<コロナ禍における学校・教員・生徒に何が起こっていたか>「生徒の気づきと学びを最大化するプロジェクト」活動報告
[20/07/14]
提供元:PRTIMES
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〜休校期間の中学生・高校生を対象としたオンライン学習に関する意識調査から〜
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市、代表取締役社長:小林仁、以下:ベネッセ)は、全国56校の教員による、コロナ禍における「生徒の気づきと学び」を共有・最大化するためのネットワーク「生徒の気づきと学びを最大化するプロジェクト」に事務局として運営協力しています。
新型コロナウイルスの影響により、全国各地の学校は約2ヶ月にわたって休校となり、オンライン学習をはじめとした、これまでと異なる状況下に置かれました。「生徒の気づきと学びを最大化するプロジェクト」は、この期間に起きた「生徒の気づきと学び」を現在進行形で小〜高校の教員がシェアし、相互に学びあうことを趣旨にして、4月9日からスタートしました。
プロジェクトに参加した56校の教員は、校長であったりICT導入の担当であったり立場は異なりましたが、日々目前に生じる様々な課題の解決のために毎週互いの知恵を持ち寄ってオンラインでの対話を進め、対話で生まれた知見はアーカイブ化し、社会に発信していく取り組みを続けました。過去3回開催したオンライン報告会では、プロジェクト外の教員・教育委員会関係者・生徒も含めた各回約200名の方にご参加を頂きました。
今回は、そのプロジェクトの活動をご報告するとともに、活動の一環としてプロジェクトが参加校に在籍する中高生を対象に実施したオンライン学習に関するアンケート調査の結果についてもご紹介します。
【「生徒の気づきと学びを最大化するプロジェクト」の取り組み】
■名称 : コロナ禍における「生徒の気づきと学び」を最大化するプロジェクト
■参加者 : 全国の小学校・中学校、高等学校の教員(6月末時点:56校より参加)
※当初24校からスタートし、相互の紹介などで増加
■活動期間 : 2020年4月9日より開始
■事務局 : ベネッセ教育総合研究所 次世代の学び推進室
■web : プロジェクトのオンライン対話アーカイブページ
https://berd.benesse.jp/publicity/detail.php?id=5506
■プロジェクトの活動内容
1)オンライン対話(毎週1回)
・テーマ別のグループ対話。各校の取り組みを紹介
・対話の内容は上記の「プロジェクトアーカイブページ」で公開
[画像1: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-105707-0.png ]
4月9日の第1回目から、毎週テーマを決めて対話を進めてきました。各回、グループワーク形式で、問題意識や取組事例、取り組んだからこそ見えた気づきを持ち寄りました。また、日々状況が変わることを踏まえ、回ごとにテーマを決めて対話を行いました(例.オンラインを活用した学習支援、学校休校中の学習に対する評価、コロナ禍後の新しい学び方や新しい学校の姿等)。
[画像2: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-862550-1.png ]
2)ウェビナー報告会(過去3回開催)
毎週のオンライン対話で得られた知見をより多くの教育現場へ還元すべく、過去3回のオンライン報告会を行いました。各回約200名に参加頂き、発表者へのリアルタイムのQ&A等を通じた双方向性あるウェビナーにより、参加者全員でさらに知見を深めました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-363733-2.png ]
<ウェビナーの感想>
●高校生は大人であり、対話しながら学ぶ主体だと感じた。
●指導指導と言いがちだが、それだけではないよなと再認識。
●オンラインとオフラインを組みあわせて新しい教育にどう繋げるかという話が興味深かった。
●こんな時だからこそ、先生たちが話し合い、同じ気持ちを共有することが大事と思った。
3)アンケートの実行
プロジェクト参加校を対象に「オンライン学習に関する調査」を実施しました。全国の学校が休校していた5月中旬、一部の学校が分散登校を開始した6月上旬の二回にわたって調査を行いました。現在、コロナ禍の学習支援について総括する教員向けアンケートも実施しました。
【「生徒の気づきと学び」を最大化するPJについて〜プロジェクト事務局より】
本PJは、全国各地の学校が新型コロナウイルスの影響で休校せざるをえなくなった2020年4月に活動を開始しました。全国各地の多様な学校(6月末時点、56校)の教員が参画し、「どのようにしてオンラインで生徒の学びを効果的に支援するか」「分散登校をどのように活用するか」「1学期の成績をどうつけるか」等のテーマについて、毎週オンラインでの対話を重ねています。この対話で生まれた知見はアーカイブし、多くの教育関係者で活用いただけるように共有しています。
■コロナ禍から私たちは何を学んだのか? 〜 全国の先生や生徒との対話から
(PJ代表・ベネッセ教育総合研究所 次世代の学び研究室 主席研究員 小村俊平)
「生徒の気づきと学び」を最大化するPJでは、4月から毎週行っている全国の先生との対話、およびオンライン学習に関する調査を通じて二つの示唆を得ました。
一つは、多くの中学生や高校生が休校中に沢山のことを考え、学び、自ら挑戦したことです。休校中に十分な「教え」が与えられなくても、自由な時間をいかして豊かな「学び」を得たという生徒は少なくありません。
オンライン学習に関する調査では、生徒の62%が休校中のオンライン学習について「目標を設定して地道に達成している」と回答しました。また、コメント欄には「留学できなくなったかわりに留学支援団体を立ちあげた」「プログラミングに挑戦した」等、意欲的な挑戦を語る声もありました。休校中の生徒は大人が思っている以上に自律的に学んでおり、その学びに手ごたえを感じています。
こうした生徒の声をふまえ、PJ参加校の先生は、オンライン学習でも生徒がコロナ禍のような社会課題について考え、同級生や社会人と対話しながら学べるような授業を行ったり、休校中の生徒の挑戦的な取り組みを表彰する校長賞を設ける等の工夫をしています。
また、休校中に思うように学ぶことができなかった生徒のためには、生徒一人ひとりと丁寧に対話するオンライン面談や、自主登校日を設けてオンライン学習ではわからなかったことを個別指導する取り組みも行われています。
全ての生徒に一律の「教え」を提供するのではなく、生徒一人ひとりの「学び」を最大化するために工夫した経験は、生徒が毎日登校するようになってからも生きると考えられます。
もう一つは、生徒が深く学んだり、学び続けるためには「他者とのつながり」が不可欠だということです。本調査では、多くの生徒が「先生からの声がけで学びの意欲が高まった」「友達とのおしゃべりを通じて何かに興味を持ったり、学びの意欲が高まった」と語っています。
こうした生徒の声をふまえ、PJ参加校の先生は、単にオンライン授業を実施したり、課題を出すのではなく、「教員と生徒がつながるホームルームを実施する」「生徒どうしが互いを知り、おしゃべりしやすくなる遊びの時間を設ける」「進路指導の面談で意図的に雑談時間を長くとる」等、教員と生徒、生徒どうしの関係性を深め、豊かにするための工夫を行ってきました。
こうした取り組みで得られた知見は、コロナウイルス第2波で学校が再度休校せざるを得なくなった時はもちろん、今後教室での学びを豊かにしていくうえでも重要になると考えられます。
本PJでは、今後も全国の先生や生徒との対話を通じてコロナ禍における学校現場の課題を解決していくとともに、生徒一人ひとりの気づきと学びを最大化していくための新しい学校のあり方や学び方を検討し、発信していきます。
※本PJのアーカイブ等は、こちらでご覧いただけます。
https://berd.benesse.jp/publicity/detail.php?id=5506
「オンライン学習に関する調査 第1回」の結果概要
【調査概要】
・調査名 : オンライン学習に関する調査 第1回
・調査主体 : コロナ禍における「生徒の気づきと学び」を最大化するプロジェクト
・調査形式 : インターネット調査によるアンケート
・調査趣旨 : プロジェクト参加校の教員の得た感触について、アンケートを通して数値化し、より具体的な把握・振り返りを行うこと
・調査対象 : 本プロジェクトに参加した学校のうち、アンケート実施できた学校23校の生徒
全国の中学生・高校生 2,346名
中学1年生366 / 中学2年生293 / 中学3年生79 / 高校1年生442 / 高校2年生470 / 高校3年生696
※本件は、プロジェクトに参加かつオンライン授業に取り組まれていた学校の中で、任意でアンケートに協力していただいた学校からの回答結果をまとめたデータとなります。
・調査実施時期 2020年5月11日〜5月17日
・調査協力 NPO法人 教育テスト研究センター
代表理事 新井健一、担当理事 赤堀侃司(東京工業大学名誉教授 )
・調査結果WEB https://berd.benesse.jp/publicity/detail.php?id=5515
※6月に行われた第2回のデータもあわせて紹介されています。
【質問内容】
●学校名
●私の学校が提供する学習方法
(オンライン学習(ネットを使った連絡、授業等)/ネット以外の方法(テレビ、郵送、電話等)/その他(自由記述))
●属性
(中学1年生/中学2年生/中学3年生/高校1年生/高校2年生/高校3年生/その他(自由記述))
●オンライン学習状況アンケート(非常にあてはまる/ややあてはまる/どちらともいえない/あまりあてはまらない/全くあてはまらない)
問1 私はオンライン学習でも目標を設定して地道に達成している
問2 私はオンライン学習で壁にぶつかっても簡単にはあきらめない
問3 私はオンライン学習でも先のことを考えて計画的に行動している
問4 私はオンライン学習でも他人にすぐに同調しないで他の方法を考えている
問5 ずっと自宅にいると、学校がないので、部屋で怠けたり遊んだりしたくなることも多いが、私は今の状況を考えて我慢するようにしている
問6 自宅にいると怠けたり遊んだりしたくなることもあるが、私が今やるべきことを先にやるようにしている。
問7 私はオンライン学習でも教室と同じように勉強できている
問8 私はオンラインや電話で先生からの声掛けがあればやる気が出る
問9 私はオンラインでも友達とコミュニケーションするとやる気がでる
問10 私はオンライン学習でも同じ学校やクラスにいる感覚がする
問11 私はウェブサイトやSNSの記事や広告の内容を適切に判断して対処できている
問12 私は個人情報などをネットに流さないような判断をしている
問13 現在どの程度ストレスや不安を感じていますか(5点がもっともストレスを感じる状態として1点〜5点を選択)
問14 上記の原因は主に何だと思いますか。また、ストレスや不安を解消するために心がけていることがあればお書きください。(自由記述)
【調査結果サマリ】
【1】オンライン授業でのコミュニケーション
「オンライン学習でも同じ学校やクラスにいる感覚がする」とした生徒は30%未満にとどまり、オンライン環境でのクラスの一体感を作ることの難しさを感じさせる結果だった。
いっぽう、「オンラインでも友達とコミュニケーションするとやる気がでる」と回答した生徒は7割に近くなったことに注目したい。
こうした生徒たちの反応を感じ取ってか、今回のプロジェクトでの各校の実践事例では、オンライン環境下でクラスルームや雑談の時間を取り入れる事例が見られた。
[画像4: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-817007-3.png ]
【2】オンライン学習の時間と、学校やクラスとの連帯感の関連
「学校やクラスにいる感覚がする」について「非常に」+「やや」の合計を見ると、オンライン学習が1日「2時間未満」と、「2時間〜6時間」ではおおよそ倍近い開きがあった。一方、「6時間以上」であった場合はそれ以下の場合と大きな差は見られなかった。
2〜6時間は数コマに相当する時間であり、学校での授業を全てオンライン化しなくとも、1日数コマ程度オンライン学習を提供することで、生徒はクラスメートとの連帯感を高められると手ごたえを感じた学校はあったのではないか。
こうした実態を反映してか、3密を避けるための分散登校など制限された環境での教室での学びよりも、当面はオンライン学習を重視する学校もプロジェクト内には見られた。
[画像5: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-942037-4.png ]
【3】生徒のストレス感や学習への姿勢はどうだったか
今まで経験したことのない環境下となったはずであるが、ストレスや不安を感じる度合いを5段階評価で4以上とした生徒は3割を下回った。
さらに、前向きさや努力する姿勢を示す設問には、ほぼ6割を超える割合で是とする自己評価があり、経験のない環境ながら前向きに学習に向かった生徒の模様が推測される。
[画像6: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-913727-5.png ]
【4】生徒のストレスの原因、解消の方法
ストレスの原因は、自由回答でさまざまなものが挙げられた。これらは、クラスメートとのおしゃべり等で解消している模様がうかがえる。
[画像7: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-831878-6.png ]
【5】生徒のネットリテラシーの状況
「ウェブサイトやSNSの記事や広告の内容を適切に判断して対処」が7割超、「個人情報などをネットに流さないように判断」が9割超など、注意を払っている模様がうかがわれる。
[画像8: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-153684-7.png ]
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市、代表取締役社長:小林仁、以下:ベネッセ)は、全国56校の教員による、コロナ禍における「生徒の気づきと学び」を共有・最大化するためのネットワーク「生徒の気づきと学びを最大化するプロジェクト」に事務局として運営協力しています。
新型コロナウイルスの影響により、全国各地の学校は約2ヶ月にわたって休校となり、オンライン学習をはじめとした、これまでと異なる状況下に置かれました。「生徒の気づきと学びを最大化するプロジェクト」は、この期間に起きた「生徒の気づきと学び」を現在進行形で小〜高校の教員がシェアし、相互に学びあうことを趣旨にして、4月9日からスタートしました。
プロジェクトに参加した56校の教員は、校長であったりICT導入の担当であったり立場は異なりましたが、日々目前に生じる様々な課題の解決のために毎週互いの知恵を持ち寄ってオンラインでの対話を進め、対話で生まれた知見はアーカイブ化し、社会に発信していく取り組みを続けました。過去3回開催したオンライン報告会では、プロジェクト外の教員・教育委員会関係者・生徒も含めた各回約200名の方にご参加を頂きました。
今回は、そのプロジェクトの活動をご報告するとともに、活動の一環としてプロジェクトが参加校に在籍する中高生を対象に実施したオンライン学習に関するアンケート調査の結果についてもご紹介します。
【「生徒の気づきと学びを最大化するプロジェクト」の取り組み】
■名称 : コロナ禍における「生徒の気づきと学び」を最大化するプロジェクト
■参加者 : 全国の小学校・中学校、高等学校の教員(6月末時点:56校より参加)
※当初24校からスタートし、相互の紹介などで増加
■活動期間 : 2020年4月9日より開始
■事務局 : ベネッセ教育総合研究所 次世代の学び推進室
■web : プロジェクトのオンライン対話アーカイブページ
https://berd.benesse.jp/publicity/detail.php?id=5506
■プロジェクトの活動内容
1)オンライン対話(毎週1回)
・テーマ別のグループ対話。各校の取り組みを紹介
・対話の内容は上記の「プロジェクトアーカイブページ」で公開
[画像1: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-105707-0.png ]
4月9日の第1回目から、毎週テーマを決めて対話を進めてきました。各回、グループワーク形式で、問題意識や取組事例、取り組んだからこそ見えた気づきを持ち寄りました。また、日々状況が変わることを踏まえ、回ごとにテーマを決めて対話を行いました(例.オンラインを活用した学習支援、学校休校中の学習に対する評価、コロナ禍後の新しい学び方や新しい学校の姿等)。
[画像2: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-862550-1.png ]
2)ウェビナー報告会(過去3回開催)
毎週のオンライン対話で得られた知見をより多くの教育現場へ還元すべく、過去3回のオンライン報告会を行いました。各回約200名に参加頂き、発表者へのリアルタイムのQ&A等を通じた双方向性あるウェビナーにより、参加者全員でさらに知見を深めました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-363733-2.png ]
<ウェビナーの感想>
●高校生は大人であり、対話しながら学ぶ主体だと感じた。
●指導指導と言いがちだが、それだけではないよなと再認識。
●オンラインとオフラインを組みあわせて新しい教育にどう繋げるかという話が興味深かった。
●こんな時だからこそ、先生たちが話し合い、同じ気持ちを共有することが大事と思った。
3)アンケートの実行
プロジェクト参加校を対象に「オンライン学習に関する調査」を実施しました。全国の学校が休校していた5月中旬、一部の学校が分散登校を開始した6月上旬の二回にわたって調査を行いました。現在、コロナ禍の学習支援について総括する教員向けアンケートも実施しました。
【「生徒の気づきと学び」を最大化するPJについて〜プロジェクト事務局より】
本PJは、全国各地の学校が新型コロナウイルスの影響で休校せざるをえなくなった2020年4月に活動を開始しました。全国各地の多様な学校(6月末時点、56校)の教員が参画し、「どのようにしてオンラインで生徒の学びを効果的に支援するか」「分散登校をどのように活用するか」「1学期の成績をどうつけるか」等のテーマについて、毎週オンラインでの対話を重ねています。この対話で生まれた知見はアーカイブし、多くの教育関係者で活用いただけるように共有しています。
■コロナ禍から私たちは何を学んだのか? 〜 全国の先生や生徒との対話から
(PJ代表・ベネッセ教育総合研究所 次世代の学び研究室 主席研究員 小村俊平)
「生徒の気づきと学び」を最大化するPJでは、4月から毎週行っている全国の先生との対話、およびオンライン学習に関する調査を通じて二つの示唆を得ました。
一つは、多くの中学生や高校生が休校中に沢山のことを考え、学び、自ら挑戦したことです。休校中に十分な「教え」が与えられなくても、自由な時間をいかして豊かな「学び」を得たという生徒は少なくありません。
オンライン学習に関する調査では、生徒の62%が休校中のオンライン学習について「目標を設定して地道に達成している」と回答しました。また、コメント欄には「留学できなくなったかわりに留学支援団体を立ちあげた」「プログラミングに挑戦した」等、意欲的な挑戦を語る声もありました。休校中の生徒は大人が思っている以上に自律的に学んでおり、その学びに手ごたえを感じています。
こうした生徒の声をふまえ、PJ参加校の先生は、オンライン学習でも生徒がコロナ禍のような社会課題について考え、同級生や社会人と対話しながら学べるような授業を行ったり、休校中の生徒の挑戦的な取り組みを表彰する校長賞を設ける等の工夫をしています。
また、休校中に思うように学ぶことができなかった生徒のためには、生徒一人ひとりと丁寧に対話するオンライン面談や、自主登校日を設けてオンライン学習ではわからなかったことを個別指導する取り組みも行われています。
全ての生徒に一律の「教え」を提供するのではなく、生徒一人ひとりの「学び」を最大化するために工夫した経験は、生徒が毎日登校するようになってからも生きると考えられます。
もう一つは、生徒が深く学んだり、学び続けるためには「他者とのつながり」が不可欠だということです。本調査では、多くの生徒が「先生からの声がけで学びの意欲が高まった」「友達とのおしゃべりを通じて何かに興味を持ったり、学びの意欲が高まった」と語っています。
こうした生徒の声をふまえ、PJ参加校の先生は、単にオンライン授業を実施したり、課題を出すのではなく、「教員と生徒がつながるホームルームを実施する」「生徒どうしが互いを知り、おしゃべりしやすくなる遊びの時間を設ける」「進路指導の面談で意図的に雑談時間を長くとる」等、教員と生徒、生徒どうしの関係性を深め、豊かにするための工夫を行ってきました。
こうした取り組みで得られた知見は、コロナウイルス第2波で学校が再度休校せざるを得なくなった時はもちろん、今後教室での学びを豊かにしていくうえでも重要になると考えられます。
本PJでは、今後も全国の先生や生徒との対話を通じてコロナ禍における学校現場の課題を解決していくとともに、生徒一人ひとりの気づきと学びを最大化していくための新しい学校のあり方や学び方を検討し、発信していきます。
※本PJのアーカイブ等は、こちらでご覧いただけます。
https://berd.benesse.jp/publicity/detail.php?id=5506
「オンライン学習に関する調査 第1回」の結果概要
【調査概要】
・調査名 : オンライン学習に関する調査 第1回
・調査主体 : コロナ禍における「生徒の気づきと学び」を最大化するプロジェクト
・調査形式 : インターネット調査によるアンケート
・調査趣旨 : プロジェクト参加校の教員の得た感触について、アンケートを通して数値化し、より具体的な把握・振り返りを行うこと
・調査対象 : 本プロジェクトに参加した学校のうち、アンケート実施できた学校23校の生徒
全国の中学生・高校生 2,346名
中学1年生366 / 中学2年生293 / 中学3年生79 / 高校1年生442 / 高校2年生470 / 高校3年生696
※本件は、プロジェクトに参加かつオンライン授業に取り組まれていた学校の中で、任意でアンケートに協力していただいた学校からの回答結果をまとめたデータとなります。
・調査実施時期 2020年5月11日〜5月17日
・調査協力 NPO法人 教育テスト研究センター
代表理事 新井健一、担当理事 赤堀侃司(東京工業大学名誉教授 )
・調査結果WEB https://berd.benesse.jp/publicity/detail.php?id=5515
※6月に行われた第2回のデータもあわせて紹介されています。
【質問内容】
●学校名
●私の学校が提供する学習方法
(オンライン学習(ネットを使った連絡、授業等)/ネット以外の方法(テレビ、郵送、電話等)/その他(自由記述))
●属性
(中学1年生/中学2年生/中学3年生/高校1年生/高校2年生/高校3年生/その他(自由記述))
●オンライン学習状況アンケート(非常にあてはまる/ややあてはまる/どちらともいえない/あまりあてはまらない/全くあてはまらない)
問1 私はオンライン学習でも目標を設定して地道に達成している
問2 私はオンライン学習で壁にぶつかっても簡単にはあきらめない
問3 私はオンライン学習でも先のことを考えて計画的に行動している
問4 私はオンライン学習でも他人にすぐに同調しないで他の方法を考えている
問5 ずっと自宅にいると、学校がないので、部屋で怠けたり遊んだりしたくなることも多いが、私は今の状況を考えて我慢するようにしている
問6 自宅にいると怠けたり遊んだりしたくなることもあるが、私が今やるべきことを先にやるようにしている。
問7 私はオンライン学習でも教室と同じように勉強できている
問8 私はオンラインや電話で先生からの声掛けがあればやる気が出る
問9 私はオンラインでも友達とコミュニケーションするとやる気がでる
問10 私はオンライン学習でも同じ学校やクラスにいる感覚がする
問11 私はウェブサイトやSNSの記事や広告の内容を適切に判断して対処できている
問12 私は個人情報などをネットに流さないような判断をしている
問13 現在どの程度ストレスや不安を感じていますか(5点がもっともストレスを感じる状態として1点〜5点を選択)
問14 上記の原因は主に何だと思いますか。また、ストレスや不安を解消するために心がけていることがあればお書きください。(自由記述)
【調査結果サマリ】
【1】オンライン授業でのコミュニケーション
「オンライン学習でも同じ学校やクラスにいる感覚がする」とした生徒は30%未満にとどまり、オンライン環境でのクラスの一体感を作ることの難しさを感じさせる結果だった。
いっぽう、「オンラインでも友達とコミュニケーションするとやる気がでる」と回答した生徒は7割に近くなったことに注目したい。
こうした生徒たちの反応を感じ取ってか、今回のプロジェクトでの各校の実践事例では、オンライン環境下でクラスルームや雑談の時間を取り入れる事例が見られた。
[画像4: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-817007-3.png ]
【2】オンライン学習の時間と、学校やクラスとの連帯感の関連
「学校やクラスにいる感覚がする」について「非常に」+「やや」の合計を見ると、オンライン学習が1日「2時間未満」と、「2時間〜6時間」ではおおよそ倍近い開きがあった。一方、「6時間以上」であった場合はそれ以下の場合と大きな差は見られなかった。
2〜6時間は数コマに相当する時間であり、学校での授業を全てオンライン化しなくとも、1日数コマ程度オンライン学習を提供することで、生徒はクラスメートとの連帯感を高められると手ごたえを感じた学校はあったのではないか。
こうした実態を反映してか、3密を避けるための分散登校など制限された環境での教室での学びよりも、当面はオンライン学習を重視する学校もプロジェクト内には見られた。
[画像5: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-942037-4.png ]
【3】生徒のストレス感や学習への姿勢はどうだったか
今まで経験したことのない環境下となったはずであるが、ストレスや不安を感じる度合いを5段階評価で4以上とした生徒は3割を下回った。
さらに、前向きさや努力する姿勢を示す設問には、ほぼ6割を超える割合で是とする自己評価があり、経験のない環境ながら前向きに学習に向かった生徒の模様が推測される。
[画像6: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-913727-5.png ]
【4】生徒のストレスの原因、解消の方法
ストレスの原因は、自由回答でさまざまなものが挙げられた。これらは、クラスメートとのおしゃべり等で解消している模様がうかがえる。
[画像7: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-831878-6.png ]
【5】生徒のネットリテラシーの状況
「ウェブサイトやSNSの記事や広告の内容を適切に判断して対処」が7割超、「個人情報などをネットに流さないように判断」が9割超など、注意を払っている模様がうかがわれる。
[画像8: https://prtimes.jp/i/120/826/resize/d120-826-153684-7.png ]