コスト100円上昇の売価反映は43.6円 「全く価格転嫁できない」企業は12.9%、依然として1割を超える
[23/08/28]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
価格転嫁に関する実態調査(2023年7月)
昨年から続く電気代やガソリン・軽油を含むエネルギー価格の高騰は、収益を圧迫するなど企業経営に陰を落としている。また、令和5年度の最低賃金が昨年度から43円引き上がり全国平均で「1,004円」となる見通しで、販売やサービスの値上げがなければ、中小企業へのさらなる負担増が予想される。帝国データバンクの集計では、価格転嫁を取引先から拒絶されたり、僅かな値上げしか認めてもらえず、結果的に経営破綻を余儀なくされた「値上げ難型」の物価高倒産は少なくとも23件(2023年1-7月)判明し、前年同期の12件に比べて倍増ペースで推移しているなど、価格転嫁が厳しい企業の倒産が目立っている。
そこで、帝国データバンクは現在の価格転嫁に関する企業の見解を調査した。本調査は、TDB景気動向調査2023年7月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
価格転嫁率1は43.6% 昨年12月から3.7ポイントの改善にとどまる
「全く価格転嫁できない」企業は12.9% 依然として1割を超える
卸売業を中心に価格転嫁が進む 医療や娯楽サービスでは低水準
※調査期間は2023年7月18日〜7月31日、調査対象は2万7,768社で、有効回答企業は1万1,265社(回答率40.6%)
※本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
※調査機関:株式会社帝国データバンク
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/724/resize/d43465-724-c55fe10fe0745e25cb53-0.png ]
価格転嫁率は43.6% 昨年12月から3.7ポイントの改善にとどまる
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/724/resize/d43465-724-08128942460c1b30bd45-0.png ]
自社の主な商品・サービスにおいて、コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかと尋ねたところ、コストの上昇分に対して『多少なりとも価格転嫁できている』企業は74.5%となった。その内訳をみると、「5割以上8割未満」が19.8%で最も高かった。以下、「2割未満」(19.0%)、「2割以上5割未満」(16.8%)、「8割以上」(14.4%)と続いた。「10割すべて転嫁できている」企業は4.5%だった。
一方で、「全く価格転嫁できない」企業は12.9%と、前回調査(2022年12月)より3.0ポイント低下したものの、現時点でも価格転嫁が全くできていない企業が1割を超えている。
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/724/resize/d43465-724-16253a9aa903ddad871e-0.png ]
コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は43.6%となった。これはコストが100円上昇した場合に43.6円しか販売価格に反映できていないことを示している。前回調査(39.9円)より3.7円転嫁が進んだが、依然として6割弱のコストを企業が負担する状態が続いている。
卸売業を中心に価格転嫁が進む 医療や娯楽サービスでは低水準
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/724/resize/d43465-724-1b3bfd84e3b3007f9f52-0.png ]
価格転嫁率を業種別にみると、価格転嫁率が高い業種では、「紙類・文具・書籍卸売」が65.7%でトップだった。次いで、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(64.3%)、「化学品卸売」(63.1%)が続き、価格転嫁率が6割を超えたのはいずれも卸売業であった。
一方、低い業種では、一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生」(15.2%)が最も低く、映画・ビデオ制作業やパチンコホールなどを含む「娯楽サービス」(21.6%)や「リース・賃貸」(24.8%)、「農・林・水産」(25.6%)が続いた。
本調査の結果によると、自社の商品・サービスのコスト上昇に対して、『多少なりとも価格転嫁ができている』企業は7割超となった。7割を下回っていた前回調査(2022年12月に実施)から5.3ポイント改善し、あらゆるモノの価格が上昇していることに対する各企業への認知や理解が、着実に進んでいると考えられる。しかし、「すべて価格転嫁できている」企業は4.5%(前回4.1%)にとどまった一方で、「全く価格転嫁できない」企業も12.9%を占めるなど、依然として格差がみられる。結果として、価格転嫁率は43.6%と、前回調査から3.7ポイント改善したものの、コスト上昇分の6割弱を企業が負担していることになる。
競合他社が多く価格が上げづらい業界では、自社の商品・サービスの価格の値上げによって、「取引企業や最終消費者の顧客離れを危惧し価格転嫁に踏み切れない」といった声や、「値上げ交渉自体が行えない」「むしろ値下げを要求された」と値上げが全く進まないといった声もあった。一方、独自性のある商品販売により競合他社が少なく、価格転嫁しやすいと回答した企業もあり、より付加価値の高い商品・サービスを提供するための取り組みが必要となってきている。
物価上昇に賃金が追いつかず消費の低迷が懸念されるなか、いかにコスト上昇と価格転嫁のバランスをとるかがより重要となってくる。
昨年から続く電気代やガソリン・軽油を含むエネルギー価格の高騰は、収益を圧迫するなど企業経営に陰を落としている。また、令和5年度の最低賃金が昨年度から43円引き上がり全国平均で「1,004円」となる見通しで、販売やサービスの値上げがなければ、中小企業へのさらなる負担増が予想される。帝国データバンクの集計では、価格転嫁を取引先から拒絶されたり、僅かな値上げしか認めてもらえず、結果的に経営破綻を余儀なくされた「値上げ難型」の物価高倒産は少なくとも23件(2023年1-7月)判明し、前年同期の12件に比べて倍増ペースで推移しているなど、価格転嫁が厳しい企業の倒産が目立っている。
そこで、帝国データバンクは現在の価格転嫁に関する企業の見解を調査した。本調査は、TDB景気動向調査2023年7月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
価格転嫁率1は43.6% 昨年12月から3.7ポイントの改善にとどまる
「全く価格転嫁できない」企業は12.9% 依然として1割を超える
卸売業を中心に価格転嫁が進む 医療や娯楽サービスでは低水準
※調査期間は2023年7月18日〜7月31日、調査対象は2万7,768社で、有効回答企業は1万1,265社(回答率40.6%)
※本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
※調査機関:株式会社帝国データバンク
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/724/resize/d43465-724-c55fe10fe0745e25cb53-0.png ]
価格転嫁率は43.6% 昨年12月から3.7ポイントの改善にとどまる
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/724/resize/d43465-724-08128942460c1b30bd45-0.png ]
自社の主な商品・サービスにおいて、コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかと尋ねたところ、コストの上昇分に対して『多少なりとも価格転嫁できている』企業は74.5%となった。その内訳をみると、「5割以上8割未満」が19.8%で最も高かった。以下、「2割未満」(19.0%)、「2割以上5割未満」(16.8%)、「8割以上」(14.4%)と続いた。「10割すべて転嫁できている」企業は4.5%だった。
一方で、「全く価格転嫁できない」企業は12.9%と、前回調査(2022年12月)より3.0ポイント低下したものの、現時点でも価格転嫁が全くできていない企業が1割を超えている。
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/724/resize/d43465-724-16253a9aa903ddad871e-0.png ]
コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は43.6%となった。これはコストが100円上昇した場合に43.6円しか販売価格に反映できていないことを示している。前回調査(39.9円)より3.7円転嫁が進んだが、依然として6割弱のコストを企業が負担する状態が続いている。
卸売業を中心に価格転嫁が進む 医療や娯楽サービスでは低水準
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/724/resize/d43465-724-1b3bfd84e3b3007f9f52-0.png ]
価格転嫁率を業種別にみると、価格転嫁率が高い業種では、「紙類・文具・書籍卸売」が65.7%でトップだった。次いで、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(64.3%)、「化学品卸売」(63.1%)が続き、価格転嫁率が6割を超えたのはいずれも卸売業であった。
一方、低い業種では、一般病院や老人福祉事業といった「医療・福祉・保健衛生」(15.2%)が最も低く、映画・ビデオ制作業やパチンコホールなどを含む「娯楽サービス」(21.6%)や「リース・賃貸」(24.8%)、「農・林・水産」(25.6%)が続いた。
本調査の結果によると、自社の商品・サービスのコスト上昇に対して、『多少なりとも価格転嫁ができている』企業は7割超となった。7割を下回っていた前回調査(2022年12月に実施)から5.3ポイント改善し、あらゆるモノの価格が上昇していることに対する各企業への認知や理解が、着実に進んでいると考えられる。しかし、「すべて価格転嫁できている」企業は4.5%(前回4.1%)にとどまった一方で、「全く価格転嫁できない」企業も12.9%を占めるなど、依然として格差がみられる。結果として、価格転嫁率は43.6%と、前回調査から3.7ポイント改善したものの、コスト上昇分の6割弱を企業が負担していることになる。
競合他社が多く価格が上げづらい業界では、自社の商品・サービスの価格の値上げによって、「取引企業や最終消費者の顧客離れを危惧し価格転嫁に踏み切れない」といった声や、「値上げ交渉自体が行えない」「むしろ値下げを要求された」と値上げが全く進まないといった声もあった。一方、独自性のある商品販売により競合他社が少なく、価格転嫁しやすいと回答した企業もあり、より付加価値の高い商品・サービスを提供するための取り組みが必要となってきている。
物価上昇に賃金が追いつかず消費の低迷が懸念されるなか、いかにコスト上昇と価格転嫁のバランスをとるかがより重要となってくる。