熱電発電による自動車のCO2排出量削減を実証
[22/05/30]
提供元:PRTIMES
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エンジン排熱から電力回生し2リットルガソリン車で最大3.1%のCO2削減ポテンシャルを確認
ヤマハ株式会社は、住友商事グループの住友商事パワー&モビリティ株式会社と共同で(以下、両社)、自動車排気ガスの熱エネルギーから発電を可能にする排熱発電ユニットの車両実証試験(以下、本実証試験)を実施し、同ユニットの車両CO2排出量削減に対する有効性を実証しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/10701/606/resize/d10701-606-b12ffb02e237d1575cd8-2.jpg ]
自動車の排気管に排熱発電ユニットを搭載することで、これまで有効活用されていなかった排気ガスの熱から電力を回生してオルタネーターの負荷を低減し、さらにエンジン始動時にはこの熱を使って暖機を促進することで、車両のCO2排出量を削減することができます。
本実証試験では、排熱発電ユニットを車両に搭載し、台上で電力回生量とCO2排出量を測定しました。その結果、欧州WLTP※1モード走行時で実測1.9%(3.9g/km)のCO2排出量を削減し、さらに同ユニットの車両搭載位置を最適化することで最大3.1%(6.4g/km)ものCO2削減効果が期待される結果を得ました。
<開発の背景>
近年、脱炭素社会の実現にむけた各国の取り組みが加速しており、自動車分野においてもCO2削減が強く求められています。
熱電発電(Thermoelectric Generator、以下「TEG」)は古くから環境技術として注目され、自動車分野においてもCO2削減を実現する技術として広く開発が進められてきました。しかし、これまでの各社の検討ではTEGモジュールの性能や信頼性が不十分であったこと、また車両搭載にあたってのシステム検討が不十分であったこと等に起因し、今日まで実用化には至っておりませんでした。
両社では2021年3月より世界最高出力・最大サイズ※2のTEGモジュール『YGPX024※3』のサンプル販売を展開し市場ニーズの調査を進めてきましたが、今回、大きな市場規模でのビジネスが期待できる自動車用途において、本実証試験を実施致しました。
<試験概要>
本実証試験では、FEV Europe GmbH(本社:ドイツ アーヘン)に業務委託し、排熱発電ユニットと降圧コンバーターからなるシステムの車両搭載、およびシャシダイナモ上での台上試験を実施致しました。試験の詳細は以下の通りです。
■テスト車両
Jaguar製F-PACE(2リットル ガソリンターボ、SUV)
■排熱発電ユニットの構成
排熱発電ユニットの構成は、4個の『YGPX024』TEGモジュールと排気ガス用、および冷却水用の熱交換器をサンドイッチ状に積層した構造を有しております。なお、今回使用した『YGPX024』は独自の構造と製法により、世界最高出力と自動車用途を見据えた信頼性を実現しております※2。
[画像2: https://prtimes.jp/i/10701/606/resize/d10701-606-9c971274c5ede9ad5a08-3.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/10701/606/resize/d10701-606-acab27199784d77cf3e1-0.jpg ]
■車両搭載方法
排熱発電ユニットは触媒下流の排気管へ設置され、またエンジン冷却水が同ユニットまで分岐、延長され接続されています。この際、冷却水の供給は車両に既設のウォーターポンプを流用しております。また電気系統に関しては、TEGモジュールが発電した電力を降圧コンバーター経由でバッテリーへ回生する回路を既存のオルタネーターと並列に接続致しました。これにより、発電電力を直接車両のバッテリーに供給することができ、実車両を想定したシステムとして評価を実施致しました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/10701/606/resize/d10701-606-117dbad04fb3c3019e6a-1.jpg ]
■評価方法
台上試験では、欧州WLTP(Phase4含む)、北米US06※4、エンジン定常回転状態におけるCO2排出量と電力回生量を実測することで、車両搭載時のCO2削減効果を確認致しました。
<試験結果>
各種走行試験におけるCO2削減量、電力回生量の主な結果は以下の通りです。
・欧州WLTPモード走行
CO2削減量:1.9%改善(3.9g/km)、最大回生電力:165W
・US06モード走行
平均回生電力:97W
・エンジン回転数2,000rpm定常(シリーズハイブリッド車両を想定)
回生電力:195W、オルタネーター発電量の40%に相当
なお上記試験では、試験車両のレイアウト上の制約のため、ユニットを通過する排気ガス温度が不十分でした。そこで排気ガス温度を上昇させた試験を実施したところ、排熱発電ユニットを最適位置へ搭載することでCO2排出量が最大3.1%(6.4g/km)削減できる試算結果を併せて取得しております。
<今後の展望>
脱炭素社会の実現に向けた自動車業界における取り組みにおいては、電動化と内燃機関の高効率化が両輪であることは疑う余地がありません。極限まで効率化された内燃機関におけるCO2削減には常に新技術の投入が渇望されています。両社では世界初の車載TEG実用化を通じて、お客さまと共に脱炭素社会の実現を目指してまいります。
※1 Worldwide harmonized Light duty driving Test Procedure: 中小型自動車における排ガス試験サイクルとその試験方法に関する世界統一規則
※2 2022年両社調べ。
※3 熱電発電モジュールについての詳細は、下記ページご参照ください。
https://device.yamaha.com/ja/thermoelectric_cooler/generator/
※4 北米で採用されている排出ガス・燃費試験法の1種。高速・高加速時の排出ガス測定に使用する。
<住友商事パワー&モビリティ株式会社について>
住友商事パワー&モビリティ株式会社は、住友商事グループの豊富な経験やノウハウと国際ネットワークを生かし、「次世代のモビリティシステムと社会インフラ構築」に関連する多種多彩なビジネスを世界各地で展開しています。主な事業として、1)自動車、鉄道車両、及び電力プロジェクト設備等のトレード(輸出入、三国間取引)2)海外における電力プロジェクト、及び交通プロジェクト等の開発及び遂行3)モビリティ分野での新規事業の開発、などを手掛けています。
詳細は、https://www.sc-pmco.com/をご覧ください。
※文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
※このニュースリリースに掲載されている製品情報や問い合わせ先などは、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
ヤマハ 企業情報サイト/ニュースリリース
https://www.yamaha.com/ja/news_release/
※文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
※このニュースリリースに掲載されている情報などは、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
ヤマハ株式会社は、住友商事グループの住友商事パワー&モビリティ株式会社と共同で(以下、両社)、自動車排気ガスの熱エネルギーから発電を可能にする排熱発電ユニットの車両実証試験(以下、本実証試験)を実施し、同ユニットの車両CO2排出量削減に対する有効性を実証しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/10701/606/resize/d10701-606-b12ffb02e237d1575cd8-2.jpg ]
自動車の排気管に排熱発電ユニットを搭載することで、これまで有効活用されていなかった排気ガスの熱から電力を回生してオルタネーターの負荷を低減し、さらにエンジン始動時にはこの熱を使って暖機を促進することで、車両のCO2排出量を削減することができます。
本実証試験では、排熱発電ユニットを車両に搭載し、台上で電力回生量とCO2排出量を測定しました。その結果、欧州WLTP※1モード走行時で実測1.9%(3.9g/km)のCO2排出量を削減し、さらに同ユニットの車両搭載位置を最適化することで最大3.1%(6.4g/km)ものCO2削減効果が期待される結果を得ました。
<開発の背景>
近年、脱炭素社会の実現にむけた各国の取り組みが加速しており、自動車分野においてもCO2削減が強く求められています。
熱電発電(Thermoelectric Generator、以下「TEG」)は古くから環境技術として注目され、自動車分野においてもCO2削減を実現する技術として広く開発が進められてきました。しかし、これまでの各社の検討ではTEGモジュールの性能や信頼性が不十分であったこと、また車両搭載にあたってのシステム検討が不十分であったこと等に起因し、今日まで実用化には至っておりませんでした。
両社では2021年3月より世界最高出力・最大サイズ※2のTEGモジュール『YGPX024※3』のサンプル販売を展開し市場ニーズの調査を進めてきましたが、今回、大きな市場規模でのビジネスが期待できる自動車用途において、本実証試験を実施致しました。
<試験概要>
本実証試験では、FEV Europe GmbH(本社:ドイツ アーヘン)に業務委託し、排熱発電ユニットと降圧コンバーターからなるシステムの車両搭載、およびシャシダイナモ上での台上試験を実施致しました。試験の詳細は以下の通りです。
■テスト車両
Jaguar製F-PACE(2リットル ガソリンターボ、SUV)
■排熱発電ユニットの構成
排熱発電ユニットの構成は、4個の『YGPX024』TEGモジュールと排気ガス用、および冷却水用の熱交換器をサンドイッチ状に積層した構造を有しております。なお、今回使用した『YGPX024』は独自の構造と製法により、世界最高出力と自動車用途を見据えた信頼性を実現しております※2。
[画像2: https://prtimes.jp/i/10701/606/resize/d10701-606-9c971274c5ede9ad5a08-3.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/10701/606/resize/d10701-606-acab27199784d77cf3e1-0.jpg ]
■車両搭載方法
排熱発電ユニットは触媒下流の排気管へ設置され、またエンジン冷却水が同ユニットまで分岐、延長され接続されています。この際、冷却水の供給は車両に既設のウォーターポンプを流用しております。また電気系統に関しては、TEGモジュールが発電した電力を降圧コンバーター経由でバッテリーへ回生する回路を既存のオルタネーターと並列に接続致しました。これにより、発電電力を直接車両のバッテリーに供給することができ、実車両を想定したシステムとして評価を実施致しました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/10701/606/resize/d10701-606-117dbad04fb3c3019e6a-1.jpg ]
■評価方法
台上試験では、欧州WLTP(Phase4含む)、北米US06※4、エンジン定常回転状態におけるCO2排出量と電力回生量を実測することで、車両搭載時のCO2削減効果を確認致しました。
<試験結果>
各種走行試験におけるCO2削減量、電力回生量の主な結果は以下の通りです。
・欧州WLTPモード走行
CO2削減量:1.9%改善(3.9g/km)、最大回生電力:165W
・US06モード走行
平均回生電力:97W
・エンジン回転数2,000rpm定常(シリーズハイブリッド車両を想定)
回生電力:195W、オルタネーター発電量の40%に相当
なお上記試験では、試験車両のレイアウト上の制約のため、ユニットを通過する排気ガス温度が不十分でした。そこで排気ガス温度を上昇させた試験を実施したところ、排熱発電ユニットを最適位置へ搭載することでCO2排出量が最大3.1%(6.4g/km)削減できる試算結果を併せて取得しております。
<今後の展望>
脱炭素社会の実現に向けた自動車業界における取り組みにおいては、電動化と内燃機関の高効率化が両輪であることは疑う余地がありません。極限まで効率化された内燃機関におけるCO2削減には常に新技術の投入が渇望されています。両社では世界初の車載TEG実用化を通じて、お客さまと共に脱炭素社会の実現を目指してまいります。
※1 Worldwide harmonized Light duty driving Test Procedure: 中小型自動車における排ガス試験サイクルとその試験方法に関する世界統一規則
※2 2022年両社調べ。
※3 熱電発電モジュールについての詳細は、下記ページご参照ください。
https://device.yamaha.com/ja/thermoelectric_cooler/generator/
※4 北米で採用されている排出ガス・燃費試験法の1種。高速・高加速時の排出ガス測定に使用する。
<住友商事パワー&モビリティ株式会社について>
住友商事パワー&モビリティ株式会社は、住友商事グループの豊富な経験やノウハウと国際ネットワークを生かし、「次世代のモビリティシステムと社会インフラ構築」に関連する多種多彩なビジネスを世界各地で展開しています。主な事業として、1)自動車、鉄道車両、及び電力プロジェクト設備等のトレード(輸出入、三国間取引)2)海外における電力プロジェクト、及び交通プロジェクト等の開発及び遂行3)モビリティ分野での新規事業の開発、などを手掛けています。
詳細は、https://www.sc-pmco.com/をご覧ください。
※文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
※このニュースリリースに掲載されている製品情報や問い合わせ先などは、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
ヤマハ 企業情報サイト/ニュースリリース
https://www.yamaha.com/ja/news_release/
※文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
※このニュースリリースに掲載されている情報などは、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。