人の仕事を手伝うのはNG?外国人と働く日本人にありがちな勘違い
[18/02/22]
提供元:PRTIMES
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幻冬舎新刊『ITエンジニアの「海外進出」読本』より、現役ITエンジニアの二人が、海外プロジェクトを進める際のポイントをご紹介します。
グローバル化が進み、外国籍の人と一緒に働くビジネスマンも増えてきました。異なる価値観を持つ人材が集まり、新しいビジネスや商品が次々と生まれている一方で、「みんなで助け合う」という日本人の感覚が、外国の人とのひずみを生むこともしばしば。ITエンジニアとして海外で働いている私たちも、日々その価値観の違いを痛感しています。
■集団主義的な日本人、個人主義的な外国人
日本人には作業を分け合って助け合うという傾向があることは、皆さんにも同意していただけると思います。みんながみんなというわけではないにしても、仕事が遅れている人がいれば、それをカバーしてくれる人が出てきます。上司の命令の場合もありますが、多くの場合、話し合いで作業分担の見直しが行われます。この意味で日本人は、集団主義的だといえるでしょう。
これに対して、海外の人たちは、最初に決めた役割分担を見直すことはあまりありません。いったん役割が決まると、自分にできる作業量やリードタイムをまわりの人に宣言します。途中で誰かが周囲に助けを求めたときは、助ける人ももちろんいます。しかし、自分の担当以外の部分に遅れが発生しているからといって、自分から進んでフォローに入るということはありません。海外の人たちは個人主義的なのです。
■責任感があるからこそ、人の仕事に手を出さない
自分の仕事以外に手を出さないのは、やる気がないからではなく、人の仕事を奪う可能性があるから、という理由もあるようです。これに関して日本人は無頓着なことがあり、せっかく親切で手伝おうとしたのに、かえって迷惑がられる……といったトラブルにもなりかねません。
例えば、国民性でいえば、韓国人はわりと日本人と似ていて、他の人の遅れをカバーしようとする人が多いようです。また、性差でいえば、外国人でも女性は他の人のカバーに回る人が多い傾向にあります。
これはあくまで傾向であって、どちらが良いとか悪いとかいう問題ではありません。また、例外的な人は、日本にも海外にももちろんいます。ただ、前提として、「基本的に自分の分担以外には手を出さない人ばかりなんだ」と考えて、作業の計画を組む必要があります。
■「フォロー」であっても、役割分担を明確に
外国の人が、他の人の仕事を自分から手助けしないのは、それによって自分の仕事が増えるだけという理由もあるかもしれません。
以前、ブラジルのプロジェクトでトラブルが発生したので、取り急ぎ現地に飛んで、リーダーの仕事を手伝ったことがありました。仕事を手伝うことよりも、プロジェクト納期を絶対に守るとか品質を確実に担保するといった本気の姿勢を見せて、リーダーを鼓舞することが目的でした。
ところが、それが裏目に出てしまいました。「それはあなたに任せた仕事なのでよろしくお願いします」と、ことごとく逃げ腰の発言をされるようになってしまったのです。手伝うというスタンスではなく、お互いの役割と担当を正式に再定義するべきだったのだと思います。
残念ながら、日本的な「背中を見せる」というやり方は海外では通じません。手伝うにしても、明確な役割分担をして合意しておくことが大切だと、改めて教えられました。
執筆/
五嶋 仁(ごとう ひとし)
イー・ビー・ソリューションズ(株)マネージング・コンサルタント。2002年、海外で働きたいとの思いから(株)東芝に入社。グループ内外のアメリカ、タイ、中国、ブラジルの基幹(ERP)システム、グローバルSCMシステムで、多数のプロジェクトリーダー、PMOを経験。2007年、イー・ビー・ソリューションズ(株)入社。米国公認会計士。
高木 右近日向(たかぎ うきひこ)
イー・ビー・ソリューションズ(株)マネージング・コンサルタント。メーカーSEとして石油・化学業向けのシステム開発に12年間従事。2002年、コンサルタントとしてキャリアアップすべくイー・ビー・ソリューションズ(株)入社。(株)東芝のグローバル・プロジェクトにおける本社側でのプロジェクトマネジメント支援などを行う。中小企業診断士。
[画像: https://prtimes.jp/i/7254/362/resize/d7254-362-827191-0.jpg ]
【書誌情報】
タイトル:『ITエンジニアの「海外進出」読本』
定価:800円(税抜)
発売日:2017.02.23
判型:新書版/200ページ
ISBN:4344915380
発行:幻冬舎メディアコンサルティング
発売:幻冬舎
Amazon:http://amzn.asia/j3XBXMR
グローバル化が進み、外国籍の人と一緒に働くビジネスマンも増えてきました。異なる価値観を持つ人材が集まり、新しいビジネスや商品が次々と生まれている一方で、「みんなで助け合う」という日本人の感覚が、外国の人とのひずみを生むこともしばしば。ITエンジニアとして海外で働いている私たちも、日々その価値観の違いを痛感しています。
■集団主義的な日本人、個人主義的な外国人
日本人には作業を分け合って助け合うという傾向があることは、皆さんにも同意していただけると思います。みんながみんなというわけではないにしても、仕事が遅れている人がいれば、それをカバーしてくれる人が出てきます。上司の命令の場合もありますが、多くの場合、話し合いで作業分担の見直しが行われます。この意味で日本人は、集団主義的だといえるでしょう。
これに対して、海外の人たちは、最初に決めた役割分担を見直すことはあまりありません。いったん役割が決まると、自分にできる作業量やリードタイムをまわりの人に宣言します。途中で誰かが周囲に助けを求めたときは、助ける人ももちろんいます。しかし、自分の担当以外の部分に遅れが発生しているからといって、自分から進んでフォローに入るということはありません。海外の人たちは個人主義的なのです。
■責任感があるからこそ、人の仕事に手を出さない
自分の仕事以外に手を出さないのは、やる気がないからではなく、人の仕事を奪う可能性があるから、という理由もあるようです。これに関して日本人は無頓着なことがあり、せっかく親切で手伝おうとしたのに、かえって迷惑がられる……といったトラブルにもなりかねません。
例えば、国民性でいえば、韓国人はわりと日本人と似ていて、他の人の遅れをカバーしようとする人が多いようです。また、性差でいえば、外国人でも女性は他の人のカバーに回る人が多い傾向にあります。
これはあくまで傾向であって、どちらが良いとか悪いとかいう問題ではありません。また、例外的な人は、日本にも海外にももちろんいます。ただ、前提として、「基本的に自分の分担以外には手を出さない人ばかりなんだ」と考えて、作業の計画を組む必要があります。
■「フォロー」であっても、役割分担を明確に
外国の人が、他の人の仕事を自分から手助けしないのは、それによって自分の仕事が増えるだけという理由もあるかもしれません。
以前、ブラジルのプロジェクトでトラブルが発生したので、取り急ぎ現地に飛んで、リーダーの仕事を手伝ったことがありました。仕事を手伝うことよりも、プロジェクト納期を絶対に守るとか品質を確実に担保するといった本気の姿勢を見せて、リーダーを鼓舞することが目的でした。
ところが、それが裏目に出てしまいました。「それはあなたに任せた仕事なのでよろしくお願いします」と、ことごとく逃げ腰の発言をされるようになってしまったのです。手伝うというスタンスではなく、お互いの役割と担当を正式に再定義するべきだったのだと思います。
残念ながら、日本的な「背中を見せる」というやり方は海外では通じません。手伝うにしても、明確な役割分担をして合意しておくことが大切だと、改めて教えられました。
執筆/
五嶋 仁(ごとう ひとし)
イー・ビー・ソリューションズ(株)マネージング・コンサルタント。2002年、海外で働きたいとの思いから(株)東芝に入社。グループ内外のアメリカ、タイ、中国、ブラジルの基幹(ERP)システム、グローバルSCMシステムで、多数のプロジェクトリーダー、PMOを経験。2007年、イー・ビー・ソリューションズ(株)入社。米国公認会計士。
高木 右近日向(たかぎ うきひこ)
イー・ビー・ソリューションズ(株)マネージング・コンサルタント。メーカーSEとして石油・化学業向けのシステム開発に12年間従事。2002年、コンサルタントとしてキャリアアップすべくイー・ビー・ソリューションズ(株)入社。(株)東芝のグローバル・プロジェクトにおける本社側でのプロジェクトマネジメント支援などを行う。中小企業診断士。
[画像: https://prtimes.jp/i/7254/362/resize/d7254-362-827191-0.jpg ]
【書誌情報】
タイトル:『ITエンジニアの「海外進出」読本』
定価:800円(税抜)
発売日:2017.02.23
判型:新書版/200ページ
ISBN:4344915380
発行:幻冬舎メディアコンサルティング
発売:幻冬舎
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