東京のオフィス賃料、15四半期連続で上昇大阪のオフィス賃料、6四半期連続で上昇ジャパン プロパティ ダイジェスト 2015 年第4四半期
[16/02/08]
提供元:PRTIMES
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総合不動産サービス大手のJLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西利信)は、日本のオフィス、リテール、ロジスティクス、ホテル市場における市況、需給や空室状況、賃料・価格動向及び12ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2015年第4四半期」を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。
東京のAグレードオフィス市場
● 賃料
15四半期連続の上昇
月額坪当たり35,399円(共益費込)となり、前期比2.1%、前年比6.0%の上昇となり、15四半期連続の上昇で、2015年では最大の上昇幅を記録した。最大の上昇率を記録したサブマーケットは新宿となった。
● 空室率
空室率はほぼ8年ぶりに2%へと低下
空室率は2.0%となり、前期比1.3ポイント、前年比1.0ポイント低下した。好調な拡張需要等を反映して、空室率は大幅に低下した。ほぼ全てのサブマーケットで低下がみられ、特に赤坂・六本木、渋谷における低下が顕著となった。
● ネット・アブゾープション※1
情報通信業、製造業、物品・不動産通信業からの拡張需要と、新規供給における好調な成約とが相まって、ネット・アブゾープションは165千m2 と大きく増加した。2015年通年のネット・アブゾープションは総計341千m2 となり、過去10年平均を22%上回る水準となった。
● 供給
第4四半期に新鉄鋼ビル(貸床面積51千m2 )と大手門タワー・JXビル(19千m2 )が竣工し、ストックは前期比1.0%増加した。2015年通年の新規供給は19千m2 となり、前年比4.0%増加した。
● 価格・投資利回り
上昇ペース加速
価格は前期比6.2%、前年比18.4%の上昇となり、賃料上昇と利回り低下を反映して、上昇率は前期に比べ加速した。当四半期の取引事例には、汐留ビル(10%持分)が挙げられる。アクティビア・プロパティーズが204億円、NOI利回り3.9%にて取得した。
● 12ヵ月見通し
2016年の賃料は価格を上回るペースで上昇
2016年は、需要は堅調に推移する一方で、新規供給は過去10年平均比170%となることから、空室率は上昇するものの引き続き4%を下回る水準で推移する見通し。賃料と価格は引き続き緩やかに上昇し、上昇ペースは2015年並みとなる見通しである。
※1当期中に新たに賃貸された床面積から当期中に退去した床面積を控除したネットの床面積の増減
大阪のAグレードオフィス市場
● 賃料
6四半期連続上昇
月額坪当たり16,362円(共益費込)。前期比1.5%、前年比4.4%の上昇となった。上昇ペースは引き続き加速しており、梅田が牽引した。
● 空室率
2次空室の発生により空室率は小幅上昇
空室率は5.6%、前期比0.1ポイントの上昇、前年比2.5ポイントの低下となった。2次空室の発生を反映して、6四半期ぶりの上昇となった。中之島で大幅上昇、梅田と御堂筋で低下がみられた。
● ネット・アブゾープション
第4四半期のネット・アブゾープションはマイナスとなったものの、2015年通年のネット・アブゾープションは93千m2 となり、JLL統計開始以来2番目の水準を記録した。
● 供給
第4四半期に新規供給はみられなかった。2015年通年の新規供給は1棟、貸床面積56千m2 となりストックは前年比3.4%増加した。
● 価格・投資利回り
価格は9四半期連続の上昇
価格は前期比5.6%、前年比29.2%上昇した。利回りは2007年の水準へと低下し、価格の上昇を下支えした。
● 12ヵ月見通し
賃料と価格ともに上昇局面続く
2016年は、堅調な需要に対して新規供給が予定されていないことから、空室率は一層低下し、賃料上昇を下支えするものの、上昇ペースは減速する見通し。価格は、一層の賃料上昇と利回り低下を反映して、上昇ペースが加速する見通し。
JLLリサーチ事業部長の赤城威志は、次のように述べています。
「東京と大阪の不動産市場は引き続き好調となり、賃料と価格の上昇ペースは加速しています。東京オフィスは空室率が2%へと大幅に低下、賃料上昇ペースが2012年以降の上昇サイクルで最大となり、大阪オフィスも比較的低位な空室率を背景に2四半期連続で賃料上昇ペースが加速しました。先行きについては、今後も上昇傾向を維持するものと予測されますが、新興国経済の動向やマイナス金利導入等の影響に注視する必要があります」
東京のリテール(商業施設)市場
● 賃料
賃料は引き続き上昇、銀座1階賃料は記録的高水準
月額坪当たり77,189円(共益費込)。前期比3.3%、前年比11.6%の上昇となった。1階賃料が空中階賃料を上回るペースで上昇し、上昇ペースは前期と比べ加速した。銀座の1階賃料は引き続き上昇し、前回ピーク(2007年)を上回る水準となった。
● 価格・投資利回り
価格は9四半期連続で上昇
価格は前期比7.3%、前年比34.3%の上昇となった。2007年の水準へと低下した利回りを反映して、上昇ペースは加速した。当四半期の取引事例には、リテールファンドによるGビル南青山01を3,650億円、NOI利回り4.0%の取得が挙げられる。
● 12ヵ月見通し
賃料と価格ともに上昇局面続く
2016年の需要は堅調に推移する一方で、新規供給の契約率は順調となっていることから、空室は限定的となり、賃料の一層の上昇を下支えする見通しである。価格は賃料上昇を反映して上昇するものの、上昇ペースは減速する見通しである。
東京のロジスティクス(物流)市場
● 賃料
12四半期ぶり下落
月額坪当たり4,182円(共益費込)。前期比0.4%の下落、前年同期比4.79%の上昇となった。12四半期ぶりのマイナス成長。ベイエリアは安定的に推移、インランドは下落がみられた。
● 空室率
2四半期ぶり上昇
空室率は6.5%となり、前期比3.7ポイント、前年比3.3ポイントの上昇となった。ベイエリアは旺盛な需要を受けて空室は減少したものの、インランドは新規供給の稼働率が30%台にとどまったことなどを反映して空室率は大きく上昇した。
● 価格・投資利回り
価格は13四半期連続上昇
価格は前期比0.4%、前年比13.9%の上昇となった。利回りは低下したものの、上昇ペースは前期比で減速した。当四半期に発表された取引事例にはGLP 松戸の取得が挙げられる。2016年1月にGLP J-Reitが23.56億円、NOI利回り5.9%にて取得予定である。
● ネット・アブゾープション
第4四半期の新規供給は6棟、延床面積 578千m2 となり、ストックは前期比 9.7%の増加となった。満室稼働した物件には、ベイエリアの生麦ディストリビューションセンターとインランドの東松山SRCが挙げられる。2015年通年でストックは前年比18.3%の増加となった。
● 12ヵ月見通し
賃料、価格ともに緩やかに上昇
2016年の新規供給は過去5年平均比160%相当となることから空室率は上昇するものの、需要は引き続き旺盛となる見通しであることから、賃料は緩やかな上昇を維持する見通し。価格は賃料上昇を反映して引き続き上昇するものの、上昇ペースは減速する見通し。
東京のホテル市場
● 需要
訪日外国人客が旺盛な宿泊需要を創出
訪日客数は、2015年初来11月までの累計で前年同期比47.5%の1,800万人となった。特に、前年比で109.4%の増加となった中国からの訪日客が訪日客数全体の伸びを牽引した。アクティブシニア層による国内宿泊需要への貢献も大きい。1940年代に出生した団塊の世代が定年を迎え、資金余力の大きいアクティブシニア層はレジャー旅行客としての存在感を増している。
● 供給
第4四半期の4ツ星、5ツ星ホテルの新規供給はなし
2015年は5ツ星ホテルの開業は無いが、2016年に2軒の5ツ星ホテルの開業が予定されている。星のや東京が客室数84室の高級旅館を丸の内エリアに、またザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町が客室数250室のホテルを旧グランドプリンス赤坂跡地にそれぞれ開業を予定している。4ツ星ホテルでは、二子玉川エクセルホテル東急が客室数109室の小規模ホテルとして2015年7月に開業している。2015年はその他の4ツ星ホテルの開業はない。
● 運営パフォーマンス
好調な運営パフォーマンスを維持
東京の5ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が2015年初来11月までの累計で前年比15.3%の増加と昨年からの成長が持続している。客室稼働率と平均客室単価(ADR)の双方が上昇したことによる。また、年移動平均でRevPARは2012年第2四半期以来、継続して成長軌道にある。
● 売買
第4四半期は東京の4ツ星及び5ツ星ホテルの取引は見られなかった。
● 12ヵ月見通し
RevPARは成長するものの、ペースは減速
2015年は円安拡大が国内ホテルのUSドル建のADR上昇を相殺するかたちでRevPARの高い伸びに貢献した。他方、2016年は世界経済に影響を与えるテロや中東情勢といった脅威からのリスク回避の姿勢から、円高基調への転換が予測される。これまでのADRの急上昇に歯止めがかかることにより、RevPARの成長ペースは減速すると見込まれる。マーケット環境の改善により、投資家のホテル投資意欲は高い一方で、ホテルオーナーがキャッシュフローの向上を享受するため、当面はホテルを保有する意思が強く、売り物件が限定され、ホテル取引件数が伸びにくい状態が続くことが予測される。
JLLホテルズ&ホスピタリティ事業部マネージングディレクターの沢柳知彦は、次のように述べています。
「訪日外国人客数の目標が3,000万人に引き上げられるなど、2016年も引き続きインバウンド需要を基軸とする全国的な宿泊マーケットの拡大が期待されます。ホテル業績は安定した成長が見込まれるものの、世界経済の減速や中東情勢の不安定化、加えて国内での民泊の合法化に伴う賃貸住宅の転用による大量の客室供給といったリスク要因が、近年の高い成長率に歯止めをかける可能性があります」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD) 2015年第4四半期」の詳細はwww.joneslanglasalle.co.jpをご覧ください。
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。世界80ヵ国、従業員約60,000名、230超拠点で展開し、年間の手数料収入は約52億米ドル、総売上高は60億米ドルに上ります。2014年度は、プロパティマネジメント及び企業向けファシリティマネジメントにおいて、約3億7,200m2 (約1億1,253万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、1,380億米ドルの取引を完了しました。JLLグループで不動産投資・運用を担当するラサール インベスト マネジメントは、総額564億米ドルの資産を運用しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インクの企業呼称及び登録商標です。
JLLのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在16ヵ国、83事業所で32,000名超のスタッフを擁しています。JLLは、2015年インターナショナル・プロパティ・アワードにて、「最優秀不動産コンサルタント賞」、「アジア・パシフィック最優秀不動産コンサルタント賞」を受賞しました。2015年ユーロマネー・リアル・エステート・アワードにおいて、最優秀リアル・エステート・アバイザーに選出されました。詳細な情報はホームページをご覧下さい。www.joneslanglasalle.co.jp
東京のAグレードオフィス市場
● 賃料
15四半期連続の上昇
月額坪当たり35,399円(共益費込)となり、前期比2.1%、前年比6.0%の上昇となり、15四半期連続の上昇で、2015年では最大の上昇幅を記録した。最大の上昇率を記録したサブマーケットは新宿となった。
● 空室率
空室率はほぼ8年ぶりに2%へと低下
空室率は2.0%となり、前期比1.3ポイント、前年比1.0ポイント低下した。好調な拡張需要等を反映して、空室率は大幅に低下した。ほぼ全てのサブマーケットで低下がみられ、特に赤坂・六本木、渋谷における低下が顕著となった。
● ネット・アブゾープション※1
情報通信業、製造業、物品・不動産通信業からの拡張需要と、新規供給における好調な成約とが相まって、ネット・アブゾープションは165千m2 と大きく増加した。2015年通年のネット・アブゾープションは総計341千m2 となり、過去10年平均を22%上回る水準となった。
● 供給
第4四半期に新鉄鋼ビル(貸床面積51千m2 )と大手門タワー・JXビル(19千m2 )が竣工し、ストックは前期比1.0%増加した。2015年通年の新規供給は19千m2 となり、前年比4.0%増加した。
● 価格・投資利回り
上昇ペース加速
価格は前期比6.2%、前年比18.4%の上昇となり、賃料上昇と利回り低下を反映して、上昇率は前期に比べ加速した。当四半期の取引事例には、汐留ビル(10%持分)が挙げられる。アクティビア・プロパティーズが204億円、NOI利回り3.9%にて取得した。
● 12ヵ月見通し
2016年の賃料は価格を上回るペースで上昇
2016年は、需要は堅調に推移する一方で、新規供給は過去10年平均比170%となることから、空室率は上昇するものの引き続き4%を下回る水準で推移する見通し。賃料と価格は引き続き緩やかに上昇し、上昇ペースは2015年並みとなる見通しである。
※1当期中に新たに賃貸された床面積から当期中に退去した床面積を控除したネットの床面積の増減
大阪のAグレードオフィス市場
● 賃料
6四半期連続上昇
月額坪当たり16,362円(共益費込)。前期比1.5%、前年比4.4%の上昇となった。上昇ペースは引き続き加速しており、梅田が牽引した。
● 空室率
2次空室の発生により空室率は小幅上昇
空室率は5.6%、前期比0.1ポイントの上昇、前年比2.5ポイントの低下となった。2次空室の発生を反映して、6四半期ぶりの上昇となった。中之島で大幅上昇、梅田と御堂筋で低下がみられた。
● ネット・アブゾープション
第4四半期のネット・アブゾープションはマイナスとなったものの、2015年通年のネット・アブゾープションは93千m2 となり、JLL統計開始以来2番目の水準を記録した。
● 供給
第4四半期に新規供給はみられなかった。2015年通年の新規供給は1棟、貸床面積56千m2 となりストックは前年比3.4%増加した。
● 価格・投資利回り
価格は9四半期連続の上昇
価格は前期比5.6%、前年比29.2%上昇した。利回りは2007年の水準へと低下し、価格の上昇を下支えした。
● 12ヵ月見通し
賃料と価格ともに上昇局面続く
2016年は、堅調な需要に対して新規供給が予定されていないことから、空室率は一層低下し、賃料上昇を下支えするものの、上昇ペースは減速する見通し。価格は、一層の賃料上昇と利回り低下を反映して、上昇ペースが加速する見通し。
JLLリサーチ事業部長の赤城威志は、次のように述べています。
「東京と大阪の不動産市場は引き続き好調となり、賃料と価格の上昇ペースは加速しています。東京オフィスは空室率が2%へと大幅に低下、賃料上昇ペースが2012年以降の上昇サイクルで最大となり、大阪オフィスも比較的低位な空室率を背景に2四半期連続で賃料上昇ペースが加速しました。先行きについては、今後も上昇傾向を維持するものと予測されますが、新興国経済の動向やマイナス金利導入等の影響に注視する必要があります」
東京のリテール(商業施設)市場
● 賃料
賃料は引き続き上昇、銀座1階賃料は記録的高水準
月額坪当たり77,189円(共益費込)。前期比3.3%、前年比11.6%の上昇となった。1階賃料が空中階賃料を上回るペースで上昇し、上昇ペースは前期と比べ加速した。銀座の1階賃料は引き続き上昇し、前回ピーク(2007年)を上回る水準となった。
● 価格・投資利回り
価格は9四半期連続で上昇
価格は前期比7.3%、前年比34.3%の上昇となった。2007年の水準へと低下した利回りを反映して、上昇ペースは加速した。当四半期の取引事例には、リテールファンドによるGビル南青山01を3,650億円、NOI利回り4.0%の取得が挙げられる。
● 12ヵ月見通し
賃料と価格ともに上昇局面続く
2016年の需要は堅調に推移する一方で、新規供給の契約率は順調となっていることから、空室は限定的となり、賃料の一層の上昇を下支えする見通しである。価格は賃料上昇を反映して上昇するものの、上昇ペースは減速する見通しである。
東京のロジスティクス(物流)市場
● 賃料
12四半期ぶり下落
月額坪当たり4,182円(共益費込)。前期比0.4%の下落、前年同期比4.79%の上昇となった。12四半期ぶりのマイナス成長。ベイエリアは安定的に推移、インランドは下落がみられた。
● 空室率
2四半期ぶり上昇
空室率は6.5%となり、前期比3.7ポイント、前年比3.3ポイントの上昇となった。ベイエリアは旺盛な需要を受けて空室は減少したものの、インランドは新規供給の稼働率が30%台にとどまったことなどを反映して空室率は大きく上昇した。
● 価格・投資利回り
価格は13四半期連続上昇
価格は前期比0.4%、前年比13.9%の上昇となった。利回りは低下したものの、上昇ペースは前期比で減速した。当四半期に発表された取引事例にはGLP 松戸の取得が挙げられる。2016年1月にGLP J-Reitが23.56億円、NOI利回り5.9%にて取得予定である。
● ネット・アブゾープション
第4四半期の新規供給は6棟、延床面積 578千m2 となり、ストックは前期比 9.7%の増加となった。満室稼働した物件には、ベイエリアの生麦ディストリビューションセンターとインランドの東松山SRCが挙げられる。2015年通年でストックは前年比18.3%の増加となった。
● 12ヵ月見通し
賃料、価格ともに緩やかに上昇
2016年の新規供給は過去5年平均比160%相当となることから空室率は上昇するものの、需要は引き続き旺盛となる見通しであることから、賃料は緩やかな上昇を維持する見通し。価格は賃料上昇を反映して引き続き上昇するものの、上昇ペースは減速する見通し。
東京のホテル市場
● 需要
訪日外国人客が旺盛な宿泊需要を創出
訪日客数は、2015年初来11月までの累計で前年同期比47.5%の1,800万人となった。特に、前年比で109.4%の増加となった中国からの訪日客が訪日客数全体の伸びを牽引した。アクティブシニア層による国内宿泊需要への貢献も大きい。1940年代に出生した団塊の世代が定年を迎え、資金余力の大きいアクティブシニア層はレジャー旅行客としての存在感を増している。
● 供給
第4四半期の4ツ星、5ツ星ホテルの新規供給はなし
2015年は5ツ星ホテルの開業は無いが、2016年に2軒の5ツ星ホテルの開業が予定されている。星のや東京が客室数84室の高級旅館を丸の内エリアに、またザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町が客室数250室のホテルを旧グランドプリンス赤坂跡地にそれぞれ開業を予定している。4ツ星ホテルでは、二子玉川エクセルホテル東急が客室数109室の小規模ホテルとして2015年7月に開業している。2015年はその他の4ツ星ホテルの開業はない。
● 運営パフォーマンス
好調な運営パフォーマンスを維持
東京の5ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が2015年初来11月までの累計で前年比15.3%の増加と昨年からの成長が持続している。客室稼働率と平均客室単価(ADR)の双方が上昇したことによる。また、年移動平均でRevPARは2012年第2四半期以来、継続して成長軌道にある。
● 売買
第4四半期は東京の4ツ星及び5ツ星ホテルの取引は見られなかった。
● 12ヵ月見通し
RevPARは成長するものの、ペースは減速
2015年は円安拡大が国内ホテルのUSドル建のADR上昇を相殺するかたちでRevPARの高い伸びに貢献した。他方、2016年は世界経済に影響を与えるテロや中東情勢といった脅威からのリスク回避の姿勢から、円高基調への転換が予測される。これまでのADRの急上昇に歯止めがかかることにより、RevPARの成長ペースは減速すると見込まれる。マーケット環境の改善により、投資家のホテル投資意欲は高い一方で、ホテルオーナーがキャッシュフローの向上を享受するため、当面はホテルを保有する意思が強く、売り物件が限定され、ホテル取引件数が伸びにくい状態が続くことが予測される。
JLLホテルズ&ホスピタリティ事業部マネージングディレクターの沢柳知彦は、次のように述べています。
「訪日外国人客数の目標が3,000万人に引き上げられるなど、2016年も引き続きインバウンド需要を基軸とする全国的な宿泊マーケットの拡大が期待されます。ホテル業績は安定した成長が見込まれるものの、世界経済の減速や中東情勢の不安定化、加えて国内での民泊の合法化に伴う賃貸住宅の転用による大量の客室供給といったリスク要因が、近年の高い成長率に歯止めをかける可能性があります」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD) 2015年第4四半期」の詳細はwww.joneslanglasalle.co.jpをご覧ください。
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。世界80ヵ国、従業員約60,000名、230超拠点で展開し、年間の手数料収入は約52億米ドル、総売上高は60億米ドルに上ります。2014年度は、プロパティマネジメント及び企業向けファシリティマネジメントにおいて、約3億7,200m2 (約1億1,253万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、1,380億米ドルの取引を完了しました。JLLグループで不動産投資・運用を担当するラサール インベスト マネジメントは、総額564億米ドルの資産を運用しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インクの企業呼称及び登録商標です。
JLLのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在16ヵ国、83事業所で32,000名超のスタッフを擁しています。JLLは、2015年インターナショナル・プロパティ・アワードにて、「最優秀不動産コンサルタント賞」、「アジア・パシフィック最優秀不動産コンサルタント賞」を受賞しました。2015年ユーロマネー・リアル・エステート・アワードにおいて、最優秀リアル・エステート・アバイザーに選出されました。詳細な情報はホームページをご覧下さい。www.joneslanglasalle.co.jp