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乳幼児期の子どもの発達(ECD)世界キャンペーン-乳幼児を持つ親を支える施策が必要【プレスリリース】

ユニセフ、各国政府に導入求める




[画像1: https://prtimes.jp/i/5176/1012/resize/d5176-1012-305067-0.jpg ]

【2017年9月21日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)は本日、親が幼い子どもの健康な脳の発達を助けるのに必要な時間と資源を確保するための3つの基本的な施策が導入されている国は世界でわずか15カ国しかない、とする新たな報告書を発表しました。そのうえ、世界の5歳未満児の8人に1人が暮らす32カ国は、3つの施策のいずれも導入していません。

ユニセフが本日発表した新報告書「すべての子どもにとって"はじめ"が肝心(原題:Early Moments Matter for Every Child)」は、乳幼児期の子どもの発達を最大化させるための重要な基盤として、初等教育開始前2年間の無償での幼児教育、生後6カ月までの子どもを持つ母親のための有給の母乳育児休暇、そして6カ月間の有給の母親の育児休暇および4週間の有給の父親の育児休暇を挙げています。これらの施策は、脳が急速に発達する人生の最初の数年間という極めて重要な時期に、両親がこれまで以上に子どもたちを保護し、より良い栄養、遊び、早期学習経験を与えることを手助けするものです。

[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/1012/resize/d5176-1012-551883-1.jpg ]

報告書によると、3つのすべての施策を導入している国にはキューバ、フランス、ポルトガル、ロシアおよびスウェーデンが含まれます。しかし、3つの施策のいずれも導入されていない32カ国には、8,500万人の5歳未満の子どもが暮らしています。驚くべきことに、この子どもたちの40%が、バングラデシュと米国の2カ国に暮らしています。

「子どもにとって最も大切なものは何でしょうか?それは、脳です。しかし、私たちは、子どもの脳と未来が急速に形作られることを科学が証明している乳幼児期においても、子どもの身体の発育ほど脳の発達のケアをしていません」とユニセフ事務局長アンソニー・レークは述べました。「私たちは、幼い子どもの脳の発達における最も重要な時期に、親や養育者が必要な支援を得られるようさらなる努力が必要です」

報告書は、何百万人の5歳未満児が、安全でない、刺激のない環境で形成期を過ごしていると強調しています。

約7,500万人の5歳未満児が紛争の影響を受ける地域に暮らし、乳幼児期の脳細胞の結合を妨げる可能性のある有害なストレスを受ける危険性が高まっています。
栄養不良、不健康な環境および病気が原因で、世界の1億5,500万人の5歳未満児が、彼らの身体と脳が本来持つ能力を十分に発揮して成長できなくなる発育阻害の状態にあります。
64の国々では、2歳から4歳の子どもの4分の1が、脳の発達に不可欠な遊び、読書、歌唱などの活動を行っていません。
世界の約3億人の子どもが、最近の調査が子どもの脳の発達を損なうとする有害な大気のある地域で暮らしています。



[画像3: https://prtimes.jp/i/5176/1012/resize/d5176-1012-404970-2.jpg ]

報告書は、最も恵まれない境遇にある子どもたちに早期発達の機会の保護と提供をしなければ、社会や経済全体の成長の可能性を妨げることになると警鐘を鳴らし、貧困世帯の子どものうち、幼い時期に遊びや早期学習を経験した子どもは、経験しなかった子どもに比べ、平均して25%収入が高いことを明らかにした調査結果を紹介しています。

「もし私たちが今、最も弱い立場に置かれた子どもとその家族に投資しなければ、恵まれない境遇や不平等の連鎖が世代を超えて永続的に続くことになります。私たちは、一人ひとりの人生、一つひとつの機会の喪失を通じて、持てる者と持たざる者の格差を広げ、社会の長期的な強さと安定性を根底から揺るがしているのです」とレークは言いました。


世界各国の政府が、教育予算のうち乳幼児のプログラムに費やすのは、平均して2%未満です。しかし、報告書は、今日子どもの乳幼児期へ投資することは、未来に対して顕著な経済的効果があることを強調しています。母乳育児を支援するプログラムに対する1米ドルの投資は、35米ドルの収益を生み出します。そして、最も恵まれない境遇にある子どもたちへの乳幼児期ケアや教育に対する1米ドルの投資は、最高17米ドルの収益を生むことが出来ます。

この報告書は各国政府および民間セクターに対して、乳幼児期の発達をサポートするための基本的な施策を支持するよう呼びかけています。

家庭、学校、地域、保健所における、最も恵まれない子どもたちを優先した、乳幼児期の子どもの発達のためのサービスの充実および拡大に投資する。
初等教育開始前の2年間の無償の幼児教育、両親の有給の育児休暇および有給の母乳育児休暇を含む、家族にやさしい施策の導入を国の優先事項とする。
働く親に対して、彼らが幼い子どもの脳の発達をサポートするのに必要な時間と資源を提供する。
乳幼児期の子どもの発達に関するデータを収集および非集計分析し、最も恵まれない子どもたちと家族への到達の進捗を追跡する。


「乳幼児期の子どもの発達をサポートする施策は、子どもの脳に対する重要な投資に留まらず、明日の市民と労働力への投資であり、文字通り世界の未来への投資なのです」

* * *

■乳幼児期の子どもの発達(Early Childhood Development = ECD)について
2015年9月、国連は「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals =SDGs)」を採択。乳幼児期の子どもの発達(Early Childhood Development - ECD)も、国際課題の一つとして位置づけられました。

ユニセフは、世界各地の現場で積み重ねてきた経験と、脳科学をはじめとする最新の科学的知見を裏付けに、赤ちゃんが母胎の中にいる10か月間を含む、8歳までの時期の大切さを訴えるECD世界キャンペーン「“はじめ”が肝心 (Early Moments Matter)」を展開しています。

ECD世界キャンペーンの詳細に関しては、以下の特設ページからご覧いただけます。
日本ユニセフ協会 乳幼児期の子どもの発達(ECD)
http://www.unicef.or.jp/ecd/

* * *

■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)
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