持続可能な開発目標(SDGs)日本政府の実施指針でも “子どもの課題“を明確に【プレスリリース】
[16/10/19]
提供元:PRTIMES
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日本ユニセフ協会 要望書提出
[画像: http://prtimes.jp/i/5176/787/resize/d5176-787-986323-0.jpg ]
【2016年10月19日 東京発】
公益財団法人 日本ユニセフ協会(東京都港区・赤松良子会長)は、日本政府が現在策定を進めている「SDGs実施指針」の中に子どもの課題が適切に位置づけられるよう、SDGs推進本部長に対し要望書を提出いたしました。
昨年9月、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」には、2030年までの目標達成をめざした先進国も含めた国際社会の共通の課題が掲げられています。17の目標と169のターゲットからなる包括的な目標には、ユニセフ(国連児童基金)等の働きかけを受け、子どもに対するあらゆる形態の暴力の根絶や、子どもの貧困の削減など、子どもに関する内容も多く盛り込まれました。SDGsはまた、ユニセフがSDGs採択以前から重視してきた公平性のアプローチ(「誰ひとり取り残さない」)を掲げ、格差の是正を目指しています。
SDGs達成に向け各国での実施が進められようとする中、日本でも、本年5月、内閣総理大臣を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が設置され、「SDGs実施指針」の策定に向けた作業が進められています。
当協会は、我が国の子どもたちも“誰ひとり取り残されない”よう、ユニセフが重視する子どもの課題のうち我が国にも関連の深い以下の6つの課題が、政府「SDGs実施指針」において適切に位置づけられるよう、要望書を提出しました。これらの課題の多くについては、すでに様々なレベルで改善に向けた取り組みが行われているところですが、それらを「SDGs実施指針」に明確に位置づけていただくことが、日本の取り組みを、国内はもとより国際社会に対しても積極的に発信していくことになると考え、本要望書を提出いたしました。また、要望書では、ユニセフ本部の訴えに倣い、SDGsの日本国内での推進にあたっては、民間企業を含む多様な関係者間の連携と取り組みが重視されることと、進捗状況を適切に把握するための子どもに関する統計データが一層整備されることについても要望いたしました。
1. 子どもの貧困の削減
2. 子どもの栄養状態の改善
3. 子どもの事故死及び自殺の防止
4. 質の高い乳幼児ケアおよび就学前保育・教育の提供
5. 子どもに対する虐待、性的搾取を含むあらゆる形態の暴力の根絶
6. 無戸籍児童、所在不明児童問題への対応
以下はそれぞれの課題に関連するSDGsターゲットの番号と、ユニセフや国連の報告書等が示す日本の状況です。
1. 子どもの貧困の削減(SDGsターゲット1.2)
日本の子どもの14.9%(調査時)は貧困状態にあり、先進31カ国中でその割合が高い方から10番目(ユニセフほか『レポートカード11特別編集版』、2013年)。
子どもの世帯所得の格差を表す「相対的所得ギャップ」の順位では、日本は先進41カ国中で格差が大きい方から8番目(ユニセフ『レポートカード13』、2016年)。
2. 子どもの栄養状態の改善(同2.2)
日本の子どもの低出生体重児出生率(2,500グラム未満で生まれる乳児の割合)は、先進27カ国中最も高く、70年代後半から2000年代後半にかけ同出生率が倍増した特異なケース(ユニセフほか『レポートカード11特別編集版』、2013年)。
3. 子どもの事故死及び自殺の防止(同3.4)
日本の子どもの事故死数(10万人あたり、1991-95年)は先進26カ国中、10-14歳では最も少ないのに対し、1-4歳では多い方から9番目(ユニセフ『レポートカード2』 、2001年)
年齢層別の自殺死亡率(10万人あたり、2012年)では、日本はOECD35カ国中、5-14歳で高い方から15番目、15-29歳では2番目(世界保健機関『自殺を予防する』2014年)。
4. 質の高い乳幼児ケアおよび就学前保育・教育の提供(同4.2)
胎児を含む乳幼児期のケアの重要性は近年科学的にも裏付けられている(ユニセフ発表2016)。
乳幼児ケアおよび就学前保育・教育に関する各国の対応に関する10の評価基準のうち日本は4つを満たし、先進25カ国中、満たした基準の数が多い方から14番目(ユニセフ『レポートカード8』、2008年)。
5. 子どもに対する虐待、性的搾取を含むあらゆる形態の暴力の根絶(同5.2、8.7、16.2)
児童の権利委員会は、日本に関する最終見解の中で、児童虐待の件数が増加し続けていることに懸念を表明(2010年)。
児童売買、児童買春及び児童ポルノ国連特別報告者は、報告書(2016年)の中で、児童の性の商品化等を背景とした児童の性的搾取が引き続き重要な課題であると指摘。
6. 無戸籍児童、所在不明児童問題への対応(同16.9)
無戸籍ならびに所在不明児童の問題は、虐待・搾取との関連も指摘され、ユニセフ本部も注視している(「子ども虐待防止世界会議(2014 名古屋)」における本部専門家発言)。
* * *
■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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【2016年10月19日 東京発】
公益財団法人 日本ユニセフ協会(東京都港区・赤松良子会長)は、日本政府が現在策定を進めている「SDGs実施指針」の中に子どもの課題が適切に位置づけられるよう、SDGs推進本部長に対し要望書を提出いたしました。
昨年9月、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」には、2030年までの目標達成をめざした先進国も含めた国際社会の共通の課題が掲げられています。17の目標と169のターゲットからなる包括的な目標には、ユニセフ(国連児童基金)等の働きかけを受け、子どもに対するあらゆる形態の暴力の根絶や、子どもの貧困の削減など、子どもに関する内容も多く盛り込まれました。SDGsはまた、ユニセフがSDGs採択以前から重視してきた公平性のアプローチ(「誰ひとり取り残さない」)を掲げ、格差の是正を目指しています。
SDGs達成に向け各国での実施が進められようとする中、日本でも、本年5月、内閣総理大臣を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が設置され、「SDGs実施指針」の策定に向けた作業が進められています。
当協会は、我が国の子どもたちも“誰ひとり取り残されない”よう、ユニセフが重視する子どもの課題のうち我が国にも関連の深い以下の6つの課題が、政府「SDGs実施指針」において適切に位置づけられるよう、要望書を提出しました。これらの課題の多くについては、すでに様々なレベルで改善に向けた取り組みが行われているところですが、それらを「SDGs実施指針」に明確に位置づけていただくことが、日本の取り組みを、国内はもとより国際社会に対しても積極的に発信していくことになると考え、本要望書を提出いたしました。また、要望書では、ユニセフ本部の訴えに倣い、SDGsの日本国内での推進にあたっては、民間企業を含む多様な関係者間の連携と取り組みが重視されることと、進捗状況を適切に把握するための子どもに関する統計データが一層整備されることについても要望いたしました。
1. 子どもの貧困の削減
2. 子どもの栄養状態の改善
3. 子どもの事故死及び自殺の防止
4. 質の高い乳幼児ケアおよび就学前保育・教育の提供
5. 子どもに対する虐待、性的搾取を含むあらゆる形態の暴力の根絶
6. 無戸籍児童、所在不明児童問題への対応
以下はそれぞれの課題に関連するSDGsターゲットの番号と、ユニセフや国連の報告書等が示す日本の状況です。
1. 子どもの貧困の削減(SDGsターゲット1.2)
日本の子どもの14.9%(調査時)は貧困状態にあり、先進31カ国中でその割合が高い方から10番目(ユニセフほか『レポートカード11特別編集版』、2013年)。
子どもの世帯所得の格差を表す「相対的所得ギャップ」の順位では、日本は先進41カ国中で格差が大きい方から8番目(ユニセフ『レポートカード13』、2016年)。
2. 子どもの栄養状態の改善(同2.2)
日本の子どもの低出生体重児出生率(2,500グラム未満で生まれる乳児の割合)は、先進27カ国中最も高く、70年代後半から2000年代後半にかけ同出生率が倍増した特異なケース(ユニセフほか『レポートカード11特別編集版』、2013年)。
3. 子どもの事故死及び自殺の防止(同3.4)
日本の子どもの事故死数(10万人あたり、1991-95年)は先進26カ国中、10-14歳では最も少ないのに対し、1-4歳では多い方から9番目(ユニセフ『レポートカード2』 、2001年)
年齢層別の自殺死亡率(10万人あたり、2012年)では、日本はOECD35カ国中、5-14歳で高い方から15番目、15-29歳では2番目(世界保健機関『自殺を予防する』2014年)。
4. 質の高い乳幼児ケアおよび就学前保育・教育の提供(同4.2)
胎児を含む乳幼児期のケアの重要性は近年科学的にも裏付けられている(ユニセフ発表2016)。
乳幼児ケアおよび就学前保育・教育に関する各国の対応に関する10の評価基準のうち日本は4つを満たし、先進25カ国中、満たした基準の数が多い方から14番目(ユニセフ『レポートカード8』、2008年)。
5. 子どもに対する虐待、性的搾取を含むあらゆる形態の暴力の根絶(同5.2、8.7、16.2)
児童の権利委員会は、日本に関する最終見解の中で、児童虐待の件数が増加し続けていることに懸念を表明(2010年)。
児童売買、児童買春及び児童ポルノ国連特別報告者は、報告書(2016年)の中で、児童の性の商品化等を背景とした児童の性的搾取が引き続き重要な課題であると指摘。
6. 無戸籍児童、所在不明児童問題への対応(同16.9)
無戸籍ならびに所在不明児童の問題は、虐待・搾取との関連も指摘され、ユニセフ本部も注視している(「子ども虐待防止世界会議(2014 名古屋)」における本部専門家発言)。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)