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ナイジェリアの石油除染でシェル社が虚偽報告

シェル社が、アフリカ最大の原油産出地帯ナイジャーデルタの石油流出汚染を除去したという発表は、まったくの偽りだった。アムネスティ・インターナショナルと地元NGO「環境・人権・開発センター」は、シェル社が数年前に除染したとする4地域が今も汚染されていることを、現地調査で確認した。




[画像: http://prtimes.jp/i/5141/93/resize/d5141-93-472721-1.jpg ]



アムネスティと環境・人権・開発センターは、調査報告書を11月3日に発表した。

石油流出は、地元民が食料を採取し生活の糧としていた農地、森林、漁場に壊滅的な打撃を与えた。現地に入れば、汚染がどれほど広範囲にわたっているか、目視だけでなく、たちこめる匂いでもわかる。報告書では、ナイジェリア政府が石油業界を規制しなかったことも明らかにした。石油汚染を監視する国の機関が資金や人材の不足のため、石油汚染が一目瞭然な地域を、シェル社が除染したとする申告のままに、承認してきた。

ナイジャーデルタは現在、アフリカ最大の原油産出地だ。そして、この地の最大の国際石油会社がシェル社だ。同社は約50カ所の油田と全長5,000キロのパイプラインを稼働させているが、その多くは老朽化し、管理も行き届いていない。同社は、2007年以降に1,693件の石油流出事故があったことを認めているが、実数はおそらくもっと多いだろう。

国連環境計画(UNEP) は2011年、ナイジャーデルタのオゴニランド地域がパイプラインの原油流失で深刻な汚染にさらされていると発表した。また国連環境計画は、シェル社が石油流失後の適切な除染を怠ったことが、環境汚染や住民の生活への被害を悪化させたと指摘した。シェル社はこれに対し、指摘された汚染地域を除染し、将来また流出事故が起きた場合の対応を改善すると約束していた。

しかし、アムネスティと環境・人権・開発センターが、国連環境計画によって汚染が深刻だと指摘された地域のうちの4カ所を今回現地調査したところ、シェル社がすでに除染したとしているにもかかわらず、現在も明らかに汚染されたままであることがわかった。汚染は新たな石油流失によるものではなく、除染が不十分だったためである。

汚染地域のひとつ、シェル社のボム油田11の場合、45年前に石油が流出した。シェル社は1975年と2012年の2回、除染作業をしたというが、いまだに土壌は黒く染まり、水面には油層が浮いていた。ナイジェリアの監視官が除染済みと承認した他の地域でも、生活圏や農地近くの土壌や水が汚染されていた。

石油汚染に苦しむ地元住民

住民はアムネスティらに、ナイジャーデルタ地域住民の3分の2の食料と生活の糧を生み出してきた土地と水が、石油流失後どれほど長く汚染され続けているかを語った。80代の男性は、2009年に石油流出事故が起きるまで農業と漁業を営んでいたという。

「われわれの川はもう戻らない。もう漁業はできない。耕すべき農地も、シェル社の石油流出で壊滅的な被害を受けてしまった。シェル社が初めてこの地域に来た時、もしここで石油を発掘できれば、すばらしい地域に生まれ変わり、みな幸せに暮らせると約束した。それなのに、結局われわれが石油から得るものは、何もなかった」

アムネスティは、シェル社に対してナイジャーデルタでの石油流失が引き起こした破滅的な打撃を認め、解決に向けて取り組むことを求めている。報告書はその一環としてまとめたものだ。


▽ナイジャーデルタでの石油汚染について▽
http://www.amnesty.or.jp/campaign/demand_dignity/niger_delta/index.html
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