上がり、その後志望者数実数、全体に占める志望率でも2位の「看護」と大きく差を広げつつある。3位であった「保育」は4位の「メイク」と順序を入れ替える結果となっている。

○エッセンシャルワーカー分野とビューティー系の動き
 「看護」、「保育」の順位の低下は前述のとおりだが、「介護福祉」も低下している。とくに女子は2019年から2022年まで15位であったものが2023年17位、2024年18位と下がり続けている。いずれの分野もコロナ禍の初期に就労現場の厳しい状況がマスコミに報道され、様々な理由から退職者が増加、現時点でも深刻な人手不足が指摘されている分野である。
 一方で「美容」「ネイル」については同じくコロナ禍初期には美容院離れ、ネイルショップの倒産などが報道されダメージを受けていた産業であるが、高校生の志望動向としてはマイナスに働かなかったことがうかがえる。
 20位圏外ではあるが、やはりビューティー系に区分される「エステ」も2019年には30位であったものが、順位を上げ続け2024年には20位となっている。これらはビューティー産業の拡大を反映した動きとも考えられる。

○「看護」離れの分析
専門学校看護分野志望者の減少については、高校生の大学志向や大学看護学部の増加という一面もあり、そちらに流れているのではないかという仮定を立てられるが、文部科学省が公表している「学校基本調査」を確認すると大学看護学部入学者は決して増加していないことがわかる。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4505/88/4505-88-0d5ea3b488b4e88e4ce178e38af8db4e-685x244.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


従来の看護専門学校進学層が大学に流れているとしても、そちらの減少に歯止めをかけるだけで看護師養成施設全体の志望者は減少しているといえる。実際に同調査によれば令和5年度の専門学校看護分野の入学者は令和元年度と比較すると15.0%減少している(※下表参照)。また、志願者数でみると34.2%も減少している。AO、推薦入試での入学者の増加も反映しているものと考えられ、一概に判断はできないが入学者の学力の低下も懸念され始めている。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4505/88/4505-88-a13b9afd5b7ee4d58dc970bbb71b4bab-580x252.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



○コロナ禍のダメージから回復しつつある分野について
いうまでもなくコロナ禍により大きなダメージを受け、近年回復傾向にある観光・旅行産業であるが、高校生の進路志望動向もほぼそれを反映した動きを示しているといえる。とくに「観光・旅行」の男子は2020年の41位から2022年66位まで下がり、その後2年で47位まで回復しており、まさにV字回復といえる。一方で女子の方は緩やかながら下降が止まっていない。
「ホテル」、「外国語・通訳・翻訳」については、男女とも回復傾向にある。
- 「観光・旅行(男子)」…(2019)42位→(2020)41位→(2021)56位→(2022)66位→(2023)62位→(2024)47位

- 「観光・旅行(女子)」…(2019)34位→(2020)37位→(2021)47位→(2022)50位→(2023)51位→(2024)52位

- 「ホテル(男子)」…(2019)33位→(2020)36位→(2021)42位→(2022)37位→(2023)38位→(2024)37位

- 「ホテル(女子)」…(2019)19位→(2020)21位→(2021)21位→(2022)18位→(2023)24位→(2024)21位

- 「外国語・通訳・翻訳(男子)」…(2019)47位→(2020)45位→(2021)49位→(2022)52位→(2023)52位→(2024)42位

- 「外国語・通訳・翻訳(女子)」…(2019)18位→(2020)23位→(2021)23位→(2022)30位→(2023)30位→(2024)24位


○ジェンダー観の変化を反映したものと推測される事例
就業現場において女性比率が極めて高い業種に繋がる分野について、男子の志望順位の上昇傾向がみられるものが複数あった。
ランキング20圏外ではあったが、極めて大きく上昇していたのは「動物看護」である。2019年の69位から2024年は41位にまで上昇した。同じく動物系分野である「トリマー」も49位から40位にまで上昇している。
「動物看護」については、2022年5月1日に施行された愛玩動物看護師法に基づいて新たに国家資格「愛玩動物看護師」が誕生した経緯が影響しているものと考えられるが、女子の上昇幅に対して男子のそれは著しいものがある。
また、「トリマー」についてもコロナ禍におけるペット需要の拡大や高齢者世帯における需要増が影響していると考えられるが、やはり女子の順位の変動はほとんどみられず、男子の順位だけが上昇している。
また、「保育」についても男子の順位が、(2019)26位→(2020)23位→(2021)23位→(2022)17位→(2023)24位→(2024)19位と上下しつつも上昇している。前述のようにコロナ禍のあおりも受けて女子の志望順位は低下していることを考慮すると近年のジェンダー観の変化など別の要因が働いている可能性は高いものと考えられる。「看護」についても男子の順位は、(2019)14位→(2020)12位→(2021)12位→(2022)12位→(2023)13位→(2024)13位と変動してきており、増減幅は大きくないものの「保育」と同様のことがいえそうだ。
逆に男性比率の高い業種に繋がる分野への女性の志願者増の傾向については、「情報処理・コンピュータ」(2019年36位→2024年29位)以外にはとくに目立つものはみられなかった。

○その他
- 専門学校の学科の中では珍しい職業や資格に直結していない「声優」はかつて人気が高く、全国の専門学校で学科の新設ラッシュがあった分野だが、男子は2019年の15位から2024年23位に、女子は14位から22位にまで低下している。そうした流れを反映してか、近年一部の専門学校では声優養成学科を動画配信者養成系の学科に再編する動きがみられる。
- アニメ―ター養成の「アニメ」では男子の順位が4年連続で低下(2020年26位→2024年35位)、女子は5年連続で上昇(46位→32位)と逆転現象がみられた。コロナ禍でのアニメ視聴需要の拡大、アニメーターの待遇問題の報道などプラスマイナスの要因が複雑に働いた結果のように考えられる。
- アニメ同様にコロナ禍において需要が拡大したゲーム業界について、「ゲーム」の順位をみると男子は1位から2位に順位を下げているが、志望者数が一気に増加した「情報処理・コンピュータ」に抜かれたものの全専門学校志望者に占める志望率についてはあまり変化しておらず、志望者の実数は減少していないものと考えられる。一方、女子の「ゲーム」は2019年の41位から2024年は36位に上昇している。



【独自企画調査用紙の専門学校分野項目】
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/4505/88/4505-88-b39f224d2994abf39a9178adaa865406-1213x495.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


【会社概要】
株式会社さんぽう(https://company.sanpou-s.net/
本社所在地:東京都渋谷区初台1-31-16
代表取締役:渡邉王雄

【全国の支社・営業所など拠点8か所を有し、主業務として高校生への進路情報提供を主体に50年余の社歴を誇ります】

【問い合わせ先】
株式会社さんぽう 情報管理センター
TEL:03-3378-7977(担当:久保)
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