「データ活用で実現するビジネス変革」東京大学大学院 特任准教授 松尾豊氏、エクサウィザーズ代表取締役社長 石山洸氏が講演
[18/10/24]
提供元:PRTIMES
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イノベーションワークショップ2018 第1回開催
フューチャー イノベーション フォーラム(代表:牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャー株式会社会長兼社長、以下FIF)は、2018年10月3日にイノベーションワークショップ2018シリーズをスタートしました。
本ワークショップは、次世代リーダーの育成と業界の枠を越えた企業同士の交流を深める場として、2007年にスタートしました。本年は「データ活用で実現するビジネス変革」をテーマに、人工知能(AI)やIoTなどの最新技術によって収集・分析したデータを活用してどのような付加価値を生み、ビジネスや社会構造を変えていくのかを全3回をつうじて、講義、ディスカッション、実践を重ねていきます。
[画像: https://prtimes.jp/i/4374/309/resize/d4374-309-541768-1.jpg ]
【開催概要】
第一部 講 演
東京大学大学院 工学系研究科 特任准教授 松尾 豊
「AIをめぐる世界の現状と日本企業の戦い方」
株式会社エクサウィザーズ 代表取締役社長 石山 洸
「AIを利活用した新規事業の立ち上げプロセス」
第二部 講演者2名とフューチャー株式会社 取締役CTO 齋藤洋平を交えたパネルディスカッション
第三部 参加者を交えたフリーディスカッション
日 時:2018年10月3日(水) 18:00〜20:00
会 場:フューチャーアーキテクト株式会社(東京都品川区)
【講演概要】
東京大学大学院 工学系研究科 特任准教授 松尾 豊
「AIをめぐる世界の現状と日本企業の戦い方」
人工知能(AI)において、ディープラーニングは革新的な技術であり、それが最も活かされているのが画像認識だ。画像認識の精度はいまや人間の能力を超え、ロボットによる物体のピッキング作業など、以前はできなかったことがここ数年で急速に実現可能となった。
ディープラーニングもコンピュータの進化によって実現し得た新しい技術だが、原理は簡単で、一言でいうと「深い関数を使った最小二乗法」である。最小二乗法とは予測値と実際の値との差が最小になるようにパラメータを求める方法で、経済学で使用する「重回帰分析」などの関数では多くても数十個の変数が、ディープラーニングでは、関数の構造を2層、3層、4層とより深く組み立てることで、数万〜数億個にのぼる変数を処理していく。
原理はシンプルだが汎用性は非常に高いという点において、ディープラーニングは産業に変革を起こした電気やトランジスタ、インターネットに匹敵する汎用目的技術だといえる。たとえば1980年代後半に誕生したインターネットは「リンクで文書をつなぐ」という単純な仕組みだが、次々に新しいビジネスを生み出し、誕生から20年程で巨大産業へと発展した。同様に2006年に注目されはじめたディープラーニングも技術のコモディティ化が進んでおり、近い将来、一大産業になると確信している。すでにAmazonやGoogleなどはディープラーニングを積極的に活用しているが、まだディープラーニングを使ったビッグビジネスは出てきておらず、日本企業にも大きなチャンスがある。
ディープラーニングでは“自分好みの生活をしたい”という欲求を満たす最終消費に関わる産業が、プラットフォーマーになる可能性が高い。なぜならAIの活用で効率化・自動化が進んでも、衣食住や教育、医療など人がお金を払いたいと思う産業は最後まで残り、消費行動もパーソナライズされていくからだ。そういう意味で、とくに日本の食産業には大きな期待をしている。日本の食は非常にレベルが高く、積極的な投資で“食のプラットフォーム”を築いていけば、世界で十分に戦えるはずだ。
今後は、どのようにビジネスに結びつけていくかという創意工夫が重要になってくる。ディープラーニングの潜在的な可能性がまだ過小評価されている今こそ、日本企業にはいち早く活用に取りかかってほしい。世界に通用するグローバル企業が、日本から続々と誕生することを期待している。
株式会社エクサウィザーズ 代表取締役社長 石山 洸
「AIを利活用した新規事業の立ち上げプロセス」
2006年にリクルートに入社し、2017年春の退職時は同社のAI研究所を統括していた。その間、AIの利活用によってビジネスが変貌していく様を目の当たりにした。雑誌・フリーペーパーが中心だった事業が、2014年の上場時にはデジタルメディアになり、現在はそこから得たデータをAIで解析し新規ビジネスを生み出す事業も展開している。財務的なインパクトも非常に大きく、上場からわずか4年で売上高は約2倍の2兆円、時価総額も5兆円を超えた。大胆な投資がなければ、このような急激な上昇カーブは描けない。リスクを恐れず挑戦することが大切だ。
私自身は以前から社会に役立つAIビジネスを手掛けたいと思っており、うつ病患者の体調管理アプリを開発したことがきっかけで、その思いを強め、昨年静岡大学発のベンチャー企業に転職した。そこでは「ユマニチュード」というフランス生まれの認知症ケア手法を取り入れた介護とAIを掛け合わせた研究がされており、超高齢社会を迎える日本に広く普及させたいと考えた。
これまでも介護の現場にロボットを導入する取り組みはあったが、現実的な課題と技術のすり合わせがうまくいかず、活用が進んでいなかった。そのため、どういったAI技術を現場で使えば役立つのか、認知症の症状や介護者の負担がどれくらい改善され、社会保障費がどれくらい削減できるのかといった「エビデンス・ベースド」なアプローチによる、より良い介護の実現を目指した。
具体的には、ユマニチュードにおいて重要な「見る」「話す」「触れる」「立つ」のケアスキルの可視化を行っており、ケアの様子を撮影した動画をAIで解析して数値化し、熟練した介護者と初心者の違いがわかるようにした。今春、福岡市で在宅ケアを行っている100名を対象に2時間の研修を実施し、追跡調査をしたところ、認知症の症状が20%改善され、介護者の負担感が28%低下するという喜ばしい結果が得られた。現在はユマニチュードの普及に向けて、コーチングAIの開発も進めている。ウェアラブルグラスをつけて介護にあたると、アイコンタクトができているか、相手との距離は適切かなどをAIが指導してくれる。
AIはビジネスとしてだけでなく、社会課題の解決につながる可能性が大いにある。介護にとどまらず、今後もAIで社会に貢献していきたいと考えている。
【本ワークショップに関するお問い合わせ】
FIF事務局
Mail:forum@future.co.jp URL:https://fif.jp/ facebook:https://www.facebook.com/fif.2006
フューチャー イノベーション フォーラム(代表:牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャー株式会社会長兼社長、以下FIF)は、2018年10月3日にイノベーションワークショップ2018シリーズをスタートしました。
本ワークショップは、次世代リーダーの育成と業界の枠を越えた企業同士の交流を深める場として、2007年にスタートしました。本年は「データ活用で実現するビジネス変革」をテーマに、人工知能(AI)やIoTなどの最新技術によって収集・分析したデータを活用してどのような付加価値を生み、ビジネスや社会構造を変えていくのかを全3回をつうじて、講義、ディスカッション、実践を重ねていきます。
[画像: https://prtimes.jp/i/4374/309/resize/d4374-309-541768-1.jpg ]
【開催概要】
第一部 講 演
東京大学大学院 工学系研究科 特任准教授 松尾 豊
「AIをめぐる世界の現状と日本企業の戦い方」
株式会社エクサウィザーズ 代表取締役社長 石山 洸
「AIを利活用した新規事業の立ち上げプロセス」
第二部 講演者2名とフューチャー株式会社 取締役CTO 齋藤洋平を交えたパネルディスカッション
第三部 参加者を交えたフリーディスカッション
日 時:2018年10月3日(水) 18:00〜20:00
会 場:フューチャーアーキテクト株式会社(東京都品川区)
【講演概要】
東京大学大学院 工学系研究科 特任准教授 松尾 豊
「AIをめぐる世界の現状と日本企業の戦い方」
人工知能(AI)において、ディープラーニングは革新的な技術であり、それが最も活かされているのが画像認識だ。画像認識の精度はいまや人間の能力を超え、ロボットによる物体のピッキング作業など、以前はできなかったことがここ数年で急速に実現可能となった。
ディープラーニングもコンピュータの進化によって実現し得た新しい技術だが、原理は簡単で、一言でいうと「深い関数を使った最小二乗法」である。最小二乗法とは予測値と実際の値との差が最小になるようにパラメータを求める方法で、経済学で使用する「重回帰分析」などの関数では多くても数十個の変数が、ディープラーニングでは、関数の構造を2層、3層、4層とより深く組み立てることで、数万〜数億個にのぼる変数を処理していく。
原理はシンプルだが汎用性は非常に高いという点において、ディープラーニングは産業に変革を起こした電気やトランジスタ、インターネットに匹敵する汎用目的技術だといえる。たとえば1980年代後半に誕生したインターネットは「リンクで文書をつなぐ」という単純な仕組みだが、次々に新しいビジネスを生み出し、誕生から20年程で巨大産業へと発展した。同様に2006年に注目されはじめたディープラーニングも技術のコモディティ化が進んでおり、近い将来、一大産業になると確信している。すでにAmazonやGoogleなどはディープラーニングを積極的に活用しているが、まだディープラーニングを使ったビッグビジネスは出てきておらず、日本企業にも大きなチャンスがある。
ディープラーニングでは“自分好みの生活をしたい”という欲求を満たす最終消費に関わる産業が、プラットフォーマーになる可能性が高い。なぜならAIの活用で効率化・自動化が進んでも、衣食住や教育、医療など人がお金を払いたいと思う産業は最後まで残り、消費行動もパーソナライズされていくからだ。そういう意味で、とくに日本の食産業には大きな期待をしている。日本の食は非常にレベルが高く、積極的な投資で“食のプラットフォーム”を築いていけば、世界で十分に戦えるはずだ。
今後は、どのようにビジネスに結びつけていくかという創意工夫が重要になってくる。ディープラーニングの潜在的な可能性がまだ過小評価されている今こそ、日本企業にはいち早く活用に取りかかってほしい。世界に通用するグローバル企業が、日本から続々と誕生することを期待している。
株式会社エクサウィザーズ 代表取締役社長 石山 洸
「AIを利活用した新規事業の立ち上げプロセス」
2006年にリクルートに入社し、2017年春の退職時は同社のAI研究所を統括していた。その間、AIの利活用によってビジネスが変貌していく様を目の当たりにした。雑誌・フリーペーパーが中心だった事業が、2014年の上場時にはデジタルメディアになり、現在はそこから得たデータをAIで解析し新規ビジネスを生み出す事業も展開している。財務的なインパクトも非常に大きく、上場からわずか4年で売上高は約2倍の2兆円、時価総額も5兆円を超えた。大胆な投資がなければ、このような急激な上昇カーブは描けない。リスクを恐れず挑戦することが大切だ。
私自身は以前から社会に役立つAIビジネスを手掛けたいと思っており、うつ病患者の体調管理アプリを開発したことがきっかけで、その思いを強め、昨年静岡大学発のベンチャー企業に転職した。そこでは「ユマニチュード」というフランス生まれの認知症ケア手法を取り入れた介護とAIを掛け合わせた研究がされており、超高齢社会を迎える日本に広く普及させたいと考えた。
これまでも介護の現場にロボットを導入する取り組みはあったが、現実的な課題と技術のすり合わせがうまくいかず、活用が進んでいなかった。そのため、どういったAI技術を現場で使えば役立つのか、認知症の症状や介護者の負担がどれくらい改善され、社会保障費がどれくらい削減できるのかといった「エビデンス・ベースド」なアプローチによる、より良い介護の実現を目指した。
具体的には、ユマニチュードにおいて重要な「見る」「話す」「触れる」「立つ」のケアスキルの可視化を行っており、ケアの様子を撮影した動画をAIで解析して数値化し、熟練した介護者と初心者の違いがわかるようにした。今春、福岡市で在宅ケアを行っている100名を対象に2時間の研修を実施し、追跡調査をしたところ、認知症の症状が20%改善され、介護者の負担感が28%低下するという喜ばしい結果が得られた。現在はユマニチュードの普及に向けて、コーチングAIの開発も進めている。ウェアラブルグラスをつけて介護にあたると、アイコンタクトができているか、相手との距離は適切かなどをAIが指導してくれる。
AIはビジネスとしてだけでなく、社会課題の解決につながる可能性が大いにある。介護にとどまらず、今後もAIで社会に貢献していきたいと考えている。
【本ワークショップに関するお問い合わせ】
FIF事務局
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