【高知高専】四国から発信するサーキュラーエコノミー技術
[22/04/15]
提供元:PRTIMES
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〜四国経済産業局主催セミナーで食品廃棄物からのエネルギーを回収するコンパクトな省エネ型排水処理システムを紹介〜
高知工業高等専門学校(高知県南国市、校長:井瀬 潔 以下「高知高専」)ソーシャルデザイン工学科の山崎慎一教授は、2022年3月11日に開催された四国経済産業局主催の「四国発!環境ビジネスの今を知るセミナー(オンライン開催、定員250名)」で講演を行いました。このセミナーにおいて、四国から発信するサーキュラーエコノミー※1を加速させる技術シーズとビジネスモデルとして、「食品廃棄物からのエネルギーを回収するコンパクトな省エネ型排水処理システム」の実用化事例を紹介し、今後のビジネス化に向けての市場や展開方法等について解説しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/75419/150/resize/d75419-150-9508e052bfc730f0d7ae-0.jpg ]
【講演内容】
山崎教授は、これまで都市下水や有機性産業排水の処理に普及されてきた活性汚泥法※2に代わる省エネルギー型の生物学的処理法であるUASB法※3やDHS法※4の実用化に向けた研究を進めていますが、これまでの研究成果の中から2件の実用化に至った事例を紹介しました。
活性汚泥法は比較的安定かつ良好な処理水質が得られることで現在まで普及してきましたが、エアレーションによる過大な消費電力が課題でした。UASB法やDHS法はこのエアレーションが不要のため従来方式の課題を解決するものとなりますが、実用化の展開には様々な実排水での性能確認が必要でした。今回の研究成果は、厨房排水や下水の処理において良好な処理性能と省エネ化を達成したことで、UASB法やDHS法のさらなる実用化に道筋を示すものとなりました。
<紹介事例1> 厨房排水処理にUASB法とDHS法を適用
背景:食堂やレストランなどの厨房施設に設置されているグリストラップ※5で回収される油脂は一般的に産廃処理業者が減量化(濃縮、焼却)して処分されますが、その過程では有機物濃度の高い排水が発生するために処理施設が必要になります。
対応:N県内の産業廃棄物処理場から既設の処理施設を省エネ化したいという要望があり、山崎教授は高知県内の環境整備機器メーカー(兼松エンジニアリング株式会社)、大手の産業用プラントメーカー(三機工業株式会社)と共同して、UASB法とDHS法を組み合わせた処理システムを開発しました。2007年5月に実施設を産廃処理場内に建設し、現在においても順調に稼働しています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/75419/150/resize/d75419-150-36f1497af69b5c346750-1.png ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/75419/150/resize/d75419-150-60eb8188baed3b5c3b3f-2.jpg ]
<紹介事例2> 都市下水処理にDHS法を適用
背景:我が国の下水道事業の経営課題として、施設の老朽化による改築更新需要の増加や人口減少に伴う使用料収入の減少が懸念されており、今後の持続的な事業運営にはこれらの課題を解決する新たな下水処理技術の研究開発と実用化の加速が求められている背景があります。
対応:国土交通省下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)において、三機工業株式会社、東北大学、香川高専、高知高専、日本下水道事業団、須崎市の産官学の共同研究体は、流入下水量に応じてダウンサイジングが可能で維持管理コストを削減できるDHS法を用いた下水処理システムを高知県須崎市終末処理場内に建設しました。2017年1月より稼働し、稼働5年を経過した現在においても排出基準を満足する処理性能が得られており、日本各地の自治体から多くの見学者がきています。
[画像4: https://prtimes.jp/i/75419/150/resize/d75419-150-983538ec80dc84e5ee5f-3.png ]
[画像5: https://prtimes.jp/i/75419/150/resize/d75419-150-cbd571d4762b3e9d6252-4.jpg ]
これまで、多くの事業場で活性汚泥法が導入されてきましたが、今後は施設の老朽化で更新時期を迎える事業場が多くなり、省エネ化や廃棄物の減量化などのメリットがある本技術の必要性はより高まってくると考えられます。企業や社会の環境配慮への認識がより向上することで、排水処理への設備投資が進行して、市場規模の拡大に繋がることが期待されます。
【注記】
※1 サーキュラーエコノミー(循環経済):資源を効率的・循環的に利用しながら付加価値を生み出す経済活動
※2 活性汚泥法:排水中に含まれる有機物を酸化分解する好気性微生物を活用する処理法
※3 UASB法:上向流嫌気性汚泥ろ床法といい、無曝気による省エネ化、メタンによるエネルギー回収、汚泥発生量の削減が可能な嫌気性微生物を活用する処理方法
※4 DHS法:下向流スポンジ担体ろ床法といい、排水をスポンジ担体充填床に散水して無曝気で処理し、汚泥発生量も少ない好気性微生物を活用する処理方法
※5 グリストラップ:食堂やレストランなどの厨房施設に設置され、排水中の油脂を分離させる装置
【セミナー概要】
「四国発!環境ビジネスの今を知るセミナー」
URL:https://www.shikoku.meti.go.jp/01_releases/2022/02/20220224d/20220224d.html
近年、有限資源の枯渇や気候変動、海洋プラスチック問題をはじめとする資源の不適正な管理等の環境問題が地球規模で深刻化し、環境対応に関する社会的な関心が高まってきています。こうした背景の下、今後は環境問題への対応を大きな成長の機会と捉え、環境負荷の低減と経済成長を同時に達成できるような新たな環境ビジネスモデルを生み出していくことが注目されており、サーキュラーエコノミー(循環経済)と呼ばれる、あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る経済という考え方が普及してきています。本セミナーでは、サーキュラーエコノミーへの移行が加速する環境ビジネスの最新動向や、サーキュラーエコノミー構築を実践する企業や大学の研究シーズの紹介を通じて、SDGsや産業公害防止など、今日的な視点に沿った環境ビジネスの展開・飛躍の在り方や取組ポイントについて学びます。
日時:令和4年3月11日(金)14:00〜17:00
開催方法:オンライン(Microsoft Teamsを使用)
主催:四国経済産業局
【セミナープログラム】
■環境ビジネスの最前線-今日的な環境ビジネスの動向、最新事例-
○基調講演 14:05〜14:45
「脱炭素社会の実現に向けて、今動き出す、新たな循環型経済(サーキュラ―エコノミー)への転換」
壁谷 武久 氏 (一般社団法人サステナブル経営推進機構 専務理事)
○企業事例 14:45〜15:10
「循環のサプライチェーンから取り組むサーキュラーエコノミー-プラットフォーム化で参加しやすい循環型社会へ-」
沖田 愛子 氏 (日本環境設計株式会社 広報)
○産業公害防止に関する講演 15:10〜15:35
「産業公害防止の取組や技術をSDGs経営につなげるためのポイント」
井口 忠男 氏 (一般社団法人産業環境管理協会 環境管理部門 人材育成・出版センター)
■四国から発信するサーキュラーエコノミーを加速させる技術シーズとビジネスモデル
○四国地域の大学等研究機関における技術シーズの実用化例 15:50〜16:10
「食品系廃棄物からエネルギーを回収するコンパクトな省エネ型排水処理システム」
山崎 慎一 氏 (高知工業高等専門学校 ソーシャルデザイン工学科 教授)
○四国地域の企業事例 16:10〜16:50
「高い技術力と斬新なアイデアで、バイオマスや廃棄物を建築資材に」
藤本 和照 氏 (藤本産業株式会社 取締役)
「古米からつくられるバイオマスプラスチック歯ブラシ―全国のホテルで採用されるホテルアメニティ製品―」
武内 英治 氏 (山陽物産株式会社 代表取締役)
高知工業高等専門学校について
2030年頃には、AI、ロボット、ビッグデータなどの技術革新が一層進展し、社会や生活を大きく変えていく超スマート社会(Society5.0)の到来が予想され、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会が実現されていくと言われています。その中で克服すべき多くの課題を自ら解決し、全く新しい事業や市場の創出に貢献する人材が求められます。高知高専はこれからの社会の変化と時代のニーズに対応できる人材を育成する1学科制の高等専門学校です。1・2年次では、教養科目・専門基礎科目・実験実習で基本力を身につけ、3年次からは専門分野5コースのいずれかに進み、コアな専門分野と多面的な知識を融合、幅広い学識・技術が活かせるハイブリッド型の人材を育成しています。自らの力で新しい社会をデザインする「みらい人」の輩出を高知高専は目指します。
【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 高知工業高等専門学校
所在地:高知県南国市物部乙200-1
校長名:井瀬 潔
設立:1963年
URL:https://www.kochi-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【お問い合わせ先】
高知工業高等専門学校 総務課企画係
TEL:088-864-5602
e-mail:kikaku@jm.kochi-ct.ac.jp
高知工業高等専門学校(高知県南国市、校長:井瀬 潔 以下「高知高専」)ソーシャルデザイン工学科の山崎慎一教授は、2022年3月11日に開催された四国経済産業局主催の「四国発!環境ビジネスの今を知るセミナー(オンライン開催、定員250名)」で講演を行いました。このセミナーにおいて、四国から発信するサーキュラーエコノミー※1を加速させる技術シーズとビジネスモデルとして、「食品廃棄物からのエネルギーを回収するコンパクトな省エネ型排水処理システム」の実用化事例を紹介し、今後のビジネス化に向けての市場や展開方法等について解説しました。
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【講演内容】
山崎教授は、これまで都市下水や有機性産業排水の処理に普及されてきた活性汚泥法※2に代わる省エネルギー型の生物学的処理法であるUASB法※3やDHS法※4の実用化に向けた研究を進めていますが、これまでの研究成果の中から2件の実用化に至った事例を紹介しました。
活性汚泥法は比較的安定かつ良好な処理水質が得られることで現在まで普及してきましたが、エアレーションによる過大な消費電力が課題でした。UASB法やDHS法はこのエアレーションが不要のため従来方式の課題を解決するものとなりますが、実用化の展開には様々な実排水での性能確認が必要でした。今回の研究成果は、厨房排水や下水の処理において良好な処理性能と省エネ化を達成したことで、UASB法やDHS法のさらなる実用化に道筋を示すものとなりました。
<紹介事例1> 厨房排水処理にUASB法とDHS法を適用
背景:食堂やレストランなどの厨房施設に設置されているグリストラップ※5で回収される油脂は一般的に産廃処理業者が減量化(濃縮、焼却)して処分されますが、その過程では有機物濃度の高い排水が発生するために処理施設が必要になります。
対応:N県内の産業廃棄物処理場から既設の処理施設を省エネ化したいという要望があり、山崎教授は高知県内の環境整備機器メーカー(兼松エンジニアリング株式会社)、大手の産業用プラントメーカー(三機工業株式会社)と共同して、UASB法とDHS法を組み合わせた処理システムを開発しました。2007年5月に実施設を産廃処理場内に建設し、現在においても順調に稼働しています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/75419/150/resize/d75419-150-36f1497af69b5c346750-1.png ]
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<紹介事例2> 都市下水処理にDHS法を適用
背景:我が国の下水道事業の経営課題として、施設の老朽化による改築更新需要の増加や人口減少に伴う使用料収入の減少が懸念されており、今後の持続的な事業運営にはこれらの課題を解決する新たな下水処理技術の研究開発と実用化の加速が求められている背景があります。
対応:国土交通省下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)において、三機工業株式会社、東北大学、香川高専、高知高専、日本下水道事業団、須崎市の産官学の共同研究体は、流入下水量に応じてダウンサイジングが可能で維持管理コストを削減できるDHS法を用いた下水処理システムを高知県須崎市終末処理場内に建設しました。2017年1月より稼働し、稼働5年を経過した現在においても排出基準を満足する処理性能が得られており、日本各地の自治体から多くの見学者がきています。
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これまで、多くの事業場で活性汚泥法が導入されてきましたが、今後は施設の老朽化で更新時期を迎える事業場が多くなり、省エネ化や廃棄物の減量化などのメリットがある本技術の必要性はより高まってくると考えられます。企業や社会の環境配慮への認識がより向上することで、排水処理への設備投資が進行して、市場規模の拡大に繋がることが期待されます。
【注記】
※1 サーキュラーエコノミー(循環経済):資源を効率的・循環的に利用しながら付加価値を生み出す経済活動
※2 活性汚泥法:排水中に含まれる有機物を酸化分解する好気性微生物を活用する処理法
※3 UASB法:上向流嫌気性汚泥ろ床法といい、無曝気による省エネ化、メタンによるエネルギー回収、汚泥発生量の削減が可能な嫌気性微生物を活用する処理方法
※4 DHS法:下向流スポンジ担体ろ床法といい、排水をスポンジ担体充填床に散水して無曝気で処理し、汚泥発生量も少ない好気性微生物を活用する処理方法
※5 グリストラップ:食堂やレストランなどの厨房施設に設置され、排水中の油脂を分離させる装置
【セミナー概要】
「四国発!環境ビジネスの今を知るセミナー」
URL:https://www.shikoku.meti.go.jp/01_releases/2022/02/20220224d/20220224d.html
近年、有限資源の枯渇や気候変動、海洋プラスチック問題をはじめとする資源の不適正な管理等の環境問題が地球規模で深刻化し、環境対応に関する社会的な関心が高まってきています。こうした背景の下、今後は環境問題への対応を大きな成長の機会と捉え、環境負荷の低減と経済成長を同時に達成できるような新たな環境ビジネスモデルを生み出していくことが注目されており、サーキュラーエコノミー(循環経済)と呼ばれる、あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る経済という考え方が普及してきています。本セミナーでは、サーキュラーエコノミーへの移行が加速する環境ビジネスの最新動向や、サーキュラーエコノミー構築を実践する企業や大学の研究シーズの紹介を通じて、SDGsや産業公害防止など、今日的な視点に沿った環境ビジネスの展開・飛躍の在り方や取組ポイントについて学びます。
日時:令和4年3月11日(金)14:00〜17:00
開催方法:オンライン(Microsoft Teamsを使用)
主催:四国経済産業局
【セミナープログラム】
■環境ビジネスの最前線-今日的な環境ビジネスの動向、最新事例-
○基調講演 14:05〜14:45
「脱炭素社会の実現に向けて、今動き出す、新たな循環型経済(サーキュラ―エコノミー)への転換」
壁谷 武久 氏 (一般社団法人サステナブル経営推進機構 専務理事)
○企業事例 14:45〜15:10
「循環のサプライチェーンから取り組むサーキュラーエコノミー-プラットフォーム化で参加しやすい循環型社会へ-」
沖田 愛子 氏 (日本環境設計株式会社 広報)
○産業公害防止に関する講演 15:10〜15:35
「産業公害防止の取組や技術をSDGs経営につなげるためのポイント」
井口 忠男 氏 (一般社団法人産業環境管理協会 環境管理部門 人材育成・出版センター)
■四国から発信するサーキュラーエコノミーを加速させる技術シーズとビジネスモデル
○四国地域の大学等研究機関における技術シーズの実用化例 15:50〜16:10
「食品系廃棄物からエネルギーを回収するコンパクトな省エネ型排水処理システム」
山崎 慎一 氏 (高知工業高等専門学校 ソーシャルデザイン工学科 教授)
○四国地域の企業事例 16:10〜16:50
「高い技術力と斬新なアイデアで、バイオマスや廃棄物を建築資材に」
藤本 和照 氏 (藤本産業株式会社 取締役)
「古米からつくられるバイオマスプラスチック歯ブラシ―全国のホテルで採用されるホテルアメニティ製品―」
武内 英治 氏 (山陽物産株式会社 代表取締役)
高知工業高等専門学校について
2030年頃には、AI、ロボット、ビッグデータなどの技術革新が一層進展し、社会や生活を大きく変えていく超スマート社会(Society5.0)の到来が予想され、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会が実現されていくと言われています。その中で克服すべき多くの課題を自ら解決し、全く新しい事業や市場の創出に貢献する人材が求められます。高知高専はこれからの社会の変化と時代のニーズに対応できる人材を育成する1学科制の高等専門学校です。1・2年次では、教養科目・専門基礎科目・実験実習で基本力を身につけ、3年次からは専門分野5コースのいずれかに進み、コアな専門分野と多面的な知識を融合、幅広い学識・技術が活かせるハイブリッド型の人材を育成しています。自らの力で新しい社会をデザインする「みらい人」の輩出を高知高専は目指します。
【学校概要】
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 高知工業高等専門学校
所在地:高知県南国市物部乙200-1
校長名:井瀬 潔
設立:1963年
URL:https://www.kochi-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【お問い合わせ先】
高知工業高等専門学校 総務課企画係
TEL:088-864-5602
e-mail:kikaku@jm.kochi-ct.ac.jp