道路交通セクターの排出量ネットゼロ、2050年までの達成はいまだ希望あり電気自動車が2025年までに5倍増加予想が貢献
[22/06/03]
提供元:PRTIMES
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2050年までに世界の自動車から排出されるCO2排出量ネットゼロを達成するには2038年までに内燃機関自動車の販売終了が必須-特に大型商用車に対する緊急政策措置が鍵
【ロンドン、ニューヨーク - 2022年6月1日】 ブルームバーグNEF(BNEF)が本日発表した調査レポート「電気自動車の長期見通し(Long-Term Electric Vehicle Outlook: EVO)」によると、道路交通セクターが2050年までにCO2排出量ネットゼロを達成することは、電気自動車の普及によってまだ可能とはいえ、政策立案者と業界関係者による喫緊の対応が求められることが判明。バスや二輪車、三輪車など一部の車両種類はネットゼロ目標達成に向けた軌道に乗りつつあるが、その他の種類、特に中型・大型商用車では予断を許さず追加的な措置が必要だ、としている。
BNEF電気自動車チームのリーダー、アレクサンドラ・オドノバンは、次のように述べています。「2050年までに道路交通セクターが排出量ネットゼロを達成できる道はまだ開かれているとはいえ、可能性はほんのわずかしか残されていない。向こう数年間は、各国政府や自動車メーカー、部品サプライヤー、充電インフラ供給会社による大きな後押しが必要だ」
今年の電気自動車の長期見通しでは、2050年までの電気自動車の普及に関して2つのシナリオの概要を解説し、蓄電池、材料、石油、電力、インフラの需要とCO2排出量への影響を検証している。経済移行シナリオ(Economic Transition Scenario: ETS)は、新たな政策措置や規制を想定せず、主に技術及び経済面の動向と市場原理に基づいている。ネットゼロ・シナリオ(Net-zero Scenario:NZS)は、2050年までの排出量ネットゼロを達成するための、道路交通セクターの潜在的な道筋を分析しており、駆動技術の導入を左右する決定要因として経済性に着目している。
電気乗用車の販売台数は、2021年の660万台から2025年には2100万台へと今後数年間で急増する見込みだ。BNEFの経済移行シナリオによると、電気自動車は2025年までに7700万台、2030年までに2億2900万台に達すると予想される。2021年末時点の1600万台からの増加となり、これまでのエネルギー移行において電気自動車が極めて成功しているという事実が反映されている。
電気自動車の普及が進むにつれ、1日当たり150万バレルもの石油需要がすでに減少している。大半はアジアの電気二輪・三輪車によるものだが、今後も電気乗用車の販売台数の増加に伴い、削減可能な石油需要は2025年には1日当たり250万バレルとなるだろう。BNEFの調査結果によると、乗用車以外にも道路交通のあらゆる分野で電動化が広がることから、道路交通セクター全体の石油需要は2027年までにピークを迎えると想定される。内燃機関自動車の販売は2017年にすでにピークを迎えており、BNEFでは2024年に世界の内燃機関乗用車台数が減少に転じると予想している。
2050年までに全世界の自動車をネットゼロにするためには、全世界での乗用車新車販売台数に占めるゼロエミッション車の割合が2030年までに61%、2035年までに93%となり、かつ2038年までにはすべての車両種類で内燃機関自動車の販売を終了させる必要がある。当調査レポートでは、V2G(vehicle-to-grid、ビークル・トゥ・グリット)技術が電力セクターにおける排出量の削減と消費者への価値創出に役立つことも明らかにされている。
BNEF次世代交通の部門長かつ同調査レポートの主執筆者、コリン・マッケラッチャーは次のように述べています。「電気自動車は、輸送セクターにおける世界のCO2排出量を削減する上で強力な手段だ。市場が正しい方向に動いているという非常に好ましい兆候が見受けられる一方で、特に大型トラックにはより一層の措置が不可欠だ。また、新興国市場にも焦点を当てる必要がある。新興国市場については、全車両種類の電動化への移行を実現し加速させるための資金援助が欠かせない」
BNEFの分析によると、先進国や多国間機関は、国際的な気候変動ファイナンス制度に電気自動車への投資、インセンティブの制定、充電インフラの整備などを盛り込み、自動車セクターの進展について信頼性の高い計画を立てている新興諸国が資金を利用できるようにする必要がある、と指摘している。譲許的融資(優遇条件による融資)は、新興諸国における再生可能エネルギーの発展にとって鍵となっているが、電気自動車セクターにとっても同様の役割を果たすとみられる、としている。
電気乗用車台数は、経済移行シナリオでは2035年に4億6900万台、ネットゼロ・シナリオでは同年までに6億1200万台にまで急増させる必要がある。この差の大部分を埋めるには新興諸国における取り組みが鍵となるが、先進国は新興国市場における移行を支援する手段を検討し、ネットゼロの実現が世界全体で遅れることを回避すべきだ、としている。
車両種類別に見ると、二輪・三輪車とバスについては、BNEFのネットゼロ・シナリオにおける目標達成に必要な軌道にすでにかなり近づいている。しかし、中型・大型商用車では大きく遅れを取っており、ネットゼロ目標達成には強力な政策措置がさらに必要とされる。経済移行シナリオでは、2050年までに導入されるゼロエミッションの中型・大型商用車は29%にすぎず、これはネットゼロの実現に必要な100%には遠く及ばない。各国政府は、トラックの燃費改善やCO2排出基準の厳格化に加え、政府機関や輸送会社などに対して中型・大型商用車の電動化に関する義務化を検討する必要があろう。また、複数の都市におけるゼロエミッション・ゾーンのほか、貨物輸送手段として大型トラックよりも電動化の実現が早い小型トラックへの移行を促進するためのインセンティブも検討すべきだ。
当調査レポートでは、蓄電池や燃料電池が大型長距離輸送車に適した技術なのかどうかについても検討している。2020年代の終わりまでには、メガワット規模の充電ステーションに加え、高エネルギー密度の蓄電池の普及により、電気トラックが大型長距離輸送車、特に輸送量が限られる場合は実現可能な選択肢となるだろう。蓄電池を使用した直接的な電動化は、トラックを含む道路交通の脱炭素化を図る上で最も経済的に魅力があり、効果的な方法と考えられ、可能な限りこれを追求すべきだ。一方、水素燃料電池車は、電動化が困難な地域やデューティーサイクルにおいて、一部の大型車が電動化できない若干の不足分を埋め合わせるのに役立つだろう。
表 1:車両種類別によるネットゼロに向けた進展
[画像: https://prtimes.jp/i/12467/133/resize/d12467-133-cb4e08c8a985b82b58de-2.png ]
当調査レポートでは、公共交通機関や徒歩、自転車、その他の手段を通じて車への依存度を可能な限り軽減することも追求すべきだと提案している。2050年までに自動車の走行距離を10%減らすだけでも、自動車を2億台減らし、累積CO2排出量を2.25ギガトン削減し、蓄電池のサプライチェーンへの負担を軽減することにつながる。これらはすべて長期的な脱炭素化目標の達成にプラスになるだろう、としている。
電気自動車メーカーは、向こう数年間は蓄電池の原材料市場が極めてひっ迫すると予想している。供給不足を回避すべく、蓄電池のサプライチェーンには大規模な投資が早急に必要とされる。とはいえ、蓄電池価格が上昇しても電気自動車の普及にすぐに影響することはないだろう。蓄電池原材料の高騰を招いている要因には戦争やインフレ、貿易摩擦などがあるが、これらはまたガソリンやディーゼルの価格も過去最高水準に押し上げている。これにより、消費者の電気自動車に対する関心が高まっている。
電気自動車の長期見通しの主な分析結果を記載した包括的なエグゼクティブ・サマリーおよび詳細は、https://about.bnef.com/electric-vehicle-outlook/ をご参照ください。
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【ロンドン、ニューヨーク - 2022年6月1日】 ブルームバーグNEF(BNEF)が本日発表した調査レポート「電気自動車の長期見通し(Long-Term Electric Vehicle Outlook: EVO)」によると、道路交通セクターが2050年までにCO2排出量ネットゼロを達成することは、電気自動車の普及によってまだ可能とはいえ、政策立案者と業界関係者による喫緊の対応が求められることが判明。バスや二輪車、三輪車など一部の車両種類はネットゼロ目標達成に向けた軌道に乗りつつあるが、その他の種類、特に中型・大型商用車では予断を許さず追加的な措置が必要だ、としている。
BNEF電気自動車チームのリーダー、アレクサンドラ・オドノバンは、次のように述べています。「2050年までに道路交通セクターが排出量ネットゼロを達成できる道はまだ開かれているとはいえ、可能性はほんのわずかしか残されていない。向こう数年間は、各国政府や自動車メーカー、部品サプライヤー、充電インフラ供給会社による大きな後押しが必要だ」
今年の電気自動車の長期見通しでは、2050年までの電気自動車の普及に関して2つのシナリオの概要を解説し、蓄電池、材料、石油、電力、インフラの需要とCO2排出量への影響を検証している。経済移行シナリオ(Economic Transition Scenario: ETS)は、新たな政策措置や規制を想定せず、主に技術及び経済面の動向と市場原理に基づいている。ネットゼロ・シナリオ(Net-zero Scenario:NZS)は、2050年までの排出量ネットゼロを達成するための、道路交通セクターの潜在的な道筋を分析しており、駆動技術の導入を左右する決定要因として経済性に着目している。
電気乗用車の販売台数は、2021年の660万台から2025年には2100万台へと今後数年間で急増する見込みだ。BNEFの経済移行シナリオによると、電気自動車は2025年までに7700万台、2030年までに2億2900万台に達すると予想される。2021年末時点の1600万台からの増加となり、これまでのエネルギー移行において電気自動車が極めて成功しているという事実が反映されている。
電気自動車の普及が進むにつれ、1日当たり150万バレルもの石油需要がすでに減少している。大半はアジアの電気二輪・三輪車によるものだが、今後も電気乗用車の販売台数の増加に伴い、削減可能な石油需要は2025年には1日当たり250万バレルとなるだろう。BNEFの調査結果によると、乗用車以外にも道路交通のあらゆる分野で電動化が広がることから、道路交通セクター全体の石油需要は2027年までにピークを迎えると想定される。内燃機関自動車の販売は2017年にすでにピークを迎えており、BNEFでは2024年に世界の内燃機関乗用車台数が減少に転じると予想している。
2050年までに全世界の自動車をネットゼロにするためには、全世界での乗用車新車販売台数に占めるゼロエミッション車の割合が2030年までに61%、2035年までに93%となり、かつ2038年までにはすべての車両種類で内燃機関自動車の販売を終了させる必要がある。当調査レポートでは、V2G(vehicle-to-grid、ビークル・トゥ・グリット)技術が電力セクターにおける排出量の削減と消費者への価値創出に役立つことも明らかにされている。
BNEF次世代交通の部門長かつ同調査レポートの主執筆者、コリン・マッケラッチャーは次のように述べています。「電気自動車は、輸送セクターにおける世界のCO2排出量を削減する上で強力な手段だ。市場が正しい方向に動いているという非常に好ましい兆候が見受けられる一方で、特に大型トラックにはより一層の措置が不可欠だ。また、新興国市場にも焦点を当てる必要がある。新興国市場については、全車両種類の電動化への移行を実現し加速させるための資金援助が欠かせない」
BNEFの分析によると、先進国や多国間機関は、国際的な気候変動ファイナンス制度に電気自動車への投資、インセンティブの制定、充電インフラの整備などを盛り込み、自動車セクターの進展について信頼性の高い計画を立てている新興諸国が資金を利用できるようにする必要がある、と指摘している。譲許的融資(優遇条件による融資)は、新興諸国における再生可能エネルギーの発展にとって鍵となっているが、電気自動車セクターにとっても同様の役割を果たすとみられる、としている。
電気乗用車台数は、経済移行シナリオでは2035年に4億6900万台、ネットゼロ・シナリオでは同年までに6億1200万台にまで急増させる必要がある。この差の大部分を埋めるには新興諸国における取り組みが鍵となるが、先進国は新興国市場における移行を支援する手段を検討し、ネットゼロの実現が世界全体で遅れることを回避すべきだ、としている。
車両種類別に見ると、二輪・三輪車とバスについては、BNEFのネットゼロ・シナリオにおける目標達成に必要な軌道にすでにかなり近づいている。しかし、中型・大型商用車では大きく遅れを取っており、ネットゼロ目標達成には強力な政策措置がさらに必要とされる。経済移行シナリオでは、2050年までに導入されるゼロエミッションの中型・大型商用車は29%にすぎず、これはネットゼロの実現に必要な100%には遠く及ばない。各国政府は、トラックの燃費改善やCO2排出基準の厳格化に加え、政府機関や輸送会社などに対して中型・大型商用車の電動化に関する義務化を検討する必要があろう。また、複数の都市におけるゼロエミッション・ゾーンのほか、貨物輸送手段として大型トラックよりも電動化の実現が早い小型トラックへの移行を促進するためのインセンティブも検討すべきだ。
当調査レポートでは、蓄電池や燃料電池が大型長距離輸送車に適した技術なのかどうかについても検討している。2020年代の終わりまでには、メガワット規模の充電ステーションに加え、高エネルギー密度の蓄電池の普及により、電気トラックが大型長距離輸送車、特に輸送量が限られる場合は実現可能な選択肢となるだろう。蓄電池を使用した直接的な電動化は、トラックを含む道路交通の脱炭素化を図る上で最も経済的に魅力があり、効果的な方法と考えられ、可能な限りこれを追求すべきだ。一方、水素燃料電池車は、電動化が困難な地域やデューティーサイクルにおいて、一部の大型車が電動化できない若干の不足分を埋め合わせるのに役立つだろう。
表 1:車両種類別によるネットゼロに向けた進展
[画像: https://prtimes.jp/i/12467/133/resize/d12467-133-cb4e08c8a985b82b58de-2.png ]
当調査レポートでは、公共交通機関や徒歩、自転車、その他の手段を通じて車への依存度を可能な限り軽減することも追求すべきだと提案している。2050年までに自動車の走行距離を10%減らすだけでも、自動車を2億台減らし、累積CO2排出量を2.25ギガトン削減し、蓄電池のサプライチェーンへの負担を軽減することにつながる。これらはすべて長期的な脱炭素化目標の達成にプラスになるだろう、としている。
電気自動車メーカーは、向こう数年間は蓄電池の原材料市場が極めてひっ迫すると予想している。供給不足を回避すべく、蓄電池のサプライチェーンには大規模な投資が早急に必要とされる。とはいえ、蓄電池価格が上昇しても電気自動車の普及にすぐに影響することはないだろう。蓄電池原材料の高騰を招いている要因には戦争やインフレ、貿易摩擦などがあるが、これらはまたガソリンやディーゼルの価格も過去最高水準に押し上げている。これにより、消費者の電気自動車に対する関心が高まっている。
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